そろそろ最終決戦です。
ではどうぞ
ユウキside
ユイちゃんから連絡が来たのは驚いたけど、行方不明の兄さんやキリトを助ける為ならすぐに動けた。兄さんはボクを助ける為に命懸けで動いてくれたんだ。次はボクが兄さんを助ける番だ。
兄さんを見た。右腕と左足を切断されて、身体は傷で覆い尽くされて、とても痛々しかった。
(兄さんは、壮絶な戦いを経たんだ)
遺跡でボクとアスナとキリトは人界の人達を守る為に剣を振るう。ボクが使用しているスーパーアカウントは《破壊神シヴァルキ》。固有能力は《指定物体破壊》、相手の剣を遠隔で破壊しているから抑えているけど、これ以上増えたらもう守り切れない。兄さんの剣から出てきたっていう戦斧も頑張ってくれてるけど、この斧にはまだ何かが足りないと感じる。
「アスナ……」
「大丈夫よユウキ。まだ立てる……立ち続けられる」
そんなボクらの前に、青い光が降り注いで来た。光の一つがソードスキルで赤い兵士を薙ぎ倒す。
「あれは!」
「みんな!」
ALOの仲間たちが、再コンバート出来るかもわからない戦場に助けに来てくれた。《スリーピング・ナイツ》のみんなも居る。
形勢は逆転した、みんなが育て上げたアカウントがあんな凡庸なアカウントに引けを取るはずが無く、順調に相手の数を減らしていっていた。…………はずだった。
ボクとアスナも治療を受ける為に後衛に下がると、同じタイミングで治療を受けていたクラインさんと偶然会う。
「お? どうやら体勢は決したってやつかな、こりゃ」
「ありがとう。クラインさん、何て言ったらいいか……」
「おいおい水くせえよぉ。お前らには、これくらいじゃあ返しきれないほど借りがあるからな。……ソルも居るんだろ?」
「クラインが誰かをナンパでもすりゃ、止める為に起きるかもしれないな?」
「ひでーなー」
「あはは!」
勝てる、ボクらはそう思っていた。
前線に戻ろうとした時、アスナが急に止まった。
「アスナ?」
「ねえキリト君、あれって……」
「《PoH》の奴……戻ってきやがった!?」
キリトやクラインさんも足を止める。
「《PoH》? 何なのそれ?」
アスナ達が怯えるように見る革ポンチョの男は、包丁のような武器を器用に回す。
「アインクラッドの殺人ギルド《
「嘘よ……」
「奴をソルに近寄せるな!」
キリトが指揮を執ろうとした時、また赤い光が降り注ぐ。
「もう、やめて……」
「やっべえ。やっべえぞこりゃ。あの大軍の出処は日本でもアメリカでもねえ。中国と韓国だ!」
地獄はまだまだ続く。
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シノンside
「来た……」
待機していた上空から、ドス黒い深淵から顔を覗かせた。空から垂れ落ちた泥の中から出てきたのは、見た事のある顔だった。
(間違い無い。知っている。私はこの目を、顔を知っている)
羽のある異形に乗ってそいつは私と同じ高度に立つ。そいつは私に手を伸ばし、掴んだ。
「なっ…………!」
私の中の何かを縛られる。金縛りにあって動かない身体。私は口を開いた。
「お前、サトライザー……」
どうやら心意で首を締められていたらしい。解放されると、息を大きく吸う。
「アリスは逃げたか。まあいい、すぐに追いつく。君とは確か、ガンゲイルオンラインの大会で戦ったね。名前は……シノン、だったかな? まさかこんな所で会えるとは」
「お前こそ、何故ここに?」
「必然だからに決まっているじゃないか」
サトライザーは両手を広げ、薄気味悪い笑みを浮かべる。
「これは運命さ。私と君を引き付け合う魂の力なのだ。これで色々なことがわかるだろう。STLを介せば、生身の人間からでも魂を吸い取れるのかどうか。そして、BoBでは味わえなかった君の魂がどれほど甘いのかも……」
過去の記憶がフラッシュバックする。奴に植え付けられた恐怖に体が震えて止まらない。
心意で体を引き寄せられる。手を捕まれ、身動きを封じられる。
