気分なので早めの投稿です。
気持ち長めです。平均よりは全然短いけど。
ではどうぞ
父さんと母さんが死んで、僕と妹は親戚に引き取られることになった。
でも、親戚は妹――星奈だけを引き取ろうとした。
星奈は賢かった。テストは常に満点を取り、一度見た物は忘れない。俗に言う天才だった。言語書を渡せば使える言語が1つ増え、数学書を渡せばどんな難問も一手間に解いた。星奈は有名で、みんな星奈を欲しがった。
一方、僕は学力は平均より高いが全国一では無い。物忘れはよくするしテストで凡ミスもする。そこだけ見たら普通の人間だ。
親戚が星奈を囲む中、父さんの弟――叔父さんが僕に話しかけた。
「妹と離れ離れは嫌かい?」
「嫌だよ。あそこの人達は酷く汚い」
星奈の周りの人には”色”が濃く見える。汚物でももっとマシな”色”をしているほど濁っている。
「叔父さんが僕と星奈を引き取ってよ」
だが叔父だけは違った。彼に見えたのは霧状の薄水色。彼だけは濁りが見えなかった。
「……ああ、わかった」
僕は妹を連れて、叔父さんの家に転がり込んだ。
──神は居ない。
この時僕は確認した。
血を吐いて倒れる星奈。
「星奈っ!」
慌てて駆け寄る。意識はまだあるようで、掠れた声で僕に謝った。
「ごめんなさい……
「喋るな!」
星奈を黙らせ、回復体位にして救急車を待つ。
「星奈は大丈夫なんですか!?」
医師に問い詰めると、苦虫を噛み潰したような顔をされる。
「星奈さんですが…………癌です」
「……え?」
医師が言うには、星奈はもう末期がん――ステージ4まで進んでしまっていて、今から出来るのは精々が延命だと。
「…………」
星奈は元々身体が弱かった。風邪もよく悪化させていたし、日頃からどこかしら怪我をしていた。でもまさか、まさかこんなことになるなんて。
「……それは…………確定なんですか?」
「え?」
「せめてっ! せめて成人するまでは生きられないんですか!?」
噛み付くように医師の胸倉を掴む。
「……わかりません。ですが、可能性はゼロではないでしょう」
それは蜘蛛の糸に縋るようなものだ。でも、その糸はとても輝いて見えた。
「
「何?」
「アタシ…………」
病室の床に伏す星奈を抱き締める。
「僕は何処にも行かないよ」
優しく、強く、抱き締める。星奈が此処に居ることを確かめるように。
「ずっと……此処にいるよ」
この日から、僕は時間の許す限り星奈の傍に居た。
「
「……クラスメイトと喧嘩しちゃってさ、今は学校に行きづらいから此処に居させてくれないかい?」
「そういうことなら……」
勿論嘘偽りだ。
学校には事情を話して暫く休むと伝えてある。勉学なんて何時でも出来る。なんなら星奈と一緒にしている。
「次は何がいい?」
「えーと……、海洋生物の本がいい!」
星奈は知識に貪欲だ。様々な分野に興味を持って、それをものにしていっている。……将来はきっと名のある学者になるだろう。
「わかった。明日持ってくるね」
その明日が有ることを、僕は毎日願い乞う。
ある日、星奈がまた吐血した。
「星奈!」
白いベッドを赤く染める血。創られた紅白は綺麗な水玉模様。
彼女は限界をとうに越えていた。
「星奈……」
光が薄れ消える瞳。
彼女は微笑んだ。
「
彼女は解っていた、自身の命は長くないと。
「ありがとう。凄い、凄く嬉しかった。楽しかった。心地よかった」
ゆっくりと、緩やかに言葉を紡ぐ。
「僕は……」
「
「僕……は……」
喉が詰まって声が出ない。
遠くから慌てた足音が聞こえてくる。
「
彼女の”色”が消えていく。
「アタシの為に
最期に見た彼女の”色”は、星のように眩しかった。
目の前が真っ暗になった。
星奈の葬式、あれから僕は”色”が見えなくなっていた。
「惜しい子を亡くした……」
「優秀だったのに残念ね……」
誰かの声が聞こえる。いや、声だけじゃない、
「なんであの子が残るのかしら……」
「こんなの呪いでは……」
「やだ、忌み子だわ……」
「失敗作だけが生き残ったか……」
「あの子が変わりに死ねばよかったのに……」
僕に入り込んできた
「うぁ……なぁ……んな……」
自我の侵色。
染められた。呪い。
これが、
僕は咎人でした。
なんとも愚かで、救いようがないのでしょう。笑
第終目
誰ガ為二成ル──
助けて、キ■■