現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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ワルま第1話から第3話

ワルま第1話

 

 ワルド…ハーナウ家の軍門に下る!

 

 ふっ皆さん始めまして、僕はワルド。

 

 トリステインと言う小国で魔法衛士隊グリフォン隊隊長と言う肩書きを持つ子爵だ。

 人はエリートと呼ぶが王宮では政治的な背景が強くない為にそれ程の力は無く領地もこれといって豊かでもない。

 この地位に上り詰める為に全てを投げうって努力した為に親しい友人も居ない……

 

 振り返れば寂しい人生だった。

 

 これでも利用価値は有るだろうと隣接地のヴァリエール公爵が口約束だが末娘の婚約者として扱ってくれた。

 年齢的に言えば長女か次女の筈だが彼女等だと僕が結果を出すまで……

 つまり実力を付けるか出世する前に婚期を迎えて結婚しなければならなくなる。

 又は何かの原因で家の断絶の可能性を考えまだ幼いルイズを指名したのだろう。

 

 しかし僕的には幼い女の子は大好きだったので好都合だった。

 

 とある人気投票では次女は人気が高く長女も一部の特殊な性癖を持つ者には堪らないらしいが……

 やはり母上の様な儚いツルペタはルイズでしか有り得ないだろう。

 次女の性格に長女の容姿で三女の年齢なら文句なく最高だったのだが……

 

 しかし頻繁に会える訳でもなくその話が出てから暫く振りに彼女に会った時の驚愕と言ったら。

 聞けばゲルマニアの宿敵の筈のツエルプストーとの融和政策の一環で友好を持った人物より医学書を貰い実践した結果……ああなったらしい。

 

 僕のルイズが?なんと言う事を仕出かしてくれたんだ。

 

 僕は失意の内に公爵邸を後にした……

 

 この恨みを晴らすべくヴァリエール公爵にそれとなく探りを入れたらゲルマニアのハーナウ家が噛んでいるらしい。

 調べれば新興貴族だが、いや新興貴族だからこそ強かで有能な当主なのだろう。惰性で生きているこの国の貴族には無い実力を感じる。

 

 どうしても一度直接会いたくてヴァリエール公爵に随分と無理を言って何年か待たされたが紹介状を書いて貰った。

 既にヴァリエール公爵の中ではルイズはハーナウ家との縁を強める為に向こうに嫁がせたい、その詫びも含めての対応だったのだろう。

 

 話は代わるが僕は母上の求めた聖地を求めて行動していたが最近になり聖地ではなく儚く散った母上を求めていたのではないか……

 

 と悩んでいた。そんな時に趣味友であるモット伯より凄い本が手に入ったと自慢され是非とも見たいとこちらも秘蔵のコレクションを持参し見せて貰いに行ったが…

 我がコレクションがゴミと思える程の三冊だった。

 無理を承知でモット伯に聞けば妾にと思った少女を取り返しに来た少年から貰い受けたそうだ。

 モット伯は僕と違い幼ければツルペタじゃなくても逝ける変態だからな。

 

 そして彼はハーナウ家の者と言う、またハーナウ家だ。

 

 もう一刻の猶予も無くハーナウ家当主に会いに行った。そして通じ合う信念(ロリコンで)と決意(チッパイ好き)!

 

 なんと言う事だ!国外にこれ程の人物が居たとは……彼とは一目見て通じ合い夜を徹して話し合った。

 

 そのコレクションの質の高さと量は圧巻だ!

 

 特に新刊の、新刊と言う事は場違いな工芸品や東方から流れてくる物でなくちゃんと管理生産されていると言う事だ!

 

 「こどものじかん」これは魂のレベルで屈伏した。

 

 この本を手に入れる為なら人で有る事を辞めても悔いは無いだろう。

 またコレクションだけでなくサムエル殿の思想にも感化された、ツルペタでなくより高尚にチッパイ。

 

 なる程確かに言葉一つが凡人の僕と違い奥が深い、そして彼の夢見るチッパイ帝国!

