現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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第117話から第119話

第117話

 

 ツアイツ+デルフVSメンヌヴィル+傭兵!戦いの火蓋は落とされた!

 

「有難う!これで、コルベール先生に恩返しが出来るよ。何たって、本来彼とくっ付くレディを昨日食べてしまってね……

気まずかったんだ。では、お相手するよ!」

 

 この台詞を言った後に、牙の腕輪を引き千切り周囲にバラまく!

 

「ゴーレム達よ!傭兵を倒してくれ」

 

 ゴーレムが言う事を聞いてくるか分からないが、そう指示をしてからオリジナル魔法の濃霧を唱える!

 一瞬、周りはマジックアイテムのゴーレムがムクムクと大きくなるのに釘付け!

 

 見てくれは骸骨剣士そのものだ……

 

 どうやらゴーレムは言う事を聞いてくるらしく、バラバラと傭兵に向かって行く。傭兵達は浮き足立った。

 折角つがえた弓も、骸骨剣士に向けて射るが効果は無いだろう。霧の中から迫ってくる骸骨剣士に恐怖し陣形を乱してしまった!

 

 しかし、メンヌヴィルの特殊能力は……サーモグラフ、熱感知だ!濃霧で視界を塞いでも、熱で位置がバレる。

 

「坊ちゃん、位置はバレバレだぜぇ!燃えちまいなぁ」

 

 迫って行った骸骨剣士を凪払い僕に詰め寄ろうとする。複数のファイアーボールが正確に僕の位置に向かってきた!

 しかし避けられないスピードではない。体捌きとデルフの力でかわしていく!熱で位置が分かっても、数で攻めるこの魔法ならどうだ!

 

「錬金!黒色火薬ブーメラン」

 

 別に目の見える相手として接すれば良いだけの事!30枚のブーメランを錬成する。

 

「投擲!」

 

 メンヌヴィル目掛けて、あらゆる角度から黒い刃が唸りを上げて襲いかかっていく。

 

「錬金!黒色火薬ブーメラン」

 

 第二段を錬成し、更に投擲する!

 

 メンヌヴィルは、威力を抑え連射性を持たせたファイアーボールで撃ち落とすも、合計60枚のブーメランの猛攻に晒されては無傷では居られなかった……

 盛大な爆発音の後で、煙が晴れるのを待つ。一面ボコボコの地面に横たわるメンヌヴィル。

 

 致命傷は無いが、あちこち黒コゲで衣服も破れている……

 

「なんだよ、結局力業かよ坊ちゃんよぉ……見くびり過ぎた俺の負けかよ。さぁ殺しな!」

 

 周りを見渡せば、傭兵は全員倒されて骸骨剣士が僕の周りを囲んでいる。メンヌヴィルはうつ伏せのままだ。

 

「幾らお前が凄腕でも、不正規戦に持ち込まないのは可笑しくないか?

奇襲は奇襲だけど相手を舐め過ぎだろう……仮にもスクエアの僕を相手に、無謀だとは思わなかったのかい?」

 

「ふん!見てくれの良い女のオッパイばかり追う男なんて皆、屑野郎さ。そんなヤツはそれで十分だろ……」

 

 ゴロンと仰向けに寝転び悪態をつく……狂った傭兵白炎のメンヌヴィルもこれでお終いか?

 

「おっお前……オッパイがデカいぞ!てか、女性だったのか?」

 

 焼け焦げ、敗れた服の間から白い肌が見える。

 

「女性?この見てくれでは、女なんて名乗れないさ!アカデミーの奴らの薬でこうなっちまってよ……早くころ……せ……よ……」

 

 気を失ったようだ。

 

「デルフ……これどうしたら良いんだ?」

 

「こうして見ても、ゴッツい女っすね!どうと言われても、俺っちを使ってトドメを刺すかい?」

 

「いや……甘いと言われても女性を殺すのは躊躇するね。兎に角、人を呼ぼう。傭兵達の件も有るから……」

 

 暫くして馬のみが、家に到着したのを不審に思った父上が捜索隊を派遣してくれたので、無事に襲撃者を拘束出来た。

 

 メンヌヴィル……まさかのTS、しかし外見変わらずコンプレックス有りか。

 

