現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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第39話から第41話

第39話

 

 

 深夜の私室で妙齢の美女との向い合い酒を飲む、あの後折角だからとワインを勧めたのだが出るわ出るわ愚痴が……

 どれだけ主を敬愛しているのかから始まり、どんなに立派で凄いのかを延々と話した後は、常に側に控えて居るのに夜のお呼びが掛からない。

 呼ばれても添い寝だけで他にモリエール夫人と言う年増が居るのだが彼女にも手を出してないが自分が呼ばれるより回数が多いとか、兎に角色々だった。

 

 このマシンガントークの如くの愚痴はエレオノール様に通じる物がある。

 

 しかし断片的だがこの世界のジョセフ王の事が分かってきた、原作同様に満たされぬ思いを抱えているがその殆どが退屈嫌いとED改善だ。

 しかし此処で問題は単なるED改善では無理だと思う。もっと深いところでトラウマ的な何かを抱えている感じだ……これは難しい。

 

 秘薬で強制発情など無意味だろう、もっと自身の深い所から込み上げる性欲を目覚めさせないと無理だ!

 

 散々愚痴った彼女は机に突っ伏して寝てしまった、この辺はエレオノール様で培った、愚痴を聞きつつお酒を勧めて早めに酔い潰すテクで簡単だった。

 

 レビテーションでベッドに寝かせて考える、先ずはジョセフ王のトラウマの原因を知りたい。それが攻略の鍵だ……

 

 それに正直レコンキスタやアルビオン王国なんぞに係りたくは無い、乳とはそんな血に塗れた手で掴むものでは無い。

 

 しかし……美乳派などでどうやって反乱を起こすんだ?

 

 ぶっちゃけ趣味と戦争はそれはソレこれはコレって別次元の問題の筈だ、戦争とは国家が一団となって行う物だし誰が付いて来るんだ?

 

 軍隊の維持費は?傭兵の報酬は?まさか美乳認定以外の女性を宛がうつもりなのか?

 

 そんな危険思考の輩に乳を語る資格は無い!

 

 急な話で考えが纏らない、先ずは情報を集めるしかないな。

 

 彼女……シェフィールドさんの扱いもどうするかが悩み所だ。絶対に普通に手伝うだけじゃ無いだろう、原作ではクロムウェルは操り人形で最後は捨てられたんだ。

 

 眠っている彼女をジッと見る……E89か……まずまずの戦力値だな。窓辺に立って外を見上げる……双子の月が綺麗だ。

 

 誰にでも平等に照らすこの月明りのような世界はこのハルケギニアでは無理……か。

 

 日本と比べ物にならない危険な世界……文明の未発達な国々……貴族・平民・差別と貧困……

 

 長い時間見ていたのがいけないのか昔の事を思い出していたからか涙が一筋流れた……

 

「何が悲しいのですか?」

 

 シェフィールドさんがベッドから起き上がりながら聞いてきた。

 

「いえ……酔いは醒めましたか?そろそろ帰らないと朝の早い使用人達は起き出す時間ですよ」

 

「そう……でも貴方の秘書なのよ?」

 

「受け入れる準備をしますから次の虚無の日にもう一度訪ねて下さい」

 

「わかったわ、貴方オッパイ好きなのに紳士なのね」

 

「大国の王の寵妃に手を出す愚か者は居ないのでは?」

 

「ふふふっ……では次の虚無の日に」

 

 そう言うと例のマジックアイテムで瞬間移動していった。さて……僕にはやる事が有る、それはこのシーツの処分だ。

 こんな良い匂いをしたシーツをソフィアが発見したら最悪だ!

 最近はロングビルさんとタッグを組んでいる気がするんだ、リネン室の場所は確認済みだ。

 新しいシーツを盗んでベットメイクしコレは処分する、まさか貴族がそんな証拠隠滅をするとは思うまい。

 

ではミッションスタート……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 主に言われて渋々だったが中々どうして有能な若者だ、我が主は天才だが何故か自身の身の守りに疎い。

 そして周りに信用の出来る部下は私以外は居ない、彼が主の野望の協力者になればその問題も解決する。

 まだ学生で学院で生徒として過ごしているのに世界の情勢を正確に掴み物事を洞察する力。

 

 それに紳士だし有能だし主の回春の協力者としては最適なのでは?

