現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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第194話から第195話(前期最終話)

第194話

 

 おはようございます、ツアイツです。

 

 久し振りの我が家の私室のベッドで目が覚めました。見慣れた天蓋付きのベッド……

 もう何年も使っている、柱の模様やキズ場所も記憶している馴染み深いベッド。

 

 暗がりに馴れてきた目で見回せば、右隣にはテファとマチルダさん。左隣にはナディーネ、足元にはエーファ達が居ます。

 

 乱交ではないですよ!

 

 昨日帰宅してから、これまでの行動を……戦争に関わった事、戦後の処理それにカトレア様の治療に……タバサと母親の件は秘密だ!

 などを色々と説明して、これからの展開の話をしていたら深夜になってしまい……有耶無耶の内に雑魚寝状態となりました!

 

 僕の隣を確保したナディーネを見ながらしみじみと思う……転生して五歳で記憶が蘇り最初は、そう!

 

 原作には介入せずにルイズやサイト達、原作キャラに任せるつもりだった……

 ゲルマニアと言う原作では余り語られなかった国の、貴族の嫡男として生を受けたから。

 貴族の特権を生かして酒池肉林の、お気楽極楽転生ライフを満喫しようと考えていたんだが……しかし、蓋を開ければ結果はコレだ!

 

 原作介入どころか、原作開始前に粗方のイベントは達成してしまい残るはロマリアのみ……しかも対ロマリアの手立ても既に準備している。

 もはやこの物語の中心にドッカリと居座ってしまった……まだ原作の開始前、来年だよ春の使い魔召喚儀式は。

 ナディーネの反対側で寝ているテファが、身じろぎしながらムニャムニャ言っているので見ると……うん、デカい。

 

 仰向けでも双子山は今日もご立派に健在だ!

 

 形が崩れず聳(そびえ)え立つ双子山に、そっと毛布を掛けてあげる……思えばテファには不誠実だったな。

 幾ら助けたとは言え、婚約者となり……そして次々と婚約者を作り、最後は本妻をイサベラ様と決めてしまった。

 

 しかし笑って「構わないです。一緒に居てくれるだけで良いんです」なんて言われてしまった……

 

 胸の前で組んでいた手は震えていたが。うん、もうハーレム要員は増やしませんから。

 

 因みにマチルダさんは「ちゃんと私達に構ってくれれば良いです」とかなり拗ねていた。

 

 こちらは目尻に涙が……胸を押さえて倒れそうな、申し訳ない気持ちになりましたよ。

 彼女は復讐を諦め、盗賊家業から足を洗いハーナウ家の諜報部門で活躍してくれている……そう言えば酔って襲って来たから、返り討ちにしたんだっけ。

 翌日に能面の様なエーファが、愛人手当の申請書を持ってきたんだ。

 

 アレには焦った!

 

 だって情事が筒抜けみたいだったし……足元に固まっている残りのメイドズを見る。

 もう既に家族と同じ感覚の彼女達。先輩メイドの三人と後輩メイドの二人。

 流石にヴァリエール家から来た20人のメイドさん達には手を出していない。何人かは寿退社しましたよ。

 

 この年で本妻(予定)の他に側室4人、愛人6人か……もう十分だろう。

 

 僕の転生ライフは十分に成功した!お気楽ではなかったが、極楽な転生ライフだ。

 

 現代で暮らしていたら不可能だろう、この環境は。

 

 また眠気が襲ってきた、ボンヤリとした頭で考える……体内時計では、多分午前4時頃だろうか……室内は魔法で温度調節がある程度出来る。

 過ごしやすい適温に調整されている……無駄に、ではないが凄い技術だ。

 体はまだまだ睡眠を求めている……もう少し眠ろう。

 

 目が覚めて、これが夢でない事を祈りながら……

 

 

 

 

 二度寝から覚めると左右にテファとマチルダさんが、がっしりと僕の両腕をホールドしています。

 

 ああ、エーファ達が居ないのはメイドとしての仕事が有るからか……カーテンから差し込む日差しから判断するに、もう既に日は昇っているのだろう。

 僕がもぞもぞと動き出した為か、義理姉妹も目を覚ましたみたいだ。

 

「おはよう、ツアイツ様。まさかテファにイヤラシい事はしてませんよね?」

 

 起きがけ一番の台詞がソレですか?いえ、全くの無実です。その双子山を拝んで毛布を掛けただけですから……

 

