君ガ為ニ剣ヲ振ルフ   作:アールワイ

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ども、素人投稿者です。

オリジナル展開としてはまあまあかなって感じです。
ではどうぞ


《二刀流と舞闘術》

 

 

 

シノンside

 

 

 ユイちゃんに誘導されて、私はこのアンダーワールドに来た。アカウントの簡単な説明を受けて、兎に角速さ重視でログインしたものだから、状況については大まかにしか把握できてない。

 

「アスナ、ここから五キロくらい南に行った所に遺跡みたいな廃墟が見えるわ。あそこなら、包囲されずに敵を向かい撃てると思う」

「わかったわシノン。いくらアメリカのVRMMO人口が多くても、これ以上の数はすぐには用意出来ないはず。今いるプレイヤーを撃退すれば、敵に打てる手はもう無い……と思うわ」

 

 戦況はまだ取り返せる程で一安心する。

 

「わかった、任せておいて。……それはそうと、ソルはこの部隊に居るの?」

「……この馬車の中に居るわ。でも、決して取り乱さないで」

 

 アスナに誘われるまま馬車の扉を開ける。私を出迎えたのは、黒髪美人の大和撫子。

 

「アスナ様、そちらの方は?」

「彼女はシノン。私と同じ外の世界の人間よ」

「ど、どうも」

 

 何処か不服そうな顔の大和撫子に奥に案内される。中に居たのは、手足を失い眠る私の想い人だった。

 

「ソル…………」

 

 安らかに眠るソル。物静かに眠る彼は、呼吸の音すら聞こえない。まるで死んでいるかのように深く眠っている。

 

「っ…………!」

 

 彼はきっと、誰かの為に傷付き続けて来た。その心が壊れるまで、護り続けて来たんだ。

 

(逢いに来たわよ。後は任せて、ゆっくり眠ってね)

 

 彼の頬に口付けする。すると、私の手が握られる。

 涙が溢れる。目覚め無くても、彼は私達を常に見守ってくれてる。動くことすら叶わないその体を懸命に奮い立たせている。

 

「シノノン……」

「大丈夫、彼は起きるわ。彼が寝起き悪いのは知ってるでしょ?」

「……ああ、ソルは寝起きがすこぶる悪いからな。そのうち起きるさ」

 

 彼は私たちがピンチになれば必ず駆け付けてくれるだろう。でも、もういい。

 

(全てを終わらせてから、ゆっくり目覚めを待てばいいわ)

 

 彼が剣を持てないことに安堵する。彼が戦えるのなら、きっと彼を頼ってしまうから。

 

(いつか必ず起きてくれるなら。今はゆっくり眠っていて)

 

「それじゃ、私は一足先に飛んで遺跡の様子を見てくるね」

 

 私は馬車を後にしようとすると、キリトに方を掴まれる。

 

「い、今、飛べるって言ったかシノン?!」

「あ、うん、ソルスアカウントの固有能力らしいわ。制限時間とかも無いって聞いたけど……」

「なら、シノンは皇帝に拐われたアリスを追いかけてくれ!」

 

 

~~~~~

 

 

 事情を聞き終え、扉を開けた時、彼の声が聞こえた。

 

「…………リリース・リコレクション」

 

 彼の剣が輝く。輝きは実体の光となり、剣が生み出した光は三つに分裂する。一つは槍に、一つは斧に、一つは盾となる。

 

「あの盾は……《無戒盾》」

 

 うち一つはキリトに見覚えのあるものだったらしく、キリトが触れようとすると、盾は私の前に顕れる。

 

「これ……私に?」

 

 私が取ろうとしても、盾は動かない。試しに歩くと、盾は私の後ろに着いてくる。

 

「盾が……」

「ファンネ〇かよ……」

 

 私たちが盾に注目していると、槍は何処かに飛び去って行く。

 

 

 

 

 

 

「うわわわわわー!!」

 

 外から誰かの悲鳴が聞こえる。何事かと外に出ると、何かが墜落して土煙が上がっていた。

 

「いっててて。空中で目覚めるなんて聞いてないよぉ」

 

 蝙蝠の羽を羽ばたかせて土煙を払うと、紫の髪、黒曜石色の鎧に細い直剣を帯剣した少女が居た。赤紫色の瞳にアイデンティティとも言えるヘアバンドを着けた彼女は。

 

「ユウキ!」

「やっほーアスナ! 助けに来たよ!」

 

 元気ハツラツで活発な少女はユウキ。訳あってソルの義妹となった私の義妹(違います)だ。

 

「ユウキもSTLで?」

「うん。ユイちゃんにお願いされて来たよ!」

 

 ユウキは《絶剣》の二つ名を持つ無敗の剣士だ。彼女に任せれば、人界軍は大丈夫だ。

 

「ここはユウキに任せて私はもう行くわね」

「ええ、気をつけて」

「ボクに任せて!」

 

 私は飛行状態に入って、アリスを追いかけた。

 

 

