現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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ゲルマニア帝国秋葉原化計画(前篇・中編・後編)

完結後リクエスト外伝・帝政ゲルマニア・秋葉原化への道(前編)

 

 ハルケギニアでは、始祖の血を引かぬ都市国家群を纏めあげて成り立った帝政ゲルマニア。

 

 一代で登り詰めたアルブレヒト三世。

 始祖の血を引かぬ故に、閣下と呼称され他の四国家から一段低い評価を下された……

 

 突き抜けたガリア王国。

 内乱を経て国が強固に纏まったアルビオン王国。

 

 先行きの不透明なトリステイン王国。

 そして始祖の弟子の子孫達のロマリア連合皇国。

 

 ゲルマニアは国力のみで見れば、ハルケギニアで第二位の地位に居る。

 しかし、ブリミル万歳のマンセー大陸では血筋こそ尊まれていた……つい最近まで!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「認めん!俺は認めんぞ。何故だ……何故、俺のゲルマニアが!

俺の半生を費やしたゲルマニアが……貧乳教の聖地なのだ!

ああ?

ハルケギニア観光スポット第二位、ハーナウ領サムエル愛の資料館!

第八位、ヴィンドボナの貧乳神殿(漢の浪漫本ファンクラブ貧乳支部)って何だよ?

ああ、俺の国だよな?なぁ?ツェルプストー辺境伯?ハーナウ卿?」

 

 アルブレヒト三世は荒れていた!

 

 自分が作り上げた国が、勝手に聖地認定された。あまつさえ貧乳信者の聖地として。

 

「お前達の息子が所属する国が、何故アヤツの信奉する乳の……

巨乳の国にならんのだ?俺は貧乳も好きだ。しかし、巨乳はもっと大好きなんだよ!」

 

 ひたすら平伏する2人……

 

「閣下、お怒りはごもっともです。なれば、閣下が主体となり新しい神殿の建築を指揮なされてはどうかと……」

 

「我がツェルプストー一族の巨乳達をそこで働かせますので……リーケ達三人を筆頭に」

 

 アルブレヒト三世は、この提案を吟味する……

 

「俺が……俺の為の神殿か……神殿、くっくっく!お前ら、俺も対ロマリア戦に巻き込むつもりか?」

 

 神殿と言えばブリミル教……しかし今、神殿と言えば、貧乳・巨乳・美乳神殿の事を指す。

 正式名称はブリミル教に配慮して違うが、周りはそんな事はお構いなしだった。

 

「その様なつもりはありません」

 

「そうです。しかし一度流布された噂を上書きするには……」

 

「その案乗った!

しかし費用はお前らが出せよ。場所は提供してやる。それと……主祭巫女はキュルケだ。ツェルプストー一族で周りを固めろ。

サムエル!

息子に連絡して、暫くコッチに来させろ。ガリアばかりが巨乳の聖地だと!

フザケルナ!ウチはサムエルとツアイツの二枚看板の筈だ。これを期に巻き返しを図るぞ」

 

 既にアルブレヒト三世の心の中では、始祖の血を取り入れる事に対する執着は薄い。時世は、オッパイ一色になりつつある。

 ならば、ブリミルマンセー時代は最下位だったゲルマニアが……オッパイならトップを取って当たり前。

 何故なら、貧巨乳連合の教祖が2人共所属する国なのだから……

 

 ハルケギニア一番の評価を受けるに値する国でなければならない。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ツアイツのオヤジ2人……宛がわれた部屋で一休みしていた。ソファーにだらしなく座り込む……

 

「閣下があそこまで拘るとは巨乳……」

 

「全くだ!良いではないか貧乳……」

 

 国家を上げての一代イベントの責任者に名指しで指名されたのだ、プレッシャーが凄い。

 

「良かったではないか!お前の一族が巨乳神殿を任されたんだよな。俺は貧乳派だから無理だし……」

 

「確かに建設費用は持たされたが、ゲルマニア国内で閣下の派閥に明確に組み込まれた……

今更だがな。お前は良いよな。息子に、ツアイツに押し付ければお終いだろ?」

 

 未だに国内の纏まりに不安が有るゲルマニア。ここで巷で話題のオッパイダブル教祖がアルブレヒト三世の下に集う。

 これに意味が有る。

 

 閣下は、女性の好みには煩いが制限は少ない。美しければ、貧でも巨でも幼女だって喰える漢だ!