 それにトリステインのアカデミーの実験の被害者っぽいんだけど……

 カトレア様と同様に目も体も治せるけど、其処までする気は無い……かな。しかし、生き方を変える程のコンプレックスを持っていたな。

 

 彼女も被害者なのか……などと考えながら、迎えの馬車に乗り実家に向かった。

 

 今度は護衛団に守られながら……

 

 

 

 あの後、襲撃者は纏めて治療し身柄を確保している。メンヌヴィルは治療して別室にて軟禁中。後で少し話したい事が有るから。

 そして全ての処理を終えてから、休む間もなく父上の書斎に呼ばれた……

 

「ツアイツ……今回の襲撃は、お前の慢心だよ。私達と一緒に帰れば、こんな事にはならなかった」

 

 今日は真面目で有能な父上だ!

 

「すみません。確かにゲルマニアに来て安心していました」

 

「今後気を付けろ。それと、もう1つ厄介な話がロマリアの教皇から来た……お前宛の親書だ。悪いが確認させて貰った。読んでみろ」

 

 父上から、教皇ヴィットーリオからの親書を受け取り読み始める……なっ何だこれは?

 

「ちっ父上……ロマリアの教皇が、男の浪漫本シリーズの実物大衣装を大量発注?でも寄付しろって文面から読み取れるのですが!」

 

 父上は深い溜め息をついた。

 

「そう読み取れるな。これはロマリアと言うか教皇に対しての、我らの姿勢を問うているのか……」

 

「201着、具体的なサイズも書いて有りますね。今の我らなら金銭的には痛くも痒くも無いですが……問題は納期ですね」

 

 こちらも溜め息をつく。

 

「どうするのだ?ブリミル教と事を構えるのは、正直面倒臭いぞ。しかし、奴らの欲は際限ない……強請りたかり国家だ」

 

「多分、園遊会でウェールズ皇太子とアンリエッタ姫のテーブルに同席した所を招待された枢機卿にガン見されたので、報告がいったんですね。すみません、迂闊でした……」

 

 今迄は普通に距離を置いた付き合いだったのに、いきなり名指しで親書とはそう言う意味だろう。

 

「それにしても、レコンキスタよりたちが悪いな。男の娘か……我らが教義に真っ向敵対しておるわ。教皇ヴィットーリオか。今は大人しく従おう」

 

「分かりました。急ぎ手配をします」

 

「それとだな……」

 

 父上が、不真面目な顔になったぞ。

 

「ガリアのカステルモール殿が、エターナルロリータを娶ったとワルド殿より報告が有ったが……聞いてないぞ、息子よ」

 

「えっと……何処までの内容ですか?彼女は……」

 

「吸血鬼……結構じゃないか!永遠のロリータ!理想だぞ、男なら求めるだろう!違うか?」

 

「……其処までご存知ならもう良いです」

 

「それと、近々ハーナウ家に来るそうだ!」

 

 ロマリアより、エルザの方が重要な問題だった!

 

 

 

第118話

 

 おはようございます、ツアイツです。

 

 寝不足の為、朝食を食べるのもボーッとしています……メニューは、ベーコンエッグにクラムチャウダーに各種パン、それに牛乳だ。

 先に屋敷に帰したエーファ達が、給仕をしてくれている。久し振りの実家の朝の風景……

 

 昨夜は父上とロマリア対策で話し合い、全てのオーダーの発注手配書を書き終えたら既に部屋の窓から朝日が差してきました。

 

 完徹です!

 

 しかし、テファやロングビルさんと久し振りに一緒の朝食だから頑張って起きてます。テファが、隣で甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるのが嬉しいです!

 ロングビルさんもテファの反対側に居て挟まれる様に座っていますが、少し不機嫌そうだ……

 昨日、キュルケと結婚式を挙げたばかりだし、当然2人共知っているだろう。

 

 しかし、今日はテファとイチャイチャ……この幸せを守る為にも頑張らねば!

