現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版) 作:Amber bird
幸せワルド計画 第四部
遂に実行に移す「幸せワルド計画」……参加者は全て自分と自分の遍在。ある意味、セルフでお得な作戦だ!人件費は0だし。
ワルドABC
「どうだ?怪しい奴に見えるか?」
三人共、顔をマスクで隠している。が、蝶を象ったコスプレな感じのアレだ!
それに口元は、マフラーを巻いている。服装は、何処からかパクった僧衣を着ている。何処かの教会を襲ったのか?
「怪しいと言うか……怪しい奴その物だな。我ながら妖し過ぎるわ」
「全くだ!変装のなんたるかを理解してないな」
ダッシュが、苦情を言いながら近づいてきた……上から下までピッチリな黒タイツを着込み、やはり蝶の仮面で顔を隠している。
ダッシュ、それは仮装だよ。本体ワルドを襲うロマリアの密偵団は、仮装の変態集団となってしまった。
しかし、変態を嫌うジョゼットに対してならば丁度良いだろう。
「では、行こう!セント・マルガリタ修道院へ」
ロングビルは手を振っている。
「ちゃんと、様子をみているのだぞ!危なくなったら助けを頼むぞ。本当に宜しく頼むぞ……」
ワルドズはフライで飛んでいった、残されたグリフォン二匹の顎を撫でながら。
「まぁ失敗しても、私は困らないからね。ぜいぜい頑張んな」
全く他人事だった。出発前には、ツアイツに自分に任せろ!と、張り切っていたのに……
「あー動物って癒されるねぇ……私も使い魔召喚しようかな」
「「グルグルル(もっと撫でれ!)」」
お留守番組は呑気だ。
その頃の変態の一団……
「では作戦通り、上手くやってくれ……手加減しろよ」
「「「「……了解だ?」」」」
不安顔な本体を残して配置につく。ここに史上初の本当の意味で自作自演なミッションがスタートした。
定刻通り桶を持って水を汲みに来るジョゼット。鼻歌などを歌っている。
「では、作戦通りに……」
ダッシュの指示で、三方から飛び出しジョゼットを囲むワルドABC!
「ひぃ……誰なんですか?」
尻餅を付いて驚く。
「ミス・ジョゼットだな?一緒に来て貰おうか」
ノリノリのワルドA
ズリズリと、少しでも変態ズから離れようとするが「どちらに行かれるのかね?尻を擦っては、黒子が傷付くぞ」彼女の真後ろから、ダッシュが話し掛ける。
「お尻……黒子……なっなんで知ってるの?」
余りの台詞に一瞬思考が止まるが、ハッと思い出して真っ赤になる。
「我ら、教皇直属の密偵団を舐めるなよ。小娘の秘密など全てお見通しよ」
「「「はっはっは!可愛い尻らしいな?ジュリオ殿から報告を受けているぞ」」」
思わぬ名前に、固まってしまう。
「あの、女装して教皇の愛人になった変態のせいなの?」
「男の娘か……我らには理解出来ぬ変態だな。しかし、お前がガリア王家の血を引いてると調べはついている。ヤツのお陰だ」
ダッシュ、相変わらずノリノリ!しかも、股間を強調したポージングでにじりよる。
「ひぃ!たっ助けて下さい。私は、生まれてからこの修道院しか知らないの?外の世界なんて知らない……」
余りのダッシュの痴態に、貞操の危機を感じてしまった。
「では、同行願おうか……ロマリアまで!」
強引にジョゼットの腕を掴み立ち上がらせる。
「引き上げろ……誰だ!」
◇◇◇◇◇◇
なっなんてノリノリなんだダッシュよ。ミス・ジョゼットが涙目じゃないか。あっパンツ見えた!
ふっふっふ……でかした、我が遍在よ。しかし、ズロースかな。野暮ったいぞ。あれでは、彼女の魅力が台無しだ!
ツアイツ殿から、ぱんてぃとぶらじゃを貰ってプレゼントするか……しかし、お前のポージングは素晴らしいな!
私も、あの衣装を着たい……いかんいかん。
では、颯爽と助けに行くか!
