現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

9 / 111
マチルダ&ティファニアルート第1話から第3話

マチルダ&ティファニアルート第1話

 

 おはようございます、ツアイツです。

 

 ん〜目が覚めてしまったけど早朝と言うかまだ2時間位は寝れるかな、段々と原作の出来事が前倒しになっていく気がする。

 物語の中心が自分になっていく感覚も有る……まさかね。

 

 僕はあくまで脇役で物語の中心はルイズとサイトに……と考えていた。

 

 しかし現実はシエスタをフライングゲットした事でモット伯のイベントが一年繰り上がり僕に関係のあるソフィアが拉致の対象になってしまったり…

 良く聞くバタフライ効果とか世界の修正力とかか?今はまだレコンキスタは台頭していない。

 

 アルビオンも表向きは平穏だ。逆に原作知識を生かしこちらが買占めや備蓄などを進めているぐらいだ。

 ヴァリエール公爵にもツェルプストー辺境伯にも父上にもこれからのアルビオンの内乱の件は話していない。

 結果を知っているから今はそれを説明・説得する為の証拠集めの最中だ。

 

 ラグドリアン湖の増水イベントが発生すれば経過状況は掴めると思いモンモランシ家に商売の交渉を始めた。

 交渉が成功すればかの地に確認に行く事が出来る。

 水の精霊との接触は危険だ、転生の秘密がバレれは異端扱いだろうし自身の人格が持つ自信が無い。

 僕は心を覗かれても平穏で居られるほど超人でもなんでもないから。

 

 下手をすれば廃人か……駄目だデメリットだけが大きすぎる。

 

 ワルド子爵……こいつが一番の難解と言うか、難敵と言うか、ワルドの奴ヴァリエール公爵経由でウチの父上に接触をして来た!

 

 しかも趣味友として父上と懇意にしている、これの原因も僕に有る。

 

 父上が余りに五月蝿いので何冊か渡した前世の物語のパクリでチッパイロリ系やチッパイ妹系のを……だ。

 

 例えば「はやてのごとく」などまさに貴族のチッパイロリヒロインとその従者の物語になるし「こどものじかん」の舞台を魔法学院に変えればアラ不思議!

 

 年上貴族教師とロリっ子生徒のオンパレードだ。

 

 これを他の人には見せないと約束させ何冊か執筆して渡して有ったのだが、同好の士の結束とは息子との約束などすっ飛ばして互いのコレクションを自慢しあった結果!

 

 終にワルドの懇願に負けて屋敷内でのみ閲覧を許可したうえで著者が僕と教えたんだあの糞親父(怒)

 

 彼の行動は早かった、父上を通じて正式に面会を求めてきたのだ。

 

 これは断れないと言うか断る理由が無い、まさか正式な会見で暗殺などの心配はないだろう。

 

 しかしヴァリエール公爵らにバレると色々問題が出そうなので今日の午後に僕の屋敷に招待している。

 王宮勤めで忙しい筈だが偏在を使って偽者をよこせば問題ないと言う訳だ。

 腐っても原作の中ボスクラスだし固定砲台の僕と機動戦の彼とでは戦闘面での相性は悪いだろう。

 

 だけど会見場所が僕のテリトリーなので対策は練ってあるから簡単にはヤラれないさ。

 彼の本当の目的が分からない限り油断は出来ないから……

 

 

 

 

 ドアがノックされソフィアが入ってきた。

 

「失礼します。お早う御座います、ご主人様」

 

 ソフィアが起こしに来てくれたので思考から引き戻される。

 

「おはようソフィア、良く寝れたかい?」

 

 時間ピッタリに来たソフィアに声を掛ける。

 

 

「はい、前と同じ部屋を使わせて貰えましたので……では準備しますね」

 

 

 ソフィアとは2人の時は敬語はなるべく控えて貰うようにお願いをしてある。

 手際よく洗顔の準備や着替えを用意してくれる、その手際や甲斐甲斐しさも含めて専属メイドにして正解だったと思う。

 

「今日は予定通り屋敷の方に仕事に向かうよ」

 

「わかりました、御者は私が出来ますからそれで良いですか?」

 

 使用済みのタオルや着替えをテキパキとまとめて聞いてきた。

 

「折角だから馬車の中で話しながら行こう。だから御者の手配も一緒にお願い」

 

「はい。楽しみです」

 

