2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第2話(4)日光の宣言

「さて……それでは副クラス長の二人から挨拶をしてもらいましょうか」

 

 地山が促す。教壇の脇に立った聡乃がおずおずと口を開く。

 

「ほ、本荘聡乃です……と、突然の大役に戸惑いもありますが、精一杯務めますので、ど、どうぞよろしくお願いします!」

 

(パチパチパチ……)

 

 聡乃の挨拶にまばらながらも拍手が起こる。地山が頷く。

 

「はい、結構です……それでは仁子君……」

 

「仁子日光だ……相変わらず出席率もまばらだが……ここで宣言しておこう」

 

「?」

 

「俺はこのクラス……2年B組を“落ちこぼれ”から“最高の連中”にしてみせる!」

 

「!」

 

 日光の宣言にクラスメイトたちが一様に驚いた表情になる。

 

「微能力……微妙な能力……それがどうした? 微妙かどうかを決めるのはその能力の使いようだ……俺と諸君らの微能力を駆使して、この能力研究学園に革命を……下克上を起こしてやろうではないか!」

 

「‼」

 

「……とまあ、少々大げさだが、要はより良いクラスにしたいということだ。その為にも諸君らの力を貸して欲しい……以上だ」

 

「……」

 

 日光の挨拶に対し、皆あっけにとられたのか、拍手は起きなかった。地山が口を開く。

 

「いやいや、なんとも頼もしいことで……それではお二人にこのクラスの副クラス長をお願いします。頑張って下さいね」

 

 その日の放課後、席に座る日光に照美が話しかける。

 

「結局、皆ノーリアクションだったわね」

 

「まあ、転校早々にあんな大それた宣言をするやつとわざわざ接点を持とうとする物好きはいないだろうな……」

 

「自覚あったのね」

 

「それはな……」

 

「大それたっていうか、痛々しいって感じだと思うけど……」

 

 照美が小声で呟く。日光が首を傾げる。

 

「なんだ?」

 

「いや、なんでもないわ」

 

 照美が首を振る。日光が腕を組む。

 

「波紋を起こそうと石を投げてみたのだがな……」

 

「前途は多難ね……」

 

「あ、あの……」

 

 日光たちが振り返ると、そこには聡乃が立っていた。

 

「聡乃……」

 

「わ、私は大変感銘を受けました。き、昨日も言いましたが、より良いクラスづくりの為にお手伝いさせていただければと思っています」

 

「助かるぞ」

 

「い、いえ……」

 

 日光の真っすぐな眼差しに聡乃は目を逸らす。照美がややムッとする。

 

「……クラス長は私なのだけど?」

 

「あ、い、いえ、決して東さんをないがしろにしているわけではなくて……」

 

「ああ、冗談よ、よろしくね、聡乃さん」

 

 慌てて弁明しようとする聡乃に対し、照美は笑いながら手を左右に振る。日光は席を立つ。

 

「まあ、今日のところは大人しく帰るとするか……」

 

「……それで今後はどうするの?」

 

 下校しながら照美が尋ねる。

 

「どうするとは?」

 

「質問で返さないでよ……微能力を駆使するとかなんとか言っていたじゃないの」

 

「改めての現状把握だが……俺の『中二病』……」

 

「眼の色によって、発現する能力の特性が微妙に異なるということが分かったわ」

 

「ふむ、よく理解しているな」

 

「眼の色は自分で決められないの?」

 

「その日によってランダムだ。自分がどんなことが出来るのかは、俺でもその日になってみないと分からん……」

 

「それはまた微妙な能力ですこと……」

 

「ンゴ連呼女には負ける」

 

「人を妖怪みたいに言わないで」

 

「ンゴ……?」

 

 聡乃が首を傾げる。照美が苦笑交じりに手を上げる。

 

「気にしないでいいから」

 

「照美は『プチ炎上』……そして聡乃は『陰キャ』か……」

 

「は、はあ……」

 

 聡乃が俯く。照美がジト目で日光を見つめる。

 

「ねえ、もっとまともな能力の呼び名は無いわけ?」

 

「『鞭しばき女』とかか?」

 

「だからなんでそういう方向性なのよ……」

 

「あ、東さん、私は大丈夫ですから……」

 

「本当に?」

 

「え、ええ……」

 

「そういえば、昨日の鷹のヒナはどうしたんだ?」

 

「あ、引き取り手が見つかって、その方の管理する土地に移りました」

 

 日光の問いに聡乃が答える。

 

「それは良かったわね」

 

「は、はい……」

 

 照美の言葉に聡乃が頷く。日光が立ち止まって腕を組む。

 

「まあ、それはともかくとして……」

 

「自分で話を振っといてなによ」

 

「聞くが、うちのクラスにリーダー格は何人いる?」

 

「え?」

 

「リーダー格と言うと語弊があるかもしれんが……言い換えれば他の生徒たちに影響を与えることの出来る存在だ」

 

「う、う~ん……」

 

 日光の問いかけに照美は首を捻る。日光が重ねて問う。

 

「なぜはぐらかす? 昨日もそんな感じだったな」

 

「い、いや、なんというか……」

 

「聡乃」

 

 日光が聡乃の方に向き直る。

 

「え、えっと、『四天王』と呼ばれる方たちがいます……」

 

「さ、聡乃さん⁉」

 

「ふむ……」

 

「れ、例外的に他のクラスの方々からも一目置かれているような存在です」

 

「そうか……それにしても四天王とはちょっとダサいな……」

 

「高二で中二病の奴には言われたくないわよ」

 

 日光の呟きに照美が突っ込みを入れる。

 

「……決めたぞ」

 

「何を?」

 

「その四天王の連中を味方に引き入れる」

 

「ええっ⁉」

 

 照美が驚く。聡乃が口を開く。

 

「で、でも、あまり登校されない方々ですよ?」

 

「問題ない、波紋は起こした、というか餌は撒いたつもりだからな……」

 

「! 今朝のホームルームでの宣言……」

 

 照美がハッとなる。日光が笑みを浮かべながら呟く。

 

「興味を抱いてくれれば良いのだが……」

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