「待てぇ!そこのイカした……いや、イカれた4人組よ」
「「「「なに奴?」」」」
「何だ……我らを追っていたトリステインの隊長さんか。4対1だが?何時もの応援は呼ばないのか?」
クネクネとナイスなポージングじゃないか!私も後でやりたいぞ。
「黙れ、紳士達よ!その幼気な美少女から離れろ」
ヨシ!ポージングばっちり。ダッシュを真似て、ポージングを披露する。
「そうか……では痛い目をみな!全員で袋叩きだぁ!」
「「「うぉー!恨みは無いが痛い目みなぁ!」」」
ちょ痛い、痛いから!「ゲフゥ!」誰だ、本気で蹴るのは?「ちょ待って……グハァ」鳩尾に入ったぞ!
ダッシュ、仮面で顔を隠しているのに笑顔なのが分かるのは何故だ。
「ゲフッ、お前ら……ひっ髭を引っ張るな、オウッ!」
4人掛かりのストンピングでボロボロの本体ワルド……
「…………お前ら、後で覚えていろよ、ガクッ」
やり過ぎたかと、視線で会話するワルドズ。だが、芝居は続くなければならない。
「ぐっ、しまった!トリステインの隊長で遊んでいたら、我ら紳士の変態活動時間が……今日は退くぞ!
小娘よ、良かったな。このボロ切れのお蔭で命拾いをしたな。では何れ会おう」
颯爽と、ストレス解消をしたダッシュとワルドABCは、フライで飛んでいった。その姿は爽やかだったらしい……
「何?何なの?それに、この人をどうしたら良いの?」
ジョゼットは途方にくれた……
◇◇◇◇◇◇
なっ何の?私、狙われているの?でも、助かったの?このボロボロの人が助けてくれたの?
それに、お兄様……私をロマリアに売ったのね。
「……ううん」
いけない。助けてくれた人を放っておいては……
「大丈夫ですか?しっかりして下さい。今、人を呼びますから……」
ぼろ雑巾の様な人を揺すってみる。
「人は呼ばないでくれ。トリステインの魔法衛士隊隊長が、ガリア国内で負傷は……外交的…に……不味いんだ……」
ちょー、いきなり国家間問題を私に押し付けて気を失わないでー!
「私、どうしたら良いのー?」
静かな森にジョゼットの雄叫びが響いた……誰も応えてはくれなかったが。
幸せワルド計画 第五部
まるで暴風の様な出来事だった……突然の変態の襲撃。 信じて、裏切られた人がまた裏切った事。
そして、助けてくれた筈のボロボロの人……
この人は、トリステインの魔法衛士隊の隊長と言っていた。 何故、トリステインの貴族がこのガリアの孤島にいるのかしら?
あのロマリア密偵団の変態集団とも、因縁が有りそうだったわ。そして秘密にして欲しいって……
国に捨てられた私が、国に配慮しないといけないの?
駄目だわ。 思考が纏まらない……でも、この人は恩人だと思う。
あの変態集団もそう言っていたし……あれ?なんで、あの恥ずかしい格好の変態は、わざわざこの人が恩人だなんて言ったのかしら?
それに、あの連中と同じ臭いがするの。 実際に嗅いだ訳ではなくて、存在感が……あの気色悪いポージングとか。
ジョゼットは思考に耽る余り、ワルドを放置プレー中だ!
「うぐっ……はぁはぁ」
ワルドの呻き声で我に返る。いけない、またやっちゃった!この考え込むと周りが見えなくなる癖は治さないと駄目ね。
取り敢えず、隊長さんを寝かせて顔の腫れを冷やせば良いのかな?