 

 意気投合したサムエル殿は奥方を紹介してくれた、まるで僕の母上の様な理想の女性アデーレ様!

 

 30歳を過ぎて尚その妖精の様な儚く可憐な……僕の自尊心は粉々だ。

 理想で負け思想で負けコレクションで負け更に妻でさえ……もはやトリステインなどでなく僕の仕えるべき方はサムエル殿なのでは。

 

 聞けば数々の名作は息子で有るツアイツ殿が執筆しており最近新刊が滞っているらしい。

 しかも父の理想を認めず住み分けと言い自身は巨乳教の教祖だとか、断じて認められん!

 

 サムエル殿に紹介状を認めて貰い直接会いに行ってみる、この数々の名作の続編を何としても書いて貰わねば!

 

 そして直接会ってその真意を確かめてくれるわ!

 

 しかし……サムエル殿も凄いがツアイツ殿も凄いお方だ。

 

 最初に郊外に有る屋敷を訪ねた時は……屋敷?悪の巨乳神殿の間違いではないのか?

 これはサムエル殿のチッパイ帝国に対抗する為にわざわざ他国に建設した秘密結社ではないのか?

 この様な組織を15〜6歳の子供が作れるものだろうか。

 

 しかも既に構成員と思われる巨乳メイドも多数確認した。

 

 実際に会ってみれば醜い肉の塊を付けたメイドを左右に侍らせてくる始末だ。

 話してみれば父親の理想郷の建設に手を貸すつもりは無いらしい。が、反対もするつもりも無いらしい。

 

 これが住み分けと言う事か……互いに干渉せず、しかしチッパイ帝国は必ず勝つだろう。

 

 時代がそれを求めているのだから……

 

 みよ、読者の殆どはサムエル派だろう!

 

 まぁ良い。書籍の執筆については前向きな回答が得られたし既に新作も制作されておりそれは学院内で普及しているとの事。

 次回の学院訪問の際に入手出来よう。

 そして新作の中に私を風使い子爵の新人先生として登場させてくれとお願いしたら届いたのが!

 

 

「ワルま!第一巻風使いの新人子爵先生現る。」

 

 

 こっこれはお髭と帽子がトレードマークの通称ワル先生が幼等部のとあるクラスの担任となり幼い女の子達と仲良くなる時代の先端を逝くハートフルなストーリーだ。

 ハーナウ家とは化け物、親子揃ってこの鬼才に奥方様は現人神だ!

 

 もう……萌え尽きてしまいそうだ。

 

 聖地?レコンキスタ?ナニソレオイシイノ?

 

 

 

ワルま第2話

 

 

「ワルま!第一巻風使いの新人子爵先生現る。」

 

 

 ごくり……なんと言う心踊るタイトルだ。まさかこの僕が物語の登場人物になるなんて!

 

 幾ら固定化の魔法を掛けていても、先ずは手を洗わねば大切な本が汚れてしまうではないか。

 

 いかんいかん!

 

 では早速……ガチャ「隊長今度の合同訓練の件で相談がぁウボラァー?」

 

 大切な時間を邪魔しおって……吹き飛べ。そして暫く大人しくしていろ。しかし興が削がれてしまったな。

 

 よし場所を変えよう。

 

 大切な本とは読む場所も大切なのだ。しかし……宮仕え故に自分の部屋以外と言うと後は……

 

 そうだ!

 

 お洒落なカッフェで知的な午後の一時を堪能しようではないか。では最近トリスタニアに出来たと言う噂の店に行くとするか。

 

 

 

 給仕め混んでるからと30分も待たせおって!

 

 

 さてカッフェで紅茶も来た事だし、いざ読むぞ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 僕は今新しく出来たトリステイン学園都市に向かっている。

 

 昨夜は母上が泣きついて大変だったなぁ……いい加減子離れをしてもらわないと何時まで経っても子供みたいに可愛い人だから心配だ。

 しかし彼女はアカデミーで働く才女だ。僕の教師を目指したのも母上の影響が大きい。

 父親は家督を僕に譲ってから悠々自適に暮らしている。

 

 

 くっ物語の中では両親は生きているのか……そうだな。生きていたらこんな感じだったかも知れないな。

 

 くっ母上……僕は……

 

 

 

他のお客

 

 

 あらあのお髭の素敵なお方。本を読んで涙ぐむとは巷で流行りのあの本でも呼んでるのかしら?