「していません!さて、朝食が済んだら荷造りを始めましょう。

ガリアで新生活を始めますし、テファは途中からの編入だけど学院生活が始まるんだよ」

 

 さぁさぁ支度をして下さいと急かす。テファは母上からの花嫁修行で、ある程度の学業も修めている。

 彼女は努力家だから、フォローをすれば問題無いだろう……そして、彼女が求めていた沢山の人との触れ合いを。

 

 普通の生活……とは少し違うけど、楽しい日々を送る事が出来る。

 

「おはようございます、旦那さま。マチルダ姉さん、何を騒いでいるの?」

 

 ムニャムニャと目を擦りながら起き上がるテファ……低血圧かな?朝が大変弱い娘です。

 しかしブラジャーをしていないのに、その盛り上がる双子山ってどうなの?少しだけ女体の神秘を想像する、デヘヘ……

 

「さぁ私室に戻って支度をして下さい。今日の午後には出発しますからね」

 

 キリリとした真面目な顔でテファとマチルダさんを送り出す。

 入れ替わりでシエスタ・ソフィアのタルブ村コンビが、僕の着替えや洗顔用のボール等を用意してくれる。

 

 ビバ、リアルなメイドさん!

 

 ビバと言えば……ビバ、オッパイ!ヤバい、デルフをガリアに置きっぱなしにして来ちゃったよ。

 

 影薄いから、あのインテリジェンスえろソードは……転生前では絶対に有り得ない、専属メイドさんに着替えを手伝って貰い身嗜みを整える。

 

 ガリアに行けば暫くは帰れないだろう私室を見渡す……見慣れた風景、使い慣れた机……

 

 しかし、部屋の一角には作りかけのフィギュアや男の浪漫本が所狭しと溢れている。

 

「あの一角だけを切り取れば、現代の僕の部屋と変わらないな……貴族でメイジに生まれ変わったのに、何故かね?」

 

 自分は自分!

 

 転生してもスケベは変わらないって事かな。妙に感慨深げな気持ちになってしまう。

 

「まだまだコレからだ!頑張るか!」

 

 自分と自分の周りの大切な人達の幸せのために……

 

 

 

 

第195話

 

 

 ガリア王国の主都リュテュスの魔法学院。

 

 流石は始祖の血を引く子孫達の中で最大国家だけの事は有ります。

 伝統と格式(だけ)を重んじるトリステイン魔法学院との違いは……国力の違いによる潤沢な資金が有るのだろう、その建物は威風堂々としています。

 石造りの落ち着いた外観の校舎……絡み付く蔦が永い年月を経た風格を滲ませてます。

 

 これから通う事となる学院の建物をしみじみと眺めながら思う。

 

 ゲルマニアのハーナウ家を出発して2ヶ月……遂に完全な原作剥離になる、まさかの主要キャラ全員ガリア入り。

 春の使い魔召喚の儀式ってガリアの魔法学院もやるのかな?てか、虚無なルイズが呼び出す彼は本当に来るのか?

 

「ツアイツ?学院の正門前で何を考え込んでいるんだい。さっさと入るよ」

 

「ツアイツ……最近、何かトリップ癖が付いてない?本当に平気?」

 

「ツアイツ?疲れているなら今日はやめる?」

 

 いかんいかん!つい別世界にトリップして皆に心配されてしまった。これではジョゼットの事を笑えないな。

 

「だっ大丈夫だよ。ちょっと立派な建物だなぁ……って感心してただけさ。さぁ行こうか」

 

 改めて周りを見渡せば、我々は注目されている。まぁ当たり前か……

 

 

 その国の王女と他国の婚約者達を引き連れて……しかも護衛騎士団も周囲に展開している。

 

 カステルモール殿とジャネット殿は、当然の如く左右に居るしイザベラファンクラブや竜騎士団も居る。

 これは過剰防衛と取られても文句は言えなくないか?