 つまり貧乳でも巨乳でも構わない。今は国内が、貧乳に傾いている。

 

 それに目を付けたアルブレヒト三世は、イチャモンを付けてツアイツを……巨乳派閥の取り込みも実行する。

 貧乳も巨乳も取り込み、国家の強化と結束を図る。

 

 序でにガリア王国の次期王たるツアイツが、ゲルマニアに入り浸たる……外交的にも意味が有る。

 

 ロマリアに配慮するより、実入りはデカい。

 

「「上手く閣下にやられたか!まぁ我らにも都合が良いから問題無いけどな……」」

 

 流石は一代で国を纏め、一族を幽閉してまで登り詰めた人物だけの事は有る。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 プリンセス・イザベラ号!

 

 最近、外遊にばかり使っている気がするガリア最新鋭大型戦艦。今回はキュルケと2人、祖国に向かっている。

 

「ツアイツ……お父様達からの急な呼び出しって何かしら?私も一緒にアルブレヒト閣下に謁見しろなんて……」

 

 甲板に並んで立って祖国を……ヴィンドボナを見下ろす。暫く見ない内に賑やかになっている。

 

「アルブレヒト閣下が、ゲルマニアが貧乳の聖地化した事にキレた……だから僕達が出張って巨乳派閥を盛り返す。

それは建て前でも有ると思うよ、アルブレヒト閣下は強かだからね。

ゲルマニアの貴族達を上手く纏める為に僕等を呼び出した……

ツェルプストーとハーナウの両家が、より親アルブレヒト閣下派閥で有る事を国内外にアピール。

序でに次期ガリア王の僕がゲルマニアに来る事が。閣下の呼び出しに応じる事に意味が有る……分かるかい?」

 

 可愛らしく指を顎に当てて考える。

 

「ウチの閣下の地場固めに利用された、かしら?」

 

「それも有るけど……

ゲルマニアとガリアの関係が蜜月なのは良い事だよね。

ただ今の僕の立場は、次期ガリア王で有り現ゲルマニア貴族……この先の関係を円滑にするにも意味が有るよ。

それにアルビオン王国とも婚姻外交を結ぶから……これで閣下の地盤は安定すると思うよ」

 

 キュルケの方を見ず、正面を向いて話す……

 

「……ツアイツは、閣下との関係を重要視してるのね。今のツアイツの立場をもってして、閣下の呼び出しに応えるんだもの」

 

 今度はキュルケの方を向いて

 

「元々僕はゲルマニアの貴族だからね。父上達の立場も有るし……僕は閣下を嫌いじゃないからね」

 

 貴族の義務、父上達の立場……そして僕にも祖国に対する愛着が有るから。キュルケがそっと手を握ってくる。

 

「僕達の祖国を一緒に繁栄させよう!」

 

「くすくすくす……そうね。私達の大切な国だもんね」

 

 さて、どうするか?ゲルマニアが、これは一番と言う特徴を持たせた方が上手く行くよね……何にしようかな?

 

 

 

完結後リクエスト外伝・帝政ゲルマニア・秋葉原化への道(中編)

 

 

 久し振りにゲルマニアの地を踏む……プリンセス・イザベラ号を降り立って迎えてくれたのは、父親達だった。

 

「ツアイツ……久し振りだな。噂は聞いてるぞ!

お前がガリアとアルビオンで派手にやったから、こっちはとばっちりだな。責任取れよ、この野郎!」

 

「サムエルも趣味に頑張り過ぎて、この様だ……ツアイツ、ゲルマニアもバランス良く発展させて欲しい」

 

 ゲルマニアは、ハーナウ領を擁するチッパイの聖地として有名だ……だって母上がいて、ジョゼットにエルザも居る。

 ハーナウ領はチッパイ好きの天国だろう。彼女達が居る限り、貧乳派達が集まるのは仕方ない事だった。

 

「久し振りに会ったのに、いきなりソレですか?

そもそもワルド殿達とカステルモール殿が居るんですから……父上を含めて上位三人が集まって何したんです?」

 

 貧乳ラブな三人が……ハルケギニアのトップ3が集うハーナウ領の発展は凄い!

 

 貧乳ラブ的な意味で!

 

 いや貧乳命と言って良い連中が、タガを外して頑張ったのだから。

 

「……いや、趣味友達が集まったら閣下がキレた。そもそも棲み分けたじゃんか!ガリアとゲルマニアで」

 

「だって僕がルイズ達を全員連れて行ったら……残りのメンバーは殆どが父上の派閥じゃないですか!

しかも父上は、ワルド殿達とカステルモール殿を誘致したじゃん!どんだけ貧乳派が集まったのさ?」

 

 2人共黙り込む……棲み分け!