 嬉しそうに返事をしてくれた。

 

 行きの時間である程度の雇用条件を説明し後はエーファに引き継げば問題ないだろう、さてそろそろ食堂に行こうかな。

 

 

 

アルヴィーズの食堂にて

 

 

 まだ朝も早い為か席もそんなに埋まっていない。見回すと……ルイズが両手を振って全身でアピールしている。

 

 キュルケとモンモンが一緒か、今日は女性陣と一緒に食べよう。

 

 席に着くと直ぐに料理が運ばれてくる、この辺の待遇の良さは日々の努力で厨房の皆と仲良くしてるからかな。

 好感度の上昇とは日々の努力が必須なのですよ。

 

「「「おはようツアイツ」」」

 

「おはよう。折角の休みなのに早いね」

 

「今日は皆でトリスタニアに遊びに行くのよ」

 

ルイズ初めての友達とお出掛けか?

 

「私は新作の服が欲しくてね、ツアイツのお好みの服が有ればリクエストしてね」

 

 流石はキュルケこの辺は原作に近いね。

 

「私は作り貯めた秘薬を売って秘薬の材料を調達しにいくの」

 

 モンモンは良い嫁になるよね。

 

「僕は屋敷に仕事をしに行って来るよ。夕食迄には戻るけどね」

 

 ふぅと溜息と共に言う。

 

「早くから領地経営に参加するのも大変ね」

 

 お金の苦労を知らないルイズとキュルケはただ大変なのねって感じだが既に家計の手助けをするモンモンはその真の大変さを理解していた。

 ぶっちゃけ金が無いのは首が無いのだ。

 当然、成功をし続けるハーナウ家と赤貧に喘ぐモンモランシ家との違いは有るが……

 

「ツアイツには領地経営のレクチャーをして欲しいわ切実に……」

 

 モンモン真剣です。

 

「実は先日モンモランシ家には商売の交渉に行ってるんだ。

ヴァリエール家経由だけではこちらの生産力に余裕があるから新たな販売ルートを探していてね。良ければ実家に助言して欲しいな」

 

「それはウチだけじゃ駄目なの?」

 

 ルイズは独り占めとかでなく純粋に疑問で聞いてくる。

 

「ゲルマニアから関税無しでトリステイン国内に物資を流通させるって事は大変なんだよ。

一見、ヴァリエール公爵はウチから安い商品を転売してるだけで大儲けって思うけど実際はこの国のギルドの既得権の調整やらなんやら結構大変な筈だ。

 

 まぁ商品リストは多いので駄目な物はパスして折り合いの付く商品を探せるだけの交渉力と多少の無理を押し切れる力のある大貴族に限るけどね」

 

 モンモンは真剣に考えている。

 

「分かったわ。実家に手紙を送っておくわ。出来れば一度お父様に会って話して欲しいわね」

 

「僕だけでなく担当者も連れて行くよ。商品サンプルとかも有ったほうが分かりやすいから」

 

「それもだけど領地経営のレクチャーの方もお願い。お父様にも私にも他国の考えややり方は参考になる筈だし。そちらの方が大切な気がするわ」

 

 モンモン中々考えているね、基本的にこのトリステイン貴族の領地経営はザルが多い気がする。

 

 下手すれば家臣任せで一定額の納税が有れば納得してしまう程に……

 

 収支のバランスも考えない無茶な浪費をしては増税とか簡単にするからね。

 はたしてモンモランシ伯爵がどれだけの人物なのか想像がつかないけど見極める意味で一度会うのもよいだろう。

 

「じゃ今度モンモランシ伯爵に日程の調整をして貰えるかな?その時に見せられるレベルの資料でも良いから集めておいて」

 

「資料って?」

 

「収支報告書とか人口分布・特産品・出入りの有力商人リストなんか有ると説明しやすいかな」

 

「分かったわ、集める様に行っておくわ」

 

 あれ?結構まともな経営してるのかな?

 

「ではお出掛け楽しんでね。僕は仕事に行ってくるよ。」

 

 さてソフィアを待たせる訳にもいかないからそろそろ支度しようかな、久しぶりにナディーネ達の顔を見るのが楽しみだ!