 知らない内に出迎えに来てくれた魔法学院長の引きつった顔は、生涯忘れられないだろう。

 

「ようこそ、我が学院にいらっしゃいました。歓迎致します。さぁさぁ此方へ」

 

 学院長の案内により、学院内部に案内される。途中で窓から此方を伺う生徒達が騒ぎ出す。

 

「アレが巨乳教団の教祖と巨乳巫女達か!」

 

「我が学院にツンデレ様が!有り難や有り難や……」

 

「あの金髪ロングの娘の胸スゲェ!アレって、まさかテファたんか?本当に実在したんだ!」

 

「てかアイツが次期ガリア王なんだろ?チクショウ羨ましいぞ!モゲやがれ」

 

 一部からネットスラングらしき物が聞こえたが、殆どの生徒は僕らの素姓を知っているのだろう。

 まぁ王女が来るのだから、事前に準備やら説明が有るのが当たり前だ。

 アンリエッタ姫の時だって一時訪問でアレだった。この学院に通うとなれば、もっと厳しいだろう。

 

 応接室に案内された僕らは、そこで学院長から簡単な説明を受けてから担当教諭を紹介された。学院長も担当教諭も目の下に隈が出来ている。

 

 我々の受け入れ準備は大変だったのだろう……

 

「これから苦労を沢山掛けてしまうと思いますが、宜しくお願いします」

 

 そう頭を下げたら、偉く恐縮された。

 

「ツアイツ!王族は無闇に頭を下げないんだよ。ツアイツみたいに仲間との関係を大切にする奴には面倒な生き物なのさ……」

 

 達観した顔のイザベラ様に言われました。その後は簡単な確認事項などを取り交わし、担当教諭に案内されて教室まで来ました。

 

「ここが今日から君達のクラスになります。案内しますので自己紹介をして下さい」

 

 そう言って先に教室に入る。アレか?呼ばれたら教室に入って自己紹介の流れか。この辺は、どんな世界でも変わらないんだな。

 

 なとと考えていたら「では教室に入って下さい」と声を掛けられた。

 

 順番的には、イザベラ様・僕・ルイズ・キュルケ・モンモランシーそしてテファって並んで居る。

 貴族順位なら、王女・新参王族・公爵令嬢・辺境伯令嬢そして伯爵令嬢か……

 因みに乳並びなら、ダントツでテファ・キュルケ・ルイズ・モンモランシー・イザベラ様だろうか?

 皆さん発育が大変に宜しいので順位変動も有りかな……

 

 先ずはイザベラ様だ、威風堂々としているな。

 

「イザベラだ。まぁまさか学院に通えるとは思わなかったんだが……宜しく頼むよ」

 

 うん。生徒達も真剣に聞いている。内容はフランク過ぎる気もするが……

 

「それとコイツが私の旦那で、向こうは側室達だ。最初に言っておくが、下手なチョッカイは死を覚悟しな。

お前達も下心満載で寄ってくる連中には気をつけな。特にテファ!天然なアンタが一番心配だよ。

断っておくが、彼女達にも固有のファンクラブが有る。下手に手を出すと、彼らを敵に回すと思いな!」

 

 自身が強力無比なファンクラブを持つだけ有り、説得力が有る。

 しかし、僕らの自己紹介って必要無いかも?こうして僕らの楽しい学院生活が始まる!

 

 なんて思っていた時期が僕にも有りました。

 

 

 

 

 

「ツアイツ!この案件だが、どう思う?フィギュア制作工場の誘致が来てるよ」

 

 イザベラ様の執務室でせっせと仕事をしています。

 

「今は工場の増設は……職人の教育が追い付いてないので不可ですよ。品質を落とす事になりますよ」

 

「まぁ巨額の富を生む男の浪漫本やフィギュア関連の生産工場は信頼のおけない領地には建てられないか……」

 

「それよりも、既存のギルドとの調整が……」

 

 最近は、仲良く執務室に籠もる日々を送っています。他の婚約者達……ルイズ達は、リュテュスの魔法学院に随分と馴染んだそうだ。

 初日にイザベラ様が一発カマしたせいか、学院や両親の教育の賜物か……彼女達の学院生活は、それなりに落ち着いた物だ。

 

 彼らは貴族の子弟達。王族関係者との距離の取り方や接し方も弁えている。

 

 残念ながら僕とイザベラは……

 

 一緒か又は交代かで仕事をしているので、余り学院には顔を出せないでいる。良くて週に2日位だ。

 基本的には寮生活なのだが、一度も泊まった事はない。

 

 どうもジョゼフ王とシェフィールドさんの馬鹿ップル振りが酷くて、周りは政務は若夫婦に全てお願いね!みたいな流れだ。

 実際王宮での僕の扱いは、その方向で固まった。

 

「前は私1人で頑張ってたんだよ。

でもツアイツが来てくれたから虚無の日は休めるし、学院にも週に2日は顔をだせる。本当に感謝してるよ」

 

 彼女のお日様の様な笑顔を守る為にも頑張らないとね。実は郊外に屋敷が買ってあって婚約者達と、あはは、うふふ!

