「学校、学校楽しみですねー!ましろさんとかなたさんと一緒に学校っと!!」
いつもと同じ日常、そして通学路なのだが今日から新たに登校する人が1人増えた。かなたとましろの間で、制服姿でスキップするソラ。
なんと、ヨヨがソラを学校に通える様に裏で手配してくれていたのだ。先日、自分だけが置いてけぼりな状況にソラは悩んでいたらしい。もっとかなたやましろ達と過ごしたいという気持ちをヨヨが尊重し、この様な場を設けてくれたのだ。
「かなたさんとましろさんは、同じクラス何でしょうか?」
「同じだよ。かなた君は私の前の席だから、学校に居る時でも殆ど一緒に過ごす事が多いの」
「では、2人と同じクラスになれる様に今から祈ってます!」
手を合わせて、かなたとましろの方に向けてお祈りを始めた。祈る相手が違うと言おうとしたが、ちょっと面倒だと思ってわざと無視した。
それに多分だが、ソラのその心配事は杞憂で終わるとかなたは思っている。
「祈らなくても多分大丈夫だと思うよ。ソラも俺達と同じクラスになる様に、ヨヨ婆さんが裏で根回ししている筈だと」
「ヨヨさん何者!?」
「これは言うべき?」
このやり取りも何回も繰り返した事やら。ましろも、言うべきか言わざるべきかと戸惑っている。
この様な楽しいやり取りを繰り返し、はや数十分が過ぎてソラシド学園に到着した。
ソラは一度職員室へ、かなとましろは自分達の教室に行くべく一旦は分かれるのであった。
「やっぱりソラちゃんは、私達のクラスになるのかな?」
「さっき言った通り、あまり心配する事でないけど。でも一緒だったら良いよね。フォローとかしやすいから」
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「そ、ソラ・ハレワタールです!ましろさんの家でお世話になっています!宜しくお願いします!」
緊張混じりの自己紹介。ソラは、かなたとましろのクラスに転校生としてやって来る事となった。やっぱり何も心配は要らなかったらしい。
自己紹介を終えたソラに、クラスの皆は拍手で迎えた後は自分の席に座る。ソラの席は、ましろの隣の席である。これでいつものメンバー3人が、L字の形で固まった。家でも学校でも、こんなに近くで過ごせれるのはとても運が良い。
「ふぅ…かなり緊張しました。変な事言ってませんでしたか?」
「うん。きっと、皆ともすぐ友達になれるよ」
その言葉通り、早速転校生というソラの存在に他のクラスメイトが興味津々に食い付きながら質問して来た。
「ねぇねぇ、何て国から来たの?」
ソラはウキウキしながらも、質問された内容に即答する。
「はい、スカイランドです!」
ソラが答えた内容に、かなたとましろは身を固めて困惑する。このやり取りもさて、一体何度目になる事やら。慣れたと思っていざ油断していると、唐突な発言に鈍くなってフォローする暇がなかった。
「ソラちゃん…」
「ハッ!い、今のは忘れて下さい!」
「ソラが言いたかったのは、スカンディナビア半島の国の方。て、事だよねソラ?」
──ナイスフォローだよかなた君!!
滑り込みギリギリの所で、かなたのフォローでスカイランドに関しては何とか誤魔化せれる事に成功した。しかしながら、質問がそれだけで終わらないのが転校生の運命というもの。
「外国ならその国特有の文字もあるんだよね?」
「その、スカンディナビア半島ってどんな所なんだ?」
次から次へと質問という弾丸の雨が、ソラに降り注ぐ。答えようとするソラなのだが、口を開けばスカイランドの事が明るみになってしまう。ましろも何とかしてソラを助けたいのだが、この質問攻めのフォローとなるとその分言い訳などを即座に考えなければならない。
この状況をどう乗り切るかかなたは考え、ましろは願っていると意外ところから助け舟が入った。
「ほらほら、一気に質問し過ぎだ。ハレワタールさんが困ってるぞ」
先生が他のクラスメイトを沈静化させてくれたお陰で、何とかその場は乗り切った。
「そ、そうなんです!困ってしまいます!」
「そっか、ごめんごめん」
「もしかして、恥ずかしがり屋なのかな?」
困る事と恥ずかしがり屋とはまた別ものなのだが、何とかその場の流れに任せようとするソラはある事ない事を次々と口にしてしまう。
「そうです!私は、もうめちゃくちゃ恥ずかしがり屋です!」
スカイランドの事を隠すのに、流れに身を任せるのも良い事だが、それだと余計なレッテルが貼られる事にソラはまだ気付いていない。
そもそもソラの性格上、恥ずかしがり屋との縁とは程遠い存在。
後で自分の首を絞めない事を祈るばかりである。
ようやく質問攻めから解放されて、授業が始まる前の休み時間。窓を開けて、外を見ながら先程のやり取りについて3人は話し合っていた。
「ソラちゃん、あんまり恥ずかしがり屋のイメージないけど…」
「まぁまぁ、乗り切ったんだから良しとしようよ」
「かなたさんの言う通りです。もしまた、同じ場面になったとしても、その時の私に任せましょう」
随分とポジティブ精神をしているな、と感心する反面、それが仇となって今後苦労しないか心配するましろ。ソラの事だから、そういう事もきっと跳ね除けて乗り越える事を信じるしかない。
そんな重く、シリアスに考えるましろを裏切る様にソラはある事を気付いて相談する。
「それよりも、私気付いてしまった事があるんです。どうやら私は、何でも正直に話してしまうところがあるようです」
「今更だね。別にそれが悪いとは言わないけど」
正直者というのは、言い換えれば素直な人とも呼べる。他にも、自分の意思を貫けれる強い人とも言える。
「という事は早くクラスに馴染むには、これ以上質問をされない様、目立たない方が良さそうです!」
申し訳ないが「絶対無理」と、かなたとましろは同時に思った。