君ガ為ニ剣ヲ振ルフ   作:アールワイ

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ども、素人投稿者です。

今回はオリジナルソードスキル沢山入ってます。
こういうの考えるの楽しいですよね。


ではどうぞ


《悪魔》

 

 

 

 

 僕は今日もモンスターを狩る。装備は全てモンスタードロップの物だ。武器の耐久が無くなれば《体術》スキルで狩る。ドロップすればそれの耐久が無くなるまで狩る、これの繰り返し。ダメージは《戦闘回復》で事足りるから、ポーションや回復結晶の数は一向に減らない。

 掃討戦の日から、僕はキリトに会うのを避けていた。明確な理由は見つからない。でも、僕は今キリトに会うのがたまらなく怖くなっていた。この恐怖は()のものとは違う、似て非なるものだと思う。怖いけど静かに惹かれるこの感覚は、胸の奥で僕の罪をチクチクつついてるようで。こんなことは初めてで、僕はキリトに会うべきか迷っている。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 七十四層の迷宮区でリザードマンの群れを狩る。上から振り下ろされている剣を時計回りに身体を回転させて避けつつ、肘の関節を回転のまま右手の刀で斬る。斬られた腕は勢いそのまま地に落ちて跳ね、リザードマンのHPは黄色まで下がる。他のリザードマンによる右後ろからの剣撃は反転しながら刀で逸らして相手の懐に入る。刀ソードスキル〈空燕(カラツバメ)〉で首の右を浅く斬り、返しを首の傷に(たが)わず当てる。首を失ったリザードマンのHPは消え失せて、また一体ポリゴンとなった。

 

「コレでラス1」

 

 最後の一体の首を跳ね終えて、僕は息を整える。刀の耐久を確認すると、残り半分となっていた。

 

「そろそろ次が欲しい(ところ)か」

 

 検証した結果、刀は人型の急所を攻撃した時は耐久の減少が減ることがわかった。それから僕は人型相手では刀で戦ってきたが、この迷宮区では出てくるエネミーが殆ど人型で、どれだけ巧く戦ってもガリガリ消耗してしまう。それでも、《LA(ラストアタック)》の武器は基本使いしていない。破格の性能をしているが、二つと無い一振なもんだからボス戦以外では豪華なお荷物と化している。

 

「……休むか」

 

 僕は休息をとるため安全エリアに向かおうとする。途中、よく知る黒コートの剣士と紅白の美少女が六人ほどの集団を連れて進むのが見えた。

 

――ドクン

 

 その光景に心臓が飛び跳ねる。ついでに戦闘の精神的疲労が吹き飛び、思考が高速回転する。キリトに会う、今すぐそこに居る人達に挨拶するだけで叶う、僕はどうすればいい。

 僕が考えるよりも、僕の身体は徐々にキリトへと歩き始めていた。歩けば歩くほどに僕の思考は鈍くなる。

 

(キリトに逢いたい)

 

 歩く僕はそんなことしか考えられなかった。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 キリトを追いかけること約三十分。僕はボス部屋の前付近まで来ていた。

 

「あぁぁぁ…………」

 

 回廊に縮れるように悲鳴が響いた。キリトたち悲鳴につられて一斉に駆け出す。そこで僕の思考はクリアになった。

 

(悲鳴、ボス、キリト、八人、危機的状況)

 

 事態を整理し、この後に起こることを推測する。

 僕の推察では、ボスに誰かが苦戦、キリトたちは恐らくこの事に見当が着いている、キリトたちはこれから加勢に入る。しかしキリトたちは八人だ、ボス相手にどうこうするには難しい人数。最悪……

 

「キリトッ!!」

 

 僕はボス部屋に向けて走り出した。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 僕がボス部屋に入った時、キリトはこの部屋の主《ザ・グリームアイズ》の斬馬刀による連撃を紙一重でいなしていた。《ザ・グリームアイズ》は離れた僕から見ても極極な巨躯だ。野生特有の脂肪の見えない筋肉質な上体は深い青をした人型、下体は濃紺の長い毛に包まれた人以外の動物のそれをしている。頭はぬじれた太い角を持つ山羊を成して、眼と漏れ出る吐炎は青白く輝き、尾は蛇が生えていた。その姿はまるで教典の中に巣くう悪魔の形相だ。

 

「キリト!!!」

 

 僕は手に両刃槍《フォルト・アンド・カース》を()()する。敵の斬馬刀がキリトを確実に捉えようとした間に飛び込み、《フォルト・アンド・カース》の柄で受ける。

 

「っソル!」

「スぅー……。ハァッ!!」

 

