最近免許取れましてね。
まあ乗る予定はないんですが。
実はアインクラッドってアリシゼーションの次に長い?(アニメ化してるのは)
頑張ります。
ではどうぞ
翌日、僕はキリトとエギルの雑貨屋の二階にシケ込んでいた。キリトは揺り椅子にふんぞり返って足を組み、僕はその隣で頬杖をついて座っている。
昨今のアインクラッドは昨日の《事件》で持ちきりだった。フロア攻略はよく大きな話題となっていたが、今回は更にオマケがいろいろ付いているからだ。《軍の大部隊を全滅させた悪魔》、《悪魔を討ち取った二刀流の剣士の五十連撃》、《悪魔を無傷で翻弄する幻の剣舞士》……。噂に尾びれは付き物だが、キリトの五十連撃はやりすぎだと思う。
キリトの方にはどうやって調べたのか、ねぐらまで剣士や情報屋が押しかける始末。わざわざ転移結晶を使うハメになったとグチグチ言っている。
「引っ越してやる……どっかすげえ田舎フロアの、絶対見つからないような村に……」
「ははは……」
これはかなり参っている様子。後で田舎フロアの絶対に見つからない村を探しておこう。
「まあ、そう言うな。一度くらいは有名人になってみるのもいいさ。どうだ、いっそ講演会でもやってみちゃ。会場とチケットの手はずはオレが」
「するか!」
叫び、キリトは右手のカップをエギルに投げた。投剣スキルによって輝きながら飛ぶカップはエギルの頭の右横の壁に激突して破砕した。
「おわっ、殺す気か!」
「てかお前は何で追われてないんだよソル!」
「……なんでやろなぁ」
キリトの言う通り僕の方を追う人はキリトに比べると少ない。全く居ない訳では無いが、人を撒くのは苦じゃない僕にとっては些細なことだった。
「流石はモテモテキリト君やね」
「グワーッ! 絶対引っ越してやる!」
頭を抱えて叫ぶキリト。僕とエギルがその様子を遠巻きに眺めてると、扉が勢いよく開かれる。
扉の方を見ると、顔を青くしているアスナが立っていた。
「どうしよう……キリト君、ソル君……」
今にも泣きそうなアスナの言葉に少し構える。
「大変なことに……なっちゃった……」
どうやら、僕の平穏はまだ先らしい。
~~~~~
アスナはキリトと僕を五十五層の主街区グランザム市に連れてきた。ここに本拠地を置くギルド《血盟騎士団》にお呼ばれしたからだ。道中イチャイチャするキリ・アスを横目に歩く。
鋼鉄の扉を開けた先は、1フロアを丸ごと使った円形、全面透明のガラス張りの壁の部屋。中央に置かれた半円の机に彼は座っていた。
聖騎士ヒースクリフ。外見は二十代半ば、真鍮色の瞳、鉄灰色の髪の長身痩せ型の男性。その雰囲気は何処か達観しており、この世界に対する僕らとの
「お別れの挨拶に来ました」
アスナは早く終わらせたいのか、前置きなく本題へと入った。アスナはキリトと一緒に居る為、ギルドに休暇を申請したが何故か通らず、キリトと僕を呼ぶように言われたそうだ。
「そう結論を急がなくていいだろう。彼と話させてくれないか」
苦笑するヒースクリフはキリトを見据える。
ヒースクリフの話は、アスナが欲しかったら決闘して勝ち取れ、負けたらギルドに入れ、要約するとこんな内容だった。
「団長、わたしは別にギルドを辞めたいと言ってるわけじゃありません。ただ、少しだけ離れて、色々考えてみたいんです」
アスナの主張は正しいと言える。アスナが何処で何をしようとアスナの勝手だ、保護者面なんか甚だしい。それに、僕が完全に蚊帳の外だ。
「ヒースクリフ、僕にも用があるのでは?」
「ああ、君も血盟騎士団に入ってくれないか」
「え、嫌です」
どうやら僕はついでだったらしい。キリトもヒースクリフを無視するべきだろう、決闘のメリットとデメリットが釣り合っていない。キリトを引っ張って退室しようとすると。
「いいでしょう、剣で語れと言うなら望むところです。デュエルで決着をつけましょう」
「……えー」
なんと決闘を受けてしまった。こうなってくると話は変わってくる。
「はぁー。仕方ない、じゃあ僕もヒースクリフに提案があります」
「何かね?」
「僕が欲しけりゃ決闘です。僕が勝てばキリトの勧誘の無効、アスナへの命令権の放棄、負ければギルドに入ります」
「随分と欲張りだね」
「まあ、勝てる戦いは欲張ってなんぼですよ」
余裕を持っていたヒースクリフの顔は強ばり、目を細めた。
「《舞闘術》……だったかな? いつから所持していたかは知らないが、自信過剰ではないかね?」
「攻略しか能の無い貴方よりかは対人戦に理解があるので当然です」
「……なるほど。受けようじゃないか」
アスナの顔が青を通り越して白くなってるのを見ながらキリトとアスナの背中を押して退室した。