当然膝枕などせずに、ワルドのマントを畳んで枕に……そして内側の刺繍を見てしまう。
「これは、私? 違うわ。 今もガリアで、のうのうと生きている姉さん?では、この人は……」
肌身放さず着けているマントの内側には、振られたにも関わらずミス・タバサのウェディングドレスバージョンの刺繍入り。
上級会員の嗜みとして、常に身に着けている癖が災いした。
「やはりこの人も、私の秘密を知っているの?」
折角、現実に引き戻されても思考の海へと沈んでいった……ワルド、放置プレー続行決定。
「はぁはぁ……イテテテテ……あいつ等無理しやがって……」
ワルドは自力で覚醒した!看病フラグは、たたなかった。ワルドが、まだ朦朧として周りを確認出来ない内にマントをそっと返す。
「えーと、有難う御座います。 助かりました。それで、貴方は?」
先ずは情報を集めよう。
◇◇◇◇◇◇
何やら体中が、バキバキと痛い……あいつ等、手加減を知らないのか?僅かだが、気を失っていたらしい……
気が付けば、私を見下ろすミス・ジョゼットが居た。
「えーと、有難う御座います。 助かりました。それで、貴方は?」
彼女は私の隣に座り、見下ろしたまま質問してくる。銀色の髪が重力に負けて垂れ下がるのを左手で、かき上げながら……
「可憐だ……」
「はぁ?」
「いや、すまない迷惑をかけたね……イテテテテ」
起き上がろうとするが、全身の痛みに思わず呻いてしまう。
「大丈夫ですか?」
ミス・ジョゼットが手を貸してくれて、何とか起き上がり向かい合って座っている形になる。
「有難う。いや恥ずかしい所をみられたね。もう大丈夫だ」
にっこりと微笑むが、彼女は赤くなってくれない。私には、ニコポ・ナデポのスキルは無いのか……
「あの……隊長様は……」
「ワルドで良い。私はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。トリステイン王国で、魔法衛士隊の隊長をしている」
「ワルド様ですか……何故、その様な方がガリアの孤島に居るのですか?」
美少女にワルド様と呼ばれると……ゾクゾクっとくるな。しかし、どう言えば良いのだ?この質問への回答はシミュレーションしてないぞ。
「ああ……その、何だ……つまり」
「ワルド様は、私の素性をご存知なのですよね?あのロマリアの変態集団とも……因縁が有りそうでした。何故なんですか?」
真剣な表現で、問い詰めてくる。嗚呼……美少女に詰問されるのに、快感を覚えるとは。
はっ!
私が、サードステージに進化したのか?しかし、どう誤魔化したら良いのだ……
「……何故、教えてくれないの?」
ヤバい、ミス・ジョゼットが泣きそうだ!
「話は長くなるが良いかな?」
彼女は無言で頷く。
「ミス・ジョゼット。私が君を、君の存在を知ったのは……大恩有る年下の友人からだ。
彼はゲルマニアの貴族だが、有る事件を切欠にガリア王家と関わる事になった。
彼はそこで、ジョゼフ王に趣味(オッパイ・回春)の遊戯(性癖戦争)で競う事となり……
その関係で、イザベラ王女、タバサ……ミス・シャルロットと懇意にされている」
突然の話に、ポカンしていたが、シャルロットの名前に激しく反応した!
「シャルロット……私の姉さん、そして捨てられた私と違い、のうのうと生きている女」
その目に、暗い感情が見えた……あの目は、絶望と怨念の入り混じった危険な目だ。
「辛い話になるが、聞いて欲しい。君の父上は、ジョゼフ王に隔意を抱き(本当は、近親相姦&同性愛の相手として好意を抱き)粛正された。
君の母上は幽閉され、家は不名誉の烙印を押され……君の姉である、ミス・シャルロットは偽名を名乗り北花壇騎士団として働かされている」
「私を捨てた人達は、没落したの?私には、本当に帰る家はないんだ。あはは……捨てられた家の事なのに、悲しいなんてヘンね」
私は彼女を抱き締めた……彼女は抵抗せずに泣いている。柔らかいし、良い匂いがするし……
はふぅ、幸せだ!