 知的で立派な方ですね。

 

 絵になるわぁ……

 

 

 

 

 

 さて続きを読もう。

 

 この学園都市は新規で造られた城塞都市なので東西南北の門までしか外からの交通機関は入れない様になっている。

 中には専用の交通機関が有りそこから先は迎えが来ているそうだ。

 

 さて降りてはみたが迎えとは……

 

「貴様がワル先生か?迎えに来てやったぞ」

 

「「きてやったですー!」」

 

 ムッハッハー!

 

 なにこのツンデレロリと双子ロリは?挿し絵を見ながらワルドは興奮しまくりだ!

 

 

 

 さて続きだ……

 

 

 

「ほらこの私が迎えに来てやったのだ。もっと感激して欲しい物だな」

 

「「そうだそうだー!」」

 

「失礼リトルレディ達。お名前をお聞かせ願えるかな。」

 

「ふん。私の事はキティと呼ぶが良い。」

 

「僕が姉のフタゴノー・イチゴーだよ」

 

「僕が妹のフタゴノー・ニゴーだよ」

 

「僕はジャン…ジャン・ジャック・ワル・ドー!ワルと呼んでくれ」

 

「ふん。ワル先生か……良いだろう呼んでやろう」

 

「「呼ぶですー!」」

 

 

 ナイスだ!ツアイツ殿、これではまるで僕その物ではないか!

 

 

 

 さて続きだ…

 

 

「では案内するがここは人が多い。迷子なならないように……てっ手を繋いでやる」

 

「僕はかたぐるまー!」

 

「あーずるーい!じゃ腕にぶらさがるー!」

 

 挿し絵は彼女達パンチラがこれでもかと……グハッ!ガタガタ……思わず机に突っ伏す。

 こっこれは萌え尽きてしまう……

 このキツめなチッパイロリ少女と双子のぽやぽやロリ少女の挿し絵は、前にモット伯が自慢していた絵柄と一緒だ!

 この絵師は本当に良い仕事をしている。

 

 誰なんだ?

 

 ん?右下隅にサインが有るが……なんだと!こっこの絵もツアイツ殿が描いているだと?何て鬼才なのだ。

 

 

 

他のお客

 

 

 

 何か机に突っ伏してから痙攣してるけど平気なのかしら?お医者様を呼んだ方が良いかしら?

 

 

 

 

 さっさて落ち着いて続きを読むぞ。紅茶を飲んで落ち着くぞ。

 

 

 

 僕らは歩きながら学院長室に向かっている。

 キティの手は少し汗ばんでいるようだ……ふふっ緊張してるのかな?

 僕達はたわいない話をしながら学院長室の前迄到着した。

 

 途中すれ違う女の子達も極上のロリっ子達!

 

 当たり前だ。この学院は従来の魔法学院に入る前の子供達が通う言わば幼等部とも言える学院だから…

 

 僕の理性が保つか心配だ。

 

「「じゃー僕達はこれでーばいばーい!」」

 

 双子は賑やかに去っていった。君達のこの首と腕に残る温もりは忘れないよ!

 

 

「ワル先生。ここが学院長室だが……驚かないでくれ。中の生き物は歴とした人間かと……思うのだ」

 

 キティが複雑な顔で歯切れの悪い説明をすると

 

「じじぃ邪魔するぞ。新任の先生を連れてきてやったぞ。」

 

 ノックも無しに扉を開けて中に入ってしまった。コラコラ淑女がそんな礼儀知らずで……

 

「失礼します。新任のワル……シネ亜人め、どこから侵入した?」

 

 キティを脇に抱えエアハンマーを唱える。

 

「ふぉふぉふぉいきなりじゃのうワル先生」

 

 亜人はそう言うと僕の魔法をかき消しただと?

