現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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第111話から第113話

第111話

 

 無駄に豪華で金ピカな部屋……

 

 歴代の教皇の権威の象徴のつもりか、何度来ても呆れる成金趣味丸出しだ!

 本人は質素と言うか、「男の娘」関係以外は無駄を省く性格なのに……

 

 いや、「男の娘」に全てをかけるから他には予算を回せないのか?

 

 確かロマリアの聖歌隊って200人から居るぞ。ハーレム200人なら費用は莫大だよな……

 

 どんだけ、エロに金使ってんだ!

 

 私だって男の浪漫本購入の予算捻出には苦労しているんだが、これだから生臭さ坊主は嫌なんだよ!

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 なんだ?その批判的な眼差しは……貴様も巨乳とかほざいてるから国が割れるんだぞ!

 

 貴様に「男の娘」の良さを叩き込んでやろうか?

 

「それで、ウェールズ皇太子のご用件を伺いましょう」

 

 不穏な空気が漂う室内で感情の籠もらない声で訊ねる……

 

「ブリミル教の司教……オリヴァー・クロムウェルをご存知ですか?」

 

 ジュリオに拘束された枢機卿を見て答える。

 

「そこの枢機卿の派閥の一員ですね。一応、知っていますよ」

 

「そうですか……その男が、美乳派なる教祖となりアルビオンにて武装蜂起。ダータルネスを占領しロンディニウムに侵攻しています。

これはロマリアがアルビオンに対して宣戦布告した!と、理解して宜しいか?」

 

「なっ……口が過ぎますよ、ウェールズ殿!教皇に対してなんと不敬な」

 

 嗚呼……ジュリオ!真っ赤になって私の為に怒ってくれるんだね!今夜の相手は君だけだ。

 聖歌隊のメンバーは呼ばないし今夜も君を寝かさないよ。ハァハァ……たまらんなぁ!

 

「ジュリオ、良いのだ。ウェールズ殿、何故オリヴァー・クロムウェル司教がロマリアの尖兵と思われるのか?」

 

「聖地奪還……そう唱えてアルビオン国内から有志を募っています。殆どは傭兵とアルビオン王家に隔意有る一部の貴族ですが……」

 

 なる程、殉教者として認められては困る訳だな。

 

「聖地奪還……か。殉教者では無いのですか?」

 

「何ですと!」

 

 さて、殉教者で無いと認めてあげるのに、どれだけの譲歩を引き出しますかね?寄付を募るか、アルビオン国内にブリミル教会を新築させるか……

 

「つまり……教皇は、美乳派がブリミル教の教えと公式に認められるのですな」

 

「なっ何故そうなるのですか?」

 

「男の娘……でしたか?教皇のお気に入りの聖歌隊やジュリオ助祭枢機卿も、偽りの寵愛ですか?

美乳派か……所詮は教皇も女性のオッパイ好きなのですね」

 

 なっななな、何を言い出すんだ!私が、私の「男の娘」への気持ちが偽りだと!

 

「いえ、公式にアルビオンで美乳派を押し進めるなら、オッパイ好きな教皇として国内外に伝える迄です。

我らアルビオンは巨乳派で有り、ゲルマニアは貧乳と巨乳の住み分けの地。トリステインは貧乳派が台頭しています。

ガリアは……聞けばジョゼフ王は巨乳派だそうです。

我ら始祖の子らに、始祖の弟子たる貴方達が美乳派を力ずくで押し付けるのですから……」

 

 何を言い出すのだ?ロマリアが、ロマリア全土が美乳派だと……フザケルナ!

 

「もうお話する事はないでしょう。美乳派の頭領ヴィットーリオ殿……」

 

「お待ちなさい。それは間違った認識ですよ!私は美乳派など認めてません」

 

「では、アルビオンに滞在する連中は、オリヴァー・クロムウェルは、ロマリアのヴィットーリオ殿とは趣味が異なりブリミル教とも無関係の連中として扱って良いのですね?」

 

 くっ……私の大切な「男の娘」をタテに取られては何も言えないではないか。

 

「そうです。そして美乳派なる悪の集いは、そこの彼の派閥の独断で有り処罰もこちらで行います」

 

「なっ……何故だ!私は無関係だぞ」

 

話の流れに乗れずボーっと聞いていた枢機卿は、いきなり処罰されると言われ混乱した!

 

「黙りなさい!