 そんな甘い甘い生活を考えていたんだけどさ。現実は何時も予想を上回るものだ……

 

 ジョゼフ王とシェフィールド王妃はラブラブで政務を完全放棄中。

 

 毎日が甘酸っぱさ満載のラブラブ振りを発揮。昨日は2人で街に買い物に繰り出し、演劇を見てから私室に籠もりっきり。

 今日は2人で朝から馬で遠乗りに出掛けた。明日からはガリア国内を視察を兼ねた旅行に行くそうだ。

 

 でも幸せな彼女の顔を見ると、ジョゼフ王に仕事をさせようとも思えない。

 

 暫くすれば落ち着くだろう……だから、今日もイザベラ様と2人で執務室で仕事中だ。

 

 

 

 最終話・ツアイツ君のお気楽極楽転生らいふ?(前編)

 

 

 

 おはようございます、ツアイツです。

 

 今日は僕の1日を紹介します、ここは王宮の中に設えた僕の部屋です。

 

 大国ガリアの政務は膨大!

 

 如何にジョゼフ王が、何もしなくても国が動く様な仕組みを作っても結局は承認するのはトップ。

 しかも承認するからには責任も発生するので、案件の裏を取ったり検証したり……中々大変なのです。

 

 折角郊外に建てた屋敷には、虚無の日にしか帰れません。その日は学院で寮生活をおくるテファ達が戻ってくるから……

 

 普段は王宮に缶詰め、毎日イザベラと仕事に忙殺されている。

 

 今日は午前中は政務。

 

 午後からは、建設中の巨乳神殿のと男の浪漫本ファンクラブ本部に顔を出して、イザベラファンクラブの会合に参加。

 夜は久しぶりに屋敷に帰れるだろう。明日は虚無の日でお休みだから、一息つけるかな。

 布団にくるまれ微睡みながらも、頭の中で大体の今日の予定を組み立てると起き上がる。

 

「おはよう、イザベラ。朝だよ」

 

 隣で気持ち良さそうに寝ているイザベラを揺する。もうイザベラを様付けでは呼んでいない。自分の奥さんに敬語を使うなと叱られたから。

 そして貴族の義務として、早く世継ぎを作らないといけない!だから毎日一緒に寝てナニかを頑張っています。

 

 昨夜も攻め過ぎて気を失う様に眠りに付いた彼女だから……

 

「うーん、もう朝なの?あっ!ツアイツの、ばか!朝は私が起こしてあげたいのに。毎晩気を失うまで激しくするから……ばか、ばかばか!」

 

 シーツを目元までたくし上げたイザベラが真っ赤になりながら文句を言う。起きがけは何時もこうだ!

 

 彼女のオデコにキスをしながら

 

「早く子供が、皆の中で一番最初に男の子を妊娠する迄、ルイズ達とニャンニャンしちゃ駄目だって言ったのはイザベラだよ」

 

 これには理由が有る。

 

 僕は次期ガリア王!

 

 しかしガリア王家の正当な血筋はイザベラ。そして次の王は、当然イザベラの子供でなければならない。僕が他の女性と作った子供では駄目なのだ!

 ガリア王家の歴史が途絶えてしまう。

 

 第一子はイザベラが!それも男子が生まれる迄は頑張らねばならない。

 

「正妻、側室に関係無く世継ぎとなる男子は私が懐妊しなくてはならない。だから私が妊娠する迄は、あんたらオアズケだよ!」

 

 そうルイズ達の前で宣言したイザベラに、周りが文句を言うかと思ったけど納得していた。多少は不満顔だったけど。

 多分この辺は現代人との習慣の違いなのか、家を守る王族・貴族の義務なのか……少し拗ね気味のイザベラを伴い食堂へ。

 

 ジョゼフ王とシェフィールドさんも既に席に着いている。ジョゼフ王は今朝もゲッソリしシェフィールドさんはツヤツヤだ。

 僕らも毎晩頑張っているのに、向こうはもっと激しいのかな?