 

「ワル先生……認めたくはないのは分かるがアレが学院長だ。それと恥ずかしいから下ろしてくれ!」

 

 キティが僕の腕の中で真っ赤になりながらもがいている。

 

 キター!

 

 これでキティのハートはガッツンなんだなツアイツ殿!はぁはぁ……萌死にそうだ……さて続きを……続きを読む前に深呼吸だ。

 

 すぅーはぁーすぅーはぁー。よし!落ち着いた。

 

 

 

「いきなり魔法を使うとは失礼じゃな。儂はこの学院の学院長のヌラリー・ヒョーンじゃよ。歴とした人間じゃ」

 

 この後頭部がカボチャ三連みたいな妖怪変化が学院長だと?

 

 驚きの余り手をワキワキしてしまっ「あん!いい加減に離せ。何処を揉んでいるんだ!」

 

「キティ……すまないが本当にこの物体が学院長で間違い無いのか?」

 

「やん!もう離して……」

 

「すっすまない今降ろすから」

 

「もう……人前で恥ずかしいだろうが!この爺が本当に学院長で間違い無い」

 

「そっそれは失礼しました。今日から赴任しましたジャン・ジャック・ワル・ドーです」

 

「ふむ。教師たる者常に冷静であれじゃ。着任を認めようワル先生」

 

「はっ!」

 

「ワル先生にはひとクラスの担任になってもらう。それとじゃ……」

 

「それと?」

 

「この学院都市は狭くてな。手違いで君の住居を確保出来なかったのじゃ。それで暫くはキティの部屋で暮らして欲しいのじゃ」

 

「「ナンダッテー!」」

 

「いやそれは……」

 

「ワル先生は私と暮らすのは嫌なのか?」

 

 不安そうに見上げるキティの挿し絵が……

 

 そして「次回嬉し恥ずかし初めての同棲生活!そして初夜を迎えるワル先生の運命は……二巻に続く」と書かれていた。

 

 

 

 どっ同棲?ロリと同棲だと!しかもしっ初夜だとー!

 

 ツアイツ先生……童帝(わらべのみかど)の僕にはハードルが高すぎます……

 

 うっ鼻血が……吹き上がって止まらない。

 

 

 

他のお客

 

 

 

 いきなり悶えた後に鼻血を吹き出したわ……

 

「てっ店員さーん!きてー大変よー!鼻血を吹いて悶え死にそうな人がいるわよー!誰かーお医者様を呼んでー!」

 

 ワルドは一命を取り留めた。

 

 そしてヨロけながらも、この本をサムエルに見せるべくハーナウ領に向かった。

 余程この間のコレクション自慢が悔しかったのだろう。

 

 ツアイツの渡した「ワルま第一巻」は20Pだが挿し絵が数枚程入っている絵本形式の本だった。

 

 

 

ワルま第3話

 

 

「ワルま第2巻」嬉し恥ずかし初めての同棲生活!

 

 学園長を名乗る未確認生物との会合を終えて、僕はキティに案内されこの魔法学院都市内を歩いている。

 勿論迷子になるからと手は繋いだままだ。

 

 彼女の手は……ひんやりして、サラサラでスベスベだ!

 

 今なら手フェチの気持ちも分からんでもないな。人目が無ければ、ペロペロしてしまいそうだ!

 

 しかし学院長……

 

 ヌラリー・ヒョーンと言ったか……そもそも人間か?人の範疇を外れてはいないだろうか……

 しかも僕の魔法をかき消すなど?

 

「ワル先生?聞いてるか?」

 

「うん。聞いてるよ。キティの説明は食べ物屋ばかりだね」

 

「なっ!ちっ違うぞ。此処がレストラン街だから……ワル先生はお腹が空かないのか?」

 

「そうだね。空いた……キティのお勧めの店は有るかい?」

 

「うむ。私のお勧めと言えば……東方からの料理で肉マンという不思議なパンが有るぞ」

 

「パン?肉の?」

 

「そうだ!面白いだろう」

 

 そう言ってキティは僕の手を引きながら走り出した。

 

「おいおい!急に走り出したら危ないだろう」

 

 彼女の短いスカートから覗く、病的なまでの白い生足は素晴らしい!

