君ガ為ニ剣ヲ振ルフ   作:アールワイ

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ども、素人投稿者です。

特に原作と離れた展開が無い後編です。
これでどうやってオリジナリティを出せって言うんDA。


ではどうぞ


《テイマーの少女》(後)

 

 

 

 次の日の朝、転移門の傍で待っていると、キリトとシリカが光に包まれて転移してきた。

 

「うわあ……!」

 

 シリカが感嘆の声を上げる。四十七層は花の層。色鮮やかな花々が咲き誇る層だ。その美しさからデートスポットとしても有名だ。

 

「僕は後ろで待機する形だから、ペースは二人に任せる」

「それじゃあ行こうか」

「は、はい」

 

 ……シリカのキリトに対する目線が昨日と違う。キリトはイケメンだし、そういう感情が芽生えてもおかしくはないが。……堕ちるの早くね?

 

 

 

 

「あの……キリトさん。妹さんのこと聞いていいですか?」

 

 向かってる途中、シリカが切り出す。アインクラッドでは現実の話を持ち出すのはタブーだ。理由は知らないが、暗黙の了解ってやつだ。

 僕はキリトがどう対応するのか見てると。

 

「仲は、あんまり良くなかったな……」

 

 ぽつりぽつりと話し始めた。

 実は従妹だとか、厳しい祖父との軋轢に巻き込んで剣道を強制させてしまって引け目を感じてるとか、懐かしそうに、後悔してるように話した。

 

「妹さんはキリトさんを恨んでなんかいないと思います。好きじゃないのに頑張れることなんかありませんよ」

 

 シリカはキリトの様子を見ながら言う。嬉しそうに慰めていた。

 

「じゃあちゃんと帰って、ただいまと言ってやれ」

 

 僕も慰めるとキリトはありがとう、と笑う。

 やっぱり、彼だけでもこの世界から生きて帰って欲しい。僕は今一度、()()を守ろうと誓った。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

「やあああああ!!」

 

 知りたいの悲鳴が聞こえる。四十七層のモンスターは植物型だ。周りの花が美しい分、モンスターの醜悪な見た目に女性プレイヤーは嫌悪せずにはいられない。うねうねした触手なんか生理的に無理な人が多い。

 

「キリトさん! 見ないで助けて!」

 

 触手に捕まって宙吊りになってるシリカはキリトに叫ぶ。僕は後方の安全の為背を向けてるが、キリトはバッチし見ちゃってるだろう。

 

「いい加減に……しろ!」

 

 背後から破砕音が響く。無事倒せたらしい。

 

「……見ました?」

「……見てない」

 

 ……キリトくん、それは見た奴が言うセリフだ。

 