~~~~~~~~~~

ユージオside

 

 僕は陽炎(かげろう)に乗ってアリスを連れ去ろうとする皇帝を追いかける。前方にはベルクーリさんが飛竜を三頭乗り継いで追いかけてるが、僕は陽炎だけ。差は縮まるどころか広がる一方だ。

 

(追いつけない……)

 

 北に戻って部隊と合流しようと一瞬考えるが、アリスを見捨てることなんてできない。しかし、このままでは僕は一生皇帝に追いつくことが出来ない。

 

(くそ……)

 

 《青薔薇の剣》が何かに共鳴する。

 

「《青薔薇の剣》が……」

 

 気付くと、僕の目の前に一振の剣が浮いていた。煙のように掴みようが無いその剣は、僕が柄を握ると、霧が霧散してその剣身を露にした。

 

「もしかして……これはソルの……」

 

 どことなくキリトの持つ白い剣と同じ雰囲気を放つその赤紫色の剣。鍔は蝶の形になっていて、翅の奥には色鮮やかな色が込められている。

 

『それは《胡蝶の剣》。君の力になるよユージオ』

 

 声が聞こえた。この剣にはソルの意志が宿っている。これ程頼もしい剣は他に無い。

 

「やってみせるよ。エンハンス・アーマメント!」

 

 《武装完全支配術》を行使すると、翅が僕と陽炎を包んだ。翅は僕らを風から守り、更に不思議な力で運んでくれている。皇帝に追いついたベルクーリさんが戦っている場所まで、後数分と言った速さで僕も向かう。

 

「アリス……!」

 

 ベルクーリさんは今も戦っている。急かす気持ちを落ち着かせながら、僕は剣を強く握った。

 

 

~~~~~

 

 

 僕が戦場に着いて見たのは、壮絶なる戦いだった。

 僕は瞠る、人界最強の騎士であるベルクーリさんが押し負けて、血を流している。《暗黒神ベクタ》の強さに驚愕する。

 

「飽きたな。お前の魂は重い、濃すぎる。その上単調だ。私を殺すことしか考えていない。もう……消えろ」

 

 ベルクーリさんに左腕は無い。彼はもう満身創痍だ。そんなベルクーリさんにベクタは特大の心意攻撃を放つ。

 

「ベルクーリさん!」

 

 二振りの剣でベクタの心意攻撃を防ぐ。攻撃の重さに吹き飛びそうになるが、何とか堪えた。

 

「小僧!」

「ベルクーリさんは下がっててください。僕がやります!」

「止せ!」

 

 ベクタに接近し四連撃アインクラッド流〈バタフライ・アーク〉の連撃を繰り出す。二振りの剣を右往左往に切り刻むが、ベクタは難なく防いでくる。

 

「ふむ、お前の魂は爽やかなミントのようだ。口直しにはもってこいだな」

「アリスを返せ!」

「やめろユージオ! お前さんじゃ勝てねえ!」

 

 ベルクーリさんの言う事は正しい。確かに僕では《暗黒神ベクタ》に敵わないのかもしれない。でも、僕には……

 

「力を貸してくれ、ソル!」

 

 

 

『僕の《舞闘術》とキリトの《二刀流》を受け継いだ君の強さを見せてくれ。いくぞ!』

 

「『リリース・リコレクション!!』」

 

 二振りの剣の記憶を解放する。空間を氷気が満たし、霜や霧で視界が塞ぐ。

 

「目眩しか? この程度の小細工……」

 

 銀色の騎士が霞のように空間に同化する。不可視となった騎士はその二振りを巨悪へと見舞う。二つのライトエフェクトが光が屈折する空間に揺らめく。

 

 直線の斬撃を左右から繰り出す八連撃アインクラッド流〈ラインエフェクト〉、剣が曲線の軌跡を描く十二連撃アインクラッド流〈スターゲイザー〉、これらのソードスキルは本来のアインクラッドには存在しなかった。《二刀流》と《舞闘術》の融合、ユージオにのみ許されたオリジナルソードスキル。

 

「鬱陶しいぞ」

 

 夢に囚われ、気配も心意も感じられないベクタは焦りを見せる。見え隠れするユージオの攻撃に徐々に追いつけなくなる。

 

「あれは……青い薔薇……」

 

 遠くから見ていたベルクーリだけは気付けた。ベクタの足元には青薔薇が咲き誇っている。天命を吸ってその花を開花させる青薔薇があれだけ沢山咲いているということは、暗黒神ベクタの天命を既にあれだけ吸い込んだということ。

 

「リリース……リコレクション」

 

 ユージオが《記憶解放術》を行使した時、()()()()()()()()()

 

「うおおおおぉ!」

 

 凍てつきながら、天命を全て夢に変換された暗黒神ベクタは消滅した。

 

 

 

「はぁはぁはぁ……。勝てた……」

 

 僕は緊張が切れると、その場に倒れ込んだ。怪我はして無いけど、疲労が凄い。

 

「お前さん、今のは……?」

 

 ベルクーリさんが手を差し出してくれる。その手を掴んで起き上がりながら僕は答える。

 

「ソル……。僕の英雄が力を貸してくれたんですよ」

 

 赤紫の剣を掲げる。彼の思い、僕は確かに受け取った。

 

 