 

「父上、そう言えばワルド殿の遍在が来ている筈ですが?」

 

 すっかり忘れてたけど、ソフィア達と帰したんだ。

 

「ああ、彼ならサムエル愛の資料館に籠もっているぞ」

 

 遍在って食事しなくて平気なのかな?謎の多い魔法だよね!後で顔を出してこよう。

 

「ツアイツ、今回の休暇は何時まで居られるのかしら?」

 

 母上かのんびりと聞いてくる。

 

「そうですね……二週間位滞在出来るかな。学院には始業式の10日前位には戻る予定です」

 

「それなら、ゆっくり出来ますね。久し振りに実家を満喫しなさい。それと、テファさんに構ってあげなければ駄目よ」

 

 テファを見れば、目が輝いている。しかし襲撃の件も有るし遠出は危険かな……

 

「そうですね。テファとロングビルさんは何がしたいの?」

 

 急に話を振られたロングビルさんはビックリして「私かい?私よりテファを優先してやってくれよ。テファは何かないのかい?」自分より義妹を優先するロングビルさん。

 

「わっ私ですか?…………では、練習した手料理を食べて貰いたいです」

 

 彼女は前の休暇の時に、料理のレパートリーを増やすと約束したっけ。今度は何を作ってくれるのかな?

 

「それは楽しみだな。父上、皆で近くの街まで買い物にでも行きませんか?ウチの街も大分賑やかになった筈ですし……」

 

 母上に「あーん!」して貰っていた父上に許可を貰う。

 

「ん?そうだな……十分な護衛を付ければ良いが……ツアイツ、シェフィールド殿はどうしたんだ?彼女が居れば問題無いのだが?」

 

 ヤンデレ無双を知っている父上が聞いてくる。確かにお姉ちゃんは最強の護衛だ!

 

「シェフィールドさんは旦那さんの所に里帰り中なんですよ」

 

 父上が、微妙な顔?

 

「そうか……ジョゼフ王も大変だな。あの想いを一身に受け止めているのか」

 

「「…………?」」

 

 余りシェフィールドさんを知らない母上とテファは不思議そうだ!

 

「まぁ今日位はのんびりしろ!街に繰り出すのは明日でも構わんだろ?」

 

 父上の提案で、今日は一日中ニートする事になった……んーお昼寝したいです!

 

 

 食後に、遍在ワルド殿に会いに「サムエル愛の資料館」に、顔を出す!

 

 

「おはよう!遍在ワルド殿、居ますか?」

 

 部屋に入ると、ワルド殿が2人居る。2人共、一心不乱に男の浪漫本を読み耽っている。片方は、鬼気迫る物が有るのだが……

 2人がこちらに気付いた。軽く頭を下げるワルドA?

 

「お邪魔しております。ツアイツ殿」

 

 この落ち着きは、あの遍在さんかな?では、こっちの目を血走らしてる方は……まさか本体か?

 

「ツアえもーん!カステルモールに幼女を取られちゃったよー」

 

 縋り付いてくる本体?

 

「誰が、ツアえもーん!ですか!てか、どっからそんな単語を調べてくるのですか?まさか本体ですか?」

 

 強引に引き離して問い質す!

 

「ああ……すみません。取り乱してしまいまして。私は本体です。

ガリアでカステルモール殿と別れた後に、直ぐサムエル殿に手紙を出しまして……自棄酒を何日か飲んでから、此方に来ました」

 

「そうなの?でもトリステイン王国に居る遍在達は平気なの?」

 

 ワルド殿、仕事はどうしたの?

 

「今は遍在は2体です。彼と政務をこなしている奴だけですから」

 

「男の浪漫本をコピーした2人は?」

 

「私もカリスマ上級会員ですから、全て買い揃えました。この2体の遍在は、自ら男の浪漫本を読む事により漢力を回復出来るので、本体との距離が有っても平気です」

 

 何言ってんの?遍在って、そんな魔法じゃないよね?僕は恐る恐る遍在ワルド殿の方に顔を向けると……彼が頷くのを見てしまった。

 

 こいつ、軽く虚無ってないか?

 

 原作では中ボスだったのに、変態紳士化したらバグキャラになりやがった……

 

「それで、エルザ殿とカステルモール殿はどうなったのですか?」

 

 ワルド殿が血の涙を流して語るカステルモールとエルザの恋物語に、僕は思わず拍手してしまった!