 

~~~~~

 

 

 なんやかんやあったが、シリカは無事《思い出の丘》に辿り着いた。

 シリカは目的のものが岩の上にあると聞くやいなや走り出す。息を切らしながらも岩の上を覗き込むが。

 

「え……」

 

 しかし、そこには花と呼べるものは無かった。

 

 ──と、思われたが。

 

 

 短い草の間から一つの芽が伸びる。シリカが視線を向けると、芽は異常な速さで成長し、綺麗な白い花を咲かせた。

 まるで奇跡のような光景に呆然としてると、シリカはそっと茎に触れて花を摘んだ。茎は柔く砕けて、光る花がシリカの手の中で輝いた。

 ウインドウが浮かび、表示されたアイテム名は《プネウマの花》だった。

 

「これで……ピナを生き返らせるんですね……」

「ああ。心アイテムに、その花の中の雫を振り掛ければいい。だが、街に帰ってからの方がいいだろうな。急いで戻ろう」

「お疲れ様シリカ。良く頑張ったな」

「はい!」

 

 シリカは笑顔で頷く。命の危険がある中本当によくやったと思う。後は帰るだけだ。……用事を済ましてな。

 

 

 

 

 

 

 街に戻る僕らが小川の橋を渡ろうとした時、キリトがシリカを止める。ここが決めたポイントだ。

 

「そこで待ち伏せてる奴、出てこいよ」

「え…………!?」

 

 キリトの突然の発言にシリカが驚く。……え、シリカが驚いてる?! キリトこの野郎、説明したってメッセージしたくせにこのこと伝えてなかったのか。

 

「ロザリアさん……、なんでこんなところに……!?」

 

 赤い女の登場にシリカがまた驚く。

 お前のせいだぞキリト。責任取りやがれ。

 

「アタシのハイディングを見破るなんて、なかなかに高い索敵スキルね、剣士サン。あなどってたかしら?」

 

 ……そうかー、あれで隠れてるつもりだったのか。誘導しといてなんだけど、所詮小物だな。スキルを使うまでもなく《索敵》できる程度だ。

 

「《プネウマの花》の花をゲットできたみたいね。じゃ、さっそくその花を渡してちょうだい」

「もういいか? くだらない茶番はもう飽き飽きだ」

 

 これ以上は付き合ってられない。三文芝居の方がまだ見応えがある。

 僕の言葉に女は目に見えて怒り、僕を睨む。僕は気にも止めず、キリトに発言を求める。

 

「そうは行かないな、ロザリアさん。いや──犯罪者ギルド《タイタンズハンド》のリーダーさん」

「え……でも、ロザリアさんはグリーン……」

「オレンジギルドの中にグリーンがいるのは珍しくない。そういう手合いの奴だっている」

 

 僕が補足したように、ロザリアの頭上のカーソルはグリーンだ。だが、接触する為にグリーンの奴が獲物に近づき、他の仲間に狩らせるやり口は沢山見てきた。コイツらもその手合いだろう。

 

「そ……そんな……」

 

 シリカは愕然としてロザリアを見やる。こんな茶番は要らない。見ているだけで気分が悪くなる。

 僕は用事を済ませる為に本題に入る。

 

「僕らは《シルバーフラグス》ってギルドの奴からあんたらを牢獄にぶち込むよう依頼されたんだ。大人しくお縄につきな、ロザリア」

「……ああ、あの貧乏な連中ね。何? あんた達マジにしちゃった訳? 馬鹿みたい。ここで人を殺したって、ホントにその人が死ぬ証拠はないし。そんな──」

「はいはい、解った解った」

 

 面倒に思いながら手をひらひらと振ってみせる。こいつらは()()だ。それが解れば話は早い。流石の僕も我慢の限界を迎えようとしてる。

 ロザリアは顔を真っ赤にさせて怒りながら合図を出す。すると、十人のオレンジカーソルのプレイヤーが木立から出てくる。全員居ることを確認して、キリトの背中に回る。

 

「キリト。シリカを怯えさせた罰だ、お前が片付けろ」

 

 キリトの背中を押して前に出す。おいソルとかほざいているが無視だ。

 

「そ、ソルさん……」

「この転移結晶を持ってな。億に一つ、いや兆に一つがあるかもしれないからな」

 

 不安そうにキリトを見るシリカに転移結晶を渡す。転移結晶は高価だが、こんな出費痛くも痒くもない。安全がコルで買えるなら万々歳だ。それに、シリカを巻き込んでしまった負い目もある。

 

 

 

「キリトにソル……?」

 

 賊の一人が呟いた。眉をひそめ、キリトを凝視する。すると、急に顔色を悪くし、何か分かったのかロザリアに向けて言い放つ。

 

「ロザリアさん! こ、こいつら……《黒の剣士》に《幻の剣舞》、攻略組だ!」

 

 男の言葉でキリト以外のメンバーが驚愕する。もちろん僕も驚いてる。

 

「キリト、《幻の剣舞》ってのは僕のことか?」

「敵の攻撃を髪一重で躱しながら舞うように剣を振るい、街に滅多に現れない奴なんてお前しかいないだろ?」

「……そうか」

 

 いつの間にか大層な二つ名を付けられたことをなんとか飲み込んで、《タイタンズハンド》の面々を見る。ロザリアは数秒ほど間抜けな顔をしていたが、我に返って甲高い声で喚く。

 

「こ、攻略組がこんなところをウロウロしてるわけないじゃない! どうせ、名前を騙ってびびらせようってコスプレ野郎共に決まってる。それに──もし本当に《黒の剣士》に《幻の剣舞》だとしても、この人数でかかれば人数差で押し切れるわよ!!」

 

「そ、そうだ! 攻略組なら、すげえ金とかアイテムとか持ってんぜ! オイシイ獲物じゃねえかよ!!」

 

 ロザリアの声に賊は勢いづき、同意の言葉を喚きながら抜剣した。斧、槍、剣の光沢が眩しく光る。

 対するキリトは動かない。抜剣もせずに立ち尽くす。僕は不信に思い、メニューウインドウを出してある操作をする。

