現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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第54話から第56話

第54話

 

 トリステイン魔法学院アルヴィーズの食堂

 

 

 今朝も貴族的には、ささやかな糧の……無駄に豪華な朝食が並んでいる。

 

「ねぇキュルケ?今朝は嬉しそうね」

 

 礼儀作法に則り優雅に食事をするルイズが、この2〜3日の間浮かない顔だった親友が、凄く嬉しそうなので疑問に思い聞いてみた。

 

「お父様から梟便で、手紙が届いたわ。ツアイツは例の件の対策が概ね終わり、アルブレヒト閣下にも謁見したそうよ」

 

「それじゃ、学院に直ぐに戻るのね?」

 

 最近、人気上昇中のモンモランシーが詰め寄る。

 

「それが……先にルイズの実家に寄るって、書いて有ったわ」

 

「ウチに?両親に説明に行ったのかしら?」

 

「それと、モンモランシーの実家の援助はウチも参加する事になったって」

 

「ツアイツ……私の家の為に、既にそこまで……嗚呼」

 

「何か水の精霊対策も手に入れたって、書いて有ったわ」

 

「凄いわ!それなら両親も、ツアイツとの私の結婚を……ツアイツ駄目よ、まだ早いわ。せめて卒業まで待って……」

 

「「あー駄目だ……妄想モードに入ったわ」」

 

「でもキュルケ?アレは放っておいて……何故、謁見なんてしたのかしら?」

 

「んーゲルマニア皇帝の後ろ盾を得たかった……かな」

 

「私達、余計な事しちゃったかな?」

 

「大丈夫。ツアイツは、私達に感謝していたって。帰ったら、直接説明してくれるって」

 

「そう……なら安心ね」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ふふふっ!手紙にはね……お父様がツアイツに、私達の結婚を承諾させたって書いて有ったわ!

 つまり学院に帰ったら、先ず私にプロポーズしてくれるのよ。

 ヴァリエール公爵家にも向かったって事は、ルイズとの婚姻も進むって事だろうけど……私が先ね!

 だって学生結婚でも構わないって。貞淑を重んじる、トリステイン子女には無理な事よ。

 つまり第一夫人は、わ・た・し!貴女達より一足先に、人妻になるの……

 

 えへへへ!

 

 キュルケは珍しく、人前で妄想モードに突入した!

 普段は大人らしく落ち着いている彼女が、乙女の妄想モードに突入している……流石はナイスバディ!

 くねくね具合も、お色気抜群だ。廻りは珍しい物が見れると、注目し集まってくる。

 男子諸君はヨダレを垂らしそうな表情。

 これで複数の男子を手玉に取っていたら、原作同様に大変宜しくないのだが、ツアイツ一筋なので他の女子も問題にはしていなかった。

 逆恨みで手を出しても、返り討ちは確実だし……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「キュルケ……怪しくないかしら?」

 

「オラッ!戻って来い」

 

「はっ……!ごめんなさい。そうね、何か隠している感じよ」

 

「「後で尋問ね!」」

 

「それと……何を勝手にツアイツの分まで朝食食べてるのよ?」

 

「ふぉ?ふぉふぉふむ?」

 

 マリコルヌはツアイツの分まで食べれて、ご機嫌だった!

 

「ツアイツー!君の分は無駄にしないよー!だから、暫く出掛けていていーよー!」

 

 

 

 場面は変わり、ヴァリエール公爵家にて……

 

 

 

「それとツアイツ殿?」

 

 あれ?何だろう?カリーヌ様のこの笑顔は?

 

「娘達の事です。貴方はこれで我が娘達全てに、何らかの手助けをしてくれた訳です」

 

「はい。カトレア様は、条件を満たしていませんが」

 

「それで……誰が良いのですか?」

 

「……はぁ?」

 

「鈍いですね、エレオノールなら我が家に婿入り。爵位も領地もお譲りしましょう。

カトレアはラ・フォンテーヌ領と子爵位を持ってます。そのまま継ぐか、爵位を王家に返上させ我が家に婿入り。同様に爵位と領地をお譲りします。

ルイズなら……嫁にあげましょう。そして子供を養子に迎え入れます」

 

 えっと……確か僕は、ルイズの婚約者だったよね?

