もしも五十嵐栗夢がガチの『マリーシア』使いだったら 作:MAX
日本サッカーがW杯で優勝するために世界一のストライカーを誕生させる。
それが
寮に向かう。ということだけを伝えられ、バスに乗せられて、山を超えた先に
やべぇ、まだ何もやってないのに心臓がバクバクいってやがる!
俺、今、すげぇワクワクしてるんだ!
だって、そうだろ。自分の人生を文字通り変えられる ところなんだぜ?
それで高ぶらないほうが無理ってもんだぜ!
バスから降りると、スマホや財布を全部没収された。
まじかよ。財布はともかくスマホないのキツイって!
こちとら色々お盛んな年頃の男子だぞ! 色々発散しないと、爆発すんだろ!なにがとはいえないけどさあ!
一人ずつ、一人の女性職員からボディスーツが配られた。
「次、五十嵐栗夢くん」
「はーい!」
ボディスーツの右肩近くには番号とアルファベットが書かれていた。
【300 Z】
……番号はきっと識別番号的なあれだろ? けど、アルファベットはなんだろ。チーム分けとか?
いや、それより今重要なことが一つある!
ボディスーツを手渡してくれた目の前の女性職員めっちゃ美人じゃん!
俺の好きな女優、本間翼*1にだって負けてねぇぞ! つーかめっちゃ好みなんですけど!
だって、この女の人、胸でけぇ!!
あまたのムフフな動画で鍛えられた俺のスカウターによればF以上は確実にあんだろ!
目が吸い寄せられる! まさかこれが万有引力の法則ってやつのか!
俺の視線が女性職員の万有引力に引きずり込まれていると
「……? どうしたの?」
女性職員から注意を受けてしまった。
せめて名前だけでも聞き出したいところだ!
「あの! 俺! 五十嵐栗夢といいます!」
「は、はぁ? 名前は知ってるけど」
「で、ですよねぇ。ところで、あの、あなたのお名前を教えてくれませんでしょうか!?」
ざわざわとまだこの場に居る高校生男子たちがざわついた。
「おいおいマジかよ」
「ナンパか?」
「さっきの今で、やるか普通?」
「まぁ、でも確かに美人だし」
「気にはなるよな。うん」
じーと高校生男子たちの視線が女性職員に集まる。
ここで名乗らないという選択はできない空気ができあがっていた。
ナイスだ! 俺の
女性職員ははぁとため息をつくと名前を教えてくれた。
「……フットボール連合の職員、帝襟アンリです。……これでいい? 」
「は、はい!」
「……早くあっちの列に並んでくれる?」
帝襟アンリ。アンリちゃんか〜。
若干ウザったそうにしていると見えるのは多分気の所為じゃないだろう。
ホントはもっと話したかったけどしゃーなし。名前も知れたし、先に進むか。
一歩、足を踏み出したところで思いとどまった。
……いや、待てよ。本当に名前を聞くだけで満足していいのか?
……
「あの! アンリちゃん!」
「……はぁ。ねぇ、キミ、いい加減に──!」
「──好きです!!!」
「……は?」
「一目惚っす!」
ざわざわ。
「俺が、この
俺は自分の想いを天に吠えた。
……言った。言ってやったぞ! 人生初公開告白!
俺は今、自分の殻を破ったんだ!
これが青い監獄で自分を変えるための最初の1歩だああああ!*2
さ〜て、アンリちゃんの反応は……。
──ゴミを見る眼をしていた。
「……えっと、アンリ、ちゃん……?」
「……こっちが穏便な対応をしているのをいい事に、調子乗ってんじゃねぇぞこのハゲが」
「……ハゲっ!?」
「こっちは、
──この
そうこの場にいる高校生男子たちの心が一つになった瞬間であった。
おいおい、この女怖ぇって!
一見、温厚そうな美人だと思ったらとんだ苛烈な畜生女だった件!!
しかも、超ボロくそに言われたんだが? 鋼の精神の持ち主のオラでも流石に涙目になんぞ。
だが、俺は五十嵐栗夢! 諦めない心とマリーシアが武器な男!
諦めめの悪さと『駆け引き』このふたつは誰にも負けない!