 

「おはようございます。義父上、シェフィールドさん」

 

 シェフィールドさんを義母上と呼んだ時の顔……アレを見てはもう義母上とは呼べない。

 

「ツアイツ、私は何時までも貴女のお姉ちゃんが良いの……」

 

 物凄く落ち込んだ顔で、そう懇願された。だからシェフィールドさんかお姉ちゃんと呼ぶ。

 公式の場では仕方がないが、それでも恨めしそうな顔をされてしまう。

 

「おはよう、ツアイツ。良く眠れたみたいだな」

 

 ジョゼフ王が栄養補給の為か、朝からニンニクタップリのステーキを食べている。

 てか精力のつく物が多く食卓に並んでいる……いや、それしか並んでいない。

 

「義父上、今日のご予定は?」

 

 席につくと同時に、僕の前にも料理が並べられる。此方はサラダにパンケーキ、それに卵料理など普通だ。

 

「ツアイツ、私達は遠乗りしてきます。初めて出会った場所へ……留守を頼みますよ」

 

「ああ、あの森に行くのだな。イザベラ、ツアイツと宜しくな……」

 

 アレ?あの捏造の森って、実在する場所なの?

 

「分かりました。楽しんで来て下さい」

 

 そう言うと、お姉ちゃんは艶っぽく微笑みジョゼフ王は体が栄養素を求めているのだろう。黙々と食事を続けている。

 そんなジョゼフ王を舐める様に見詰めるお姉ちゃん。その様子を見て、胸の辺りを押さえるイザベラ。

 

 朝から砂糖を吐きそうだよね……

 

 熱々で甘々な義両親だが、お姉ちゃんの幸せそうな顔を見れば何も言えない。イザベラも最初こそ騒いだが、今は諦め切っている。

 これがヤンデレを極めたって事なんだな……下手すると被害が此方にくるから、好きにさせています。

 

 午前中の税務は問題無く終わった……

 

 政務と言っても僕の主な担当は対ロマリア絡みと、男の浪漫本絡み。つまり今迄と余り変わらない。

 それに優先度の低い物をイザベラが頼んでくる。

 但し優先度は低いとは言え数は多いし、慣れれば段々と重要な案件を振ってくるだろう。

 

 この辺は、アレな父親の為に幼い頃から政務に携わっている彼女の独壇場だ!

 

 やっぱ有能だよ、僕の奥様は……デルフは、鍔を鳴らしながらもう一本のインテリジェンスソードと話している。

 

 「地下水」

 

 イザベラが所有していたインテリジェンスナイフだ。デルフと同様に、ちょっと漢の妄想を注ぎ込んだら……良い意味で壊れた。

 今では2本で、エロ談義に花を咲かせている。

 

 日がな一日、エロトークだ……

 

「お前ら、五月蝿いんだよ。駄エロ剣がぁ!」

 

「姉さん、そりゃないぜ。俺らの出番はコレだけなのに!」

 

「姫さん、俺の出番はコレで終わりかい?」

 

 

 

 仕事を終えて2人で昼食を採る。少し休んだら、巨乳神殿の視察だ。

 

 

 

 ガリアの主都リュテュスの郊外に建設中の巨乳神殿……実は巨乳神殿とは通称で有り、本来は僕達の屋敷だ。

 

 ただ、周りは巨乳教祖の僕と婚約者達を巨乳教の教祖と巫女だと思っている。だから、僕らの集う場所は聖域だそうだ。

 そして隣には、貧巨乳連合本部が建設中だ。因みに貧乳部門本部は、ゲルマニアのウィンドボナに建設中している。

 

 此方は父上とワルドズが主体となり事業展開をしている。

 

 ワルド殿はハーナウ家に養子に入ったジョゼット殿と電撃結婚。

 

 引き止めるアンリエッタ姫以下の貴族連中を振り切り、爵位を返上してウチに来た。

 

 アンリエッタ姫は、かなりのご立腹だったらしい。何故か例の演劇の招待状が届いたが、保留にしている……行っても代理を立てる予定だ。

 

 てか、「真夏の夜の夢」って公演準備出来たのか?