~~~~~
「もーー!! ばかばかばか!!」
エギルの店に戻った途端、アスナはキリトに詰め寄った。
「わたしががんばって説得しようとしたのに、なんであんなこと言うのよ!!」
ごもっとも。もっと言ってやれ、とアスナに視線を向ける。
「ていうかソル君もなんであんなこと言っちゃったのよ! 団長に挑発までして!!」
「……仕方ないだろ? キリトの尻拭いだよ」
矛先が僕に向いたので、なんの気もなしにキリトを責める。おいソルとか言ってるが、ジト目で返す。
「悪かった、悪かったってば! つい売り言葉に買い言葉で……」
「まったくなあ?」
弄る言葉を容赦なく放つ、キリトは反撃できずに縮こまるばかりだ。
「まあ僕は保険だ。しっかり自分でアスナを手に入れてくれよ。黒の剣士さん?」
僕の言葉に二人の顔はわかりやすく赤くなる。この様子なら、完全に引っ付くまで数刻も要らないだろう。
「そ、そういうわけじゃ……」
「べ、別にキリト君のごにょごにょ……」
……深い意味は無いが、なんだが珈琲が飲みたくなってきた。それはもう甘さの欠けらも無いような……。
~~~~~~~~~~
《神聖剣》との決闘は、七十五層のコロシアムで行われることとなった。七十五層は全体的に古代ローマの造りで、直方体の巨石で形成されている。神殿や広い水路もあり、まるで西洋で時代を逆行したかのような趣を感じる。大イベントとして広められた効果か、街は多くの剣士や商人プレイヤーがごった返しとなっている。
「火噴きコーン十コル! 十コル!」
「黒エール冷えてるよ~!」
コロシアムの入口は商人プレイヤーの露店と長蛇の列により特に繁盛している。
「……ど、どういうことだこれは……」
おや、どうやらキリト君は知らなかった模様。
「どうって……、《神聖剣》と《黒の剣士》。どちらも名の通った攻略組のトッププレイヤーだ。話題性は抜群だと思うが?」
「名が通っている…………、お前が追われてないのは《剣舞士》の知名度のせいか!」
「多分ね」
キリトが悔しそうに睨んでくるが些細なことよ。幻なんて言われてた僕の知名度は無い。結果オーライってやつかな。
なんて話してると、《血盟騎士団》の白赤の制服を着た横に豊かな体をした男が近づいてきた。
「いやー、おおきにおおきに!!」
「こんにちは、ダイゼンさん」
「キリトはんのお陰でえろう儲けさせてもろてます! あれですなぁ、毎月一回くらいはやってくれはると助かりますなぁ!」
「誰がやるか!!」
……もしかして、キリトはコミュ障だったりするのだろうか。人混みを避けたり、大人数のイベントを避けたりしているような気が……気が……。キリトが睨んできた、これ以上はやめておこう。
「ささ、控え室はこっちですわ。どうぞどうぞ」
そろそろ時間が時間だ、僕たちはダイゼンの案内に従って控え室に向かった。
~~~~~
「キリト君…………」
「大丈夫だよ。死にはしないさ」
隣に座るアスナは落ち着きがない。僕はアスナと一緒に観客席にいる。
最初は《神聖剣》と《黒の剣士》、次に《神聖剣》と《剣舞士》の対戦順だ。
僕は次に闘り合うヒースクリフの動きに注視して観戦した。
キリトとヒースクリフのデュエルは激しい攻防を織り成した。硬さを売りとしていた《神聖剣》は思いの外攻めの姿勢をしたのは驚いたが、キリトも巧く対応していた。
二人のHPが半分に迫ろうとした時、キリトのソードスキルがヒースクリフの守りを崩し、トドメを指す。
刹那、奴は動いた。
「…………」
あの動きはあまりにも
「アスナ。キリトを見てやってくれ」
「え、ええ!」
アスナがキリトに駆け寄るのを見て、控え室に向かう。
~~~~~
キリトのデュエルから時間を置いて、僕の出番がやってきた。影となった入場口から光に身を晒しながら入場する。観客席からでは気付かなかったが、此処だけ地に堕ちた沼地のようで、観客は僕を覗き込むナニカのようだ。体温が嫌に低く感じるのは緊張しているからか、此処の人々がひどく
ゆっくりと歩いてヒースクリフの目の前で止まる。
「ではソル君、始めようか」
キリトを下したからか、自信があるのを顔をから消せてない。普段無表情な彼からしたら珍しい。いや、やけに上機嫌だ、何か他の理由がありそうだ。
「上機嫌ですね。キリトを倒せて嬉しいですか」
「そんな所だよ」
(……嘘だな)
理由に関しては今はどうでもいい、
「キリトが欲しけりゃ、僕も倒してみせて下さいね」
「そうさせてもらうよ」
出現したデュエルメッセージの初撃決着モードを押す。このモードは相手のHPを全損させる必要はないので一応の安全性を持つ。