「我が友人は、君の家の再興に尽力している。そこで、君の存在を知ったらしい……
ロマリアは、ホ〇国家となり、始祖の子らの国々に男の娘思想を広め始めた。
君の身に危険が迫っているのもその為だ。王家の血を引く君を抑えるには意味が有る」
余り、セクハラ紛いの抱擁はマイナスと思い、彼女を解放する。
「それで……ワルド様は、私をどうしたいの?」
「勿論、妻に……いや、ツマり保護と言うか、私と共にゲルマニアに来て欲しい。そして友人と会って欲しいんだ。
彼なら、君を悪い様にはしない。力になってくれる筈だ!それと……君に色々と教え込んだのは、ジュリオだね?」
ミス・ジョゼットは黙って頷き、そして考え込んでしまった……済みません、ツアイツ殿。
私には、説得は無理です。丸投げする様ですが、彼女の説得をお願いします。
ワルドは、ジョゼットの説得を諦め、全てをツアえもんに託す事にした。
の〇太の様に……
幸せワルド計画 第六部
嵐の様な、襲撃事件。そして突然の告白……しかも、私が知らない内に国家間紛争に巻き込まれている。
私は、何を信じたら良いのかしら?誰かに相談……は、出来ないわ。巻き込んでしまうから。
でも、このまま残れば又あの変態に拉致られてロマリア行き……兄様には、二回も裏切られた。
もう信用出来ないわ。
だからと言って、この隊長さんを信じて良いのかしら?ガリア王国の問題に、ゲルマニア貴族が尽力……
それを教えてくれたのは、トリステイン王国の魔法衛士隊隊長。
話だけ聞けば、スッゴいヘンよ……
でも、あのロマリア密偵団の変態よりマシ!決めたわ。
「あのー隊長様?」
長い間、思考の海に沈んでいたせいか?隊長様は、座りながら寝ていた……
「隊長様、起きて下さい。起きて」
揺すって起こす。
「うーん、ムニャムニャ。ツアえもーん、後はお願いします」
寝言?誰ですか、つあえもーんって?
「違います。お願いします、じゃなくてお願いだから起きて下さい」
「あっ?ああ、おはよう。突然考え込んだまま、無反応だから心配したよ」
ははは、と笑っているけど熟睡してましたよね?
「私、貴方と共に行きます。どうしたら良いの?」
◇◇◇◇◇◇
「私、貴方と共に行きます。どうしたら良いの?」
ヨッシャー!ロリゲットだぜー!
「そうか、有難う。では……君にも準備が有るだろう。双子の月が頭上にくる時間にこの場で。応援と共に迎えに来るよ」
「分かりました。それと、何故隊長様はマントの内側に私?か姉?の刺繍を施しているのですか?」
「こっこれは……ちっ巷で人気のマントなのですよ!可愛いなぁ、と思い貰ってしまいましたが」
「貰って?」
「さっさぁ水汲みにしては、随分時間が経ってしまったようだよ。早く戻った方が良い!では今晩ここで」
ボロが出る前に立ち去ろう。フライでアジトまで帰る事にする。
アジトに戻ると、グリフォンを撫で捲るロングビルが出迎えてくれた。相棒よ……撫でられ過ぎで、抜け羽毛が凄い事になってるぞ!
「お帰り。で、どうだったの首尾は?ダッシュ達はスッキリしたって帰って来たけど」
「勿論、成功だ。今晩迎えに行き、そのままツアイツ殿の下へ連れて行く。後はツアイツ殿に任せるつもりだ!」
「つもりじゃないだろ、マダオがぁ!それ本当に成功したの?ちょっと説明しろ!正座でだよ」
いきなり拳骨で殴られ、訳も分からず説教をうけた……しかも、先程の話もさせられるし。
全てを話終わったら、溜め息をつかれるし……
「ダッシュに説明して、先にツアイツ様に報告させな。それと共犯者共の遍在ABCは消しときな。
いつバレるか分からないからね。変装に使った衣装や仮面も燃すんだよ。女のカンを舐めるとバレるんだからね」
結局、何もしなかったこの女に仕切られて後片付けをする。
「それじゃ夜の迎えは私も同行するよ。このグリフォンに乗ってね」
すっかり懐いてる、二匹のグリフォンの顎を撫でながら恍惚とするこの女……私が幸せになったら、仕方ないが相手を見繕ってやるか。
動物相手に興奮しては、先が思いやられるからな。
ヤレヤレ!私も丸くなったものだ。