~~~~~

 

 

「ここは……。確か……皇帝の飛竜に捕まって……」

 

 眠らされていたアリスが目覚めた。目覚めた彼女に簡単に状況を伝える。

 

「ユージオ……。正直、あなたが羨ましいです」

「ちょっと! これに嫉妬しないでよ」

 

 目を細めてジッと《胡蝶の剣》を物欲しそうに眺めるアリス。あの壮絶なる戦いの後だというのに、この場の空気は明るかった。

 

「……仕方ないです。取り敢えず、北に戻りましょう。まだ守るべき民達があの赤い兵士に襲われているはずです」

「そうだね。……ん? あれは……」

 

 北から誰かが来る。飛竜にも乗らずに空を飛ぶ人に警戒して剣に手をかける。

 

「あなたがアリスね?」

「そう……ですが」

「私はシノン。ソルと同じリアルワールドの人間よ。《暗黒神ベクタ》からあなた達を助ける為に来たんだけど……。倒せたようね」

「ありがとうございます。それで、これから北に戻ろうとしてた所で……」

 

 僕の言葉にシノンと名乗った彼女は申し訳なさそうな顔をする。

 

「いいえ、アリスさんはこのまま南の《果ての祭壇》に向かって。祭壇にあるコンソール……いえ、水晶盤に触れればリアルワールドから呼びかけてくるはず」

「何故です!? 皇帝ベクタはもう死んだのでしょう!?」

「それが、そうでは……ないの。リアルワールド人はアンダーワールドで死んでも本当の命を失う訳では無いわ。皇帝ベクタに宿っていた敵が、新たな姿を得て再びこの世界にやって来るかもしれないのよ……」

「そりゃあにわかに信じられんなあ嬢ちゃん」

 

 傷が癒えたベルクーリさんが起き上がる。まだフラフラとしているから肩を貸すと、にこやかに笑ってお礼を言う。

 

「あの化け物がまたやって来るって? 冗談きついな」

「ごめんなさい。冗談では無いわ。兎に角アリスさんは一刻も早く祭壇に向かって」

 

 雨縁に跨るアリスはシノンに確認する。

 

「シノン、《果ての祭壇》からリアルワールドに出ても、もう一度この世界に、戻って来れますか? 愛する人達に……もう一度逢えますか?」

「ええ。あなたが、そしてこのアンダーワールドが無事でいれば」

「わかりました。ならば私は南に向かいましょう。果ての祭壇に何が待つのかは知りませんが、それがソルの意志ならば……」

 

 アリスは《果ての祭壇》に行くことを決めたようだ。ベルクーリさんは一度人界軍の様子を見に行くと言っている。僕はまだ決めあぐねいていた。

 

「シノンさんはどうするんですか?」

「暗黒神ベクタはこの場所に復活すると思う。私は何とか、頑張ってみる」

「なら、僕はアリスに着いて行きます」

「ユージオ……」

 

 アリスに微笑むで、シノンさんと向き合う。

 

「ユージオさん……なのよね? キリトが言っていたわ。あなたも一応リアルワールドに行った方が良いって」

「キリトが?」

「どちみちあなたもアリスさんと一緒に《果ての祭壇》に行く予定だったのよ。暗黒神ベクタは私に任せて」

「では頼みますシノン」

 

 三頭の飛竜は南に、一頭は北に飛び立つ。




胡蝶の剣

其の剣は、幻と呼ばれたある剣士の記憶を元に創られた。
其れに込められた記憶は、踊り舞う剣達の夢蝶輪舞曲。

どんな強敵が立ち塞がらんとして、それが夢で無いと誰が証明出来ようか。

属性は《夢幻境成》
夢の定義と境界が汝の想いを世界へと証明するだろう。
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