 グッジョブ、魂の兄弟よ!多分、理想的な終わり方だろう。誰も死なず、彼女も幸せになれた。

 

 まさか正妻に!とは思わなかったけど。

 

 しかし成長しない幼女を妻にしたのだ。此方でもフォローしないと駄目だな。

 

「それで、いつ頃こちらに来ると言ってましたか?」

 

「一度、イザベラ殿と話してから此方に向かうと言ってましたな。ブリュンヒルデなら一週間位で此方に来れるのでは?」

 

 彼の逞しい相棒を思い出す。確かにあの風竜なら、さほど時間は掛からないだろう。

 

「ツアイツ殿、本題です!カステルモール殿に有り、私に足りない物は何なのですか?

何故、私にはロリッ子を娶れないのですか?何故、私はタバサ殿に振られなければ……」

 

 両手を地に付いて慟哭している。床に彼の涙で水溜まりが出来始めた。

 

「何故、タバサ殿に振られたのですか?」

 

 タバサ殿との雰囲気は悪くなかった筈なのに……

 

「タバサ殿は、成人男性の痴態にトラウマが出来たらしく……竜騎士団の連中や私には、その様な感情は持てないと言われてしまいました……」

 

 おいおい。知らない内にとんでも無い話になってるぞ!

 

 どうしようか……余りにも哀れ過ぎるぞ。しかし、原作キャラでワルド殿の好みのロリッ子なんて他には……

 

 居た!とびっきりの美少女が居たよ。

 

「ワルド殿……僕も面識は無いのですが、1人とびっきりのロリッ子美少女を知ってますよ」

 

 ワルド殿が顔を上げたが、涙と鼻水でエラい事になっていた……

 

 

 

第119話

 

 

「自分が楽しいと思った事は嘘ではない!」

 

 かつて篭の鳥の少女は言った。ロマリアに良いように扱われた少女の言葉だ!

 この世界では、まだ物語に登場していない……シャルロットの双子の妹。ジョゼット!

 

 今ならガリアの孤島、セント・マルガリタ修道院に居るはずだ。彼女の心の支えだったジュリオは「男の娘」になっている。

 だから、竜のお兄さんフラグは潰れている。じゃ竜のお姉さん?

 

 しかし!

 

 このハルケギニアに納まり切らない変態紳士ワルドなら何とか口説き落とせるかもしれない。

 このワルド、女性には尽くすタイプだし能力だけ見ればトップクラスだ!

 

 最初だけ大人しくしてくれれば、モテるはず。原作のジョゼットは、ちょっと世間知らずな頑固者だけど……

 これからの事を考えると、此方で押さえておきたい。

 

 しかし……

 

 シャルル派の粛清の嵐に良く生き残れたよね。普通なら、シャルルの血を引いてる彼女は反乱の御輿として最適だ。

 ジョゼフが見逃すとも思えない。

 それに、セント・マルガリタ修道院はガリアの孤島とは言え、飛べる手段が有れば誰でも行ける場所。

 しかも、ロマリアや花壇騎士団にも情報が漏れてるんだけど……罠かな?

 

「ツアイツ殿、黙り込んでどうしたのですか?その極上のロリッ子は何処に居るのですか?」

 

 目を血走らせて、言い寄る本体を遍在ワルド殿が取り押さえてくれた!こっちの方が有能じゃね?

 

「すみません。かなり問題の有る子なんですが……それでも宜しいですか?」

 

 キリリと表情を引き締め、マントをバサッと払いながら立ち上がる!

 

「ツアイツ殿に美少女と言わせる逸材なら、私の覚悟は完了です!」

 

 無駄に格好良いんだけど……何故だ!何故こんな態度が出来るのにモテないんだ?哀れ過ぎて涙が出てきた。

 

「分かりました。教えましょう……彼女は今、ガリアの孤島に居ます。

セント・マルガリタ修道院のシスターですが……双子を吉凶とするガリアで捨てられたシャルロット姫の妹君です」

 

 流石に目を見開いて驚いた表情をする。

 

「毎回ツアイツ殿の情報網には驚かされますが……タバサ殿の妹君、か」

 

「気を悪くしましたか?振られた相手の妹など紹介しては……」

 

 ワルド殿は、じっと目を閉じている。やはり振られた相手の妹では嫌だよね。

 

「すみませんでした。この話は無しに……」

 

「素晴らしい!タバサ殿より更に幼い妹君ですか!是非、是非とも紹介して頂きたい。さぁさぁさぁ……」

 

 思わず脱力する。それで良いのかワルド殿?