 

 ガリアでは主も私も腫れ物扱いで私など素性の知れない情婦扱いなのに随分と丁寧に扱われた、これは正直嬉しい。

 彼の情報か判断の中では私は主の寵妃らしい、私が本当の寵を賜るには彼の協力が必要だ。

 主には適当な所で裏切れと言われたが本気で協力をしよう、そして主に認めて貰い私の野望の協力者となって貰う。

 

 先ずはレコンキスタを本格的に潰しましょう。

 

 表情は花びらがこぼれる様な微笑みを浮かべているが彼女の考えるプランはクロムウェルの暗殺だった。やはりヤンデレとは恐ろしい者なのだ……

 

 

 

学院廊下にて

 

 

 

「お早う御座います。ツアイツ様」

 

 出会うメイドさんの全員に挨拶をされる……

 全員顔見知りだし嬉しいのだがゴール地点のリネン室には複数のメイドさん達が朝のベッドメイクの準備で急がしそうに出入りをしている。

 僕の完璧な作戦が……

 

「ツアイツ様お早う御座います、どうなされましたか?」

 

 振り向くとソフィアがシーツや洗顔具などの入った籠を持って立っていた。

 

「おっおはよう……いや少し早く起きてしまってね。ソフィアもまだ早いんじゃないかな?」

 

「手隙の時は学院の仕事も手伝ってますので、それで何故このような場所に?」

 

「……香水を調合してみようとチャレンジしたんだが失敗してシーツを駄目にしてしまってね……ソフィアに叱られる前に自分で交換しようかと」

 

「まぁ!言って下されば直ぐにでも交換致します。では今から伺いますので」

 

「……うん。お願い」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 全くご主人様は使用人に気を使い過ぎです、汚したから態々御自分で交換しようとするなんて普通考えませんよ。

 しかも申し訳無さそうな顔で私に付いて歩いてくるなんて、全く不思議な方ですね。

 

「あら?ツアイツ様、汚したシーツはどちらでしょうか?」

 

「ん……その変色してしまったので処分したんだ、学院の方には弁償しておくから……」

 

「大丈夫です。消耗品ですので処分した事にしておきますから……あら残り香ですが良い匂い、これで失敗なので?」

 

「……匂いは良くても色が真っ黒だったんだ、流石に思いつきで錬金しても駄目だね」

 

「そうですか、でもどこかで嗅いだ事の有る匂いです」

 

「……僕も何処かで嗅いで気に入ったから作ってみようと思ったんだよ」

 

 何故かご主人様は汗をかいてます、不自然ではないのですが不自然な感じがするのは何故でしょう?

 女の感が怪しいと伝えています……じっとご主人様を見詰めます……あっ目を逸らしました。

 

「ご主人様?何か隠してはいませんか?」

 

「……いや実は」

 

 ご主人様は私達にプレゼントする為にこっそりと香水の錬金を練習なさっていたそうです。

 全くこんな使用人思いのご主人様を疑うなんて、勿論他のメイド達には話しません。

 

 楽しみです!

 

 誤魔化す為に嘘の上塗りをしてしまったツアイツ君、バレたら大変ですよ!

 

 

 

第40話

 

 

 元素の兄弟、王都トリステインの裏通りチクトンネ街の安宿に潜んでいる4人。

 

「どうするの?両方共に逃げられるなんて完全に警戒されてるわよ?」

 

「しかしよージャネット、端から逃げを打つなんて思わなかったしよー」

 

「向うは此方の素性を知っていたわよ、私らを初見で見破るなんてどんだけ情報持ってるか分からないわよ」

 

「ジャネットの言う通り油断は出来ないが……2つの任務の内の1つは解決済みだよ」

 

「へーどっちが?僕らも子爵には逃げられたけど?」

 

「モギらなかったけどモギる必要が無かったって事さ」

 

「どうして?あんな店に行くような奴だろ、不誠実なんじゃないか?」

 

「いや……子爵殿は清清しい位に自分は童貞だと言っていたよ、だから彼は白だね」

 

「うわぁ……次期当主と良いどっちも相当の変態だね」

 

「だからジャネットを残して僕らは引き上げるよ」

 

「ちょちょっとなんでよ?」

 

「元々がアホらしい依頼だったし、それに次期当主の方はジャネットとはマトモな会話が出来たんだろ?」

 

「確かに紳士だったけど……」

 

「「「じゃ宜しく!」」」

 

「ちょっとあんた等……」

 

「戦えないなら嫌だよ」

 

