現代人のお気楽極楽転生ライフ(修正版)   作:Amber bird

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新章第9話

謀略教皇VS謀略教祖!趣味と趣味の闘い・第9話

 

 

 

 何だか、柔らかくて良い匂いがする……まだ覚醒しきって無い、ボンヤリした頭で考える。

 これはルイズの匂いだ……あの娘は、甘いミルクの様な匂いだ。

 実際にホットミルクや甘いお菓子が大好きだし……

 

 モンモランシーは自身が調合した香水を控え目につけているし、キュルケはフェロモンの香りだ。具体的にどんなフェロモンかは秘密だけど。

 

 イザベラは、実は無臭に近い。ただ髪の毛からは、お日様の匂いがする。貴族は基本的に、風呂に毎日入れるし綺麗好きだし。

 だから体臭を余り感じないんだ。

 

 テファもルイズに似て、甘い系の匂いだよ。マチルダさんは、アダルティな香水を付けている。

 

 ジャネットは、ああ見えても北花壇騎士団。暗殺や潜入などの汚れ仕事もするから、無臭を心掛けている。

 匂いで位置がバレるとか、映画や漫画の中の話ではないのだ。

 

 因みに、お姉ちゃんもアダルティな香りです。

 

 最近はジョゼフ王とヨロシクやってますから、更にアダルティです。

 そんな自分の奥様達の匂いの記憶を思い出しながら、久し振りに嗅ぐルイズの匂いを堪能する……

 

「くんかくんか……むふー、甘い匂いだぁ……」

 

 何故かルイズがビクッとしたみたいだが薄目を開けると、見慣れたピンクの髪がボンヤリと見えた……周りもまだ真っ暗だし、多分3時過ぎだろうか?

 

「おやすみなさい……」

 

 もう少し寝かせて下さい。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 メイド服を着てツアイツの部屋に忍び込んだカトレアだが、余りにナチュラルな態度のツアイツにビックリしてしまった。

 普通なら、年頃の女性がベッドに入ってきたら動揺するだろう……

 

 それを「くんかくんか……むふー、甘い匂いだぁ……」と匂いを嗅いで感想を言いながら「おやすみなさい……」って、全く動揺しないなんて!

 

「何かしら……女性として悔しいわ。でも寝ぼけていたのね。うふふ。明日の朝が楽しみだわ」

 

 そう思い直して添い寝する事にした。

 

「くすくすくす……おやすみなさい、ツアイツ君。良い夢を」

 

 朝日の中で、彼が慌てふためく彼の様子を想像しながら眠りにつく……今夜はきっと、私も良い夢が見れるでしょう。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 お母様から鷹便が着た。アカデミーの実質的なトップの様な立場になってしまった為に忙しい日々。

 ツアイツもルイズもガリアに行きっぱなしで……寂しく……いっいえアレだから。

 寂しくなんて無いし、毎日が単調なのが詰まらないのよ。

 

 そんな日々を過ごしていたが、ツアイツがヴァリエール公爵家に来ると言う内容の手紙が来た!

 

 丁度鷹便が来た時は、来客の予定も有ったけどキャンセルよ。直ぐに馬車を用意させて、ヴァリエール領へ向かう……

 今からだと着くのは深夜になるかも知れないけど、朝食を一緒に食べれるから。

 やはり朝は、彼と色々な事について討論をしながらゆっくり食事をしたい。他の有象無象の連中では、退屈なんだもん。

 彼と何を話そうか考えていたら実家に着いた。どうやら半日以上、妄想してたのかしら?

 

 見慣れた屋敷を見上げながら、暫し反省したわ。

 

 レディが妄想癖が有るみたいに思われては、大変ですからね。出迎えの執事から、カトレアも既に帰っていると聞いた。

 あの子の領地も、同じ位離れているのに……時計を見れば、もう数刻で日が登る時間ね。

 

「そうだわ!何時も酔い潰れた私を寝かしてくれたのよね。

ツアイツは私の寝顔は見ているのに、私はツアイツの寝顔を見ていない。これは不公平よね……」

 

 自室の手前に有る、ツアイツの部屋に向かう為に廊下を歩いて行く。深夜の屋敷は静まり返っていた……

 

「少し怖いわね」

 

 しかし魔法の灯りが、仄かに廊下を照らしている。ドアノブに手を掛けると……

 

「あら?開くわね……では、お邪魔するわ」

 

 扉を開けたままにして、室内に入る。廊下から差し込む灯りで、ボンヤリとたが室内が確認出来きた。

 

 ツアイツは……居た!ベッドに寝ていて……「なっ?」何とツアイツは、誰かと同衾していた!