 

 

 

マチルダ&ティファニアルート第2話

 

 

 待ち合せ場所に行くと既にソフィアが待っていた。

 

「ごめん遅れちゃったかな?」

 

 まだ15分位前の筈だけと、男は女を待たせたならこう言わなければならないのだ。

 

「いえ今来たところですから」

 

 ソフィアがにっこりと言ってくれた。

 

「何かデートみたいな会話だね」

 

「えっ……そんな私となんて……」

 

 からかい過ぎたのか真っ赤になって下を向いてしまった。

 

「そろそろ乗って下さい」

 

 手綱を握るのは……あれ?ロングビルさん!ナンデがくいんひしょガイルノカナ?

 

「えっと、まだお名前は伺ってませんが学院長室に居た秘書の方ですよね?」

 

「はい、ロングビルと申します。一寸お金が必要なので御者のお手伝いもしています」

 

 たしかにロングビルはフーケ討伐の時に御者をしていたがなにか怪しい、いや僕が怪しいと思って調べにきたか?

 

「それは態々大変ですね、では今日はお願いします。夕方には戻る予定ですが待ち時間は当家に滞在しますか?」

 

「出来れはお願いします、では出発しましょう」

 

 ニッコリと微笑んでくれる、凄い猫被りっぷりだ。悩んでも仕方ないので取り敢えず出発する。

 

 

 

 馬車の中では貴族用の馬車に乗った事がないのかソフィアが落ち着かない様子だ。

 

「そんなに緊張しないで楽にしてよ」

 

「いえその初めてこんな立派な馬車に乗るので落ち着かなくて……」

 

 うーん初々しいのう。

 

「じゃ着くまでに雇用条件書の説明をするから隣に座って」

 

「えっ?あの……おおお、お邪魔します」

 

「さぁさぁもっと近くに寄って!」

 

「は……い」

 

※ツアイツ悪代官気分満喫中です。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 何をやってるのかねぇ?

 

 最初の遣り取りだけ聞いていると完全にスケベ貴族と見初められた村娘みたいなシュチュだね。

 メイドも嫌がってないしもしかしてこいつら最初からデキていたから助けに行ったんじゃないのかい?

 

 あっ大人しくなったけど、もしかして始めちゃってないよねぇ……ナニを?

 

 そこから零れてくる言葉は……驚愕だったよ、嬌声では無かったよ残念ながら……ゲフンゲフン。

 ハーナウ家の雇用条件とは破格の内容だったね。

 

 終身雇用って60歳まで雇ってくれて毎年、お給金が上がり年に2回の特別支給金が有るんだって。

 福利厚生って病気の時の医療費の殆どを負担してくれてお給金の貰える休みや時間外手当てって所定の時間以上に働くとその分のお給金が別に貰えるんだ。

 

 衣食住完備で支給品には制服やらなんやら色々無料で貰えるんだ、すごいの一言だね。

 

 しかもこれ妾じゃなくて一般の使用人にだよ、特に驚いたのは被雇用者の保護の件。

 

 専用のメイド服にはハーナウ家の家紋が刺繍されていて、他家の貴族から理不尽な無理難題を言われた場合その全ての責任をハーナウ家が持つ。

 つまり今までは問答無用だったのが家名をかけて保護してくれる。

 

 これは異常だ……

 

 普通なら他家と揉める位ならその使用人を手打ちにして終わりだ。平民を守るより自家の存続の方が重要だろう。

 

 あのメイドもこれには吃驚して聞き返していたがあの坊ちゃんはアッサリと「下の者を守るのは上に立つ者の最低限の義務だ」とか言っていたよ。

 

 貴族が平民の為に体を張る、そんな事は天地がひっくり返ったって有る訳がないのがこのハルケギニアの常識だ。

 この言葉を聞いてあのメイドは腰砕けだったね。

 

 私だって面と向かって言われたら……嬉しいかも……ね。

 

 しかしこの坊ちゃんは危険だ、テファは守って欲しいけどあの世間知らずな優しい娘に会わせたら……クォーターエルフが生まれてしまうわ!

 

 絶対にあの子には会わせない!

 

 なんて事を考えていたらもうお屋敷に到着か、しかしこの屋敷もぱっと見ただけでも……要塞だね、付け入る隙が無いよ。

 

 一見して見通しの良い丘の上に建ってるだけだけだ、けどメイド達がお出迎えの準備を始めているのは既にこっちの存在を確認してるからだ。

 

 偽装された物見台に此方を確認する銃窓、武装兵も常駐してそうだねぇ。

 

 早期に発見出来て狙撃に最適な外壁と幅がやや狭いが水の張った堀まで有る。

 こりゃ土と水のメイジにとって本領が発揮できる布陣、防衛戦を想定しているのかね。

 あの坊ちゃんは18m級のゴーレムに投擲武装を持たせられるから篭ればそうそう負けないね。

 

 近付く事も出来ずに一方的に蹂躙されるよこりゃ……どこがお人好しの貴族様だ!