「面倒臭いから」

 

「逃げるような奴に興味は無い」

 

 言いたい事を言って早々と部屋を出て行く男達を見送りながらジャネットは途方にくれた……どうしろって言うのよ。

 ジャネットは考えた末に、本人が昼間のカフェなら会っても良いと言ったのを思い出し、それならと連絡を取る事にした。

 

 

 

アルヴィーズの食堂

 

 

 

 豪華な料理の並ぶ食卓、昼真っからワインを傾けながらのフルコース、ここにはメタボとその予備軍の養成所ではないかと思う今日この頃です。

 

「ツアイツ、朝から眠そうだったけどどうしたの?」

 

 ルイズ達が心配そうな顔で聞いてくる、最近はマリコヌルが追い出されルイズ・キュルケ・モンモンに囲まれて食事をする事が多い。

 マリコヌルは1つ先の席をちゃんと確保し僕の食べ切れない料理を狙っている。

 

「いや、姫様に頼まれた脚本を書き上げる為に最近寝不足なんだ」

 

「どんなお話なの?」

 

「真夏の夜の夢……コメディタッチの恋愛物だよ」

 

「「「読みたい!」」」

 

「ちゃんと製本されたら見せてあげるよ」

 

「トリステインの劇場でも公演する予定なんだよね」

 

 ルイズが自分だけの情報を自慢げに話す。

 

「それが先日アカデミーまで呼ばれた理由なの?」

 

「そうだよ、僕の劇には舞台効果に魔法を多用するからね。技術的な事もアカデミーで協議しないといけないから」

 

「しかし他国の貴族を自分の趣味で呼びつけるなんて……アンリエッタ姫も考えなしね」

 

 キュルケは一時的に僕の屋敷に避難させた事で裏が有ると気付いている、豊胸の件は秘密にしても有る程度の真実は話さないと駄目かな。

 

「事前説明無しの召喚だったからね、エレオノール様の配慮で事無きを得たけど対応を間違えたら外交問題だよね」

 

 僕は困った困ったって感じで溜息を付く。

 

「ウチの姫様って人気は有るけど実は困ったチャンなの?」

 

 モンモンが見も蓋も無く聞いてくる……貴女の国のお姫様ですよ!

 

「蝶よ花よと育てられてきたからね、もう少し政治を学ばないと危ないよこの国は」

 

 あっ……つい本音が!皆が黙り込んでしまった。

 

「まっまぁ廻りがしっかりしているから平気だと思うよ」

 

「ツアイツーその料理食べないなら頂戴!」

 

 KYな発言だがこれは場の空気を変えるには良いタイミングだ!GJマリコヌル!有耶無耶にこの話を打ち切る。

 

「さて、午後の授業はサボるよ。本当に眠いから自室で寝てるね」

 

 昨夜は色々有りすぎたので本当に眠いや……おやすみなさい……

 

 

 

 夢を見た……

 

 

 

 大勢の観衆の前で僕が祭壇の前に立っている、隣には着飾ったティファニアがその後ろにはルイズ・キュルケ・モンモンが並んでいる。

 更に後ろには扇状に巨乳メイドズが並んでいる……群集は2万人とも3万人とも思える一面の人・人・人の海だ!

 

 僕は一歩一歩群集の方へと歩き出す……

 

 群集の視線が僕に……

 

 僕独りに集中する……

 

 

 そして演説する

 

 

 人は、平等ではない、生まれつきの乳に差は無い。

 

 しかし成長が早い者、母親が巨乳な者、母親が貧弱な胸を持つ者。

 

 生まれも、育ちも、才能も、乳とは千差万別なのだ。

 

 そうっ!胸は差別される為にある!

 

 だからこそ、人は努力し、競い合い、そこに進化が生まれる。

 

 不平等は悪ではない、平等こそが悪なのだ!

 

 乳を貧にしたチッパイはどうだ?最近の流行と人気取りのロリコンからペドに堕落しておる。

 

 乳を美にした美乳はどうだ?どんな大きさでも魅力有りと平等に安心した、怠け者ばかり。

 

 だが、我が巨乳派はそうではない。努力し、競い、常にサイズアップを続けておる!

 

 巨乳だけが前へ、未来へと進んでいるのだ!

 

 貧乳などサイズダウンに限界が有り美乳などその定義すらままならない、しかし我が巨乳派は他の流派を敢えて撲滅も淘汰もしない!