 息を吐ききる。一度に力を加えた両刃槍は相手の斬馬刀を弾き返した。僕は両刃槍を地と平に構え、キリトに問う。

 

「どうする、キリト」

「ソル、十秒持ちこたえてくれ!」

「別に倒してしまっても構わんだろう?」

 

 久しぶりのキリトとの会話に自然と口角が吊り上がるのが分かる。僕は自分が思うよりキリトにゾッコンらしい。キリトと一緒に居るだけで心が軽くなるのを感じる。

 キリトが後ろに下がるのを確認すると、《ザ・グリームアイズ》が斬馬刀を突き刺してくる。僕は右足で横回転に前宙し、身体を捻りながら両刃槍を斬馬刀を上から両手槍ソードスキル〈ムーンソルト〉で叩きつける。垂直に力を加えられた斬馬刀は軌道を急激に降下させ、僕がいた位置に突き刺さった。叩きつけた勢いを使い懐まで跳び、片手槍ソードスキル〈ストレイライト〉で鳩尾を突き刺す。両刃槍を引きながら体術スキル〈流星(リュウセイ)〉で蹴りつけ、両刃槍ソードスキル〈ジャックループ〉で両刃槍を抜きつつ縦回転して斬りつける。

 

「グァァァァ!!」

 

 着地しつつ右から来る拳を右の刃でいなす。両刃槍を背中経由させて、遊星歯車のように回転する両刃槍ソードスキル〈ステラアニュラス〉を放つ。

 グリームアイズが薙ぎ払いのモーションに入るのを確認して、後ろに跳んで距離をとる。

 

「いいぞ!!」

 

 キリトの合図が聴こえたので、グリームアイズに突進する。上段から振り下ろされる斬馬刀を左回転して両刃槍ソードスキル〈セカンドアクセルギア〉で弾き飛ばす。

 

「スイッチ!」

 

 ノックバックしたグリームアイズと僕の間に生じた間合いにキリトが飛び込む。その両手には()()()()()が握られていた。

 

「うおおおおおおあああ!!」

 

 キリトの剣が光を絶やすこと無く連撃を見舞う。しかし、グリームアイズは怯みながらもキリトに反撃を行う。が、その抵抗は実を結ばない。

 

「ソル!」

「前だけ見てろ、キリト!」

 

 僕はキリト目掛けたグリームアイズの攻撃をキリトの背中越しに逸らす。時にはキリトの邪魔にならぬよう一瞬だけ前に出、キリトの連撃の合間を縫って追撃を加える。

 

「……ぁぁぁあああああ!!」

 

 キリトの雄叫びとともに放たれた一撃が、グリームアイズの胸の真中を貫いた。

 

「ゴァァァアアアアアアアアア!!」

 

 天を仰ぐグリームアイズは、断末魔をあげた後、青いポリゴンとなりて爆散した。光は部屋中に霧散し、光の粒が降り注ぐ。

 

「……キリト」

「ソル」

 

 キリトと向き合う。流石のキリトも疲れたのか、腰を降ろした。僕も目線を合わす為に対面に座る。アスナ達も駆け寄ろうとしたが空気を読んだのか、遠くから見守っている。

 

「キリト……僕は……」

「また……助けられたな」

 

 俯く僕にキリトは言う。

 

「ソル……お前の過去に何があったのか、俺は何も知らない。でもな、俺はお前とこの世界で出会えて良かったと胸を張って言える」

「キリト……僕はどうしたら…………いいかな?」

 

 僕は自分の疑問をキリトにぶつける。自分のことを他人に縋るなんていけないことだと分かってる。だけど、僕はキリトにぶつけずにはいられなかった。

 

「……お前はいつも言ってたよな。これは自分がやらなくてはいけないって」

 

 そうだ、僕はやらなくてはいけないことの為に……

 

「そんなこと、どうでもいいんじゃないか?」

「……え?」

 

 どうでもいい、キリトは僕の疑問をそう片付けた。

 

「ソルがしてるのは本当はしなくてはいけないことじゃないってことさ。そんなことより、もっと他にやることがあると思うんだ」

「他のこと?」

 

 そう言うキリトは照れくさそうに、口をごもごもと動かしてから言った。

 

「た、例えば、俺の隣に居たりとか、俺と一緒にレベル上げとか……」

 

 この時の僕は、鳩が豆鉄砲で撃たれたような顔をしただろう。キリトの口から出たことは、あまりにも予想外で、照れてるキリトを見てるとこちらまで恥ずかしくなってくる。

 