 

 他国にこんな防衛拠点を構えるなんて只者じゃないね、これは相当なお宝がしまって有る可能性が有るよ。

 

 盗賊の勘がビンビンさ。

 

 

※正解…大切な巨乳メイド隊が20人以上守られてます(笑)

 

 

 僕の馬車を視認した使用人達が出迎えの準備を整然としている。

 ヴァリエール家から来たメイドズが正面入口前に2列で並び、扉付近にはナディーネ達が控えている。

 メイドアーチの前で馬車を降り赤い絨毯ロードを歩いていく。

 

「「「「「「「「「「お帰りなさいませ、ご主人様」」」」」」」」」」

 

 一斉に礼をするメイドズ。

 

「ただいま、皆変わりはないかい?」

 

 メイドのアーチを潜りながら玄関へとむかう、くーっ前世ではこの感動を味わう事は出来ないだろう至福の時!

 

 玄関前に行くと、ナディーネ・エーファ・ルーツィア・シエスタが笑顔で迎えてくれた。

 

「ただいま。彼女が連絡をしておいたソフィアだよ」

 

「皆さん宜しくお願いします」

 

「んでこっちがロングビルさん、本来は学院の秘書さんだけど人手不足の為に御者をしてくれたんだ」

 

「ようこそお二方、私はメイド達の取り纏めをしているエーファです。

ソフィアさんは私と一緒にロングビルさんはルーツィアと一緒に来てください。ツアイツ様は少し休まれますか?」

 

「いや、そんなにのんびり出来ないので仕事するよ。あとエーファ…ごにょごにょ!」

 

「まぁ…分かりましたわ。その様に対応します」

 

 エーファにロングビルさんには注意と監視をする様に伝えた、彼女は何か理由が有って僕に接触してきた筈だ。

 

 必ず行動を起こすと思う……

 

 エーファはルーツィアに一言二言話してからソフィアを伴い別室へ、ルーツィアはロングビルさんと警備詰所に向かった。

 執務室には綺麗に重要度別に揃えられた書類が積んであります、そして側には政務の補助に特化教育をしたメイドが4人。

 軽くチェックするだけで午前中が終りそうです。

 

 今から直ぐに始めても夕飯までに終るか終らないかだな、気を取り直し「さぁ頑張ろう」と皆に声を掛ける。

 

「分かりましたツアイツ様」

 

 一斉に返事を返してくれたので先ずは重要度の高い案件から確認する。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 この案内してくれるルーツィアと言ったか、メイド姿の割りに隙が無い只者じゃないね。

 それにトンでもない凶器を隠し持って、いや隠し切れずにぶら下げやがって。

 

 テファで見慣れているとは言えどんだけデカイんだよ!

 

 ここのメイドは全員が…デカイね。なんて考えていたら警備員詰所に連行された?えっ本性バレてるのかい不味いねこりゃ。

 こちらで休んで下さいって両隣の部屋から監視されている気配がするよ、まぁ宛がわれた部屋はそれなりに広く快適だね。

 

 これは取り敢えず信用出来ない相手を監視する部屋かね?直ぐにどうこうって訳じゃなさそうだ。

 今は大人しくしてようかね。えっ?この本棚の物語は読んで良いのかい?

 

 これはシンデレラにロミオとジュリエット、オペラ座の怪人に……これ新作の風と共に去りぬ、凄いじゃないか!

