クッソ手先が不器用なので、技巧に極振りしようと思います! 作:名無しの権左衛門
「「……」」
さっそくログインした颯と蓮人は、無言のままGame Overしにいった。
こうして颯は、【輪廻転生】【蛮勇】【無駄死】【特攻】が付与される。
「いやー死んだ死んだ」
「さすがにフォレストクインビーは見つからなかったよ」
「あれはフィールドボスだから、ここらへんにはいねぇよ。えーと」
「僕はロータス。は――君は?」
「俺はゲイル」
「なるほど、ゲイルの如くね」
「そう、Blow my Galeってな」
「VRMMO版ウマ娘はやめろ」
時事問題はスルーして、ゲイルの見た目を語っていこう。
先着特典により、通常の金髪よりも黄金でなにやらエフェクトでてかっている。
ツーサイドアップハーフロングとリボン、大盾と魔導銃槍、実質体重を軽減し体積を増やすらしい胸を大きくしながら身長は小さい非現実な人物になっている。
「って、ロータスもロリ巨乳かよ、きもちわりー」
「うっせぇ、ゲイルだってロリ巨……爆?乳じゃねえか、気持ち悪い」
「ひがみ乙。筋肉キャラにして海が泳げないってなって沈むやついたからな。
念のためだよ」
「胸が実質浮き輪ってどういうことなの?」
これもVRMMOを簡単に作れるゲームエンジンハヴォックマーク2が悪い。
アンリアルエンジンはまた違うので無視しよう。
教会で話し合っていたため誰もこの会話を聞いていなかったが、もしも聞いていたら卒倒していただろう。管理者たちは階層準備に向き合っているため、
彼らの様子を見ることはできなかった。
「で、ゲイルはどうするんだ?」
「俺はINT特化にするぞ。この魔導銃槍はなんと、MPを消費して加速することができる。本来なら、突撃して敵に突き刺し攻撃をするものなんだが、これを反転して杖にまたがればー。
ほら、立派な魔法の杖に早変わりってわけさ!」
「おお! でもMPにふってないけど?」
「だから上空にロケットエンジン吹かすんだよ」
「ああ、さいで」
つまりゲイルが目指すのは瞬間火力がでかいやつになるというもの。
メラゾーマじゃない、メラだというあれをやる。
「まずはレベル上げをしようか!」
「よし、フレンド登録してパーティを組もう」
「うん」
そうして出来上がった謎のパーティ。
一番最初にロータスがやるのは、【サテライトアロー】。
もちろん【爆弾 大】を【装填】してやる。
スキルとして【ダイナマイト漁法】を使っているが、スキル使用者に効果があるのであってそおれの適用外であるゲイルには大量に倒された敵の経験値が入っていく。
『ゲイルはレベル14になった』
「はっや。つっよ。おかしくない?」
「大丈夫大丈夫。必要な素材が必要だったからさ」
「俺もたくさんの敵を撃破しないとな。じゃあ、まずはあっちのほうに行こう」
「そういえば西のほうは行ったことがないなぁ」
最初の町があるのはマップの南端で、東のほうに岩山やはげ山など風が吹いているエリア。
西には原生林などがある深い山のエリア。
北端には遊歩道が整備されているほどほどな林のエリアがある。
そして二層へ向かうダンジョン付近は原っぱになっていて、階層ダンジョンは石造りだ。
またこのマップの中央には高く深い山がある。
この山の東がわに小高い山があり、ここでロータスは射撃練習をしていた。
「事前情報によると、あそこは崩れた遺跡らしい」
「遺跡に何かいんの?」
「あそこには番兵がいるみたいでな、撃破するといいアイテムが出るらしい」
いわれた通りその場に来ると、苔むした岩のフィールドにゴーレムが出現する。
二層に出現するらしいゴーレムのビジュアルスケッチよりもなんか貧弱だ。
それでもここのボスなんだろう。さっさと撃破しないときっと先に進めないぞ。
「くるぞ!」
「うん! 【レーザービーム】!」
「どわっ!? ざっけんな、こんなので倒れるわけが」
【満月の光】に【装填】された【爆弾 中】が、99+1本。
それを【レーザービーム】として射出されてしまう。
これがゴーレムに当たると、周辺に爆風と閃光を迸らせやつを撃沈させる。
「俺を修行させろよ」
ゲイルはあまりのすさまじさに笑いがこみあげてくる。
しかし突然岩のフィールドが揺れて、何かギミックが発生した。
「ごめんごめん。それで、進む?」
「上等!」
二人はせりあがってきた新たな入口に入ると、そこは謎の光に照らされた通路だった。
木のような感じはしない。
妙に人工的だ。
その場所を歩んでいくと明るい場所に出る。
中央に祭壇があり、周囲に水路が張り巡らされている。
清涼感を感じるはずなのに、今の二人は悪寒しか感じない。
中央にある祭壇より出てくるのは、石板。
そこから噴出する煙が形を成すは、苔むした鎧。
そして赤に瞬く双眸。
「ボスだ!後ろに隠れろ!」
「うん!」
彼の判断は正しかった。予想以上に素早くすぐに間を詰められてしまう。
『スキル【カバー】を入手しました』
『スキル【身代わり】を入手しました』
「ゲイル! スキル設定の間ひきつける、【挑発】!」
「頼んだ!【チャージ】!」
【風の妖精】と【爆弾 中】、【爆破無効】を使って移動する。
あまりにも頓珍漢な動きに、鎧の動きが少し止まるが一度身をかがませると一気に
跳躍して間を詰めてきた。
「かかったな。【削岩機】を【装填】した【初心者練習専用の矢】をくらえ!」
