短めです。
次から原作に入ります。
アニメと原作描写違くて困惑してます。
助けてシノ衛門~。
ではどうぞ
──Boom.Boom.
「エグっ」
手に入れた二丁の試し撃ちをする。元々、実戦用として開発された訳では無いS&W M500、威力の代償として反動がえげつない。射撃に関しては調べた情報を頼りに自己修正を繰り返していくしかない。基礎も知らずに実戦だけを追い続ける奴なんか唯の案山子ですからな。
ちなみに、この試射場を探すのに三時間かかった。本当このゲームイカれてるぜ。
「仮想世界じゃなかったら肩無くなってるな」
反動を逃がす動きは慣れてきたが、逃がしても元は特大の反動、操るのは困難を極める。体感で後二時間はかかるかな。それだけの時間で僕はこの子達と舞えるだろう。
銃を扱うのは初めてだが、SAO初期のような初々しいしさが懐かしい。
「スぅー……」
──Boom.
引き金を引くと、弾は的の中心に命中した。
「……」
──Boom.Boom.Boom.
続けざまに速射。弾倉内の弾を全て撃ちきる。
「…………まあまあかな」
横の装置を操作して的を近付ける。確認すると、穴は一つしかなかった。
「命中率は合格」
全弾同所着弾、静止射撃なら満足できる結果だ。
手に持つS&W M500を置き、Desert Eagle .50 AEを実体化させる。リボルバーであるS&W M500と違い、Desert Eagle .50 AEは自動式拳銃なので装填方法等の扱いが異なる。
戦闘中この暴れん坊共をしっかり舞わせる為に、左右両方どちらでも命中させなくてはならない。銃の威力は十二分だから、当たりさえすればKILL出来る。当たりさえすればどうということはない、戦いは決め手までの数が少なければ少ない程いいんだよ兄貴。
それに、二丁拳銃、一撃必殺は浪漫だ。ゲームなんかではね、浪漫はどんだけ追い求めてもいいですからね。
二丁をホルスターに収める。豆知識だが、ホルスターはホルスターに入れる、ホルスターに戻すといった意味も含まれているらしい。
軽く跳んで着地と同時に銃を抜く、そのまま早撃ち。この時もまだ着弾予測円を固定させたままだ。放たれた弾丸は的に二つの弾痕を付けた。
「速度は妥協点」
見敵即殺、なら速度は必要だ。
僕の能力構成は
「こんなものかな」
手に馴染んだ所で試射を終える。この後は戦闘服のインナーとジャケットと布コイルを買う予定だ。お店の場所は此処から近いから迷う必要は無い。
~~~~~
「これは……」
目当ての戦闘服を買い終え、店内を気ままに歩いていると、一つの帽子が気になった。
それは深緋色の軍帽、黒のツバと深緋の色合いは何故か僕を惹きつけた。幸い、先程買った戦闘服との相性は悪くない。
「ほぅ……」
試着室で完全武装する。インナー、シャツを着て、布コイルを腰に付ける。ホルスターは布コイルの上部の左右に固定させ、臀部にアイトールを納める。Desert Eagle .50 AEとS&W M500も装備して、分厚いジャケットを着る。最後は篭手と脛当てを着けて、軍帽を被る。
銃を携えるのは初めてだが、中々どうしてか、自分でも様になってると思える。
「この世界も僕の感性に合って良かったよ」
武器に関しては性能重視だったが、SAOの装備も僕の気に入った物だった。避ければいいのだからどうせならカッコイイ装備を着たい。これは傲慢ではない、誇りなのだ。
「即買いだなこれは」
装備を初期装備に戻して、軍帽の購入する。これも経費だ、うん、必要な出費なのだから経費でいいだろう。
満足した僕は、ログアウトボタンを押した。
~~~~~~~~~~~
次の日、僕は和人の様子が気になったので、放課後の教室で和人に聞いてみた。僕は既に装備調達を終え、本戦までは調整するだけだが、和人は準備したのだろうか。
「そういえば和人」
「どうした湊?」
「依頼の件、和人は何をしているの?」
「??」
…………なんでだろう、聞かなかった方が良かったかもしれない。
「何って……、何も?」
「……もしかしなくてもALOにログインしてたり?」
「ギクッ!」
「……ははーん?」
こいつ、何も準備しない気だな。相手はトッププレイヤー、情熱と執着が強いプロのプレイヤーだ。あの和人でも流石に心配になる。大丈夫だろうか?
「BoBに出るんだろ? 本当に何もしてないのか?」
「あ、あはは……」
ウッソだろこいつ。
「本当の本当に?」
「あ、ああ」
「うっそだ〜、僕を騙そうだなんて八年早いぞ」
「いや……その……」
「…………」
「…………」
お前給料貰う気あるのかよ。これは仕事だぞ、半端な結果では貰えない可能性があるんだぞ。
「まあ和人なら大丈夫なの……か?」
「だ、大丈夫だよ!」
本当かぁ?
ジットリと和人を見つめると、和人は顔を背けた。
(ふ、不安だ!)
そう思い、和人の分も頑張らなくてはと考える。僕は彼にとことん甘いのかもしれない。でも、まぁ、僕は別に苦じゃない。
「まあいいよ。でーも、BoBではちゃんと頑張ってくれよ?」
「わかったよ」
……彼はやるといったらやるオトコだ。ぶっつけ本番でも大丈……大……だぁ…………、大丈夫だろう、うん。
こいつならGGOでも剣持って戦いそうだな。もしかすれば弾丸を斬ったりするかもしれない。
………………無いか。流石の和人もそこまで人間辞めてないだろう。どうしよう、やっぱり不安になってきた。
「それと、BoBのこととか自分でもちゃんと調べといてくれよ? 一応、僕がある程度調べきってるとはいえ、僕の情報収集に穴があるかもしれないからな」
「へいへい」
やっばぁい。僕の中の不安が留まることを知らなくなってきた。実力がある分、それが傲慢なのか余裕なのか分からないからタチが悪い。
「そういえば」
「今度はなんだ?」
「明日奈たちには依頼のこと言ったのか?」
「アスナとユイには言ったよ」
「なら安心かな」
明日奈やユイに隠し事が出来ないのはわかる。里香や珪子に言ってないのは扱いに差別化が出来て偉いのか、嫉妬が加速するのか、僕には考えが及ばないが明日奈一筋の和人ならなんとかなるだろ。知らんけど。
「楽しみだな、和人」
「……そうだな」
歯切れの悪い和人に違和感を感じながらも、緊張してると勘違いした僕は、和人が考えているこの事件の闇に全く見当もついていなかった。
僕の心は、脆いどころか、まだ形にすらなっていなかったというのに……