貴方のお陰で、アルビオンとロマリアが開戦の危機だったのです。当たり前でしょう。

しかも、アルビオンの皇太子に対して引き留め工作までしている。もはや言い逃れはできませんよ……

ジュリオ、彼を異端として拘束し彼の派閥全員を捕らえなさい」

 

「はっ!こちらに来るのだ、異端者め」

 

 小柄な体格で、小太りの枢機卿を引き摺って行くジュリオ……アルビオンから毟り取れない分は、反教皇派の貴方達から貰いますよ。

 私は無駄と損は嫌いなのです。

 

「見事な対処ですね。無意味に足止めされた件は、無かった事にします。

では、オリヴァー・クロムウェルは、ブリミル教と無関係の異端者として扱いますが宜しいですね」

 

「良いでしょう。正式に書類にして渡します」

 

 全く、今までのウェールズ皇太子ならプライドや建て前論しか言えず、ブリミル教に対しても遠慮が有った筈だ。

 

 今回は何だ?王族が言い掛かりか恐喝紛いの方法で、良いように話を進めてきた。

 

 しかも私の性癖をタテに取り、周りの国々と連携して噂を広めるだと……このボンボン皇太子を変えた要因はなんだ?

 一礼し出て行くウェールズ皇太子を見ながら考える……これは、レコンキスタも長くはないですね。

 つまりブリミル教の元司教の反乱軍は負けると言う事です。

 

 疲弊したアルビオンでのブリミル教の威信は地に落ちるか……全く問題ばかり起こしてからに。

 

 トリステインの園遊会に出たバリベリニ助祭枢機卿からも、気になる報告が有りましたし……

 私の「トリステイン全土「男の娘」普及計画」の障害となるか?

 

 巨乳教祖ツアイツ・フォン・ハーナウよ!我が道を阻むなら、貴様は敵だぞ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 思わず、怖気が走り身震いする……

 

 折角、ツェルプストー3人娘フィギュアの色付をしていたのに失敗してしまった……しかし、さっきの怖気は何だろうか?凄く嫌な気分だ。

 

 考え込んでいると、ドアをコンコンと叩く音が聞こえた。

 

「ツアイツ、お茶にしない?」

 

 もう3時か……キュルケがお茶に誘ってくれた。

 

「ああ……有難う、今行くよ」

 

 気のせいと思い、気晴らしにお茶でも飲もう。そろそろシェフィールドさんとも合流出来るし、此処はツェルプストー辺境伯領だ。

 そうそう危険は無いだろう。ヴィットーリオに目を付けられたが、流石にそれは分からなかった……

 

 

 

第112話

 

 世界はエロに優しくないのか……

 

こんにちは!ツアイツです。

 

 2日ほど掛けてツェルプストー3人娘フィギュアの彩色が終わり御披露目をしています。

 今回の紅い髪の乙女シリーズは次回の会報及びカタログにて発表する予定ですが……

 

「ツアイツ君、私はもっと胸が大きいと思うの?」

 

「私のは、少し足が太くないか?」

 

「……お腹引っ込めて」

 

 やはり自分がモデルとなると、客観的に物事を判断出来ないのかな?しかし、反論は許されない雰囲気だ!

 

 粛々と修正をさせて頂きます。

 

 

 

 午後からずっとフィギュアの手直しをしていたから、体が固くなってる……コキコキと肩を鳴らしながら凝りを解していく。

 

 ん〜気晴らしに外気に当たろうかな?

 

 部屋を出て夜の屋敷内を適当にうろつく。

 二階の廊下を歩いていると雲が晴れたのか、月光が廊下を差し込み2つの色で僕の視界を照らす……独り静かに月光を浴びながら歩いていく。

 ふと、ベランダに出るドアを見付けた。見れば4メートル四方の小さなベランダだ。

 

 外に出て軽く柔軟体操をする。

 

 ん〜体がバキバキと鳴るなー!ラジオ体操第一を終えて手摺にもたれ掛かる。

 最近、すっかり夜のベランダで考え込むのが多くなったよな……てか、夜更かしばかりしてないかな?

 

 

 思考をこれからの事に戻す……

 

 

 男の浪漫フィギュアは順調だ。しかし、これからの普及には女性のファンを獲得するべきか?

 

「女性の夢フィギュア」とか言ってイケメンフィギュアも作ってみようか……執事とか騎士とか、人気でないかな?