 

「……では、婚約者であるルイズ嬢を」

 

 カリーヌ様の目を見て答える。何故か、心の中で本編ルートはルイズールイズー!と訴えている……誰が?

 

「そうですか。しかし……年上の女房は金の草鞋を履いても探せ!と、東方の諺も有りますよ?」

 

 何故?カリーヌ様は此処で、僕に選択肢を出すのかな?

 

「いえ……ルイズ嬢で、お願いします」

 

「チッ、分かりました。では、卒業と同時に結婚して貰います。それまでにジョゼフ王の件は、処理出来るのですよね?」

 

「大丈夫です」

 

 何故に舌打ち?

 

「ツアイツ殿……魔法が不得意な我が娘だが宜しく頼む。それと、生まれた第二子以降の男子は、我が家に養子に欲しい。

エレオノールが、その……アレだし、カトレアも適齢期を過ぎている。我が家を継げる相手を探すにも、残念ながらこの国には……」

 

 今まで一言も話さなかったヴァリエール公爵が、僕の手を握り締めてまとめに入った。

 

「ツアイツ殿、子供はルイズとバンバン作りなさい。あの子は安産型です」

 

「はぁ……頑張ります」

 

 これは上の2人には、政略的な婿取りは無理、と思ってるのかな?

 トリステインは二十歳前後が適齢期な、潜在的ロリコン国家だからなぁ……2人共凄い美人で公爵位が付いてくるのに、何が不満なんだよ!

 この国の男共は……しかし、カトレア様は完治しても既に子爵だから、相手は次男以降の貴族かな?

 

 エレオノール様は……タフな男を探すしかないのか?又はM男?後は親心で、身分は関係なく好きな相手と結ばせるつもりかな?

 この話題は、今後避けた方が良いかも。僕は、卒業後にルイズと結婚する約束をしてヴァリエール家を辞した。やっと学院に戻れる。

 

「さぁシェフィールドさん。学院に戻りましょう」

 

 シェフィールドさんは、申し訳なさそうに、そして慈母の笑みを浮かべ

 

「ツアイツ様。私も主に中間報告の為に、戻らなければなりません。くれぐれも危険な場所には、近づいてはいけませんよ」

 

 って過保護だなぁ……

 

「分かってます。まるで心配性なお姉さんみたいですよ?シェフィールドさん」

 

「まぁ!ツアイツ様の望みがそれならば、追加しておきますね。では、2日後までには戻りますので」

 

 優雅に一礼し転移していった。ちっちょっと待ってー!誰もそんな望みは、してないからー!ガリアの王妃の義理の弟ってどんな立場なのー?

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 そうだったのね。ツアイツ様も、もっと早く言って下されば良いのに。

 私に親切だったのは、姉になって欲しかったのね。なら私がジョゼフ王と結ばれたら、正式にガリアにお迎え出来るわね。

 

 王弟?王義弟?そうだわ!

 

 トラウマのシャルルの記憶を消して、ツアイツ様が義弟になる記憶を植え付ければ良いわ!

 全く弟の存在を無くすより、すり替えた方が辻褄を合わせ易いわね。

 私がお姉さん、か……大切な旦那様と義弟が一度に出来るのね。

 

 うふふふふ!

 

 さて、我が主よ。虚偽の報告をする事をお許し下さい。最終的に、あなた様の為になるのですから。では、報告に向かいましょう!