 

 主要メンバーがキッチリ別れたので、各々が独自の方向性で突き進むのは必然だった。

 

「ツアイツ、義父様……今は言い争いをする時では有りません」

 

「そうだぞ!こんな所で、貧巨乳派閥の教祖がいがみ合っても仕方あるまい。先ずは、どうするかだ!」

 

 ツェルプストー辺境伯がキュルケを伴い、先に歩き出した。慌てて追い掛けるオッパイ親子。

 歩きながらでも、互いの脇腹を突っつき合ったりと微笑ましい親子喧嘩をしていたが……

 王宮内の、ツェルプストー辺境伯に割り当てられた部屋に入る。

 

 中々に豪華な室内……

 

 部屋付きメイドが、直ぐに皆の紅茶を淹れてくれる。久し振りにゲルマニア産の茶葉の香りを楽しむ……

 

「父上。アルブレヒト閣下は、僕に巨乳派連中を閣下の派閥に組み込む工作と……

ハーナウ・チッパイ一族に対抗してツェルプストー・オッパイ一族で巨乳神殿を作れって事ですよね?」

 

 閣下の腹の中は多分そうだ……配下の二大勢力が、協力関係を持ちつつ対抗意識を持たせる。自身はアルビオン王国の取り込みに腐心する。

 

「そうだな……序でに私達にも対抗意識を持たせるのだろう巨乳」

 

「全く油断無い方だ貧乳」

 

 既に父上達の中でも、デッカいのとチッチャいので棲み分けが出来てるのか?

 

「父上……僕は義父上と巨乳神殿を造り、巨乳派閥を盛り上げます。キュルケも協力頼むね。其方は、貧乳派閥の取り纏めを……それと、1つ提案が有ります」

 

 ニヤリと笑いかける……

 

「ツアイツ?協力は構わないわ。元々その為に来てるのだから……その笑いは、悪巧みの時に浮かべるヤツよ。ちょっと怖いわ……」

 

 キュルケがドン引きだ!

 

「「何だ?また企みか?」」

 

 全く失礼な三人だ!僕は皆の事を考えているのに……

 

「臣下として閣下の考えに沿うのも良いのですが……最悪、我らの仲違いや力関係のバランスを崩す事も考えているでしょう。

ガリア王国から僕がツェルプストー辺境伯の側に……巨乳派閥の取り纏めをする。

 

 なればイザベラをハーナウ伯爵の側に。彼女と……期待の大型新人のプロデュースと発表の場を与えて下さい」

 

「大型新人?貧乳っ娘か!」

 

 父上、喰い付く所が違います。

 

「此方は、キュルケを主祭巫女として祭り上げる。サムエルの側にも、か……

しかし、既に三人も居るぞ。アデーレ、ジョゼット・エルザと……これ以上の強化は、閣下の不評を買わないか?」

 

 確かに母上達は、強烈なカリスマだ!しかし、皆さん人妻なんですよ……

 

「要はガリアが、アルブレヒト閣下側だけに尽力してない事を匂わすのです。

ガリアはゲルマニアとの友好に力を入れている。でも次期トップは……

表の僕は、前に仕えていた閣下に。裏のイザベラは、僕の実家のハーナウ家に。それぞれ力添えをする。どうですか?」

 

 これなら両方に対して協力しているから、どちらの勢力にも話を通し易い。

 

「ガリア王国の表裏が、各々の側に力を貸すか。それなら……どちらかを一方的にどうこう出来ないな」

 

「しかし、ガリア王国の表裏はゲルマニアに力を貸している。対外的には友好関係を結んでいる様に見えるな」

 

 父上達は納得した様だ……

 

「ツアイツ?でも、それって私がデビューする時に対抗馬を作るって事よね。

大型新人……私、別にイザベラ様やテファみたいにアイドルになりたい訳じゃないけど、何か納得出来ないわ」

 

 巨乳派の神殿にキュルケが祭られるのを分かっているのに、対抗馬を作るのに納得出来ない、かな?

 

「だってキュルケは僕の奥様だからね。余り騒がれるのは嫌だ!

ジョゼット達だって旦那が居るし……ここは独身女性に華を持たせようよ。ツェルプストー一族の巨乳娘さんと、新人さんにさ……」

 

 こうしてゲルマニアでの漢の浪漫本ファンクラブの活動は開始された……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 さて……巨乳神殿自体の建設は問題無いだろう。しかし、巨乳の民を呼び込む事が難しい。

 

 主祭巫女キュルケ……

 

 彼女の魅力は何だ?紅い髪に褐色の肌。

 

 そして、ナイスバデー!ナイスバデー!大切だから二回言ったよ。

 

 確かにテファの胸は神がかっている。信じられない程の巨乳だ!