 購買層が有閑マダムだと、ちょい露出とか……駄目だな。

 

 どのみち雛型は僕が作らなければならないのに、半裸の男など妄想爆発で作れる訳が無い!

 

 しかし……諜報が探ってきた教皇ヴィットーリオ。

 

 何とこの世界の教皇は、美少年好きな上に彼らに女装をさせて聖歌隊を作り上げたとか……総勢200人の男の娘のハーレムか。溜め息が出る規模だな。

 

 流石はロマリア!

 

 自身の欲望にまっしぐらかよ……これは、僕とは敵対したと同義だ!

 我らオッパイ大好きな変態連中が、美少年と仲良くなれだと。

 

 無理な物は無理だ……そして無理だ!どう考えても無理だよ。大切だから複数回言いました。

 

 しかし……先に謀略を仕掛けられる前に何か手を打つ必要が有るかな。

 

「ツアイツ殿、不思議な体操でしたね……でも端から見ても合理的に感じましたよ」

 

 振り向くと、ツェルプストー夫人がにこやかに立っていた。何故だか、夜のベランダは原作キャラとのお話の場所なのか?

 

「義母上、お腹の子供に障りますから……夜風に当たらぬ様に中へ」

 

「大丈夫よ。もう夏なんですもの……少しは夜風に当たっても。貴方も心配性ね。主人と同じ位に」

 

 やんわりと室内に入るのを断られた。仕方無く錬金で椅子を用意する。

 

「せめて座って下さい。それで、何かお話が有るのですか?」

 

「ふふふっ貴方は何時も冷静ね。初めてキュルケの遊び相手として招いた時も、幼子なのに大人と話していると錯覚する位に……」

 

 自分は手摺にもたれ掛かりながら話をする。

 

「自分でも早熟だと思います。周りに比較対象も居なかったのも有るのですが……少々異常でしたね」

 

 自虐的に笑ってみせる。

 

「稀に生まれる時代を動かす英雄とは、そういう者だそうです。主人も内緒にしてるつもりでもね……女には女のネットワークが有るのよ」

 

 あーバレてるのか……

 

「身重の女性に話す内容では無いですから。それに既に手は打ちました」

 

「それよ!普通はね、そんな大問題をおいそれと対処出来ないわ……本当に不思議な子ね。

あの主人が、息子程の貴方に頼り切りなのも分かるわ。

でも、本当に義息子になるのよね。主人の喜びようは凄かったわよ。この子も貴方の様に育てるんだって」

 

 お腹をさすりながら、愛おしそうに生まれて来るだろう我が子に話し掛けている。

 いや、僕は特殊な変態だから真似しちゃ駄目だと思うのだが……でも、本当に義理の息子になるんだなぁ。

 

「ええ……明日、キュルケにプロポーズする予定です」

 

 夫人はヨッコラショと立ち上がると近付いて来た。

 

「キュルケを宜しくね。あの子は貴方しか見ていないの……言い寄る他の殿方など、鼻で笑う位に」

 

 そう言って軽く抱き締めてくれた。

 

「必ず幸せにしてみせます!」

 

 それしか言えなかったのだが……

 

「それと……女性関係は、もう少し抑えて下さいね」

 

 そう釘を刺して行かれました。いや、確かに女性関係は自重してないけどさ。貴女の旦那さんも30人位居ますよね?

 

 僕は……

 

 ナディーネ・エーファ・ルーツィア・シエスタ・ソフィアのメイド5人。テファ・ルイズ・モンモランシーそしてキュルケで9人か……

 まだ15歳の小僧が9人も囲うなら釘も刺すか。

 

 暫くは自重しよう!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「ジェームズ陛下、防衛拠点の構築が粗方完了しました。多数の偵察隊を送ったので状況確認も順次可能です」

 

 急拵えだが、中々に豪華な作戦本部でジェームズ一世は配下からの報告を聞いている。

 

「うむ。ご苦労様だった。それと増援の方はどうだ?」

 

「多数の兵を動かす故、まだ暫くは時間が掛かるかと……先発で少数を率いて参戦しているのが殆どです」

 

「そうか……彼らの忠誠心には応えねばならぬな」

 

「陛下……言い難いのですが……」

 

 伝令が言い辛そうにしている。

 

「何だ?言う事があるなら構わぬぞ」

 

「参戦した貴族からチラホラ話が出ていますが……此度の戦、乳を用いての反乱では有りませんか?例の男の浪漫本思考が、蔓延しています」

 

 思わず溜息がでる。

 