 

 

 

……その挿絵を見ながらワルドはローリング悶えた……

 

 

 

 前回の衆人環視での失態を犯さない為にも、今回は本を読む場所を考えていた。

 その場所とは、ブルドンネ街の安宿だが店主には金を握らせ、部屋にはロック・サイレント・ディテクトマジックを念入りにかけている。

 そうそう外にこの痴態が漏れる事は無い。やはりロリっ子は華奢でなくては!

 

 そしてチッパイが理想的だ。

 

 

 

……ワルドは本に集中した……

 

 

 

 

「ワル先生!此処だ。東方の言葉で屋台式中華屋と言うのだが、中々の物を出すんだ!」

 

「ほぅ!中華屋とは珍しいな」

 

「おぃ店主、肉マン6個くれ……あっ誤解するなよワル先生。私が2つでワル先生が4つだぞ」

 

 キティは、自分が大食いだと勘違いされない様にと、頬を染めながら説明してきた。

 

「アイヤー!キティのコレか?サービスするアルヨ」

 

 店主はまだ10代半ばと思われる褐色の少女。

 親指を立てて、ニヒヒとからかう様な笑顔とキティの真っ赤に照れた顔が見開きの挿絵に……

 

 

 

……流石はツアイツ殿……

 

 

 

 萌えのツボを抑えている。

 

 18禁の直球の様な挿絵も素晴らしいが、対比的な美少女の表情を抑えたカットも溜まらん。

 

 おっと鼻血が……テッシュテッシュ。

 

 しかし……この店主は少し育ち過ぎだな。褐色の肌に金髪も良いがもう少しこう……控え目でささやかな乳の方が……

 

 性格も少し好みから外れるが、これはこれで良いな。

 

 

 ワルドは新ジャンル「褐色の美少女」属性を得た……

 

 

 変態度が10上がった。

 

 ロリコン度が8上がった。

 

 理性が3下がった。

 

 世間体が3下がった。

 

 

 称号「髭の幼女愛好家」を得た!

 

 

 

……さて続きだ……

 

 

 

 2人は公園のベンチに並んで座っている……麗らかな日差しを浴びて美少女とランチ!肉マンはキティに奢られてしまった。

 

「そうだ!飲み物を買ってこよう。何が良いかな?」

 

「ん?飲み物か……しかし、ここには変わった飲み物しか無いぞ」

 

「変わった?どんな?」

 

「そこの自動の販売機に有るだろ。今日はハシバミ茶か……どうする?」

 

「それにしようか……それで、どうやって買うんだい?」

 

「ああ、そこのコイン投入口に……」

 

 

 

……自動の販売機……

 

 

 

 つまりは無人販売所と言う訳か。相変わらずツアイツ殿の発想は凄いな……

 きっと商売でも政界でも成功すると言うのは、こんな発想が必要なのだろう。

 コレだけの能力を持ちながら魔法戦闘の指導もして欲しいとは……欲張りすぎですぞ。

 

 

 

……さて続きだ……

 

 

 

 先ずは肉マンにカブりつく。成る程、中に挽肉を味付けして、包み込む様に蒸したパンか……旨い!

 一つ目を三口で食べてしまう。

 

 じっと僕の様子を伺っていたキティが、下から覗き込むように顔を近づけて「旨いだろ?」ニコッと、笑顔で問いかけてきた。

 

 くっ……このチシャ猫の様な笑顔のアップは堪らないです、ツアイツ先生。

 

「そうだね。最初は紳士淑女が手掴みで外で食べるなんて!と、思ったがこれはこれで新鮮だし旨い」

 

「そうか」

 

 と嬉しそうに言いながらキティも、足をブラブラさせながら両手で肉マンを持ち、一生懸命はむはむとパクついている。

 

 

 

……嗚呼、癒される……

 

 

 