 勝敗とは時代が、世界が決めるからだ!

 

 努力するのだ!

 

 仲間と競い、技術を磨き、成果を獲得し、その果てに未来がある!

 

 オールオパーイ!

 

 

 

 群集が爆発した!

 

 

 

 ウォー!

 

 

 ハイルオパーイ!

 

 

 ハイルオパーイ!

 

 

 ハイルオパーイ!

 

 

 

 純粋な目で見詰める群集に手を振る……

 

 そして清楚だが胸を強調したドレス姿のティファニアが近寄ってきて共に手を振る、更に群集は爆発する!

 

 ウォー

 

 

 女神サマー

 

 

 女神サマー

 

 

 女神サマー

 

 

 うわっ……目が覚めた……ナンテ夢を見るんだ。

 どこぞの皇帝バリの演説をしてしまう夢を見るなんて……しかもテファが女神だと?

 これからレコンキスタの事を考えないといけないのにこんな夢を見るなんて……

 

 

 

 まさか正夢じゃないよね?

 

 

 

第41話

 

 

 ツアイツ執務室完成す!

 

 午後の授業を終えて部屋に帰る、オールドオスマンに男の浪漫本を大量に渡したせいかロングビルさんの交渉の賜物か。

 我が部屋は両隣の二部屋をぶち抜いて広さ三倍に拡張されていた、空き部屋ではなかった筈なのだが……

 

 勿論予算申請はソフィア経由で(僕の知らない内に僕の代理で)エーファの承認をしているので問題無いそうだ……

 学院との交渉も僕は知らなかったが全て済んでいた、執筆室に専属メイド&秘書の控室や簡単な応接セットまで有る。

 僕の寝室には何故かダブルベッドに変更され知らない箪笥が有るのだがこれには怖くて触れていない……

 

 寝室の窓及び扉には厳重な鍵が掛かるように追加変更した。

 

 ソフィアとロングビルさんはそんな無駄な事をとクスクス笑っていたのだが聞こえないったら聞こえない!

 

 しかし良いのかこんなに改造して?後でオールドオスマンに確認したが随分とヤバいネタを握れていて断れなかったそうだ、爺さん何をしたんだ?

 

 因みに部屋のプレートには「ツアイツ・フォン・ハーナウ執務室トリステイン出張所」となっていた。

 

 誰?何?このセンス?今夜から厳重に戸締まりして寝ると心に決めた!

 そしてドキドキワクワクしながら眠りについたが特に何も無かったし誰も来なかった……

 

 

 

 アルヴィーズの食堂にて

 

 

 

 やっとミス・タバサが学院に復帰したのか今朝は朝食を採りに食堂に顔を出している。

 あのチッコイ体の何処に食べ物が入るのか不思議な位モリモリ食べているんだが、ホッペをパンパンに膨らませモグモグ食べる姿は小動物を連想させますね。

 僕など朝食でさえオーバー気味なのに、女体(胃袋)の神秘!

 

 さて彼女とは接触を取りたいのだが、今まで何の接点も無かったのにいきなり話し掛けるのもそれは不自然だ。

 そんな僕の悩みも考えずにこのクーデレさんはトコトコと近づいて来て皆の前で言ってくれました……

 

 「……今夜また部屋にお邪魔してよい?」

 

 三人娘の前で、固まる食堂!そして膨れ上がる殺気。

 

「ツアイツ?この貧相な女の子を部屋に連れ込んで何をしたのかしら?」

 

「オッパイが大好きな筈よね?まさか趣旨替えかしら?」

 

「何かの間違いよね?そうでないと私……私達……」

 

 と各々がティーカップの取手を粉砕しながら詰問しだした、周りを見渡すと周囲10mには誰も居ない!何その用意周到さ?

 ギーシュなどは机を倒し盾にしてこちらを伺っている始末……

 

 あっ、ヴィリエとレイナールがコソコソと話し合った後に扉からダッシュで出て行ったぞ。ワルド殿にチクる気か?

 

「待って誤解が……」

 

「貴女達には関係無い」

 

 ちょーっと待ってー!貴女はコミュニケーションを学んでー!

 

「「「私達には関係有るのよ?」」」

 

「……そう?だから?」

 

「「「ツアイツにペッタンコな貴女は必要ないのよ」」」

 

 一触即発とはこの事なんだろう!

