現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

102 / 111
新章第16話

謀略教皇VS謀略教祖!趣味と趣味の闘い・第16話

 

『拝啓、アンリエッタ姫。

アルビオン王国の争乱以来ですが、如何お過ごしでしょうか?

私は自身の起業した、漢の浪漫本ファンクラブを軌道に乗せる為、忙しい日々を送っております。

先日、久々にトリステイン王国のヴァリエール公爵家に行きましたが、カリーヌ様よりアンリエッタ姫がふさぎ込んでいると聞きました。

何か私に出来る事は無いでしょうか?

アンリエッタ姫の気分転換の為に、幾つか考えが有るのですが……一度、お会いしたいと思っています。

私は暫くはヴァリエール公爵の家に滞在する予定です』

 

 

 ……ツアイツ様。私の事を心配してくれていたのですね。

 

 私は、そんな貴方の気持ちも考えずにウェールズ様に手紙を送ったり。

 ヴァリエール公爵に会いたく無いからと、国政も放り投げて引き籠もっていたりと……なんと情けない姫なのでしょう。

 

 ツアイツ様が、私に会いたいなどと……夢では無いのでしょうか?

 

 私、私は……もはやツアイツ様に縋るしか出来ない、女になってしまいました。

 

「急がなきゃ!アニエス、アニエス隊長!

直ぐにアニエス隊長を呼んで下さい。嗚呼、先ずは何をしたら良いのでしょうか?お風呂?新しい衣装?

お肌を磨かなければ……そうだわ!下着、下着も新調しないと駄目だわ……」

 

 ただ会って話がしたいツアイツに対して、アンリエッタ姫は男女交際のステップを四段飛ばし位で駆け上がって行った!

 双方の思惑が真逆に進む中、アンリエッタ姫との面会はヴァリエール公爵領で催される舞踏会でと決まった。

 コレには単独でアンリエッタ姫に会いたくないツアイツの思惑と、強固に反対したツンデレと天然の姉達の力にもよる。

 

 兎に角、アウェーが嫌だったのだ!

 

 此方のホームなら、何とかなる。そう甘い考えを持っていたツアイツであった!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 最近、領地の発展や国内での発言力が急上昇中のヴァリエール公爵。

 彼が催す舞踏会に出る事は、トリステイン王国の貴族達にとって重要な意味を持っていた。

 今回は、あのガリアの姫を誑し込み次期ガリア王が決まっているツアイツ・フォン・ハーナウが滞在している。

 

 是非とも懇意にしておきたい。

 

 しかも、最近ヴァリエール公爵との不仲説が囁かれていたアンリエッタ姫が招かれている。しかも、物凄く楽しみにしているのだ。

 わざわざ衣装から何から何まで、全て新調したらしい……もはやトリステイン王国の姫も、奴に誑し込まれたと思って良いだろう。

 

 遂にゲルマニアの一貴族が、ガリア・アルビオン・トリステインの始祖に連なる王家を攻略した。

 ネクストクィーン2人を誑し込み、ネクストキングは趣味でガッチリと抱え込んだ。

 

 貧巨乳派連合教祖、ツアイツ・フォン・ハーナウのハルケギニア統一は目前。

 

 元々ツアイツの評価が真っ二つに別れていた、トリステイン王国の反ツアイツ派貴族は思っていた。

 親ツアイツ派貴族は自国の姫に呆れたツアイツが、何とか友好関係を回復してくれるのだ。

 

 流石は、オッパイ教祖!

 

 ちゃんと困った姫様の事も、何とかしてくれるんだ。有り難や、有り難や……

 ツアイツにとって、レコン・キスタやロマリアの虚無コンビより怖いアンリエッタ姫と会合が開かれる。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 気合いの入った勝負ドレス!

 

 ユニコーン四頭に引かれた、王家の馬車に乗りアンリエッタ姫は妄想に耽って……はいなかった。

 

 彼女は本能で理解していた!

 

 今日を逃せば、自分の幸せは無い。ツアイツから手紙を貰い、一時期は妄想を爆発させたが……

 それはそれは、銃士隊が深夜迄処理に追われる妄想祭りだった。

 

 しかし気付いてしまった。

 

 何故アルビオン以来、彼がつれないのか……まだ三回しか会ってはいない。学園でルイズと共に、夜に私室に押し掛けた。

 演劇の件でアカデミーに来て貰った。

 

 最後はラグドリアン湖の遊園会で……

 

 彼は私の不始末を完璧に処理してくれた。そして、私の為に尽力してくれたのに……では、何故今回は?

 そうだわ!私はツアイツ様の言う通りに行動し、成功してきました。

 

 しかし、しかしです。

 

 アルビオン王国の件に関しては、私はツアイツ様に止められていた手紙を送り、相談も無しに、国内の腐敗貴族を一掃し、アルビオン王国に援軍も送った。

 でも、どれもこれもツアイツ様の指示なのに私はタイミングを独断でしてしまったの……

 

 だから、だからなのね……

 

 言う事を聞かない私に、愛想を尽かしてしまったのだわ。私の為に色々してくれたのに、肝心の私が独断専行をしてしまったから。

 ツアイツ様のお怒りが解りました……なんて愚かで浅はかな姫なのでしょう。ツアイツ様の言われた事を守れないなんて……

 

「今夜お会いしたら……誠意をもって精一杯謝りましょう。今後は必ず、ツアイツ様のご指示を守ります!」

 

 ※惜しい、アンリエッタ姫!確かに、その部分は重要だ!でも完全服従は、Mっぽい感じがしますよ?

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 ヴァリエール公爵夫妻とエレオノール様、カトレア様とアンリエッタ姫を出迎える。王族を迎えるのですから、出迎えは当然ですね。

 僕の立ち位置が上座と言うか、ヴァリエール公爵より上になっています……成り立て王族のですから、対応の変化に戸惑います。

 

 因みにアンリエッタ姫の護衛は、グリフォン隊隊長ワルド殿以下複数名がゲルマニアのハーナウ領に行ってしまい定員割れです。

 故に先の腐敗貴族粛正の折に活躍した、ド・ゼッサール隊長率いるマンティコア隊が護衛の任に付いています。

 

「良くいらっしゃいました。アンリエッタ姫。お待ちしておりました」

 

 ユニコーンの馬車から、ド・ゼッサール隊長の手を取りながら降りてくるアンリエッタ姫に話し掛ける。突撃しても止められる様に構えていたが……

 

「ツアイツ様……ご無沙汰しておりますわ。今日は舞踏会へのお招き、有難う御座います」

 

 そう優雅に一礼して、此方を微笑んでいる。アレ?えっと、アーパープリンセスですよね?アホリエッタ姫ですよね?

 

 目の前の少女は、清楚で控え目な落ち着いた感じがしますよ。まさか、影武者か?

 

 僕は彼女の手を取り、屋敷へと招いた。

 

 周りからは、凄い拍手と羨望・嫉妬・賛美・畏敬の念が伝わってきますね。

 隣を歩く少女を見ながら、何か勝手が違う。

 

 不思議な違和感を感じていました……


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。