 しかしキュルケはサイズこそ一歩劣るが、バランスが凄い。

 そして肌を余り晒さない衣装を好むけど、デザインはボディラインを強調し何とも言えない色気が有る……

 

 フェロモンが凄いのだ!

 

 そして、ツェルプストー一族もそれに準じている……ムンムンな一族だ!

 

 彼女達の魅力を生かすのは、ジェームズ・コレクションと同じ様にファッションショー形式が良いだろう……

 ならば舞台の配置や演出効果に力を入れよう。ハルケギニアの一般的な劇場は、舞台と客席が分かれている。

 それを客席の真ん中にステージを伸ばし、そこをパリコレ宜しく歩かせる。

 後は歩き方やポーズ等を考えていけば、ハルケギニア初のファッションショーになる筈だ!

 

「キュルケ!皆を集めて特訓だ。歩き方やポーズを色々考えよう」

 

「はいはい……何か閃いたのね?最後までお付き合いしますわ。旦那様!」

 

 キュルケが僕の腕に抱き付きながら答える。さて、祖国と僕達の為に頑張りますか!

 

 

 

完結後リクエスト外伝・帝政ゲルマニア・秋葉原化への道(後編)

 

 

 ヴィンドボナ郊外に新築された巨乳神殿。時代の先端を突き進む、若き漢達の情熱と妄想の産物!

 己の性癖を具現化した建物……

 

 正式名称は「漢の浪漫本ファンクラブ・ゲルマニア支部」だが、彼らの中では巨乳神殿だ!

 

 ツアイツ監修の下、ツェルプストー辺境伯とハーナウ伯爵の領地から精鋭達を集めて、僅か2ヶ月で作り上げた漢達の夢の城……

 神殿建設の傍ら、キュルケ達ツェルプストー一族の女性達がモデル宜しく訓練に励んだ。

 準備万端整えた今日の御披露目には、ハルケギニア初となる本格的なファッションショーになるだろう……

 完成記念の御披露目には、アルブレヒト閣下を始め帝政ゲルマニアの主要な貴族達が列席!

 噂を聞きつけた、アルビオン王国のウェールズ皇太子も招待する前に問い合わせが有った。

 

 彼はアルブレヒト閣下の娘(達)と正式な婚姻を結ぶ為に、帝政ゲルマニアに国賓として招かれた。

 既に閣下とは、打ち解けた雰囲気で雑談をしている。この様子は、周りの連中も伺っている。

 対外的にも国内の貴族達にしても、ゲルマニアとアルビオンの繋がりは強固だと認識しただろう。

 

 アルブレヒト閣下の企みの1つは成功だ!

 

 後は親アルブレヒト派ではない連中と、貧乳大好きな連中への対応だ……この御披露目には、閣下に良い感情を持ってない連中や過激な貧乳派も居る。

 棲み分け論をイマイチ理解してない、困った連中だ。

 

 まさかオッパイでテロ行為は行わないと思うが……組織が大きくなれば、膿の様な連中も出てくるから注意が必要だ!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 いよいよ御披露目の始まりだ!

 

 先ずはアルブレヒト閣下からのお言葉を頂く。壇上に立ち、周りを見渡すように首をグルリと回す……

 

「諸君!

我が帝政ゲルマニアが、ハルケギニア中に誇るべき施設が完成した。俺は、この神殿の完成と共にアルビオン王国との婚姻外交を行う!

この会場に、アルビオン王国のウェールズ皇太子も駆け付けてくれた。アルビオン大陸は、先のブリミル司教の反乱により一時は危険な状態だった。

しかし……不死鳥の如く蘇れたのは何故だ!それは国家のトップの決断による物だ。かの国は、浮遊巨乳大陸となった。

ならば!俺の国はどうする?それは、巨乳と貧乳の棲み分けの地とするのだ!

断じて帝政ゲルマニアは、貧乳の聖地では無い。だけでは無いのだ!此処に帝政ゲルマニアは、貧乳・巨乳の棲み分けの地を宣言する」

 

 そう言って、閣下は演説を締め括った!

 

 観客の反応は凄まじい物だった。彼らはアルブレヒト閣下が貧乳派閥を蔑ろにして、自分の好きな巨乳派閥で固めるのでは?と危惧していた。

 

 しかし国家のトップが棲み分け論を宣言した。流石は貧巨乳派教祖を2人共擁する国だと!