 

「待って!誤解だから。これから部屋で説明するから全く浮気の心配なんて無いから」

 

 そう言って端から見れば四又のバレた浮気男の様な台詞しか言えずに食堂を後にした……皆が見送る目が痛かった……

 

 

 

 ツアイツ執務室トリステイン出張所

 

 

 

「お帰りなさいませご主人様……あらお客様ですか、今お茶をご用意致します」

 

 ソフィアが一礼し備え付けのキッチンに向かう。

 

「あら?拡張したの?でも凄い設備ね」

 

「お帰りなさいませ。ツアイツ様。あら皆さんどうしました?」

 

「えーと……皆も知ってるかもしれないけど秘書のロングビルさんです」

 

「宜しくお願いします、ツアイツ様の専属秘書になりました」

 

 嫣然且つ挑発的に優雅に一礼する。

 

「ロングビルさんは生活面で色々大変なのと……その、優秀さを買って我が家に引き抜きました」

 

「「「それで?」」」

 

「皆様宜しくお願いしますわ」

 

「えーと……ミス・タバサについては……本人からで良いかな?」

 

「……ん」

 

 タバサの了承と共に皆の視線が集中する。

 

「ミスタ・ツアイツの事を色々知りたい」

 

「「「それだけ?」」」

 

 タバサさん……本格的にコミュニケーションを学んで欲しい。

 

「あー彼女は訳有りのガリアの王族なんだ、学院の二年生と揉めた時に助けてくれた。

そしてワルド殿と仲が良いんだけど……ちょーっと行き違いが有ってね、それの相談だよね?」

 

 キュルケが真剣な顔で僕を見て話し出した。

 

「ツアイツ……ガリアには構わないで欲しいの。

あのジョゼフ王は無能と言われているけど大多数の反対派貴族を粛正する程危険な人物よ、そうですよね?シャルロット姫殿下?」

 

「キュルケ?彼女の事を知っていたの?」

 

 ルイズとモンモンも興味深そうにキュルケを……その先の言葉を待つ。

 

「昔……遊園会でお見かけしたんですよ、当時の面影を強く残してますわ」

 

「ミスタ・ツアイツにもワルド子爵にも直ぐにバレた……そう私はジョゼフ王の命令を受けている、そして彼はミスタ・ツアイツに強い関心が有る」

 

「だからか……既にガリアからの手の者と接触したよ」

 

「「「何時?何処で?」」」

 

 皆が僕に駆け寄って抱き付いてきた、僕は安心させる様にポンポンと背中を叩く……

 

「イザベラ王女からは刺客を何故かジョゼフ王からは腹心を護衛にと付けられたよ」

 

「イザベラが刺客?」

 

「まぁ本気じゃなかったけど元素の兄弟が……ね」

 

「「ツアイツ……お父様に応援を要請するわ」」

 

「大丈夫、この件はワルド子爵も絡んでるからそんなに心配は無いよ」

 

「それに……いやもう少し内容が纏まったら必ず報告するよ」

 

 そういって三人娘の頬に軽くキスをすると体を放した。

 

「さぁ授業には遅れてしまったけど行こうか」

 

 雰囲気を変える為に明るく言ったのだが……

 

「……ここで本を読んでいる」

 

 人の本棚を漁り応接セットの机に山積みにして読書を始めたミス・タバサをレビテーションで持ち上げながら教室に向かう。それでも黙々と読書をするタバサ……

 

「ねぇ……悪いんだけどミス・タバサに社交性とか一般常識とか人付き合いの何たるかを教えてあげて欲しいんだ」

 

「ツアイツがミス・タバサ狙いじゃないのなら……仕方ないから教えてあげるわ」

 

 姉御肌で面倒見の良いキュルケが言ってくれた、ミス・タバサ自身は我関せず黙々と本を読んでいる。

 貴女の為に苦労しているのですが何を呑気に読書に集中してるのですか?

 僕はミス・タバサをその辺のベンチに置いて行きたい気持ちを懸命に抑えて教室に向かった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

某赤「ツアイツはああ言ったけど、私達も動くわよ」

 

某桃「それは賛成だけどどうやって?」

 

某金「あのツルペタを締め上げて情報を吐かせましょう」

 

某赤「そうね。先ずは情報を……行動はそれからね!」

 

桃&金「「了解」」

 

某赤「これが内助の功!よね。ツアイツは極力私達を危険から遠ざけるけど知らない事が一番辛い事も知って欲しいわ」

 


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