初めに言います。終わりじゃないです。
後処理もしっかりやるのが君為です。
マザーズロザリオの伏線は次話で全て回収する予定です。
オーディナルスケールはやるか迷ってます。
やるとしても内容何も無いです。
やるならソルはオーディナルスケール起動しないです。
ではどうぞ
病院が騒がしい。廊下の声を拾うと、どうやら明日奈が来ているらしかった。倉橋先生も明日奈の対応をしている。
病室には僕一人。ある伝手を使って手に入れたアミュスフィアの電源を入れる。
「…………」
表面をなぞるように指先で触れる。この機器が憎たらしくも、頼る無力を呪うことも嫌悪することも出来ない。僕は、ただのしがない学生なのだ。
教わった
「……リンク・スタート」
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アスナside
ユウキの病院で、アミュスフィアを使ってALOにダイブする。森の家で覚醒して、全速であの島に向かった。二人が初めて出会った、あの大樹の下を。
アインクラッドは夕暮れだった。差し込む夕陽が湖を染め、光の帯を照らす。
小島に到着すると、彼女はそこに居た。やや冷たく感じる風に濃紺のロングヘアを揺らしながら、闇妖精族の少女剣士はゆっくりと振り向いた。
「──ありがとう、アスナ。ボク、大事なことをひとつ忘れていたよ。アスナに、渡すものがあったんだ。だから、どうしてももう一度ここで会いたかった」
その声はほんの少し、揺らいでいた。
「なに? わたしに渡すものって」
「えーとね……いま作るから、ちょっと待って」
私が明るく訊ねると、にっと笑い。ウインドウを出して短く操作した。すると、右手で腰の剣を音高く抜き放つ。
「やあっ!!」
裂帛の気合いとともに、右手が閃いた。樹の幹に向かって、右上から左下に、神速の突きを五発。ぎゅん、と剣を引き戻し、今度は左上から右下に五発。突き技が一発命中するたび、凄まじい炸裂音が鳴り響き、天を突く大樹全体がびりびりと震えた。
十字に十発の突きを放ったユウキは、もう一度全身をいっぱいに引き絞ると、最後の一撃を交差点に向かって突き込んだ。青紫色の眩い光が四方に迸り、足許の草が放射状に倒れた。
剣尖を中心にして、小さい紋章が回転しながら展開した。同時に、四角い羊皮紙が樹の表面から湧き出すようにジェネレートし、青く光る紋章を写し取ると、端から細く巻き上げられていく。ユウキはそれを掴むと、剣を落とし、崩れ落ちようとした。
素早く駆け寄ってその体を支える。
「へんだな……。痛くも、苦しくもないのに、なんか力が入らないや……」
「だいじょうぶ。ちょっと疲れただけだよ。休めば、すぐによくなるよ」
「うん……。アスナ……これ、受け取って……。ボクの……OSS……」
「わたしに、くれるの……?」
「アスナに……受け取って……ほしいんだ……。さ……ウインドウを……」
「……うん」
左手を振って、ウインドウを出し、OSS設定画面を開く。ユウキは握った小さなスクロールをウインドウ表面に置く。スクロールは光とともにたちまち消滅し、それを見たユウキは、満足そうなため息とともに左手を落とした。ふわりと笑ってから、消え入るような声で囁く。
「技の……名前は……《マザーズ・ロザリオ》……。きっと……アスナを……守って、くれる……」
堪えきれなかった涙がユウキの胸元に落ちる。微笑みは消さない。
「ありがとう、ユウキ。──約束するよ。もしわたしがいつか、この世界から立ち去る時が来ても、その前に必ずこの技は誰かに伝える。あなたの剣は……永遠に絶えることはない」
「うん……ありがと……」
その時、いくつかの飛翔音が重なって響いてきた。顔を上げると、ジュン、テッチ、タルケン、ノリ、シウネーの五人が、我先にと駆け寄ってくるところだった。
五人は、ユウキを半円形に囲んで膝を落とした。ぐるりと皆の顔を見回し、ユウキは困ったように笑った。
「なんだよ……みんな、お別れ会は……こないだ、したじゃん。最後の見送りは……しないって、約束……なのに……」
「見送りじゃねえ、カツ入れに来たんだよ。次の世界で、リーダーが俺たち抜きでしょぼくれてちゃ困るからな」
にやっと笑いながら、ジュンが言った。
「次に行ってもあんまウロウロしねえで待ってろよ。俺たちもすぐに行くからさ」
「何……言ってんの……。あんますぐ……来たら、怒る……からね」
ちっちっと舌を鳴らし、今度はノリが威勢のいい声で言った。
「だめだめ、リーダーはあたしらがいなきゃなんもできないんだから。ちゃんと、おとなしく待っ……待って……」
突然、ノリの顔がくしゃっと歪み、大きな黒い瞳から涙がぼたぼたと落ちた。喉の奥から、堪えきれないように嗚咽を二度、三度と漏らす。
「だめですよ、ノリさん……泣かないって、約束ですよ……」
笑顔で言葉を挟んだシウネーの頬も、二筋の涙できらきらと光っていた。最早溢れる涙を隠そうともせず、タルケンとテッチもユウキの手をぎゅっと掴む。
「しょうがないなあ……みんな……。ちゃんと、待ってる……から、なるべくゆっくり……来るんだ、よ……」
スリーピング・ナイツの六人は、手を重ねると、再会を誓うようにぐっと力強く頷き合った。シウネーたちが立ち上がるのと前後するように、新たな翅音が幾つか近づいてきた。
現れたのはキリトとユイ、リズベット、シリカ、リーファ、シノン……いや、それだけじゃない、様々な種族の翅音が、幾つも重なって、荘厳な反響音を作り出している。
見えたのは、色々な方向から、沢山の帯が小島を目指して伸びていた。赤色はサラマンダー、黄色はケットシー、インプ、ノーム、ウンディーネ……それぞれのリーダーに率いられたプレイヤーの大集団が、一直線に大樹へと向かって集まってくる。その数は五百……いや、千を超えるだろう。