 

 

 

 ガリア王宮謁見の間にて……

 

 

 

 ジョゼフは退屈そうに玉座に座っている。

 

「ミューズよ。ご苦労だったな。して、彼らの様子を教えてくれ」

 

「はい。彼らは親子で、貧と巨の教祖が手を組みました。先ずはアルビオン全土にて、布教合戦になるかと思います」

 

「ふむ……では、クロムウェルは不利か?」

 

「そうですね。しかし彼らはゲルマニアの貴族……アルビオンに伝手は無く、布教活動にも苦労しています」

 

「くっくっく……ブリミルの血をひかぬ蛮族扱いの国だからか?」

 

「しかし、商売としての販路は有るので、色々と考えてはいる様ですが……」

 

「そうか。出だしは、クロムウェルが有利か」

 

「はい」

 

「楽しみよの。胸だけで、何処まで出来る事が有るのか……見物よの」

 

「はい。余りにクロムウェルが有利に成らない様に、手配・調整します」

 

「そうだな……なるだけ長引かせて楽しませろ。どちらが予の大望を叶えてくれるか、楽しみよの」

 

「全ては主の、思いのままに……」

 

 シェフィールドは深々と頭を下げた。これで良いわ。今はツアイツ様が若干不利、と思わせておきましょう。

 我が主の幸せの為に、今は虚偽の報告をお許し下さい。クロムウェルなど、とっくに詰みの状態なのです。

 貴方様には、新しい妻と弟がもう直ぐ出来ますので……私達は、家族になるのです!

 

 ツアイツは、花嫁を2人ゲットした!

 

 しかし、知らない所で年の離れた狂った義兄と、ヤンデレで危険な義姉が出来そうなフラグが進行していた!

 誰も自重する様な奴は、居なかったから……

 

 

 

第55話

 

 ベルスランの悩み……

 

 お早う御座います。私はオルレアン家にお仕えする、執事で御座います。

 昨夜遅く、私の主の忘れ形見であるシャルロット様がお戻りになりました。

 イザベラ様とは、最近仲直りしたのか……

 以前よりも任務も軽く、此方に顔を出せる様に配慮して頂いているそうです。

 奥様は相変わらずシャルロット様の事を人形と思い、膝の上に乗せて幸せそうに髪を撫でております。

 

 先程まで……つい先程まで、また大量のエロ本を屋敷に持ち込み、奥様に朗読させていたシャルロット様。

 

 前回は1冊だけだったが、今回はその続編から新しいタイトルを含め20冊以上……作品の内容自体は、男として、コホン!

 その、私めも青春時代や亡き妻とのアレコレを思い出させる逸品!

 

 なる程、ジョゼフ王が求めるだけの本でした。あの内容を奥様のお声で聞かさせるとは……何とも、こう……モヤモヤした物が!

 奥様の体力的な事も考えて、朗読は2冊で終わりにして頂きました。

 今夜は久し振りに、花街にでも繰り出したいと思ったのですが……

 残念ながらシャルロット様が、イザベラ様に報告が終り次第、また夜にお戻りになられるとの事。我慢致しましょう。

 しかし、シャルロット様もあの本を毎回持ち帰られるとは!せめて私めにお預けになれば、荷物にならないのですが……残念です。

 

 

 

 エロ本担いだタバサさん

 

 

 プチトロアの回廊を独り歩いて行く。イザベラに報告したいのだが……珍しく自室に籠もり、酒浸りだそうだ。

 あの真面目な彼女が?魔法の才能は少なくても、政務は私では適わない程の優れた面が有る彼女が……心配だ。

 

 彼女とは(洗脳により?)和解出来たのだから、昔の様にとは言わないが仲良くしたい。学院の友達は、少し怖いから……

 

「アレ?7号殿、どうされました?」

 

 ……竜騎士団員達だ。彼らも少し怖い。

 

「イザベラに会いに行く」

 

「ツンデレさま……いえ、イザベラ様にですか」

 

「……そう。じっじゃあ」

 

 やはり彼らは苦手。早足で立ち去る。

 

 

 イザベラの執務室の前に着いた。護衛の兵士に取次を頼む。

 

「北花壇騎士団7号、イザベラに謁見したい」

 

 年若い兵士は申し訳なさそうに……

 

「イザベラ様は体調不良の為に、本日の政務はお休みで有ります」と、教えてくれた。

 

 体調不良?

