ひろがるスカイ!プリキュア 英雄綺譚   作:シロX

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これまでの小説でもそうですが、原作沿いだけど細かい内容が部分部分違う点が沢山あるので、ゆっくり読んでくれたら嬉しいです。


第4話 遥か遠くの背中

 次の日、朝から朝食終えてソラの服を買いに行こうという事になった。ついでに、昨日の騒ぎのせいで買えなかった物のリストも忘れずに、ヨヨはお金をましろに手渡した。

 

 赤ん坊──"エル"はヨヨに預けてもらう事にする。名前があるとは思うが、それが判るまでは程遠い。なので、仮であるがソラが名前を付けてあげた。嫌がる事はなく、寧ろ喜んでいる様に見えた。

 

 エルの心配も無くなり、いざお店に行こうと張り切って外に出るのであった。カバトンが出るか出ないかで、不安の色を表しながらも目的地であるショッピングモールに辿り着いた。

 

 ただその道中、スカイランドとは全く異なる異文化に触れて、カルチャーショックの連続に合うソラだった。

 携帯の着信音、ショッピングモールの中にあるお店、エスカレーター、案内ロボットと怒涛の衝撃を受ける。ソラの扱いにもう慣れて来たのか、ましろも何処となく塩対応になって来ている。ショッピングモール内で目立ってしまったが、洋服屋に辿り着いたのだった。

 

 そして今現在、ソラの洋服選びに右手左手に手で取って吟味している。

 

「どのジャージにするべきでしょうか?かなたさんはどれが良いですか?」

 

「俺は今着ているジャージが似合うかな?色も青だし」

 

「いやいやいや2人共、ジャージから一旦離れようか?かなた君も、そんなノリノリでジャージを選ばなくても良いよ」

 

「俺は結構真面目に選んでいたんだけどなぁ…」

 

 真剣に選んでいたかなたに失礼だが、「えぇ…」みたいな呆れた声が思わず漏れてしまった。ソラがかなたと一緒になって選んでいると、碌な洋服を選びかねない。ここはしっかりとましろが選んであげないと。

 

 そんな訳で幾つか服を持って来たましろは、ソラを着せ替え人形の様に様々な姿を体験させる。可愛いものから勿論、ボーイッシュなものまで色取り取りに試着させる。

 

 ソラも、ヒーローになる事を目指して一生懸命なっていたのだが、そのあまり服装にまで気を遣っていなかった。

 

 長い時間を掛けて、ようやく服を選び抜いた。

 

 白と水色のツートンカラーの長袖シャツに、青いスカートを着用。青色のニーハイソックスで、スニーカーを履いたファッションとなっている。

 ましろが選んだだけであって、かなり良い出来のなっている。最後に腰にミラージュペンを添えて完了。

 

 買う物は全て買い揃えてその帰りの途中、ベンチに座り一度一息ついて休憩する。その際、ましろはソラにある事が気になって質問してみる事にした。

 

「ソラちゃんは、どうしてそんなにまでしてヒーローになりたいと思ったの?」

 

「本物のヒーローを見てしまったから、でしょうか」

 

 ソラから語られるそれは、ヒーローというものに憧れ、そして夢見てきた前日譚。

 

 幼き日の事、ソラはスカイランドで入ってはいけない森に入ってしまい迷い込んで事がある。泣いてばかりで今よりももっと非力なソラは、自力で森から出る術も無く、背後から魔の手が襲い掛かって来るのもどうしようも出来ない。

 そんな時だった。見ず知らずの人物がソラの窮地を救ったのは。颯爽と現れたその姿は正にヒーローとも呼べる存在。

 

 その日以来、ソラはその人になる様にヒーローを目指した。

 

「その為に毎日トレーニングをして、ヒーロー手帳をつけて」

 

「ヒーロー手帳?もしかしてそれって…」

 

 手帳といえば心当たりが一つだけある。昨日、ソラとエルに出逢ったその日に、カバトンによって破り捨てられた手帳。恐らくだが、それがソラの言うヒーロー手帳だとかなたは想像した。

 そんな大切な物を目の前で引き裂かれた。かなたとましろが下手に関わってしまったせいで。自分の物でないにしろ、友達の大切な物が無くなったと思うと、胸が引き裂かれそうな思いで痛い。

 

「あ、ましろ。手帳といえば──」

 

 手帳で何か思い出したかなたは、ましろに何か伝えようとしたそのタイミングでだった。ベンチに座って、道路を挟んだ向かい側のハンバーガー屋から悲鳴を耳にした。何事かと思い、身を乗り出して様子を見ると、エルを狙っていたカバトンが街の人達に迷惑を掛けて暴れていた。

 

「ざ、ザブトン!?」

 

「ザブトンじゃないのねん!カバトン!」

 

「悪い事をしたらダメだろ!ブタドン!」

 

「お前に関しては悪意ある間違いのねん!絶対わざとのねん!」

 

「間違ってしまった。無念」などと拳を握り締めながら、申し訳ないと思ったかなた。間違られたカバトンからしたら、あまり許せない間違いだが。

 

「かなたさん違いますよ、カツドンですよ」

 

「カ・バ・ト・ン!!もう許さないのねん!お前達を倒して、あのガキ居場所を吐かせてやるのねん!」

 

 3人から散々名前を間違えられた恨み辛みと、エルを何としても奪い取る執念。その2つが合わさり、怒りのボルテージは満タンとなって昨日見たあの怪物を呼び出す。

 

「カモン!アンダーグ・エナジー!」

 