「大いなる乳の下へ集え……確かにその考えに反する行為だな」

 

 まさか敵対はしないが、協力が消極的になろうとは。

 

「一度、皆に話された方が宜しいかと……表立って騒いではいませんが、何れ士気に関わるかと具申します」

 

 ツアイツ・フォン・ハーナウ殿か。

 

 彼の理想は共感するし、奴らの勢力も大きく削いでくれた事には感謝している。

 あとは、我ら王党派がしっかりすれば問題は無いのだろうが、最悪の事も考えねばなるまい。

 

「誰か、ゲルマニアに使者を送るぞ。親書を書くので準備してくれ」

 

 

 

 ジェームズ一世は正式にゲルマニアに国交と、ツアイツとの面会を希望する。

 彼の頭の中には、男の浪漫本思想がこの戦の鍵を握ると思えてならなかった……

 

 

 

第113話

 

 

 トリスティン王立劇場

 

 無駄に豪華で格式有るこの劇場は既に戦争の様な状態だ……

 

「だから、無理でもやるんだ!アンリエッタ姫が、アルビオンのウェールズ皇太子を正式に招待したんだ!

もう変更は効かないし、駄目なら皆打ち首だ……」

 

 舞台セットや設備の担当者が口々に騒ぐ!

 

「無茶苦茶だ!この脚本の舞台効果は、魔法で行うと有るが……詳細が不明だし、ノウハウも無いんだぞ」

 

「こんな精密な挿し絵で舞台効果を書かれたら、観客はお粗末な物では納得しないぞ!この本は既に売れ捲ってるんだろ」

 

「これは劇場内では無理なんじゃないか?野外で自然の池や森を利用しないと……」

 

 役者陣も黙っていない!

 

「こんな奔放な役作りは、今までの伝統や格式を重んじた演技では……それに台詞回しも従来と違う。

書き直しは出来ないのか?せめて著者にも演出家として協力して貰わないと……」

 

 大勢の関係者に詰め寄られる支配人。

 

「それは無理だ……その著者のツアイツ・フォン・ハーナウ殿はゲルマニア貴族であり、まだ学生だ。

トリスティン魔法学院に留学中だが、今は夏期休暇で自国に帰省中だ」

 

 皆の間から溜め息が漏れる……

 

「何とかならないのか?彼は数々の演劇の脚本を書き、自らも役者として主演男優を演じたんだろ」

 

「そうだ!無責任だろう。脚本だけ寄越して知らんぷりは……」

 

「そうだ!呼び出そう、でなければ終わらないぞ」

 

 口々に支配人に詰め寄る劇団員達。しかし、支配人からの言葉で絶望に突き落とされる事になる……

 

「私も最初はそう思ったよ……でも、脚本を貰った時に技術指導や共演等の話も有ったのだ。利権に絡むし、此方のプライドも有った。

ゲルマニアの貴族の書いた演劇など、教わらなくても出来る!そう断ったのだ。

しかも王宮貴族達は、脚本自体も無償でアンリエッタ姫に献上した物として扱った……今更、頭を下げてお願いに行っても無理だろうな」

 

「そんな……なんで、そんな扱いをしたんだよ!

彼の素性を聞いて学生とは驚いたが、脚本は素晴らしいし、ゲルマニアの劇場で公演しているのも参考の為に皆で見に行っただろう」

 

「確かに新し過ぎるとは思ったが、面白かった」

 

「そうだな、参考になった。学ぶ物も多かったのに……」

 

「全ては旧体制然としている我らのせいか……」

 

「しかし、せめて打診だけはしてみては?背に腹は代えられないぞ」

 

 一縷の望みに賭けるか?

 

「じゃあ誰が頭を下げに行くんだよ……」

 

 歴史有る故にプライドが邪魔をしてしまった。しかし、頼まれてもイエスとは言わないツアイツだと思う。

 アンリエッタ姫フラグは、立てちゃ駄目だから……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 教皇ヴィットーリオとの会談で、何とか理想の結果を勝ち取れた!