 いがみ合う勢力を共に認め合う関係にしようと!全てのオッパイを受け入れる度量を示したアルブレヒト閣下の株は鰻登りだ!

 

 会場が割れんばかりの歓声の中、いよいよキュルケ達の御披露目が始まった……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 場内に扇情的な音楽が流れる……

 

 ライトの魔法を改良したスポットライトが壇上を照らす!

 そこには肌は極端に晒さないが、体のラインを強調したデザインのドレスを着込んだキュルケが現れる!

 会場からキュルケコールが始まる。

 

 彼女はゆったりと、それでいて強烈な色気を醸し出す仕草で客席の中央に設えたステージを歩いて行く……

 

 観客は、彼女の仕草を漏らさず見ようとガブリ寄りだ!そんな観客席に、纏っていたショールを投げ入れる。

 皆の視線が集中するソレは、アルブレヒト閣下の手元へ……皆のため息が漏れる。

 

 主祭巫女キュルケ!

 

 彼女のデビューは鮮烈を極めた……その次は、ツェルプストー一族から紅い髪の三姉妹の登場だ!

 ヘルミーネ・イルマ・リーケのツェルプストー三姉妹が順番にステージに現れる。

 

 元々彼女達は、フィギュア「紅い髪の戦女神シリーズ」他で人気が合った!

 

 しかしカタログ販売のみで実物の彼女達に接する機会が無いに等しかったのだが、今回は巨乳巫女として公の場に現れた。

 その情報は事前に会報で流れていた為か、この機会に是非ともお知り合いに!

 

 そんな気持ちを持った漢達が多く詰め掛ける。

 

 ステージでは、お色気満載の彼女達のパフォーマンスに皆が釘付けだ!

 ヘルミーネ達も、それぞれのフィギュアの衣装を纏い皆の歓声を受けている。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ステージの成功を確信してから、舞台の袖から主賓の席に挨拶に行く……

 

「閣下……どうでしょうか?今回の御披露目ステージは?」

 

 満足気にステージ前の特設席に座ったアルブレヒト三世に話し掛ける。

 

「うむ!俺の国なら、やはりコレだな。皆も満足してるだろう?」

 

 周りを見渡しながら答える。貧乳派の連中もステージを見て、それなりに楽しんでいるみたいだ。。

 

「閣下……巨乳派閥の連中の取り込みは、上手く行くでしょう。彼らは、この神殿を中心に勢力を伸ばします。しかし……」

 

 棲み分け論を宣言した閣下だが、彼の理想を理解しない連中との反発が生じる可能性が有る。

 特に一部の貧乳派閥は不満そうだ。彼らは閣下の言葉を信じきれず、このまま貧乳派が粛清されるのかと危惧している……

 

「周りに居る不機嫌な連中の事か?」

 

 やはり気が付いているのか……閣下に対する小さな不満だが、纏まれば大きな不満に発展する。

 

「そうです。貧乳と巨乳は表裏一体・光と影……どちらかが欠けても、その真価は発揮されません。

それをご理解した閣下の棲み分け論宣言。流石としか言いようが有りません」

 

 しかし全ての漢達が、その崇高な志を理解しては居なかった。

 

「……だが、どうする?お前には考えが有るのだろう?俺の国、帝政ゲルマニア……お前なら、どう纏め上げる?」

 

「閣下の巨乳神殿は大成功です。ならば貧乳の方にもイベントを行い、閣下がそれを推奨する。

つまり棲み分け論を宣言したならば、次は貧乳派閥への配慮を明確にして双方の取り込みを行うのはどうでしょうか?」

 

 一方にだけ偏るから、反発が生まれる。ならば、双方楽しくやれば良い。

 

「そうだな……貴様のオヤジなら何か考えているのだろう?」

 

 ステージを見詰めているが、気持ちはその先を見据えていた。

 

「アルビオン王国、ガリア王国……国交は成功です。もう1つの国とも国交を結びませんか?」

 

「もう1つ?トリステイン王国か?あの国との外交にメリットは無いな……」

 

「違います。イザベラが仕込んでいる娘が居るのです……」

 

「トリステイン王国以外……そうか!あの商業公国か」

 

「クルテンホフのベアトリス姫殿下……中々のツンデレ妹属性かと……」

 

 ニヤリと笑うツアイツ。それを同様の笑みで返すアルブレヒト閣下……

 

 彼らの帝政ゲルマニア秋葉原化計画は、始まったばかりだった!

 


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