その時のジョゼット……
随分長い間、水汲みに行っていたのに、周りはまた妄想してたの?で、納得されてしまった。
今夜で、この修道院ともお別れとなるのか……でも、私が居たらみんなに迷惑がかかるから。
皆が寝静まった頃にそっと起き上がる。同室の子らを起こさない様に、そっと部屋を出る。
荷物は僅かな着替えと一冊の本しかない……私の唯一の私物の本。
いつかこのシンデレラの様に、私も社交界にデビュー出来るかしら?このサクセスストーリーを書いた作者に会ってみたいわ。
こんな素敵なお話を書ける方だもの……きっと素敵なおじ様よ。
この本は、大切に袋に詰めて持って行く。全財産を片手で持てるなんてね……布団の上にそっと書き置きを残した。
「心配しないで下さい。皆の迷惑にならない様に出て行きます。今まで有難う御座いました。それと、本を一冊貰っていきます!」
簡単な書き置きだが、覚悟の家出と思うだろう!この判断が、正しいか分からない。
けど、ここに居ても何も変わらない日常を繰り返し、誰も知らない内に死んでいくだけだ。
あのワルド様……
何かを隠しているみたいだけど、悪い感じはしなかった。最悪、逃げ出そう。
待ち合わせの場所に行き暫く待つと、夜空にグリフォンが二匹現れた。ワルド様と緑色の髪の女性が降りてくる。
「あんたがジョゼットかい?この阿呆が迷惑かけたらしいね。それで、本当に私達と一緒に来てくれるのかい?」
「なんだ、阿呆とは失礼だな。きちんと説明したし、承諾を得たんだぞ」
何か、夫婦漫才みたいな掛け合いをしながら近付いてくる。ワルド様……ちゃんと、良い人が居たのね。
あの掛け合いは、夫婦の阿吽の呼吸なのかしら?
「じゃ、行こうか!こっちに乗りなよ」
何か言いたそうなワルド様を黙らせて、私を自分のグリフォンに乗せる。尻に敷いているのね。そう言われ、人生初体験となるフライトを経験した。
「お姉様は……」
「ん?ああ、名乗ってなかったね。私はロングビルさ」
何か、鋭利な雰囲気の綺麗な人だな……
「えっと、ロングビルさん……」
「なんだい?」
「ロングビルさんは、ワルド様の奥様なのですか?」
うわっ……飛行姿勢の乱れたグリフォンにしがみ付いて、落下を防ぐ。
「危ないです!」
「危ないのは、アンタの頭ん中だよ!何で私がアレの嫁なんだよ?」
違ったのかしら?
「いえ、息の合った掛け合いに、尻に敷いている様な言動でつい……」
本気で怒ってる?
「私には、好きな人も居るの!どっちかって言えば、アイツの好みはアンタだよ」
私?この仮初めの?それとも本当の私?
「今回だって、アンタを不遇な環境から救う為に此処まで来たんだ。最後はツアイツ様任せにする気らしいけどね」
「私を助ける?」
「そうさ!ツアイツ様が、アンタがロマリアに利用されそうだ!
って言ったから、わざわざ此処まで来たんだ。一応、善意のつもりだから安心しな。悪くはしないさ」
ツアイツ様って?ワルド様の年下の恩人の方なのかしら?
「ツアイツ様って、ワルド様のご友人の?」
「そうだよ!アイツには勿体無い程の、素晴らしいお方だよ。私が仕えているのも、その人さ」
何故か……ラヴ臭?惚気?でも、ワルド様の年下って、ロングビルさんからも年下よね?ロングビルさんってショタなのね!
「ロングビルさんの好きな方がツアイツ様なのね?」
「………いや、そんな事は……私は年上だし……でも求められたら……」
グリフォンの手綱捌きが、怪しくなる。
「ひぃー落ちます、落ちますから!ロングビルさん落ち着いてー!」
恋バナは、危ない環境でしたら危ない!ジョゼットは、その話題を振った事を後悔した……
「お願いだから、正気に戻ってー!」
ワルドの幸せは、ツアえもんの手腕にかかってしまった!ジョゼットをセント・マルガリタ修道院から連れ出す事には成功!
ロマリアに悪感情を持たせられたし、ジュリオとの仲違いもさせられた。しかし、ワルドとの仲を進展させる事は一つも出来ていない。
そして、愛読書の作者がツアイツだとも気付いていない。
大丈夫なのか?幸せワルド計画は?
※本編に続きます!