現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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新章第18話

謀略教皇VS謀略教祖!趣味と趣味の闘い・第18話

 

 

 いよいよアンリエッタ姫と2人切りで会う、場所は、ヴァリエール家の応接室だ。

 かなりの広さも有り、調度品も正直高価な品々。

 此処は来客の中でも地位が高いか、ヴァリエール公爵が重要と認めた者しか通さない極めつけの豪華な応接室……

 屋敷の二階に有り、全面にはヴァリエール家自慢の広大な池を見渡せる。

 

 今夜は双子の月が、やけに大きく見える。

 

 せして水面に、その姿を映し出していた……男女の密会としてのロケーションは、バッチリだろう。

 周りには、ボインズ・ナイトとヴァリエール家直属の護衛を配している。

 

 因みに覗きのエキスパートであるジャネットが居た!僕すら気が付かなかったのに、いざ此からって時に、ひょっこりと現れた。

 

「護衛って言うか、発情したアンリエッタ姫がツアイツ様を襲ったら取り押さえろって事ですよね」と言ってから、何処かに消えた!

 

 流石は北花壇騎士団。しかも覗き特化型だ!だからこの部屋の様子を伺えるのは、限られたメンバーだ!

 

 因みに、ド・ゼッサール隊長以下のマンティコア隊は今夜の密会は教えていない。

 

 故に護衛は屋敷の周りをお願いし、臨時の駐屯地には漢の浪漫本を大量に差し入れしてきた。

 彼らは感激して屋敷の周りを警護し、疲れたら漢の浪漫本を読んで英気を養ってくれるだろう。

 お呼びした僕が先に応接室で待機し、メイドさんにアンリエッタ姫を迎えに行って貰っている。

 暫く待つと、ドアがノックされメイドさんに案内されアンリエッタ姫が現れた……

 

 憂いを秘めた表情で、俯き加減にしている。

 

「ツアイツ様……お話が有ると言われたので参りました」

 

 うっ!何だ、この保護欲を掻き立てる様な仕草は……

 

「まっ先ずは、此方に座って下さい」

 

 ソファーを勧めて、メイドさんに紅茶を淹れて貰う。テキパキと紅茶を淹れて、メイドさんが退出……2人切りとなってしまった。

 

「今日はお疲れ様でした。沢山の貴族の若者からダンスを申し込まれてましたね?流石はトリステイン王国の華。凄い人気ですね」

 

 トリステイン王国でのアンリエッタ姫の人気……それはマダマダ健在だ!

 腐敗貴族の一掃から、アルビオン王国への派兵と演説……困った姫様の本性を知っているヴァリエール公爵派閥以外の連中には、彼女は人気が有る。

 

「ツアイツ様……ごめんなさい。私を……許して下さい。貴方の言う事を守らずに、勝手をして困らせてしまった愚かな姫を……」

 

 そう言って、涙を浮かべながら此方を見ている。今にも涙が溢れて……

 

「いっ言え、そんな。僕も怪我を負い祖国に帰っていましたから……アンリエッタ姫の判断は悪くは無かった。

しかし、他の方にも……ヴァリエール公爵やワルド隊長。ド・モンモランシ伯爵やグラモン元帥に相談するべきだったと思いますよ」

 

 暴走する前に、誰かに相談するべきでしたね。

 

 報告・連絡・相談!コレ、大切です。

 

「私が悪かったのは……貴方の言う事を守らないで独走した事。あれだけ私の為に尽力してくれたのに……

最後の最後で、勝手な事をしてしまいました。本当に済みませんでした……」

 

 決壊寸前、目に貯めていた涙が流れ落ちる。見目麗しい女性の涙の破壊力は……彼女は何かに耐える様に涙を流したまま、僕を見続ける。

 

 なっ何か言わないと駄目だ。

 

「もう、謝らないで下さい。済んだ事ですし、結果オーライ……いえ、全ては上手くいきました。

アルビオン王国の反乱は鎮圧し、トリステイン王国の膿も出せた……」

 

 何とか当初の計画通りに纏められた。違うのは、アンリエッタ姫とウェールズ皇太子のラブロマンスが潰れただけ……貴女が貧乏くじを引いてしまったんですよ。

 

「アンリエッタ姫……一つ提案が有ります。トリステイン王国の先行きについてです」

 

 此処で、例の件を話す。

 

「……はい」

 

 泣き止まない……けど儚げに微笑んで、此方を見ている。

 

 くっ……紳士として、泣いている女性を放置出来ない。

 

 僕はアンリエッタ姫の隣に移動して、そっと彼女の涙を指ですくう……そして持っていたハンカチを渡した。

 アンリエッタ姫は、お礼を言ってからハンカチを受け取り……両の目の涙を拭く。

 

「アンリエッタ姫……僕は貴女にトリステイン王立劇場で女優として、僕の脚本の物語を演じて欲しいのです」

 

「……演劇、ですか?」

 

 隣に座った為に、座高の差から見上げる様に僕を見詰めるアンリエッタ姫……何か、何かが僕の中に芽生えていく……何だ?この感情は?

 

「はい。マリアンヌ王妃もアンリエッタ姫も……その、余り国政に興味が薄そうですよね?しかし、今は大変な時期です。

トリステイン王国の未来の為に、二本柱で国を動かそうと考えてました。ヴァリエール公爵を宰相として、国政と貴族の取り纏めをする。

アンリエッタ姫は王立劇場の主演女優となり、民を纏めて行く事に専念して欲しい。

マザリーニ枢機卿は……次のロマリアの教皇と成るべく、動き出します。これは我々も協力します。

今の教皇ヴィットーリオは危険だ。正しき国政を担い、民を纏め、ブリミル教を正常化して行く。

僕の、僕達の次の計画です……アンリエッタ姫?聞いていますか?」

 

 彼女は、トンと頭を僕の胸に付けると「私はツアイツ様の言う事を今度こそは守ります。女優の件も出来るだけ頑張りますわ……」随分と素直だ。

 

「ですから……何でも言うことを聞きますから……どうか……どうか私を嫌いにならないで下さい」

 

 彼女はそう言って、手を僕の胸に添えてきた……今、何て言った?小刻みに震えている彼女。しかも何でも言うこときくと言った……

 

 ヤバい、クラクラって来るよコレは。

 

「僕は……アンリエッタ姫を嫌ってはいませんよ。コレからも……僕達は、ハルケギニアの未来の為に、共に歩んで行くのですから……」

 

 そう言って彼女を軽く抱き締める。ハグはOKの筈だから……僕を見上げた彼女と目が合う……

 

 こっこれが、アンリエッタ姫の夜の顔か。

 

 原作でサイトを落としたヤツだ……僕に縋る美少女、しかもM属性?Sな気持ちがムクムクと芽生えてくるぞ。

 

 心の中で葛藤していると、彼女が目を閉じた……

 


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