 

 シーツからはみ出ているのは、ピンク色の髪の毛。つまりはチビルイズも来ているのね?

 何よ、自分が正式に彼の側室になれるのが決まっているからって。実家に来てまで、ラブラブ振りを見せ付けるのね?

 

 妹に負けるなんて……思わず握り締めてしまった手をゆっくりと開く。はぁはぁと深呼吸をして、高ぶった気持ちを落ち着かせた……

 

「すーはー、すーはー!落ち着け、私」

 

 残念だけど、部屋に戻ろうかな。

 

「って、チョット待てや!ツアイツは1人で来てる筈よね?じゃあの桃色の髪の毛って誰なのよ?」

 

 ゆっくりとシーツを捲ると、メイド服のカトレアが居やがった……ご丁寧にムニャムニャとか、ベタな寝言まで言ってやがる!

 

「なっななななな、何でカトレアが居るのよ?」

 

 私の放つ殺気に反応したのか、カトレアが呻いた……

 

「むー、あら?姉さん……どうしたの?そんな怖い顔をして」

 

 半分寝ぼけているカトレアの頭を掴むと、部屋の外へ連れ出す。

 

「いっ痛いわ。エレオノール姉さん、本気で痛いわ」

 

 扉をそっと閉めてから、カトレアと向き合う……

 

「随分と元気になったみたいね?それに、何故メイド服を着てツアイツと寝ているのかしら?」

 

 この子とは協定を結んだ筈だ。誰にもバレないように、ツアイツと関係を持とう。

 彼に迷惑をかけずに、彼だけに認めて貰えれば良いから、と……

 

「ツアイツ君を起こしに来たんだけど、まだ寝かせてくれって頼まれたの。だから、起きてくれるまで添い寝をしようかと……」

 

 このポヤポヤ娘は、あらあらまあまあで既成事実を作るつもりだわ!

 あれだけ共同戦線を張るって言ったのに、一人だけで抜け駆けする気ね。

 しかも翌朝騒ぎ出せば、周りに認知される。何て腹黒いのかしら……でも、お母様は喜びそうな展開ね。

 強引にカトレアを押し付けようとするわ。

 

 くっ、カトレア。怖ろしい娘!

 

「そう……なら私も添い寝しても問題無いわよね?」

 

 ならば便乗する迄だわ。姉妹で私だけが遅れてなるものですか!

 

「あらあら……ツアイツ君のベッドは狭いから、私と彼が密着すればエレオノール姉さんのスペースも……

いっ痛い、痛いわ!姉さん、本気で握って……モゲます、モゲますから」

 

 彼女の耳を捻りあげる。

 

「カトレア……この私を本気にさせるなんて。後悔しても遅いわよ?アカデミーでの研鑽を思い知らせてあげる」

 

「エレオノール姉さん。

私ね、ツアイツ君に病気を治して貰ってから、体の調子が本当に良いの……昔の貧弱な坊やとは違うのよ。そう!通常の三倍なの!」

 

「何が?戯れ言は、赤く塗って角を付けてから言いなさい!

私のストレスもマックスだから……捌け口になって頂戴!てか、長女を敬う精神を叩き込むわ」

 

 

「「うふふふふ。このチャンス、どちらが物にするか勝負よ!」」

 

 

 扉一枚を挟んで、姉妹戦争が勃発していた!それをデルフはいち早く察知していた。

 娘っ子のオヤジが取りに来た時に、兄さんがオレっちが如何に素晴らしい伝説の剣かを話してくれたそうだ。

 もっとも信じられないから、実際に証拠を見せて貰う為に取りに来たのだが……

 オレっちは兄さんのお陰で、6000年も生きて退屈だった生き方を変えて貰った!

 

 何か恩返しがしたかったが、今がそうだ。あの娘っ子達から兄さんを守るぜ!

 

「兄さん、兄さん!起きて下せぇ!捻りの娘っ子の姉ちゃん達が、外で騒いでやす。何か危険だから逃げ出した方が良いっす。兄さん、早く!」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 結論から言おう……

 

 デルフのお陰で、僕は姉妹丼と言う危機的状況から逃げ出す事が出来た!しかし翌朝からデルフが居なくなってしまったのだ。

 漢力のオッパイレーダーを駆使して探したら、庭に有る池の中に沈んでいた……重石と一緒にグルグル巻きにされていたんだ。

 

 デルフは、どっちにヤラレたかを僕にも教えてくれなかった……しかしデルフのお陰で、僕はヤンデレとツンデレの義姉から逃げ出す事が出来た。

 

「有難う、デルフ!君の犠牲は忘れない。有難う、そしてさようなら……」

 

「兄さん、まだ死んでないっすよ」

 

 

 


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