君ガ為ニ剣ヲ振ルフ   作:アールワイ

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ども、素人投稿者です。

パッパと進めて⬛︎⬛︎⬛︎をゲフンゲフン……。
いや何でもないです。

ヒロイン??何それ美味しいの?


ではどうぞ


《攻略開始》

 

 

 

 次の日、僕らはボス部屋の前に集まった。これから行われるのは初めてのボス攻略。皆どこか緊張している。目の前に聳え立つ大扉も心做しか威嚇しているように見える。

 

「今日は集まってくれてありがとう! この場に一人も欠けなかったことを嬉しく思うよ」

 

 先頭に立つのはディアベル。この男のお陰で十分な戦力を整えることができた。少し胡散臭い所以外は普通に有能な奴だ。後でフレンド申請しておこう。

 

「みんな……勝とうぜ!!」

 

 こうして、僕らのアインクラッド攻略が始まろうとしていた。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

「ソル、スイッチ!」

「了解」

 

 キリトが《ルイン・コボルド・センチネル》の片手戦棍を弾いて、僕と交代する。この連携を〈スイッチ〉と言い、ソードスキルの硬直をカバーし合うパーティの基礎だ。教えてくれたキリトもソロだと言っていたが、知識があるということはかなりのゲーマーであろう。

 キリトの前に出た僕は片手直剣ソードスキル〈ホリゾンタル〉でコボルトの首を左から右へ斬り込む。パーティの二人が火力特化の脳筋しかいないので僕は盾持ってタンク紛いの役割だ。

 HPが無くなったコボルトはポリゴン片となり消滅した。戦況を確認すると、どうやら僕らのパーティが早くに取り巻きを潰し終えている。ボスである《イルファング・ザ・コボルドロード》の攻略も順調だ。

 

「ナイス、ソル」

「お疲れ様」

 

 ……昨日の今日で二人の距離が縮まっている。あんな短時間で何があったというんだ。

 

「二人とも昨日より仲良さそうだけど何かあったの?」

「えっ!? いや……」

「何もないわよ」

 

 キリトがあからさまに動揺している。目線は左右に泳ぎ、行き場が無いのか手が変な動きをしている。対してアスナはジト目でキリトを見てながら冷たく言い切るあたり何かあったのは確定だ。

 

「……隠す努力はしような、キリト」

「ウッ!」

 

 余裕ができて談笑していても、僕らの視線は戦況に注がれている。何処が危険で、カバーはいるのか、二人も何時でも動けるように武器を握る手は緩まれていない。

 

 

 

 ディアベルの指揮のお陰か、特に危険な場面もなく攻略は進んだ。《イルファング・ザ・コボルドロード》の体力ゲージが赤色となり、咆哮した後バックジャンプで距離をとった。情報によると手にしていた武装を捨て、タルワールと呼ばれる曲刀を……あれ?

 

「キリト」

「どうした?」

「タルワールってあんなに刀っぽいんだな」

「は? 何言って……違うっ!」

 

 キリトは血相を変えてコボルトロードに突っ込んだ。何事かと考えるより前に、僕はキリトの後ろについて行く。

 

「みんな下がれ! 俺が出る!」

 

 コボルトロードと対峙している集団から、ディアベルが一人最前線に出て来た。コボルトロードのタゲはディアベルに向けられ、刀のようなタルワールが光り輝く。

 コボルトロードは大きく飛び上がり、光り輝くタルワール?をディアベルに振り下ろす。

 

「やめろぉぉぉ!」

 

 キリトの呼声も虚しく、ディアベルは左肩から右の脇腹までを赤いラインに変えられ吹き飛ばされた。

 

「ディアベル!」

 

 キリトがディアベルに寄り添うが、寸分の時間も経たずにディアベルは嫌な音を出しながらポリゴンとなって消滅した。

 コボルトロードの前を横切ったからなのか、タゲはキリトが取ってしまっている。僕はコボルトロードの斬撃を左手の盾で軌道を逸らして躱しながらキリトに問う。

 

「キリト! 説明しろ!」

「ベータテストの時と違う。奴が持っているのは刀だ!」

 

 

「二人とも大丈夫?!」

 

 アスナもフォローに来てくれた。これで潰されはしない。しかし、指揮官を失ったパーティが混乱している。誰か、誰かいないのか!

 

「ソル、アスナ、俺たちでやるぞ!」

「キリト? ……りょーかい」

「わかった」

 

 ディアベルから何か言われたのか、キリトの目には決意が現れている。その目は、倒すべき敵を、救うべき人が写っている。なるほど、託されたってことか。こうなれば仕方があるまい。この二人だけでも守ってみせる。

 

「基本戦術は変わらない。いくぞ!」

 

 キリトを先頭にコボルトロードへ突撃する。コボルトロードの刀がキリトのHPを奪い去ろうとするが、僕が間に入って盾でいなす。

 

「はぁぁぁ!」

「せやぁぁ!」

 

 ガラ空きの胴体にキリトとアスナが次々とソードスキルで残りのHPを削るが、仕留めるにはまだ足りない。

 コボルトロードの刀が紅く光る。次の瞬間、放たれた横薙ぎが避けきれずに盾で防ごうとするが、盾を破壊されて三人纏めて地面に転がる。

 

「ッチ」

「がぁ」

「うっ」

 

 自身のHPを見るとイエローになるまで減っており。キリトとアスナも少し減少していた。

 身動きがとれずにいる僕らにコボルトロードは追撃してくる。直撃するとHPが全損してしまう。少しでも抵抗しようと右手の直剣を構えようとしたが、刀は僕らに直撃する前に緑に光る両手斧――両手斧ソードスキル〈ワールウィンド〉で弾かれた。ガタイの良い背中、スキンヘッドで褐色の肌、広場でキバオウを言いくるめたエギルと名乗っていた男だ。