 

 ワルド殿には父上が新たな爵位を用意し、帝政ゲルマニアの貴族として新たな性活を初めている。

 グリフォン隊から、家を継げない次男三男達が何人か一緒に付いて行ったそうだ……彼らは貧乳教団で働いている。

 

 ガリアからもカステルモール殿が……エルザを伴い出向中です。

 

 母上とエルザ、そしてジョゼットを擁した貧乳教団の活躍は凄まじい物が有る。

 

 アルブレヒト閣下が、自らクレームを言ってくる程に……閣下は巨乳好きだから、ゲルマニア=貧乳の聖地扱いが嫌だそうだ。

 国費で巨乳教団支部を建てるから人員(アイドル)を寄越せ!って煩いのです。

 

 ツェルプストー辺境伯が新人発掘に動いてます。

 

 そうそう!

 

 貧乳ツンデレのベアトリスちゃんが、イザベラを通じてプロデュースを申し込んで来た。

 クルデンホフ大公国も、この流れに取り残されては不味いと思ったんだろう。

 元々は商業国家であり、後ろ盾のトリステイン王国がヤバいのを感じているのだろう。

 コレを機に、男の浪漫本産業に食い込みたいんだな。彼女には、貧乳教団のアイドルとして売り出す。

 既に彼女をモデルとしたフィギュアの試作品も完成。会報に予告も載せた。

 

 一度ゲルマニアでイザベラの親善を兼ねたファンの集いを開いて、そこでデビューさせる。

 

 さてガリア王女の妹分としてデビューさせたら……トリステイン王国はどう動くかな?

 ヴァリエール公爵が、何やら暗躍を始めたんだ。

 

「暫くトリステイン王国で騒ぎが有るが、関与しないで欲しい」こう連絡が有った。

 

 つまり騒ぎはこちらで抑えるから心配するな。そしてガリアやゲルマニアからの介入は待って欲しい。

 

 そう言う事だろう……

 

 今のトリステイン王国はボロボロだ。ワルド殿が魔法衛士隊の隊長を辞し、グリフォン隊からも賛同者が同行してしまった。

 アンリエッタ姫は演劇の件で、王立劇場の関係者と揉めている。やはり準備期間が短かったのだ。

 

 無理強いしても、出来ない物は出来ないだろう……

 

 ウェールズ皇太子や僕宛てに、招待状も先走って出したからね。

 劇場関係者に叱責したけど、彼らにも言い分が有りパトロンも居るんだ。

 パトロン達の面子も丸潰れだからね。これは、かなり揉めるだろう……

 

 ヴァリエール公爵、まさかヴァリエール王朝を興すつもりかな?

 

 エレオノール様がノリノリらしいが、カトレア様も暗躍してそうで怖い……最終的には烈風のカリンが、国家相手にも力押し出来るから厄介なんだ。

 

 あのチート義母上は……

 

 

 

 最終話・ツアイツ君のお気楽極楽転生らいふ?(後編)

 

 

 こんにちは!ツアイツです。

 

 午後はイザベラと2人で新しい……実は僕達が一緒に暮らそうと買った郊外の屋敷の周りが、空前絶後の開発を遂げている区画の視察です。

 最初は郊外で長閑な場所だったのです。

 

 しかし……

 

「巨乳派教祖とその奥方様方が暮らす場所!ならば此処は巨乳の聖地となるのです。いや、しなければならないのです!」

 

「変態と言う紳士達の集い・男の浪漫本ファンクラブ本部を建てましょう!此処が新たな性癖の発信地となるのです」

 

「イザベラ公式ファンクラブ本部も建てねばなるまい。古臭い劇場などでなく、コンサート会場を!」

 

 これにより、貧巨乳派連合本部に関連施設の新築ラッシュが始まった。

 都市区画整理を近代日本で学んだ僕が、必然的に取り纏めをしなければならなくなったけど……

 

「ツアイツと私の関連施設だけで、街が出来るとは驚きだよ!」

 

 全くその通りです。この街の区画構成は……

 

 

 通称「巨乳神殿」

 

 

 これは僕達の屋敷だ。厳選された巨乳美女・美少女が暮らす館。何故か購入時の面影も無い程、改修されてしまった。

 最奥のプライベートスペース以外は、本当に神殿みたいな造りだ。

 

 

「貧巨乳連合本部」

 

 

 教祖及び教団最高幹部が常駐し、関連事業の殆どの本部を集めた。此処は関連グッズの直売所や、オークション会場も備えている。

 あとはカタログ掲載のフィギュアが、全て展示してあるスペースが有る。等身大とか問題有りで非売品のフィギュアも此処で公開している。

 ファンは実物を見て購入出来る仕組みだ。

 