 

 これで、レコンキスタは犯罪者の集まりだ。大義名分を失った軍事クーデターなど成功するものか!意気揚々とアルビオン行きの空中船に乗っていた。

 

「ウェールズ様、ジェームズ陛下より緊急の手紙が鷹便で来ました」

 

 配下から手紙を受け取る。何だろう。

 

 いくら何でも私の抜けた一週間やそこらで、危機的状況に陥る事は無いだろう。

 まさか、既にレコンキスタを殲滅したのか?などと考えながら、手紙を読み進める。

 

「なっ何だと!船長、急いでゲルマニアのハーナウ領に向かってくれ。出力最大、風石の消耗など気にするな」

 

 大声で指示を出すウェールズに周りの者達が慌ただしく動き出す。

 

「どうなされました?ロマリアとの交渉は望みうる最高の物でしたのに」

 

 船長と側近が集まり、訳を聞く。

 

「ツアイツ殿に影響されて、レコンキスタに組する貴族は少なかった。しかし、武装蜂起した彼らも未だに美乳派等とほざいているのだ……」

 

「はぁ……既に欠片も有りませんな。美乳派なんて意義は」

 

 彼も男の浪漫本愛好者で有り、巨乳派だ!

 

「そうだ!誰も美乳派など気にもしていないだろう。しかし、敵は既に有りもしない美乳派だが……乳を戦乱の道具としていると思う奴も居るんだ」

 

 周りは急に大人しくなった。レコンキスタは、美乳派。

 なら、これを討伐するのは、ツアイツ殿の唱える教義に反するのでは?上級会員になれない?

 

「ウェールズ様、一大事ですよ!それはお断りだ」

 

「私だってそうだ!永遠の中級では、テファたんのお着替え下着が買えないんだよ」

 

「…………ウェールズ様もテファたんがお気に入りなんですね。私もです……これはマズい状況ですね」

 

「幸い父上が、ゲルマニア皇帝に親書を送っている最中だそうだ。

領内侵入の許可が下り次第、連絡が有るから直ぐに先方に向かえるように近くで待機だ。後はツアイツ殿と交渉なのだが……」

 

 側近達が期待に満ちた目をウェールズ1人に向ける……もしかしたら、巨乳派教祖に直接会えるかもしれない。

 彼の婚約者たるテファたんも、この目で見ることが出来るかもしれないと。

 

 他国の貴族を戦争中の自国に招く事は難しい。

 

 しかも彼はまだ学生。でも、巨乳派教祖の彼が、この戦争は乳を巻き込んでないと唱えねば、士気に関わる問題だ。

 せめて、書状か会報でコメントを頂かないと皆は納得しないだろう……

 

「難問だよ、これは……私達は教祖をオッパイ戦争へ関われと言うのだ!他の会員達が黙ってはいないだろう」

 

 変態教皇の会談などより、よっぽど気の重いウェールズだった……最悪、私が土下座をしてでも頼み込むしかない!

 船は晴天の大空をみるみるハーナウ領に向かっているが、ウェールズの気持ちは晴れなかった。

 

 

 

 少し前のヴィットーリオさん!

 

 

 

 ウェールズ皇太子には良い様にやられてしまったが、反教皇派閥の一つを潰せただけでも良しとするか。これから、ジュリオとムハムハタイムなのだ!

 

「ヴィットーリオ様、これは何の服なのでしょうか?サイズが合わずキツいのですが……」

 

 ヴィットーリオの寝室に現れたジュリオは、ハーナウ領から密輸した

 

「男の浪漫本原寸衣装シリーズ・体操服ブルマ仕様」を着ていたが、丈と腰周りが短くイマイチ似合っていない。

 

「ふむ……男の娘のジュリオでも小さいか?仕方ない。破らない様に丁寧に脱いでこちらを着てごらん?」

 

 ヴィットーリオが差し出した服は、ブレザーだ!

 

「これは、学生の制服でしょうか?結構可愛いですね」

 

 「男の娘」のジュリオに高○生の制服……ヴィットーリオの興奮は最高潮だ!

 

「じゅじゅじゅジュリオー、好きだー!」

 

「あん!教皇様落ち着いて……」

 

 折角着せたブレザーを脱がしつつ、ヴィットーリオは考えていた。

 この「男の娘」に似合う衣装を201セット、ハーナウ家に発注しよう。金を払う気は無い事をちらつかせて……

 

 この要求の対応によって、彼がブリミル教をどう思っているのかが、分かるだろう。

 思考は腹黒い事を考えていたが、手はジュリオを悪戯する事に余念がない。

 

「ヴィットーリオさま……だめぇ、だめです」

 

 桃色空間?お盛んなヴィットーリオだった……

 

 ツアイツは、ウェールズとヴィットーリオから難題を押し付けられようとしていた!

 

 


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