カウントダウンが始まる。
無意識の呼吸を止め、息を吹き切るのと【DUEL】のウインドウが出現するのは同時だった。
ヒースクリフが接近してくるが、牽制から入るのか、速度は抑え目だ。
走るヒースクリフは剣を構える。まだ奴の間合いには入っていない。
脱力した身体を落とし、手を地に着ける。そのまま超低姿勢で全力で跳んで大剣を振り上げるが、ヒースクリフは盾で防ぐ。咄嗟に後ろに飛んだせいで盾を守られた。ヒースクリフは距離をとる。
「速いね」
「黙ってその盾寄越せよ」
「断るよ」
接近しながらソードスキルの構えをとる。両手剣ソードスキル〈アバランシュ〉の構えだ。大剣を光らせてソードスキルを放つ時、僕は半回転しながら跳ぶ。そして放つは両手剣ソードスキル〈バックラウンド〉。
「くっ!」
空中で放たれる二連撃をヒースクリフは顔を歪めせながら防ぐ。
「ふん!」
そして反撃にソードスキルで攻撃してくる。しかし、僕の連撃は終わっていない。回転の勢いを殺さず右足で着地し、体術スキル〈
僕は大上段に構え、隙だらけのヒースクリフにトドメの両手剣ソードスキル〈サンクション〉を放つ。ここで、先程見た現象が起きた。硬直してるはずのヒースクリフの盾が吸い込まれるかのように軌道上に構えられた。
「…………」
予想通りの出来事なので焦りはしない。光芒をひく大剣、僕は大剣のその姿を
「何っ!!」
戦斧の刃は大剣の中心を受けようとしていた盾を越え、ヒースクリフの肩を深く抉り、HPを大きく減少させた。HPは
終了のシステムウインドウが浮かび上がる。少しの無音の後、まさかの結末に歓声が大きく闘技場を揺るがした。
「……負けたよ」
「ヒースクリフも中々強かったですよ。僕がモンスターなら余裕だったでしょう」
「最後の現象は何だい?」
ヒースクリフは何か引っかかるのか、目を細めている。
「教えませんよ。知りたければ勝って下さいね」
「ではまた今度……」
「嫌ですよ、また戦り合うなんて」
そう言うと、ヒースクリフは考え込んでしまった。兎も角、勝ちは勝ちだ、約束は果たしてもらおう。
~~~~~
「流石だなソル!」
「やったねソル君!」
控え室に戻ると、キリトとアスナがお出迎えしてくれた。
「ったく、キリトはしょうがない奴だな。自分で勝ってくれよ」
「……いや、あれは仕方ないだろ?」
「お? 僕は勝ったぞ?」
「…………」
キリトが悔しそうに睨んでくる。アスナも苦笑いだ。
「結果オーライでしょ? さて、祝勝会しましょ!」
「ぐぬぬ……」
「アハハっ!」
アスナの提案に乗り、三人で店に向かう。
「てか、結局お前のスキルはどんな効果なんだ?」
「あれ? キリトに言ってなかったっけ?」
「言ってねえよ!」
キリトとアスナが見てくる。この二人なら気軽に広めたりしないと信頼できる。僕はメインメニューを出しながら説明する。
「《舞闘術》の効果はソードスキルの硬直削除、武器をメニューを使わず何でも何時でも装備変更可能の二つだな」
「あれは何だ? 色んなソードスキル使うやつ」
「このスキル武器カテゴリが無いのに装備スキルなもんだから実質全武器のソードスキルをどんな武器でも使えるな」
「そんなのチートじゃねえか」
「そうでもないぞ? 武器の形状が変わるから軌道も変わるし、構えも掴みづらい。威力はそのソードスキルのカテゴリ別の補正らしいし、構造上無理なものも多い、無理矢理発動させてもショボイ威力にしかならない」
「……そう聞くと強くなさそうだな」
「ところがどっこい、威力補正はそのカテゴリの熟練度に《舞闘術》の熟練度が加算されるから威力は普通より高くなる」
「やっぱりチートじゃねえか」
「威力は《二刀流》より控えめだからチートじゃないですぅ」
「ちなみに熟練度は?」
「全部
「お前自体がチートだったわ」
言い合いしてるうちに店の前まで着いた。僕は二人に向き合う。
「まあ、なんて言うか……。これでアスナは自由だし、キリトとパーティーも組むんだろ? よろしくな」
「ふふ、よろしくね」
「ああ」
僕らは笑顔で店の中に入った。
「あ、いい雰囲気になったら消えるから大丈夫だぞ」
「おいソル!」
タグにオリ主最強を追加しました。
全勝させる気はありませんが、最強になっちゃいそうなので追加します。
ではまた!
《フォーリンホープ》:堕ちた希望
見上げていたのは暖かい色。
見下ろしたのは唯の屍。
これは誰だ、誰か、寂滅。
《ブラッドステイン》:血の滲み
赤い液は生きている証拠だ。
彼女からは生が溢れている。
祝福しよう、彼女は生きている。