 

「彼女は、ジョゼフ王のシャルル派粛清の難は逃れましたが、マダマダ危険な立場なのです。それにロマリアが嗅ぎ付ける前に確保したい!」

 

 普通なら躊躇するだろう、問題の大きさだけど……この男の余裕はなんだ?

 

「ツアイツ殿。ミス・ジョゼットとの出会いは入念にシミュレーションしてから望みたいのです。私に無かったのは、臨機応変さ!

そして、カステルモール殿の様にこの教典たる男の浪漫本を熟読しあらゆる状況に対応出来る男として成長してから、ミス・ジョゼットの下へいきます!」

 

 決意表明をした本体ワルド殿に拍手する遍在ワルド殿……これが本当の自画自賛?

 

「そうですね。ロマリアが彼女に接触するまで、まだまだ時間が有ります。ゆっくり対応を練りましょう!

それと、本体ワルド殿には食事と休憩が必要かと……さぁ、此方にいらして下さい」

 

「ツアイツ殿……何時も何時も気遣って貰って……」

 

 泣き出してしまった。駄目だ、このワルドは能力は高いがマダオだ。これは、僕も同行するかしないと又、悲惨な結果になりそうだ……

 なんて手の掛かる友人なんだろう。兎に角、手段を問わず応援するしかないな。

 

 所在無げに佇む遍在ワルド殿に「僕も手伝いますから、貴方も協力して下さい」と頼み込む。力強く頷く遍在ワルド殿を見て思う。

 この不思議に有能な遍在殿と二人がかりで手伝えば何とかなるかな?取り敢えず、シエスタに何か食べ物を作って貰おう。

 

 食堂に案内しながら、そんな事を考えていた。

 

 

 

 その頃のアルブレヒト3世

 

 

 

 執務室で1人、アルビオン王国のジェームズ1世からの親書を読む。一通り目を通してから、目頭を揉む……

 我がゲルマニアの貴族。ツアイツ・フォン・ハーナウの紡ぎ出す世界が、遂に此処まで影響を及ぼすとは……

 

 確かに、あやつの唱える教義にレコンキスタ討伐は違反している。

 しかし、あの石頭でプライドの高いジェームズ1世が、此処までゲルマニアに譲歩するなら……悪くはない提案だ。

 

 ウェールズ皇太子の子供の1人との婚姻も打診してきた。

 それに、疲弊が激しいトリステイン王国よりも空軍の抜きん出たアルビオン王国の方が軍事同盟の旨味も有る。

 未だにくすぶる、俺に服従しない連中の牽制にもなるだろう。

 

 一貴族との面会許可だけなら、破格の条件だ……しかし、あやつを国外に出して本当に平気か?

 ツェルプストーとの娘と結ばれたと聞くし、我が国との楔は有るか……良いだろう。この条件を呑もう!

 

「誰か!ハーナウ家とツェルプストー家、それとアルビオンのジェームズ1世に親書を送るぞ。準備しろ!」

 

 レコンキスタか……美乳派などと、下らん戯言をほざきおって。そうそうに、このハルケギニアから退場するが良い!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ゲルマニア皇帝アルブレヒト3世から、ハーナウ領への入国と、ツアイツ殿への面会の許可がおりた。

 これで何とか、レコンキスタに対抗する我が軍を纏める為の交渉が出来る。

 

 しかし……何て説明すれば良いのだ?

 

 教皇ヴィットーリオは、オリヴァー・クロムウェルを破門し美乳派を否定した。だが、ツアイツ殿は己の教義に信念が有る筈だ。

 やはり土下座しかないのか……

 

 この東方の謝罪方法は、やる方も屈辱的だが、やられる方も居たたまれない気持ちになるからな。兎に角、誠意を見せるしか無い。

 

 

 


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