 

「公式ファンクラブ本部」

 

 

 主にイザベラ隊・ツンデレプリンセス隊及び蒼い髪の乙女隊。それと竜騎士団が主体となった護衛組織本部。

 何故か、ガリア王国両用艦隊司令部も隣接している。彼らは主に僕達の護衛や、この街の警備に当たっている。

 

 

「ガリア国立図書館」

 

 

 まんま現代の漫画喫茶をパクりました。有料の個室スペースを貸し出し、男の漫画本を読めるようにしました。

 併設で喫茶コーナーも有ります。巨乳美女・美少女にメイドの格好でウェイトレスをさせてます。現代のメイド喫茶ですね。

 これは幾つかのメイド作品のコスチュームを日替わりで着せてます。

 ある程度お金が有っても、メイドまでは雇えない平民達や、そこまで裕福で無く可愛いメイドが居ない下級貴族達に大人気。

 

 現代でも定番のオムライスにケチャップで文字を書くアレ!マナーに煩い貴族達だが、マナーに煩くないお店でしか出来ないアレ!

 大好評です。最後に、最近始めたエステ関連の施設。

 

 

「美乳の館」

 

 

 これは、公開した巨乳プログラムを始め美肌効果の有るエステ関連のサービスが受けられます。

 男性ばかりを優遇しては不満が募りますから……まだ上級貴族のご婦人方がメインですが、プラン内容をランク別にしてリーズナブルなコースもご用意。

 

 メインは巨乳化コースとアンチエイジングコース。

 

 どちらも凄い反響でした。しかし、効果を実感してしまうと継続的にサービスを受けなければならなくなる……ある意味、蟻地獄の様な酷いシステム。

 これらの施設の周りには、ここで働く人々の居住スペースを割り振り、彼らの生活必需品を商う商店街も出来ています。

 

 

 そしてグルリと城壁で囲んだこの街を誰が言い始めたのか「漢達の夢と浪漫の理想郷」と言われてます。

 

 

 正式名称は未だ無いのですが……

 

 

 

 働く人達に声を掛けながら歩いて行く。

 数人の護衛しか伴わず、しかも徒歩で視察する僕達に最初は皆さん恐縮しまくりでしたが、最近は少し慣れてくれたみたいです。

 此処で建設関係で働いている人達の多くは、ロマリアからの移民達……酷い待遇だった彼らは、生活の安定を求めていました。

 どんなに酷い扱いでも、ブリミルを信じている人達も多かった。だから信仰の自由を認め、安定した仕事と生活を提供したんだ。

 

 勿論ブリミル教が悪いのでは無く、現教皇と神官達が悪いと言って……だから彼らは、まだ敬虔なブリミル教徒なのだ。

 

 宗教とは根が深いね。

 

「僕もブリミル教徒です。しかしこのままではブリミル教は悪い方向に進んでしまう。

正しきブリミル教を後世に伝える為にも、腐敗した現教皇と神官を倒さねばならないのです!僕は、教皇と真っ向から戦うつもりです」

 

 彼らにリップサービスで言った、この一言がヤバかった……

 

 どん底の生活から、住居と仕事を与え人並みの生活が出来る様にしただけだ。労働力は幾らでも欲しかったから……

 しかし彼らは、僕をブリミルの再来とか、ブリミルの導き手とか騒ぎ出した。

 お陰でロマリアでも敬虔なブリミル教徒は、殆どが不正規だがガリア王国へ移民。

 確かに悲惨な生活の中でも、ブリミル教を信仰していた彼等は教皇や神官達に不信感を持っていた。

 腐敗した彼等が、ブリミル教の神官で有る事が我慢出来なかったのだろう。

 

 しかし反発しても酷い目にあうだけ……生活が苦しいのに、反抗する気力も無かった。

 

 ただただブリミル様に祈るだけ……そんな時に、僕が現れたのだ。

 

 彼等からすれば救世主なんだろう。これでロマリアの力を削いでいるが、同時に完全に敵対した!

 

 十年計画だったが、短期決戦になりそうな予感。しかし負ける事はないだろう。

 妙に熱い視線を送り、跪いて拝み出す彼等に手を振りながら自分の屋敷へと歩いて行く。

 

「現人神だねツアイツ?巨乳神を崇めるアンタがブリミル教徒に崇められる……どうなっちゃうのかね?」

 

 巨乳神>現人神>ブリミル教徒+大きなお友達?何なんだ?このカオス図式?