【削岩機】は【ダイナマイト】よりも一点突破型の採掘用アイテム。
しかし若干防御貫通もあるので、今回の敵には結構効くと思われる。
だがしょせんはアイテム。
少しHPを削っただけで消滅してしまう。
「ロータス!」
「ぐうっ!?」
【ライン生産方式】で作成された【爆弾 中】の矢で自爆して転身する。
【爆弾 大】を使うところだが、焦ってしまってそれどころではなかった。
それに、やつは素早い。
周囲の木々に操られているような動きをしていて、人間とは思えない。
人型であっても、人間と思ってはならない。
それを痛感したゲイルは、魔導銃槍固有スキル【ガンズアタック】の用意をする。
「【レーザービーム】は!?」
「速すぎる! 不規則すぎてわかんない! ええい、【サテライトアロー】!【弾幕 小】!」
「なんだそのスキル!?」
天高く上る光の奔流がそらを包み、やがて覆いかぶさってくる。
それが弾幕として大量に降ってくるのだ。
FFがないとしても、ノックバックでかなり後方に飛ばされるだろう。
周囲が煙で包まれる中、ロータスはゲイルを探した。
だがそれよりも行動が早いのは、いつだって敵だ。
「【装填】!?」
「【カバームーヴ】!」
鎧が持つ剣に切られそうになった時、ゲイルがロータスの前に出てそのまま飛ばされてしまう。
「ゲイル!」
ロータスはゲイルのところへ向かう。
HPが0じゃないので、ポーションを使って回復させる。
ロータスは鎧を見やると、やつはなぜか祭壇の前から動かない。
そこで彼は気づく。なぜ、祭壇だけ傷ついていないのか。
なぜこちらへ追撃に来ないのか。
基本的に戦闘は地形のダメージを反映する。
戦闘終了後やイベント終了によって、地形は元に戻る。
だが、こんなにも不自然に形が残っているのはおかしい。
「なあゲイル。気づいた?」
「ああ。あいつ。守ってるな」
「麻痺矢でやつの行動を止めようと思う。だから、ゲイルは奴の後ろにある祭壇。
あれをこうげきしてほしい」
「ああ、あの石板が怪しいな。【チャージ】は溜まってる。隙を作ってくれ」
「OK」
二人は首肯して行動を開始する。
【風の妖精】を使って移動しつつ、ゲイルの攻撃の邪魔にならないように攻撃を開始する。
『スキル【超集中】を入手しました』
ロータスは【超集中】を使用する。
その鏡面の瞳には、目の前の鎧が映り込む。
するとその鎧は行動は少々おかしくなるが、ロータスの攻撃をなんとか防ごうとする。
【麻痺玉】を【装填】した【初心者練習専用の矢】。
「【早撃ち】【速射】【連射】【弾幕 小】【相殺】!」
すでに【神風】の効果はなくなっている。しかし対抗する術はある。
鎧は剣を使って矢をすべて薙ぎ払おうとしているが、その薙ぎ払いに対抗できる【相殺】が
付与された矢がそれらを防ぎ、麻痺薬の効果がついた矢が確実に入っていく。
「ぐ、ぐごごっごご」
鎧は謎の動きをしだした。
その時やつは動いた。
「【チャージ】完了。【ガンズアタック】」
『スキル【ゲシュタルト崩壊】を入手しました』
「なんて?」
いろいろと止まっている中、ゲイルは祭壇にある石板を破壊する。
石板を破壊すると、最初に噴出していた煙が出て空中に霧散した。
それと同時に鎧が糸が切れた人形のように倒れる。
「やった……のか?」
ロータスは敵を撃破したときのアイテムがないので、まだ倒していないと確信しているが緊張が張り詰めていたので若干楽観的に言ってしまう。
「いや、まだだ!」
ゲイルは身構えて、再び【チャージ】をしながら鎧に近づいていく。
体力ゲージはほぼ赤。
先ほどまで半分も削れてなかった。しかし先ほど石板を破壊すると、一気に削れたのだ。
「待って、ゲイル」
「んだよ。せっかく鎧倒せるんだぞ!?」
「苦労はわかってるけど、やってみたいことがあるんだ」
ロータスは鎧に魔導銃槍を振り下ろそうとしたゲイルの腕をとる。
ゲイルは腕を振り払おうとしたが【超集中】状態の彼を振りほどけるほど、能力が高くなかった。
ロータスはゲイルがあきれながらも、武装を下して鎧より距離をとる。
一体何をするんだと思うと、ロータスはとあるアイテムを出す。
「まずはご一曲どうぞ」
ロータスの手の中にあるのは、DEXが100以上かつ【演奏】または【ピアノ】を持っていないと出現しないものだった。
そのアイテムの名は、【シューマン:森の憧憬】。
20分以上のピアノ演奏。
実質技巧800が【演奏】するプロの中のプロが表現する最高の演目。
まさしく森に住まう人の生活と雰囲気が醸し出される。
またピアノを弾いて10分すると、鎧が呻きだす。
それにゲイルは警戒するが、きにしないロータスをみて静かに鑑賞する。
鎧が呻きだすと森が騒がしくなり、徐々に周囲の地形が音を立てて変わっていく。
「ご清聴ありがとうございました」
「おーいロータス、余韻はわかるが周囲みろ周囲」
ゲイルのつっこみに反応が遅れたロータスは周辺を見て驚く。
そこは原生林に囲まれたクレーターだらけの祭壇ではなく、白亜にちかいお城の中だった。
しかも中庭のようで、美しい円形の水場だった。
「え、何。どゆこと?」
「俺が聞きたいよ」
二人が庭先でのんびりしているさなか、とある存在がこの場面を見てしまう。
「はあああああ!!!?!?」
「おいどした」
「第1層森のエルフが完全和解原状回復同盟ルートに入っちまう!」
「んなもんあったっけ。それより、2層の隙間チェックしろ!