「シノン、君はサトライザーという名前の意味を考えてくれたことはあるかな? 意味は盗む者。私は君を盗む、君の魂を盗む」
(いけない。やめて……盗まないで、やめて……)
サトライザーに口を奪われそうになった時、燃え盛る焔がサトライザーを燃やす。
その反動で私は弾かれ、身体の拘束も解けた。
「これは、あの時の……」
焔を放ったのはソルが行方不明になる前日、彼が私に贈ってくれた太陽のネックレス。
「また、助けられたわね……」
彼がくれた太陽に口付けする。
「なら、私もやってやるわ」
《太陽神ソルス》アカウント専用武器《アニヒート・レイ》を心意でへカートに変える。
「お前は、神でも悪魔でも無いわ。唯の人間よ!」
撃ち抜く。心意で防がれても、また撃つ。
「負けるな。負けるな、へカート!」
銃弾が心意ごと奴の手を貫通する。サトライザーは穴を防いで、心意でライフルを出現させる。
「上等じゃない」
リロードしながら、私は不敵に笑って見せた。
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リーファside
ソルさんの槍の誘導で、私はオークの皆を連れて拳闘士を助けに来た。
「リルピリンは拳闘士の皆と下がって。ここは私が引き受けるから」
「おで達も戦う!」
「駄目よ! あなた達にこれ以上犠牲者を出して欲しくないの! 大丈夫、こんな奴ら何万人いたって負けないわ!」
槍が独りでに大軍に突撃する。縦横無尽に串刺しにしていくが、数は全く減らない。
(ソルさん…………。私、やってみせる!)
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ルーナside
剣から警告音が鳴り響いている。目覚めない先輩は、強く握り過ぎた手から血が出ている。
「先輩……」
まだ、まだ起きない。戦いは激化する一方。外の様子を確認したが、私たちは完全に赤い兵士に包囲されてしまっている。赤い兵士の数が一向に減らない。
「みんな……みんなが傷付いてます。こんなこと、言いたく無いですけど……助けて、ソル先輩」
赤い青年の胸の記憶結晶が、小さく輝いた。
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キリトside
俺はPoHに斬り掛かる。赤い兵士を指揮しているこいつさえ倒せば、人界軍はまだ押し返せるはずだ。
「くっ!」
「どうした《黒の剣士》。こんなもんかあ?」
《二刀流》を使っても、PoHには届かない。二刀流ソードスキル《ダブル・サーキュラー》を放つも、軽くいなされる。
「復讐でもしに来たのかPoH! 《
「はっははははは! バァッカじゃねぇの? 教えてやるよ。ラフィンコフィンの隠れアジトをてめえら攻略組様に密告したのはこの俺様なんだぜ?」
「なっ!?」
「俺はなあ、あの《蜃気楼》に
「『お前は誰かに引っ張って貰いたかったんだな』。初対面で俺にも気付いてない俺の欲望を呼び覚ましたんだぜ? そりゃもうゾッコンだよ。だから俺はあいつの視界に入る為に人を殺し続けた。それが効果抜群でよぉ、あいつ、四六時中俺を探して人を斬るんだぜ?」
「お前のせいで……ソルがどれだけ苦しんだと思ってる!?」
「こうでもしなきゃ、あいつはお前だけを見続けるからな。……ったく、俺にはお前の何が良いのか分かんねえぜ。あいつの心を真に理解出来るのは俺だけだ。あいつの擦り切れた心を知るのは同じ俺だけだ! ……お前を殺せば、あいつは俺だけを見てくれるかもなぁ!」
「ッ!!」
PoHに懐に入られる。直剣では防げない。避けようとしても、奴の方が速い。
(ソル……)
俺は願った、
俺を襲う包丁は、心意の剣で防がれる。
「待たせたね、みんな」
振り向くと、彼が立っていた。赤茶色のウルフカット、暗褐色の瞳、中性的な見た目の俺の……親友。剣戟の音が響いていても、彼の声は俺たちに届いた。
「今、全てを終わらせる」
赤い青年、ソルは目を覚ました。