 

「……何処が具合が悪いの?」と訪ねたが

 

「私には、分かりかねます」と言われてしまった。

 

 仕方なく、イザベラの私室に会いに行く。此方の部屋の前にはメイドが待機していた。

 同じ様に面会を求めるが、返事は今日は誰にも会わないとの事。

 部屋の中からは、ミスタ・ツアイツを罵倒する声が聞こえるのだが……

 あの洗脳本を読んだのなら、この反応は可笑しい。

 

「メイドー!酒持ってこーい!」

 

 イザベラが中で騒いでいる。慌ててメイドがワインを何本が運び込む時に、一緒に部屋へ入る。

 

「……イザベラ、どうしたの?」

 

 イザベラはキングサイズのベッドの中央で胡座をかいて、それでもワインはグラスに注いで飲んでいた。私を見て、バツの悪そうな顔をしたが

 

「何だい?笑いに来たのかい?」と、自虐的に笑った。

 

 これでは、アル中だ!

 

「……イザベラらしくない。心配」

 

「アンタに心配して貰える日がくるとはね……」

 

 何やら深刻な顔だ。

 

「ねぇ?ツアイツってさ……どういう奴なんだい?普通じゃないのは分かるんだよ。タカが本だけで、ウチの精鋭が骨抜きなんて可笑しいんだよ」

 

「……あの本は、洗脳効果が有るから」

 

「最早、ただのエロ本だとは言わないよ。アレを読む男達を目の当たりにしたら、さ。鬼才、それでもいいさ。しかし彼は、ガリアをどうしたいんだい?」

 

「ミスタ・ツアイツは、ジョゼフに試練を与えられた。今はアルビオンに対して、布教合戦になる。ガリアには、何もしてない。竜騎士団が、彼の本を読み傾倒してるだけ」

 

「本当に、それだけかい?」

 

「……うん」

 

「一度、その……彼に会って話してみたいんだよ。段取りをしてくれるかい?」

 

「しかし……危険」

 

「どうしても直接文句と、真意を知りたいんだよ」

 

 普段は勝ち気なイザベラが、両手を組んでお願いしている。

 

「……国境近く迄なら」

 

「それで良いよ、すまないね。どうしても確認しないと不安なんだ!ありがとう……エレーヌ」

 

 イザベラに抱きつかれてしまった……そっと抱きしめる。

 彼女は無能王の娘として、色々言われているが、国を思う気持ちは本物なんだ。

 

 少しお酒臭いけど……

 

「それで、護衛は誰を」

 

 バタン!

 

「「「「お話は聞きました!護衛は我らにお任せ下さい」」」」

 

 そこには、複数の竜騎士団員が……

 

「おっお前ら……淑女の部屋を覗き見して、只で済むとは思ってないだろうね?」

 

 下を向いてブツブツと文句を言い始めた。イザベラは魔法は苦手だ。だから制裁は……

 

「オラァ死になー!」

 

 ブンッ……ガゴン!

 

 そう。ワインの瓶を彼らに投げつけた!

 

「そこに列んで座れ!大体、お前らがそうだから、私が悩んでるんだろーがー!」

 

 竜騎士団員達に説教を始めたイザベラ!何故か、恍惚とした表情でお叱りを受ける男達。やはり彼らは気持ち悪い。

 

 

 

 覗き見な竜騎士団員達

 

 

 

「やはりクーデレ殿とツンデレ様が集まると、萌が発生するな」

 

「しかし、イザベラ様はオヤジ臭いな」

 

「馬鹿やろう!ほんのり赤くなったイザベラ様は、可愛いだろうが」

 

「あーお前は、イザベラ様派だもんな」

 

「僕もだ!嗚呼……罵られたい」

 

「お前ら、少し黙れ!何やらソウルブラザーに、会いに行く相談をしてるぞ」

 

「「「何だってー」」」

 

「落ち着け!って、おい!抱き合ってるぞ!まさか本当に、禁断の従姉妹姫な関係なのか?」

 

「ばっ馬鹿押すな!」

 

「俺にも見せろ!」

 

「ちょ扉が開いてしまうだろうg」

 

「あっ……ヤバい開いた……」

 

 ガチャン!