「誰が失せるかああああ! つーか、よくも、俺がここで生き残れないとかいいやがってくれたな!」
「『事実』なので!」
「ははん。言ったな? そこまでいい切ったんだ。なら、俺が最後まで生き残って世界一のストライカーになった時は、アンリちゃんは絶対に俺と結婚前提に付き合えよ!!!」
「はー? なんで私が?」
「それもなにかな〜。まさか、あそこまで人にボロくそいっといて、アンリちゃん実の所は、色恋にうつつを抜かすカスな俺が世界一のストライカーになる可能性を危惧しちゃってるんですかねぇ?
自分の表情筋全てを活用し、ゲスな笑みを浮かべて、挑発する。
人間、自分が1度言った言葉はなかなか撤回しにくいものである。
特に『人生全部賭けてる』と銘打った言葉は尚更だろ?
「……この……!! ……いいでしょう。その挑発、買ったわ! 五十嵐栗夢。もしも、いや、絶対ありえないけど! もし、本当にあなたがこの
「「「おー」」」とこの場の同年代の男子共の声が聞こえる。
「アンリちゃん。その言葉ゆめゆめ忘れるなよ! 約束だからな!」
そう言って、俺はやっとアンリちゃんから離れ、ボディスーツをもらった男子たちの列に歩いていった。
俺とアンリちゃんのやり取りを聞いていた男子たちがまたざわつきだす。
「あの坊主頭、見た目に似合わず勇者だ」
「あだ名は勇者で決まりだな」
「待て、勇者じゃあの坊主頭にはかっこよすぎる。そうだな。勇者改め、ブレイブマンはどうだ」
「「採用!」」
……こ、こいつら。ノリいいじゃんか!
「お前の正々堂々とした告白感動したぞブレイブマン。だが、俺もここに世界一のストライカーになりに来ている人間だ。正々堂々戦ってお前に勝つ!」
ボディスーツをもらった選手の列、俺の1個前のツンツン頭のガタイのいいやつに挨拶される。
「おたく、名前は?」
「國神だ。國神錬介。世界一のストライカーになって
そして、全員にボディスーツが支給された。
「それじゃあ、1人ずつ
アンリちゃんに言われた青い監獄《ブルーロック》の入口通り、迷路みたいなコンクリートの壁を進んだ。
因みに1番最後だった。
「300のZ……300のZ……あった。ここか」
ROOM Z と書かれた黒い自動扉。
ここから俺の青い監獄での生活が始まるんだ。
そして、ここで最後まで生き残ることができれば、アンリちゃんと、あのでっけぇ胸を、ムフフ、妄想がとまんねぇぜ!
「ムフフ! さーて、行きますかね!」
俺は意を決して、前に進んだ。
…。
……。
………。
【帝襟アンリ side】
最後の選手。五十嵐栗夢が
「行ったか。……はあ、疲れた〜 。……もうなんなのあの子!」
まさか絵心さんの演説を聞いて、青い監獄に来てまで、公開告白してくるような馬鹿が居るだなんて思ってもいなかった。
しかも、こっちの口撃をまんまと利用されてあんな『約束』を取り付けられてしまった。
「くっそー! まんまと乗せられた! ホント最悪!」
手玉に取られたことが悔しくて、地団駄を踏む。
五十嵐栗夢。彼が青い監獄で最後まで生き残って、世界一のストライカーになったら、結婚を前提にお付き合いすることに……。
「……大丈夫。あんな恋愛にうつつを抜かすようなハゲが青い監獄を最後まで生き残る絶対にありえない! 五十嵐栗夢の選手としての能力評価順位は
でも、もし、万が一、彼が本当に世界一のストライカーになったら?
その時、私は彼のことを、どう思うのだろう?
かっこいと思うのだろうか?
想像して……
「……いや、ないわー。そもそもあのハゲは私の好みの顔じゃないし」
あのいやらしい目で見てくる顔つき、生理的嫌悪すら覚える。
「……まぁ、あのハゲが生き残る未来も想像できないし、悩むだけ時間の無駄か。仕事しよっと」
自分の中で、約束は実現しないから大丈夫と結論ずけて、絵心さんの居る監視室へと向かった。
路線が決まったぜ!!!
アンリちゃんが下に見ていた全然好みじゃないむしろ嫌いなイガグリがどんどん勝ちまくって『約束』の実現が現実的になっていくにつれて、アンリちゃんが徐々に焦っていき、青い監獄11傑にイガグリが選ばれたところで発狂する!
そこで完結! これだ!