「歓迎会?」
かなたは思わずそう言葉を溢した。ツバサがプリキュアになって「これからも頑張ろー!」と意味も込めてのパーティーである。
発案者はましろで、歓迎会をやるのにかなたとソラもそれに異論は無く賛同する。
「一つ良いかな?」
「何、かなた君?」
「それって本人には秘密にしとくの?」
かなたは、そう言ってましろの後ろへ指差すと人間の姿になってツバサが立っていた。盗み聞きする訳ではなかったが、ましろがツバサの存在に気付かずつい話してしまったのだ。
やってしまったと、額に手を乗せて迂闊に喋ってしまった事を後悔する。
「あの、そんなに気を遣って貰わなくても…」
「気を遣ってなんていません!やりたいです!歓迎会パーティー!」
「えるぅ!」
ソラとエルも賛同し、その隣でかなたもまた静かに頷いて異論は無いとする。ツバサが歓迎会の事を知ってしまったから、サプライズとはいかなかったが、それでもやっぱり気兼ねなくやるのもまた良いもの。
「これだけ歓迎会をやりたい人が居るんだ。良いんじゃないかな?」
「はい…とても嬉しいです!」
そうと決まれば、早速準備に取り掛かるべく動く。座っていたかなた達は立ち上がり、これからどう準備しようかと思った時だった。
ツバサから意外な提案を持ち出された。
「ボクも手伝います。じっとしていても、なんだか申し訳なくて」
「そうだな。じゃあ、皆で準備しようか!ツバサの意見を中心に取り入れて!」
4人は大きな声で「おー!」と掛け声を上げて、テーブル向かってスケッチブックとペンを広げる。
サラサラとツバサが、部屋の中をどんな風に飾り付けをするのか細かい部分までデザインする。イメージ的にツバサ好みになり、大雑把な部屋の完成図は出来た。多少の時間は必要とするが、部屋に関してはこれで終わりだ。
そして次に考えるべきは、メインとも言える料理である。
「ツバサ君、何か食べたいものある?」
当然と言えば当然だ。それにやはり、ツバサも準備に参加させて正解だと思う。本人が好きな物を食べて、笑顔になればそれは大成功は間違いない。
「やっぱりパーティーといえば、ヤーキターイですかね」
「流石スカイランド人…ごめんね、私には分かんないや。ソラちゃん何か知ってる?」
「確か、プニバード族が食べるお祝い料理だったと思いますが私も詳しくは…」
「ツバサ、どんな料理か教えてくれる?」
ツバサ曰く、その料理の名は先程言っていたヤーキターイ。外はふわふわ、中はしっとりと甘い料理らしい。
ただ一つだけ問題があるらしく。それが肝心な作り方がツバサにも分からないとのこと。
ツバサの希望通り、そのヤーキターイを作りたいがいかんせんそうなると相当頭を悩ます。ツバサの言葉伝いで作っても良いが、それで果たしてちゃんと作れるかどうか。
「ヤーキターイね。こうなったらヨヨ婆ちゃんに頼ってみよう!案外、いつも様にスラスラっと解決するかも知れないよ?」
「いやいやいや。いくらお婆ちゃんでも、流石に種族が違ってたら分からないんじゃ──」
「ミラーパッドを使えば分かるわ」
ましろの話に介入して、ヨヨが会話に参加して来た。しかも、ツバサの言うヤーキターイの作り方をミラーパッドで、簡単に調べれる事を伝えながら。
ソラとツバサはハイタッチを交わして喜び、これから悪戦苦闘の試行錯誤のヤーキターイ作りを考えていたましろは、ちょっとだけこれじゃない感の表情をしていた。それでも分かるなら、それに越した事はない。
早速、ヨヨはミラーパッドでヤーキターイの作り方を調べてみると意外な事が分かったのだ。
「かなた君、これってアレだよね?」
「スカイランドにもあったんだね」
2人がミラーパッドで目にしたヤーキターイは、かなたやましろの世界で言うところの"たい焼き"である。
少々驚きはしたものの、これなら楽々に作れて手間もそこまで掛かりはしない。運良く、機械なら虹ヶ丘家にある。
「2人が想像する様に、たい焼きに見た目が似ているけど、材料はスカイランドの物を使うからたい焼きとは少し味が違うと思うわ」
味だけに差異があるなら、逆に言えばそれは他は殆ど同じと言う事にも意味が取れる。流石にこの世界に、スカイランド産の材料は存在しない。ヨヨも、長年この世界で暮らしている以上手に入れているとは限らない。
「じゃあ試しに、こっちの材料を使ってたい焼きを作ってみるから、ツバサ君食べてみて!」
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早速たい焼き作り開始。生地を作り、メインとなる中身も入れて、機械で焼いてみた結果。まぁ、出来は普通。やはり、ツバサからしたら完成品を見てもヤーキターイと同じ。
「あとは味ですね」
ツバサは小さく頷き、出来立てのたい焼きを口に運ぼうとするも、
「うぅ…」
どんな反応をするか気になるソラとましろ。その熱い視線が気になって、ツバサはかなり緊張している。それに食べ難いもある。
見兼ねたかなたは、2人を手で目隠ししてツバサから引き離した。
ホッとしたツバサは、ようやくたい焼きを口にする事が出来た。
さて、ヤーキターイと殆ど同じだが、初めて食べるたい焼きの味は如何なものか。
「美味しいです。それは確かなんですが…」
3人はツバサの反応を見て、ヤーキターイとは味が少し違っていた事を察する。美味しくとも、ツバサが満足しているのかと問われればそれは違うだろうと答える。
「次だな」
「次ですね」
「次だね」
「えいや、十分美味しかったですし大丈夫ですよ!」
完成度で言えば、確かにこれで十分で終わりにしても良い。けれど、3人はそうは思ってはいない。寧ろここからが本番とでも言いたげな感じだ。
「ここからがスタートだよ。このたい焼きの味と違う所をツバサ君から教えて貰えば、ヤーキターイが作れると思うんだ」
「そんな訳で、改めてどう?」
「…生地の味は殆ど同じ何ですけど、中のあんが違う気が…」
「ましろ先生お願いします!」
「はい!」
ツバサの言うヤーキターイを完成させる、長い長い道のりが始まった。
ましろを中心としてかなた達も手伝い、中身の改良に勤しむ。4人と人数が多い分、作業効率も上がり、使う食材にも幅が出てくる。
出来上がるまでの工程、全身粉まみれになったり、慣れない作業のソラの手つきにかなたが何故か巻き込まれたりと不幸を被っていた。
そんな山あり谷ありの苦難を乗り越え、見事10種類の味のたい焼きを完成させた。
それを全て、ちょっとずつだがツバサは味見をして、ヤーキターイとの味比べをする。
これだけ作れば、どれか1つくらい当たりはあるのではないかと期待していた。
がしかし、流石にそう上手くは行かなかった。
「すみません。ですが、どれも美味しかったです!」
「では、次行ってみましょう!」
「家にある物は殆ど試したから…流石に買いに出なきゃ次は無理かな」
「じゃあ、お出掛けだね」
そうして、まだまだ思い出の味のヤーキターイ作りは続くのだった。
力尽きました。モチベはどん底です。頑張って書いてはいますが、クオリティはかなり下がると思います。