 

「「「「お話は聞きました!護衛は我らにお任せ下さい」」」」

 

 王女の護衛だ!他意は全く無いが、ソウルブラザーに会ってしまっても、問題はないからな!

 この任務は譲れない……力ずくでも成し遂げてみせるぜぇー!

 

 

 

第56話

 

 竜騎士団駐屯地

 

 緊急対策会議開催中だ!竜騎士団団長が、徐(おもむろ)に話し出した。

 

「最初に良くやったと誉めておこう。我らは、ガリア王家に仕える軍人だ!王女からの要請には、応えねばならん」

 

「そうです!我らイザベラ派に任せて下さい。必ず任務を遂行します」

 

 イザベラ派と呼ばれた、所謂ツンデレ愛好家は色めき立った!

 

「まて!我らが恩人7号殿も、関係しているんだぞ!我らこそ、この作戦に参加する」

 

 チビッ子大好きクーデレ派たる、チッパイ予備軍も負けてはいない!軍団を真っ二つに割った会議は紛糾した!

 誰もが、ソウルブラザーに会いたい。7号殿の情報では、ガリア王ジョゼフから試練を言い渡されているそうだ!

 つまり彼は、ゲルマニア貴族だがガリアの為に、手を貸していると考えられる。

 ならば、我らが接触し手伝える事が有るなら協力するのは……

 魂の兄弟と認めてくれた彼に対し、力を貸してこそ誇り有る貴族なのだ!

 

「待てお前ら!会合自体の護衛は、俺自ら指揮をとる!人員は半数を参加させる大作戦、そして極秘任務。分かるな、お前ら?」

 

「「「勿論っす」」」

 

「ならば力を示せ!軟弱者は、この作戦には要らぬ」

 

「ヒャッハー模擬戦だー!外へ出ろー!」

 

「「「うぉー!」」」

 

 竜騎士団員は我先にと、外へダッシュして行った……

 

「さて、イザベラ様と……シャルロット様。宜しいか?」

 

 呆然と会議を見ていた2人は我に返った!

 

「あっああ、すまないね。お父様に、ジョゼフ王に内緒にして欲しいなんて、無理を言って」

 

「……私の正体を知って、手を貸す。何故?」

 

「貴女の両親の事は、聞いています。しかし、一言だけ言わせて頂けるなら……ジョゼフ王もまた、被害者でした。それだけです」

 

「アンタは知ってるのかい?本当の理由を……」

 

「ジョゼフも被害者?」

 

 2人は思わず団長に詰め寄ってしまった。

 

「「教えな(て欲しい)」」

 

「それは……今は言えません。」

 

「…………」

 

「…………」

 

「何時か教えな!良いね」

 

 竜騎士団団長は、無言で頭を下げた。

 

「それで、何でアンタは竜騎士団を上げて協力してくれるのさ?お父様に睨まれるよ」

 

「我らはガリア王家に仕える軍人です。それに男には、やらねばならぬ事が有ります。奴らも、それを理解している。ただ……それだけです」

 

「アンタ……男だね」

 

 イザベラは感動した!ガリア貴族も捨てたもんじゃないね!しかし、シャルロットは毒を吐いた!

 

「ミスタ・ツアイツに会いたいだけ?」

 

「……コホン。して、シャルロット様。我らがソウルブラザーは、どの様な人物なのですかな?」

 

「お前らは……私の感動を返しなー」

 

 作戦は3日後!