 

 こっちの飲み物やお菓子も食べて良いの?お酒は?駄目?そうよね飲酒運転になるものね。

 こんなに高待遇なら半日でも一日でも待てるねぇ……

 はぁ、何だって?昼食は坊ちゃんも含めて従業員全員で食べるのかい?なんだか驚かされっぱなしで悔しいねぇ。

 

 

 

マチルダ&ティファニアルート第3話

 

 

 こんにちは、ツアイツです。

 

 久々にメイドに囲まれメイド成分を補給しながら仕事をしています。

 流石に鍛え上げた内政メイド4人衆、僕が決済する必要が有る書類もチェックだけで済むレベルに仕上てます。

 

 右からエーナ・ビーナ・シーナ・デーナ、某ベアトリスさんの取り巻きみたいな名前ですね。

 

 これならお昼までには一段落つくかな、モンモランシ家との交渉はモンモンの助力で上手く行くかもしれない。

 

 グラモン家の方は微妙だ、やはり軍人系の貴族はゲルマニアの貴族に対して隔意が有るな。

 

 まぁこちらはモンモランシ家と違いどうしても接触したい訳ではないのでゆっくり様子を見よう。

 場合によってはギーシュの力を借りてもいいかな。

 

 ゼロ戦の解析と転用可能な技術の報告書……

 

 武装面に目が行きそうだが装甲の超々ジェラルミンの調査も進めさせていたがついに安定的な錬金に成功したそうだ。

 これで強度が有りしかも軽い金属の使用が可能となった。

 それに防弾構造とかを解析したり断熱材のハニカム構造とかも盛り込んだ耐熱・耐衝撃性能を併せ持つ装甲が出来た。

 これはファイヤーボールやウィンドブレイク程度ではビクともしな…くはないが現状の華美な木製馬車より断然マシだ。

 車輪やサスペンションも転用し乗り心地の改善に貢献しかなりの高性能馬車が出来上がった。

 昔の戦争では装甲化した列車を簡易要塞として使って居た事も有るし馬が逃げてもある程度の防衛が可能だ。

 これを完全装甲馬車として改造し完成した1台をアルブレヒト3世に献上する。

 

 今後の顔つなぎ程度にはなるだろう。

 

 グレードを少しダウンしてVIP用馬車として有力貴族向けに販売しようかな。

 アルブレヒト3世閣下が乗ってくれれば右にならえの連中なら多少高くても買ってくれるだろう。

 車輪とサスペンションを改良した乗り心地重視の馬車も同時販売を開始しよう。

 

 これならそれなりに裕福な商人クラスでも買えるだろう。

 

 それに荷台が揺れないという事は商品が壊れにくい痛みにくいと言う利点がある。

 運搬用として余分な物を取り除いたシンプルな荷駄タイプも需要があると思う。

 

 生産計画を父上に打診しよう。

 

 さてそろそろお腹が空いてきたな、今日の昼食は何だろう?

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 そろそろ昼食の支度だわ、ツアイツ様は手の空いている使用人全てと同じ物を摂られます。

 但し警備の兵隊さん達は巡回や監視が有るからと断られて一度も一緒に食べた事はないわね。

 でもツアイツ様を慕ってない訳ではなくプロとして仕事に責任が有るかららしいわ。

 装備の面も待遇も他と比べ物にならないから失敗は許されないんですって、流石ですね。

 

 今度お菓子でも差し入れしましょう、さてお昼の献立は、サラダ・鴨肉とキャベツのパスタ・コーンスープに各種パンです。

 デザートには林檎のヨーグルト和えです。

 

 ふふふっ、乳製品の摂取は今でも欠かさず行っていますよ。

 

 さぁ準備が出来たのでツアイツ様を呼びに行きましょう!

 

 昼食は皆がワイワイとお喋りしながら楽しく食べました、初めて参加したソフィアさんとロングビルさんは吃驚していましたね。

 マナーの厳しい普通の貴族様では考えられない状況ですし、後で念の為、口止めしておきましょう。

 周りに広まり問題となりこの食事会が中止になってしまっては残念ですからね。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 本当に昼食は……これ貴族用の食堂じゃないか?…で皆と一緒に頂いたよ。

 食器も何もかも坊ちゃんと一緒だね、料理自体は学院で出される貴族用の食事に比べればグレードは落ちるが素材は同等だよ。

 

 私にはこれ位が丁度良いね、聞けば坊ちゃんはあまり贅沢はしないらしい。

 ケチって訳じゃないね、それなら最初に使用人の待遇を下げる方が合理的だ。

 

 それとなく聞いたら「栄養を計算するとこれ位の量が体に一番良い」んだと。

 

 あと乳製品は必ず摂らせるらしい。

 

 はっ!そういえば画期的な運動と食事療法で巨乳化する方法を確立したって噂が……

 

 周りを見渡すと……くっ、其れなりに自信が有ったのにこの面子だと下から数えた方が早い。

 

 悔しいねぇ。

 

 確かナディーネって娘が料理責任者らしいからレシピでも貰えないかな?それに画期的な運動ってのも知りたい。

 外見の堅牢さに吃驚だったが実際はこっちのオッパイ屋敷の秘密の方がきになるわ。

 しかし監視されてる身としては何も出来ないのが……見せつけられるだけなんて。

 

 午後から少しでも情報収集をするよ!