 この小動物の様な彼女をお持ち帰りしたい。そう言えばツアイツ殿は、この少女にはモデルがいると言っていたな。

 今度、紹介して欲しいのだが……

 

 

 

……さて続きを読むぞ……

 

 

 

 二つ目を食べ終えて、喉が渇いたのでハシバミ茶を飲んでみた。

 

「独特の苦味が有るが後味は悪くない……生でしか食べた事が無かったけどイケるね」

 

 キティも二つ目を食べ終え、恐る恐ると言った感じでハシバミ茶に口を付ける。

 

「実は学院の飲み物は当り外れが有るので、ワル先生が飲むまで待ってたんだ」

 

 ペロリと舌を出しながら白状するキティは、本当に小悪魔の様な魅力に溢れている。 そして視線が、僕の手の3つ目の肉マンを凝視する。

 

「食べる?」

 

 何も言わず、僕の食べた部分をパクりと齧り「エヘヘ」と嬉しそうに微笑む笑顔が……

 

 

 

「ヒィヒィヒィ……」

 

 本日何回目か分からない、ローリング悶えを敢行したワルドは呼吸が妖しくなっている……

 5分ほど深呼吸をして、何とか平常心を取り戻す……

 

 

 

……さっさて続きだ……

 

 

 

 

「さて、そろそろ私の部屋に行くぞ……」

 

 美少女の部屋に訪ねる……この胸のトキメキとは、どう表現したら良いのだろうか?

 またキティと手を繋ぎながら歩いていく……結構な時間を歩いているがキティは疲れないのだろうか?

 

「キティ……疲れないかい?」

 

「ん?大丈夫だぞ」

 

 そうは言っても貴族の令嬢が、そんなに体力が有る訳がない。キティを持ち上げて左腕を胸の前に持っていき其処に座らせる。

 

「こっコラ……ワル先生」

 

 安定が悪いのか僕の首に両手で抱え込むように抱きついたキティが文句を言う。

 

「はいはい、お姫様。どちらに向かえば宜しいですか?」

 

「ん……もぅ、ではあの森の中に向かってくれ」

 

 キティを抱っこしながら歩く事10分……人気の無い森の一本道を進んで行く。

 

「本当にこんな山奥に部屋が有るのかい?」

 

「もう直ぐだよ……ほら見えてきた」

 

 道の先に目をやるとログハウスが見えてきた……結構大きい!

 

 

 入口の扉の前でバッと飛び降りると「いらっしゃいませ。ワル先生」とスカートの両端を掴み優雅に一礼してくれた。

 

 

「お招き有難う。リトルレディ」

 

 此方も帽子を脱ぎ、胸の前に持っていき一礼する。

 

「さぁ入ってくれ。なに私しか居ないから気を使わなくてよいぞ」

 

 何気ない台詞の中から、極上のロリっ子と森の中の一軒屋で2人きりだと意識してしまった。

 今夜は2人きりで、このログハウスで過ごすのか……僕の理性は持つだろうか?

 

「ワル先生疲れたか?先にお風呂に入ってくれ。準備は出来ている」

 

「えっ?いや僕は寝る前で平気だ……キティこそ疲れただろ?」

 

「いや私は後で良い。ワル先生に覗かれそうだから……」

 

 言ってしまってから気付いたのだろう。真っ赤になって俯いてしまった。

 

「いや僕は、絶対覗かないったら覗かない!」

 

「そうか……では先に入る」

 

 心なしか残念そうな響きを残して、キティはバスルームに向かっていった。

 

 こっこここここの先のバスルームで美少女がにゅにゅにゅ入浴を……

 

 

 

……バックショットで体を洗うキティの挿絵!……

 

 

 

 ソレを見たワルドが鼻血を噴出し卒倒した!

 

 ドクドクと鼻血を出しながら横たわり、ブツブツと何かを呟いているワルド……

 

 危うい程に危険な状態……彼の命の灯火は確実に少なくなっている。

 

 しかし、ここには医者を呼んでくれる人も居ない。

 

 頑張れワルド!

 

 立ち上がれワルド!

 

 出血死まであと1.2リットルだ!

 

 


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