 

 先発として、タバサが学院に戻りミスタ・ツアイツを説得し、国境近くの森に案内する。

 後発の部隊がイザベラ様を護衛し、会見の場を設ける。参加人員と風竜は50組。

 後に、イザベラ様の婿候補調べ大作戦!とも、竜騎士団丸ごと調略大作戦!とも、ジョゼフ王本人が面白可笑しく語る事になる。

 

 当然、シェフィールドさんの調教……いやいや、記憶操作後のジョゼフ王であるが。

 

 こうして、ガリアでは3人の……シェフィールドさん、イザベラ姫、そしてタバサの思惑を含んだ作戦が進行していた!

 

 

 

 その頃のツアイツ君

 

 

 

 漸く学院に戻ってきた、もう時刻は夕食が終わってしまった時間だ。

 しかし、執務室を改造したお陰で簡易キッチンが有り、ソフィアが簡単な夜食を作ってくれた。

 スープパスタにライ麦パン、それにフルーツが少し。二人前用意されたとなると、ソフィアも食べるのかな?

 

「ツアイツ様がお出掛けの間は、厨房で賄いを頂いてましたが、ご一緒に食べた方が何倍も美味しいです」

 

「それは、嬉しいな。今回の件は、流石に疲れたよ」「それで、シェフィールドさんとロングビルさんは、どうなさいましたか?」

 

「シェフィールドさんは明後日には帰ってくるよ。ロングビルさんは、暫く調べ物で帰らないかな」

 

「そうですか……1人で寂しかったです」

 

「ごめんね。そうだ!今度、屋敷の皆も誘ってジェシカの店を貸し切って遊びに行こうか?」

 

「はい。お願いします」

 

「明日は、一番でオールドオスマンに会いに行くので、朝食は一緒にこの部屋で食べよう。時間は何時も通りで」

 

「分かりました。では、お休みなさいませ」

 

 ソフィアが退室する。とは言っても、隣の部屋なんだが。

 

 さてと……オールドオスマンには、何処まで説明するか。アンリエッタ姫の件で分かったが、ああ見えて生徒の為には動く人だ。

 普段はエロ爺だが……

 そしてギトー先生やコッパゲール?先生も、トリステイン王国を巻き込んでの作戦を知ってしまったら。

 2人とも性格はアレだが、戦闘力は本物だから。上手く説明しないと、駒の少ないアンリエッタ姫が巻き込みそうだ。

 それにアンリエッタ姫を引き込む手立ても、考えなくちゃ。タイミングが大切だから、直ぐにどうこうじゃないけど仕込みは必要だ!

 

 窓辺に立って外を見る。

 

 オッパイの為に突き進んでいるが、オッパイを抜いたら国家間抗争の中心になってしまったな。何処で間違えたんだろう?

 唯、可愛いくて巨乳の女の子と、キャハハウフフしたいだけだったのに。今では、絶世の美女、美少女を侍らせるリア厨だ!

 現代だったら、某巨大掲示板に連日アンチスレが乱立するリア厨振りだ。しかし、一度手にした幸せは失いたくない。

 例え、反乱で何万人が傷付こうが、頑張って生き残ってみせるさ!

 

 僕は双子の月に吠えた!

 

「そうさ!何としても、勝ち残ってみせるぞー」

 

「そうですよ。安心して、お姉ちゃんに任せて下さい」

 

「……シェフィールドさん。何時も心臓に悪いです」

 

 僕は怒ってるのだが、彼女は微笑んでいるだけだ。

 

「我が主には、現状こちらが不利!と、伝えました」

 

「僕は怒ってるんですけど?」

 

「はいはい。今夜は疲れているのですから、早めに寝るのですよ」

 

 全く悪びれず、隣の部屋に入っていった。ソフィアが驚いて話し合っていたが、合意したみたいだ……

 そう言えば、立場は秘書だった!忘れてた、だって護衛兼問題児だったから。それと、ナチュラルにお姉ちゃん発言は何故?

 

 とほほ……また胃にダメージが溜まりそうだよ。

 

 でも深刻に悩み、落ち込みそうだったのに、気持ちの切り替えは出来た。

 

 では、明日に備えて寝よう。明日は、久しぶりにキュルケやルイズにモンモランシーに会えるな!

 


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