 

 

 

執務室にて

 

 

 

 午後からの仕事は捗った。

 流石に学院入学前に必要な仕事の引継ぎや手配関係等を終らせていたから然程たまってもなかったからね。

 心配だったロングビルの件も監視の報告によれば午前中は本を読み漁りお菓子を貪っていたそうだ。

 

 何しに来たんだ?本当に小金を稼ぐ為の副業だったのか!

 

 午後からはメイド達に積極的に質問攻めにしたらしいが、胸に関する事ばかりだそうだ。

 特にルーツィアには監視も頼んだので一緒に居る時間が多かったから大変だったそうだ。

 

 これは写本(経典)狙いだな、流石はフーケ!

 

 あの本は好事家にはたまらない逸品だろう。

 下手すれば禁書扱いか。でも残念ながら問題にしかならないと思って燃しちゃったんだ……内緒で。

 それにルイズやメイドズは内容は熟知してるから今更見直す事も無いだろうし。

 

 残念だったなフーケ!下見しても盗むものは無いのだよ。

 

「失礼します。ツアイツ様、ワルド様がいらっしゃいました」

 

「了解したよ。では中庭に設えたテーブルに案内しておいて」

 

 さてと……フーケを監視してる間にワルド子爵と会うか、何が目的なんだか。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ふん、中々の屋敷だな。防犯面も悪くないが、メイドが全て醜い肉の塊をぶら下げておって気に入らないな。

 

 会見場所は外か、一見風のメイジに有利に見えるが池のほとりで廻りが芝だと相手のフィールドでも有るな。

 距離を取られれば攻めあぐねる、喰えない小僧だな。

 

 む?また乳のデカいメイドを従えてきたか……

 

 アレ程の傑作が書けるのにサムエル殿の言う通りどこか捻じくれているのかもしれん。

 まぁ交渉次第でなんとか此方の方に有利な条件を引き出したいのだがな。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「お待たせしました、ワルド子爵。それで本日のご用件は?」

 

「その前に人払いを頼む、そんな肉の塊など見続けたくはないわ」

 

「分かりました。二人とも下がって、用が有れば呼ぶから」

 

 信者メイドを下がらせる。

 

「さて人払いもしましたがそろそろ用件をお伺いしても宜しいですか?」

 

「先ずはルイズの事だ、なぜあんな醜い体型にした?あれは王家と母親の血を一番に継いでいた筈だ」

 

「はぁ?」

 

 言ってるんだ?王家の血……虚無の事か?母親の血?

 

 夫人は一代の傑物だが王家の血はむしろ公爵の方が……

 

「まだ分からないのかね?なんで烈風殿のご息女があんな肉の塊を胸にぶら下げているのかと聞いているのだが」

 

「いやアレはルイズの努力の賜物ですよ、素質が有るから努力で開花したんです。母親似なのはエレオノール様では?」

 

「素質……僕のルイズは巨乳の素質が有っただと?危なかった、もし知らずに結婚していたら成長と共に……恐ろしい」

 

「ワルド子爵はルイズとの婚約は破棄されたんですよね?」

 

「もともと傘下の格下貴族への口約束だ、気にもしていない」

 

「いやアンタ僕のルイズとか思いっきり気にしてたよな!」

 

「ふっ若いな君は……僕にとって女性とは慎ましやかな胸と儚げさを併せ持った母上の○▲×」

 

※18禁の為自主規制します。

 

「うちの父上と同じですね、理解も納得も出来ませんが父上を見てますので分かりたくはないけど分かりますそう言う人種だと」

 

「サムエル殿のチッパイ帝国構想には賛同している、もう既に同志達の集会も予定されているのだ!」

 

「あっアンタは……」

 

 この時期レコンキスタに接触し聖地奪還へと動いている最中じゃなかったっけ?