 

 因みに何故か彼等ブリミル教徒にとって、貧巨乳信仰は受け入れられている。ホモなんかより、健全な事だから……

 多少苦笑い的に言われたが、彼らだって美女・美少女は大好きだ!自分達の妻や娘や恋人が綺麗になる可能性が有るなら大歓迎だそうだ。

 ロマリアに平民が居なくなるのも、そう遠い話では無いかもね。

 

 

 

 

 神殿部分を通り過ぎて、プライベートスペースへ。

 

 屋敷の正門に来た所で、着ぐるみの何かにぶつかった!

 

「ツアイツお兄ちゃん!遊びに来たよ」

 

「ツアイツ様、お久し振りです」

 

 ぶつかったのは、エルザとジョゼットだ。日の光に弱いエルザの為の特注ウサギスーツをジョゼットも着ている……

 

「2人共、お久し振りだね。君達が居るって事は旦那さん達も来てるのかい?」

 

 ヨシヨシと頭を撫でながら聞いてみる。

 

「「ツアイツ殿!お久し振りです」」

 

 風のスクエア・ロリコンコンビが出迎えてくれた、ダッシュとサードも一緒だ。

 

「カステルモール殿!出向ご苦労様です。アレ?ワルド殿、髭が……」

 

 トレードマークの髭が、綺麗に無くなっている。ワルド殿はスッキリした顎を撫でながら苦笑いだ。

 

「いやジョゼットがダッシュ達と見分けがつかないと……それに髭を剃った方が格好良いからと……」

 

 ジョゼットと2人、真っ赤になりながら説明してくれた。エルザは、カステルモール殿の背中に張り付き笑っている。

 

「はいはい。御馳走様でした。さぁ屋敷に入りましょう」

 

 屋敷の扉を開けると、吹き抜けのロビーから見える螺旋階段からルイズ達が走ってくるのが見える。

 

「そう言えば明日は虚無の日で、今日は早めに帰るっていってたね」

 

 イザベラが僕の腕を組ながら、彼女らに笑いかける。学院から帰ったばかりなのか、真新しい制服を来た婚約者達を可愛いと思う。

 

 嗚呼……幸せだな僕は。

 

 おっぱいと勢いだけで駆け抜けたこの10年……気がつけば、最大国家の次期王様だ。

 

 周りには信頼出来る趣味友達に囲まれている。

 

 美しく有能な共犯者の妻と、ひたすら愛情を向けてくれる巨乳美女・美少女婚約者達。

 

 

 僕の幸せは、此処に極わまった!

 

 

「ただいま、みんな!」

 

 

「現代人のお気楽極楽転生ライフ」ここに完結とさせて頂きます。

 

 

 最後まで、この変態おっぱい小説にお付き合い頂き本当に有難う御座います。

 

 この作品は……何となくお分かりの方も居るかも知れませんが、原作の悪役や不遇な人々を如何に輝かせるか、活躍させるか。

 それが裏のテーマでした。

 

 原作者様は敵役や悪役を本当に憎らしく表現されてます。そんな彼ら。

 具体的には、召喚され強制的に使い魔にさせられ、献身的に尽くすも報われず心中するシェフィールドさん。

 サイトの成長の踏み台としてしか、中ボスとしてしか扱われないワルド殿。

 下手したら、ヒロインのルイズより人気が高いタバサの対比として扱われるイザベラ姫。この三人の救済がしたかったんです。

 

 ぶっちゃけると、主人公側の原作キャラは殆どの二次創作でも普通に幸せなラストを迎えられるじゃないですか!

 

 この作品でもツアイツ君のハーレム要員として、一応のハッピーエンドですが……余りこの三人が幸せな二次創作は少ないです。

 それで、無いならば自分で書けば良いじゃん!それが、この作品です。

 

 プロットでは此処まで長編にする予定では無かったのですが、話に肉付けをしていくと続く続く……中々最後のイザベラ姫まで辿り着きませんでした。

 

 後半はイザベラ姫一色でしたが……しかし本人はとても楽しく書いていました。好きだから、楽しいから続けられる。

 ならば完結まで書き切ろう。毎日連載しよう。

 

 小さな目標でしたが、本当に毎日連載し完結出来て良かったと思います。

 

 

※このお話はもう少しだけ続きます。

 


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