「うわあ……すごい……。妖精たちが……あんなに、たくさん……」
眼を見開いたユウキが感嘆の声を漏らした。
「ごめんね、ユウキは嫌がるかもって思ったんだけど……わたしが、リズたちにお願いして呼んでもらったの」
「嫌なんて……そんなこと、ないよ……。でも、なんで……なんでこんなに……、たくさん……夢……見てるのかな……」
ユウキが吐息混じりに囁く間にも、小島の上空まで達した剣士たちは、次々と滝のような音を立てて降下してきた。その大集団は、少し距離を置いてわたしたちを取り囲むと、次々と草地に片膝を着き、こうべを垂れる。さしも大きくない島は、あっという間に無数のプレイヤーで埋め尽くされた。
「ユウキ……あなたは、かつてこの世界に降り立った、最強の剣士……。あなたほどの剣士は、もう二度と現れない。そんな人を、寂しく見送るなんて……できないよ。みんな、みんなが、祈ってるんだよ……ユウキの、新しい旅が、ここと同じくらい素敵なものに、なりますように、って」
「…………嬉しい……ボク、嬉しいよ……」
ユウキは周囲を取り囲む剣士たちを見渡すと、何度か深く息をついてから、まっすぐわたしを見た。最後の力を全て振り絞るかのように、切れ切れだがはっきりとした声で話し始めた。
「ずっと……ずっと、考えてた。死ぬために生きてきたボクかま……この世界に存在する意味は、なんだろう……って。何を生み出すことも、与えることもせず……たくさんの薬や、機械を無駄遣いして……周りの人たちを困らせて……自分も悩み、苦しんで……その果てに、ただ消えるだけなら……今この瞬間にいなくなったほうがいい……何度も何度もそう思った……。なんで……ボクは……生きてるんだろう……って……ずっと……。でも……でもね……ようやく、答えが……見つかった、気がするよ……。意味、なんて……なくても……生きてて、いいんだ……って……。だって……最後の、瞬間が、こんなにも……満たされて……いるんだから……。こんなに……たくさんの人に……囲まれて……大好きな人の、腕のなかで……旅を、終えられるんだから…………」
『もう、満足したのか?』
声が聞こえた。その場の全員が声の主を探す。
わたしたちの真上の上空に輝く光が現れ、それは人の形へと変化した。白い外套を纏い、優しく輝く純白の翅を持っていた。
『もう、終えていいのか?』
頭の中に響くような声。ゆっくりと降下する白い妖精が再度問う。
「うん……、もう……いいよ……」
『本当にいいのか?』
わたしの真横に降り立った白い妖精がユウキを見つめる。フードを被っていてその顔は見えない。
『続けたいと……思わないのか?』
「……無理だよ。……ボクは、もう……いいんだ……」
『生きるのは……楽しく無かったか?』
「そんな……わけ……ないよ……」
白い妖精が膝を着けてユウキの手を握る。
『汝に問う。望みを言え。さすればその願い、叶うであろう』
ユウキが少し瞠った。
「……いいの、かな……?」
『願え、そこに資格も権利も存在はせぬ』
じわりとユウキの目から涙が溢れる。唇を震わせ、縋るような小さな声で囁いた。
「生きたい……。もっと、アスナと……みんなと……一緒に…………居たい」
『汝の願い。しかと受け取った』
そう言った白い妖精が手を掲げると、光の中から一つのガラス瓶を取り出した。アイテムだと思うが、見たことの無い物だった。
白い妖精は瓶の蓋を外して、中の液体をユウキの口に注いだ。すると、ユウキが眩い光に包まれた。
「ユウキ!」
『安心しろ。害有る物では無い』
白い妖精がわたしの肩に手を乗せ、ユウキを支えていた腕を外される。そこでわたしは目を見張った。
ユウキは地面に倒れず、ユウキの体は宙に浮き上がったのだ。
『汝を蝕む悪き病はもう去った。汝、生きよ。仲間と、大好きな人と、これからも生き続けよ。
光が収まる。ユウキがゆっくりと眼を開くと、信じられない顔で自分の体のあちこちを触り始めた。
「負け越しは許したくないんでな……」
ぼそりと呟かれた言葉をわたしは聞き逃さなかった。
(ソル君?)
その声は知り合い声にとてもよく似ていた。
「アスナ!」
「わっ!」
胸に飛び込んできたユウキを辛うじて抱きとめる。さっきまでの雰囲気とは真逆の、いつものユウキだ。
「ボク、これからも生きるよ!」
満開の笑顔で言うユウキ。ハッと周りを見渡すが、もうあの白い妖精の姿は無かった。
「あの人は……」
「後でお礼しなきゃね」
「知っているの?」
「え? あー、わかんない!」
周囲の剣士たちは何が起こったのか分かっていない。全員が目を点にしてはしゃぐユウキを見守っている。
「ねえアスナ! 明日も会えるかな?」
「ふふ、もちろん」
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現実世界に戻ってきて、湧き上がる吐き気に堪らずベッドの傍に置いてあるバケツに嘔吐した。
「はぁ……はぁ……」
アミュスフィアを外して、枕元に置いた。口を拭いながら机の上のスマホを探す。何とか連絡先の
五回目のコールでやっと繋がる。窓の外の夕陽はもう沈みかけていた。
「もしもし」
『……上手くいったか?』
「はい、ありがとうございます。
…………叔父さん」
オーディナルスケールいる?
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やれよ
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はよアリシゼーション行けよ