 

「我らが聖地、チッパイ帝国設立の重要人物である君が何故こんな悪の帝国におさまっているんだ?」

 

「人の夢の屋敷を悪の帝国とか言わないでいただこう!」

 

「僕は君の住み分け理論には賛同出来ない、だが敢て言おう。僕には君が必要だ、君の能力が力が!」

 

 ちょっと待てぇー、その台詞はアルビオンでルイズに向かって言う台詞だろー!

 

「僕の生い立ちを話そう、ぼくの母親は聖地の事を調べ……そして消された。

僕は母上が好きだった、母上が挑んだ聖地の謎を調べようと今まで人一倍努力をしてグリフォン隊の隊長まで登り詰めた。

だが小国の隊長位ではたいした事は分からない、その内に母上の調べていた聖地を必要としていたのか母上を必要としていたのか分からなくなってしまった。

そんな時にサムエル殿と出会ったのだ、彼の唱える帝国はまさに僕の理想……母上のような帝国だった」

 

 父上……僕は貴方を斃してでも家督を奪わないとならないかもしれません。

 

 割と切実にマジで……

 

「聞いているかいツアイツ殿?」

 

「ええ、父上とは一度じっくり話さないといけない事が分かりました、まさか身内に敵がいたとは」

 

「そうではない、息子が父親の為に努力をするのは当然ではないかね?だから……」

 

「だから早く「こどものじかん」の続編を書いてくれたまえ!出来れば新人教師に風使いの子爵先生で!」

 

「ワルド殿……トリステイン魔法学院に来る事が有れば僕の部屋を訪ねて下さい、学院内でのみ回している新作が有ります」

 

「そうですか!

たしか今年の2年生達の使い魔のお披露目に同行する予定が有ったのでその時に……

しかしツアイツ殿も人が悪い、何故新刊を執筆されたのに父上に送らないのですか?」

 

「まぁ色々有りまして…しかし全ての女性を貴方の望み通りにする世界には賛同しませんよ」

 

「それは世界と歴史が勝者を判断するだろう、我らが帝国を世に広めればそんな事は些細な事だ」

 

「どうでも良い話ですが、ワルド子爵はこれからどうするので?」

 

「うむ、まだ秘密だが教えてあげよう。

きりの良い時期に退役してハーナウ家に厄介になるつもりだ、出来れば直ぐにでもサムエル殿の下に集い布教したいのだが流石に無理だ。

暫くはこの国に仕えているさ」

 

「そうですか、もうお話は以上でよいですか?」

 

「うむ、では近々学院による時にお邪魔するよ」

 

 なんどワルドは偏在ではなく本体だった、しかも原作なんてすっ飛ばす位に立ち位置を変えている。

 まさか親父殿のせいで聖地と母親への確執をサムエル帝国にすり替えているなんて信じたくもないわ。

 父親とは何時の時代も乗り越えねばならぬ壁だけどこんなハードルが高いのは理不尽じゃないですか、涙が止まらないぞ。

 

 嗚呼、もうもうタイムリミットだ。そろそろ執務室に戻ろう、スーパーメイドニャンニャンディは次回に繰越しか。

 

 

 

「失礼します」

 

 定刻通りに2人が迎えに来たな。

 

「エーファそろそろ学院に戻るが、ソフィアへの説明は終ったかい?」

 

「はい全て完了しております、支給品も全て馬車に積み込みも終了です」

 

「ソフィアはなにか分からない事は有るかい?大丈夫かな?」

 

「はい、有難う御座います。問題無いです」

 

「では学院に戻ろうか……それじゃロングビルさんの所に行ってみようか」

 

 

 ロングビルさんが待機してもらっている部屋に行くと、ルーツィアが絡まれていた。

 どうやらその胸の秘密が知りたくて相当しつこく絡んでるみたいだな。

 

 あっこっちに気付いた……ばつが悪そうに顔を逸らされた。

 

 帰りの馬車は僕が手綱を取りロングビルさんに周囲の警戒をしてもらう、首都に近いのに盗賊が出るなんて治安悪いんだよなー。

 貴族用の馬車で御者が女性だけじゃ狙ってくれ同然だから唯一の男の僕が手綱を握るのは仕方なし。

 どうせ盗賊が来ても、ロングビルさんと2人がかりなら負けないだろう。

 

 ソフィアには気の毒だが馬車の中に1人で居てもらうしかないが、疲れていたのかスヤスヤと寝息が聞こえる。

 とは言えロングビルさんというかフーケと並んで座ってるのも何か変な感じだな。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。