すでになんかドレッドがバグみたいなことしてっから!」
「えええ!? ま、まあ、ほぼネタだしいっか。いま、どこやってる!?」
「【超加速】だ。だれかが、【納品】を使って持ち出そうとしてるぞ!」
「ぬわああああ!! 修正だ修正!」
そんな裏事情、誰も知らないだろう。
【超集中】で疲労困憊のロータスと周囲の散策をしているゲイル。
そんな二人の元に、NPCが訪れた。
「君たちかね? 神の福音とやらは」
「「ん?」」
二人はNPCと対話して事情を聴く。
なんでもこの城はとある存在と戦争をしていて、この城出身の天才が
この城と国を守ろうとして自分を石板に封印したんだと。
その封印をした大本の石板こそ、この城と国であったらしく壊せば元に戻るのだが
いろいろと古すぎて鎧の騎士、いわゆる森の騎士と一体化していたんだそうな。
そこで【森の歌:癒しの子守歌】を弾けば、故郷を思い出した騎士が封印と自分を乖離させるだろうと。
ただしただの【演奏】でも楽器でもダメだった。
森の騎士の心を完全にほぐすものでなければならないようで、ロータスのおかげで
完全に復活したとのこと。
「ところで、君たちは……外界のものだろう? 我々の敵はどうなったのだ?」
「敵? さあ? でも若しかしたら、忘れているだけであなたたちの敵かもしれませんよ?」
「! ……我々は最後の砦が陥落した。降伏する」
跪こうとしたNPCにロータスは手を差し伸べる。
「昔のことは知りませんし、敵同士だったかもしれません。
でももう殺し合いをする必要もなければ、仲良くしてはいけないという決まりなんてないはずです」
「おい、急にどうしたロータス」
「黙ってて」
「はい」
いきなりキャラがおかしくなったロータスにゲイルは突っ込みをいれるが、
【ゲシュタルト崩壊】を使った瞳で見てくると頭がおかしくなりそうだったので無視を決め込んだ。
「なので、手を取ってください。それですべてチャラってことでよくありませんか?」
「おお、われらを許すどころか同盟まで結んでくださるとは!」
「え?」
「ならば、同盟の証に。来なさい」
NPCの王族に連れてこられたのは、小さなエルフの子供。
どちらも女の子で、色は淦と碧と対照的だった。
「君たちが将来立派な男になったら、ぜひこの国で王をやってほしい。
そしてわが娘たちをよろしく頼む」
「ま、まって。天才の騎士さんは!?」
「彼はこの宝箱を残して消えてしまった。どうか、彼の形見を受け取ってくだされ」
「僕たち男だって認識されてるぞ!?」
「ああ、俺もちゃんと聞いた! って、違うだろ。違わないのか!? どっちだ!」
いろいろ混乱しているが落ち着きを取り戻したゲイルとロータスは、
それぞれの宝箱を開ける。
その宝箱は、赤と青なのでたぶんそういうことだろうというのを邪推して開けた。
「では、赤の宝箱を開けた貴殿には、淦の英雄王ヒイアカを。
青の宝箱を開けた貴殿には、碧の救世主ナマカを」
「ハウメアは?」
「助けてくれるのか!?」
「もちろん!」
「ならば、我々の敵だったものの首都があるはずだ。そこへむかうといい」
「ちょっとまって、ゲイル。何の話!?」
「太陽系外惑星冥王星型天体のことだけど」
小学館の宇宙を読み漁っているゲイルにとって、これくらい朝飯前だ。
さすがにここまでとは思わなかったようでびっくりしている。
さらにこのクエストは、ハウメアをしらないと出てくることすらなかっただろう。