 

「あんた……」

「オレたちに任せて回復しな」

 

 そう言うと彼のパーティがコボルトロードに攻撃を仕掛け、タゲを取ってくれた。

 

 落ち着いてキリトたちとポーションを使いHPを回復していると。

 

「奴の後ろに回るな! 範囲攻撃を使ってくるぞ!」

 

 キリトが指示をだす。こいつもリーダーシップが備わっているな。声がよく響く。

 

 しかし、指示を出すのが遅かったのか、コボルトロードは刀を光らせ、空中へ大ジャンプした。

 

「クソっ!」

 

 キリトが走り出すのでそれに並走する。あれは撃ち落とさないと不味い。キリトの必死さから、あれの威力は相当なものだろう。……やるべきことは一つか。

 

「キリト!」

「ソル?」

「飛ばすぞ! 飛べ!」

 

 キリトの前に回り掌を上に指を組む。何をするのか察したのか、キリトは飛び、僕の両掌を足で踏み。

 

「飛べやオラァァァ!」

 

 思い切りキリトを空中に投げ飛ばす。最近知ったことだが、僕のレベルは攻略パーティの中でも高いらしい。高レベルによるステータスに投げやりのパワープレーは上手くいって、キリトに空中で斬られたコボルトロードは姿勢を崩し、《転倒》させることに成功した。

 

「今だ! 全員でかかれ! 囲んでもいい!」

 

 キリトの声に応じるように皆ソードスキルを放つ。ボスのHPは残り僅かだが、削りきれないと判断した僕は、メニューを開き高速で武器を替えた。

 

「削りきれない!」

「キリト、アスナ! 準備しとけ!」

 

 視線を向けるキリトとアスナの横を通り、僕は立ち上がったコボルトロードに走る。完全にアクティブ状態になる前にその巨体を駆け登り、逆手持ちした短剣を右から左へと一閃する短剣ソードスキル、〈スライドライン〉で右眼を斬った。コボルトロードの左手が僕を掴もうと迫るが、短剣を持っていない左手でコボルトロードの頭を掴んで曲芸のように倒立しながら右肩から左肩へと移り、飛び降りながら先程と同じように〈スライドライン〉で左眼を斬り裂いた。

 視界を失ったコボルトロードは刀を手放し、顔を両手で抑えた。

 

「スイッチ!」

 

 僕が連携の句を唱えると、キリトとアスナがソードスキルを叩き込む。その隙間の無い見事な連携は、みるみるコボルトロードのHPを減らし、遂に。

 

「はァァァァァァ!」

 

 キリトの片手直剣ソードスキル〈バーチカル・アーク〉が命中すると、《イルファング・ザ・コボルドロード》はポリゴンとなって消滅し、空中に〘Congratulations〙の文字が浮かび上がった。

 

 

「しゃぁぁぁ!」

「やったー!」

 

 人々が仲間と共に喜ぶ。幸いにも犠牲者はディアベル一人に収まった。惜しい人を無くしたが、キリトのファインプレーのお陰で被害は最小限で済んだ。

 

「おつかれ。キリト、アスナ」

「ああ、おつかれソル」

「お疲れ様」

 

「見事な剣技だった。Congratulation」

 

 エギルの一言を皮切りに、キリトへ賞賛の声がかけられる。

 しかし、異を唱える者が……。

 

「なんでや! なんでディアベルはんを見殺しにしたんや! 自分はボスの使う技知っとったやないか」

「きっとあいつベータテスターだ! 他にも居るだろ、ベータテスターども!」

 

 たった一人の死者の責任をベータテスターのせいにしようとする声が一つ、二つと増えていく。ここまで来ると呆れを通り越して逆に関心してしまう。誰かの陰謀か何かだとしたら、止めなくてはならない。

 

「あのなー……「元ベータテスターだって? そんな素人連中と一緒しないでもらいたいね」……っ!」

 

 キリトは声高らかに言った。その声は明らかに芝居がかっていて、何処か寂しそうにしていた。

 曰く、ベータテスターの殆どは未経験者だ。曰く、自分は誰よりも上の層に行き、戦闘経験を積んだ。曰く、あの素人どもよりお前たちの方がマシだ。

 

 聞いている内に分かった。キリトは背負おうとしているのだ。ベータテスターへの嫉妬、恨み辛みを全て。彼が踏み込もうとしているのは茨の道、いやそれ以上に悲惨なものかもしれない。

 黒いコートを装備して先へと進む背中を見た僕は、

 

 

 

未来の英雄の姿を見た。

 

 僕は彼の為にこの世界に来たと、直感した。彼の為に剣を振ろう。彼に生きて欲しい。彼こそが、()()()()()()()()()()だと。

 

 

「ビーター、いいねそれ」

「少し安直じゃないか?」

 

 キリトの目が開かれる。いつの間にか隣にいる僕に驚いてるようだ。

 

「ソル、お前……」

「キリト、僕は君の為に剣を振るよ」

 

 何も言わせない、させない。キリトの為では無い、僕の為にも。

 

「一人になるには背中が寂しそうだったぞ?」

 

 軽く微笑んでみせる。キリトは諦めたのかやれやれと溜息をすると、前を見据える。彼を一人にしてはいけない。彼は一人じゃない、少なくとも僕が傍に居よう。

 

 

 

 

 

 この日から、僕はこの世界で()()()()()()気がしたんだ。

 




展開が速……いやアニメもこんなもんか?


ではまた!

君ガ為ニ剣ヲ振ルフ
誓約、我ガ剣ハ汝ノ為ニ。
契約、我ガ命ノ星ト相成リテ。
協約、汝ノ孤独ヲ往年ノ物トスル。
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