「俺はな、ソル。お前が隣に居てくれて嬉しかったんだ。一層の攻略の時から……今まで。何があってもお前だけは俺の味方だった。心強かったんだ。お前のことは俺の大切な相棒だと思ってた。だからお前が《蜃気楼》だと知った時、俺は怒ったんだ。大切なお前に、そんなことして欲しく無かったから。掃討戦の時だって、お前には俺のせいで人を斬ることになってしまった。それがとても悲しくて、悔しかった。ソルがどんどん遠くへ行ってしまってるようで、怖かった。お前が使命感に殺されてしまう前に救いたかった」

 

 キリトは真剣な眼差しで僕を見る。

 

「お前はもっと自分のやりたいことをやっていいと思う。もう十分お前はやったよ、俺が保証する。だからな、ソル……もう帰ってこい」

「僕は……帰る?」

「ああ、今までしてなかったこと。一緒に飯を食って、一緒に昼寝して、一緒に馬鹿なことしようぜ。お前は……俺の大切な相棒で、俺の大切な親友だからな」

「僕は……人殺しだよ?」

「構うもんか。お前はソル、俺の相棒だ。それは揺るぎないよ」

 

 涙が溢れる。本当に……本当に僕は、彼に救われている。僕がここまで生きて来たのは彼のお陰だし、僕が死を避けてきたのも彼のお陰だ。僕は彼に生かしてもらっている。それでも十分なのに、彼は僕の心すら救おうとしてくれている。

 

「……ありがとう、キリト」

 

 満面の笑みでキリトにお礼を言う。僕はいいのだ、キリトと笑い合って、隣を歩いて、肩を預け合って、僕にはもっとやることがあった。今までしてきたことは忘れない。だけど、これからは他のことをしていこう、キリトと共に。

 キリトはやっとスッキリしたといった様子で微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

「ああ~。終わったかい?」

 

 遠慮がちに尋ねてきたのはクラインだ。

 

「軍はどうなった?」

「生き残った軍の連中の回復は済ませたが、コーバッツとあと二人死んだ……」

 

 キリトの問いかけにクラインは暗い顔で答える。

 

「……そうか。ボス攻略で犠牲者が出たのは、六十七層以来だな……」

「こんなの攻略って言えるかよ。コーバッツの馬鹿野郎が……。死んじまっちゃ何にもなんねえだろうが……」

 

 部屋の端にいる集団のことだろう。《軍》は一層に陣取って好き勝手している大規模ギルドだ。攻略に出てくることは無かったが、最近方針が変わったのだろう。

 吐き出すようにクラインは言垂れる。頭を左右に振るとため息をつき、気分を替えて訊いてきた。

 

「そりゃあそうと、オメエさっきのは何なんだよ!?」

「……言わなきゃダメか?」

「ったりめえだ! 見たことねえぞあんなの!」

 

 クラインの言っていることはキリトが二振りの剣を扱ったことだろう。()()の状態で装備できる物は決まっている為、何らかの特別なスキルだと予想できる。

 

「エクストラスキルだよ。《二刀流》」

 

 キリトの自白に周りがどよめく。

 

「しゅ、出現条件は……」

「解ってりゃもう公開してる」

 

 エクストラスキルとは、出現条件がはっきりとは判明していない武器スキル、ランダム条件なのではとも言われているスキルのことだ。しかし、そんなスキルとは別の例外も存在する。習得者が一人しか存在しない《ユニークスキル》、現在知れ渡っているのはギルド《血盟騎士団》団長のヒースクリフの《神聖剣》のみとなっている。キリトの《二刀流》は恐らく《ユニークスキル》、キリト固有の唯一のスキルと判別できる。

 

「まあ俺のことはそんくらいだ。ソル」

 

 突然の呼びかけに驚いて少し仰け反る。

 

「お前も俺みたいにエクストラスキルを使ってたんじゃないのか?」

「……あぇ?」

 

 困惑しすぎて変な声を出してしまった。

 

「さっきの動き、絶対に何らかのスキルを使ってただろ。じゃないと説明つかない」

「えー……、いやぁ……」

「俺は言ったんだからお前のも教えろよ!」

 

 キリトが顔を近付けてくる。所謂、ガチ恋距離ってやつだ。

 

「あーもう! わかった、教える、教えるから離れろ!」

 

 キリトの顔を掴んで無理矢理遠ざける。周りの連中もキリトの《二刀流》だけでは飽き足らず、僕の秘密までも赤裸々にするのを今か今かと待ち望んでいる。

 

「はぁー……僕が使ってたスキルは────




投稿ペースは完全にマイペースです。
感想とかくれたらもっと頑張れます。
気が乗ったら感想下さい。


ではまた!

《フォルト・アンド・カース》:罪と罰
其れは揺曳、もう退くことはできない。
刃先を冦し、敵穿とうとも、身は爛れ。
復誦、赦されることなかれ。
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