 その様子を見て好機と見たのか、ロザリアともう一人のグリーンを除く九人が不快な笑みを浮かべて走り出す。短い橋を駆け、キリトに斬りかかる。

 

「オラァァァ!!」

「死ねやァァァ!!」

 

──しかし、奴らの攻撃がキリトを捉えることはなかった。

 

「なっ!!」

 

 次の瞬間、賊の武器にヒビが入ると、そのままポックリと剣先が落ちてポリゴンとなって消えた。システム外スキル《武器破壊(アームブラスト)》、相手の技の出始めか出終わりの攻撃判定が存在しない状態に、武器の脆い部分に一定の角度で命中させることで破壊することができるスキルだ。

 

 

 

 キリトも少し困惑する中、シリカは後ろから何が起きたのか見ていた。ウインドウを操作していたソルは背丈の二倍はある長槍を手に出現させると、キリト目掛けて突きを繰り出した。突きはキリトを避けるように軌道を変え、キリトに迫る斬撃を逸らしていた。シリカの目では追えなかったが、ソルの行動と賊の攻撃がキリトに当たらなかった結果を見て推察した。

 

「キリト、何をしてる?」

 

 キリトはゆーっくりソルの方に振り返ると、真顔で槍を握るソルが居た。ソルが赤黒いオーラを纏っている錯覚を覚え、背筋に冷や汗が流れる。

 

「何もしてないが……」

「聞き方が悪かったな、何故なにもしない?」

 

 キリトは後ずさる。しかし、キリトが一歩下がればソルが二歩進む。とうとう二人の距離は零になり、ソルがキリトの胸ぐらを掴む。

 

「お前はオレンジ共に応戦もせずに斬られる趣味でもあるのか? けったいな趣味だな」

「あー……その……」

 

 キリトはなんとかしようと頭を回転させる。その間にも、ソルの言葉は止まらない。

 

「舐めてるのか? 所詮相手は中層のプレイヤー共、到底自分が死ぬ通りはない。キリト、それは余裕ではなく傲りだ。もしコイツらが毒を付与した武器を持ってたらどうするんだ? 麻痺毒だった場合、攻撃を受けたお前は動けなくなり、奴らに好き放題される。《戦闘回復(バトルヒーリング)》があるから大丈夫だって? 馬鹿かお前、そんなもん裏技を使えばどうとだってできる。いいかキリト、この世界でも人の殺し方ってのは沢山あるんだよ」

 

「……すまん、ソル」

「分かりゃいいんだよ」

 

 ソルはキリトを下がらせて、ロザリア達に鋭い眼光を向ける。男たちはその威圧に恐怖し、顔を青ざめる。

 

「チッ」

 

 不意にロザリアが舌打ちすると、腰から転移結晶を掴み出した。宙に掲げ、口を開こうとするが。

 

「僕はキリトほど優しくないんだよ」

 

 ロザリアの前まで接近したソルが手にあった結晶を槍で穿いた。結晶は音を立てて消え、腰が抜けたロザリアは尻もちを着く。

 

「キリト。結晶を」

 

 ソルに言われると、キリトは腰のポーチを探る。取り出したのは青い結晶体だった。だが転移結晶より色が格段に濃い。

 

「これは、俺に依頼した男が全財産をはたいて買った回廊結晶だ。黒鉄宮の監獄エリアが出口に設定してある。あんたら全員これで牢屋に跳んでもらう。あとは《軍》の連中が面倒見てくれるさ」

 

 キリトの説明にロザリアは唇を噛む。数秒押し黙ったあと、強気な笑いを浮かべ、言う。

 

「──もし、嫌だと言ったら?」

「僕が()()する」

 

 即答したソルの答えに、その笑みが凍りつく。彼は本気だ、その気になれば確実に殺されると感じたロザリアは、抵抗を諦めて俯いた。

 

「キリト」

「コリドー・オープン」

 

 キリトが濃紺の結晶を掲げて叫ぶ。瞬時に結晶が砕け散り、その前の空間に青い光の渦が出現する。自ら入る聞き分けの良い者が先に入っていく、動かない奴は放り投げる。全員入ると、回廊が一瞬まばゆく光って消滅した。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 風見鶏亭に戻るまで、シリカは無言だった。これもそれもキリトが説明していなかったせいだ。二階に上がり、三人でキリトの部屋に入る。

 

「キリトさん……行っちゃうんですか……?」

「ああ……。五日も前線から離れちゃったからな。すぐに、攻略に戻らないと……」

(……完全に堕ちてるな)

 

 僕の名前が出てこないのはまだしも、会って二日の子にこんな態度をとらせるキリトに戦慄する。流石に居心地が悪いので、早く目的を達成してもらうよう促す。

 

「……早くピナを復活させてあげたらどうだい?」

「あ、はい……」

 

 シリカが泣きそうになりながらも頷く。悪いことはしてないが、罪悪感に蝕られる気がして自己嫌悪してしまう。

 シリカはメインウインドウを呼び出し、《ピナの心》を実体化させる。浮かび上がった水色の羽根をティーテーブルに横たえると、次に《プネウマの花》も呼び出す。

 

「その花の中に溜まっている雫を、羽根に振りかけるんだ。それでピナは生き返る」

「解りました……」

 

 雫が羽根に吸い込まれると、羽根が光に包まれ、小さなドラゴンへと姿を変えた。

 

「ピナ!」

 

 

 キリトと一緒に居たいっていうシリカの気持ちは分からないこともない。だからこそ、彼女には自分のペースで攻略してほしい。キリトもそれを望んでいるだろう。

 

 

 

 

 

 

 あと何故か分からないが、ピナが僕にめっちゃ懐いた。




罠……使わなかったね。
備えあれば嬉しいなですから。


ではまた!

復活
奇跡は存在した。
いやはや之は夢であったようだ。
最初から有って無かったではないか。
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