 禍々しいエネルギーが道端にあった自動販売機に注がれる。自動販売機から手足が飛び出し、それに伴って体も大きくなってランボーグが誕生した。

 改めて見ると、やはりランボーグは人一倍大きい。とてもじゃないが人間が、ましてや大人より背も力も小さい子供が何とか出来る相手ではない。こういう時は逃げるに限る。

 

「ましろさんとかなたさんは逃げて下さい!」

 

 ソラは、戦えないかなたとましろの手を取って繋ぎ合わせて逃げる様に促す。しかしこれだと昨日と同じだ。2人の手を握っている両手も震えている。

 

「ソラも一緒に」

 

「私は大丈夫です!ですから早く──」

 

 会話を遮る様に自動販売機のランボーグは、取り出し口の所からペットボトルのロケットを撃ち出して、3人を正確に狙って攻撃して来た。

 かなたとましろは、ソラの手を引いて間一髪の所でランボーグの攻撃を回避した。しかし、ペットボトルのロケットが被弾した歩道は、大きな穴が空いてしまった。コンクリートで出来るいるのに、それを破壊してしまう程の威力となると、当たればひとたまりもない。

 

「未熟です。憧れのあの人の背中は遥かに遠い。でも!」

 

 体を起き上がらせて、ミラージュペンを片手に一歩ランボーグの前に出る。

 

「ヒーローの出番です!」

 

 ミラージュペンが、ステッキであるスカイミラージュへと変化した。それを手に取り、変身に必要なもう一つのアイテムであるスカイトーン スカイも手に取る。

 

「スカイミラージュ!トーンコネクト!」

 

 スカイトーン スカイにあるつまみの部分をスライドさせて、スカイミラージュ装着させる。

 

「ひろがるチェンジ!スカイ!」

 

 アイテムを装着後、その下にあるボタンを押して、内に秘める力を一気に解き放ち、ソラの姿を変えさせる。

 

 サイドテールだった髪は自分の身長と大差変わりない程にまでツインテールとして伸び、髪色も水色、毛先はピンク色に色変わりする。

 

「きらめきHOP!」

 

 足からヒールへ、頭部には羽を模した可愛い髪飾り、耳にはオシャレなピアス。

 

「さわやかSTEP!」

 

 服装は青と白を基調としたワンピースドレスになり、一気に見た目が変わる。

 

「はればれJUMP!」

 

 両手を軽く手合わせすると、ハートマーク付きのフィンガーレスグローブが身に着けられる。左肩に手を当て、大きく撫で上げるとマントが着飾られる。

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」

 

 最後に決めポーズと、変身した自分の名を名乗り変身を完了させる。

 

 2回目の変身だけあって、最初よりかはスムーズに変身が終わった。そして変身して、かなたとましろを抱えて少しでも安全な建物の屋上へと避難させる。

 

「ソラちゃん、気を付けて」

 

「はい!」

 

 スカイはましろの声援を受けて、軽やかに屋上から飛び降りてランボーグへと立ち向かって行く。かなたも戦う力はないが、一緒に居るましろを考えてもう少し後ろに下がってスカイの戦いの様子を見る。

 

 取り出し口から連続で放たれるペットボトルロケットを、スカイは正面から薙ぎ倒して突き進み、ランボーグに拳を一発叩き込む。それに怯んだランボーグに、スカイは更に猛攻撃を仕掛ける。防御どころから、身動き出来ずランボーグはサンドバッグ状態。

 

 流れは完全にスカイに向いている。このまま押し切れば容易にランボーグを浄化出来る。

 

 けれども、ランボーグもただ殴られ続けられているだけではない。スカイの一瞬の隙を狙っている。スカイの猛攻は、確かに圧巻で圧倒して圧勝している。それでもこれだけの連続攻撃を絶え間なく続けれていれば、

 

「ランボーグ!!」

 

 攻撃の手を止めて、肺に酸素を取り込もうとしたスカイ。それを見逃さなかったランボーグはスカイを捕まえた。大きく振りかぶって、かなたとましろが居る建物の屋上向けて投げ飛ばす。

 

 投げ飛ばされるもスカイは体を丸め、建物の壁に足を着いて空中で態勢を整える。2回目とは思えない程の戦闘センスに、カバトンは歯軋りする。

 

「負けるな!一気に叩き込むのねん!!」

 

 カバトンの指示通りに、ランボーグは連続でペットボトルロケットを撃ち出した。数は全部で10発。

 スカイは冷静に手足を巧みに使い、全て蹴散らしてみせた。まだまだ余裕綽々のスカイは不謹慎にも笑みが溢れる。

 

「もっとやるのねん!!」

 

 もう一度、無数に撃ち出してくるペットボトルロケットだが、再度スカイが叩き落とした。

 

「ヒーローに同じ手は通じません!」

 

「だったら、とっておきをみせるのねん!」

 

 取り出し口から、先程まで撃っていたペットボトルより数倍の大きいペットボトルを構え出した。

 勢い良く放たれた巨大なロケットは、一直線に向かってスカイへと飛んで行く。見た目通りの威力なら、避ければ後ろに居るかなたとましろだけでない。建物丸ごと破壊してしまいかねない。かといって、叩き落とすにしても大き過ぎて上手く行くかどうか怪しい。下手をすれば、周りに無駄な被害を出してしまう恐れもある。

 

 であれば、選択肢は1つだけ。受け止めるのみ。

 

 スカイは気合いの雄叫びと共に、巨大なペットボトルロケットを両手で受け止める。

 

「大回転!プリキュア返し!」

 

 受け止めたペットボトルロケットの勢いを利用し、自分事回転させて遠心力に任せて投げ返した。自分が放ったペットボトルロケットをランボーグは、受け止めるどころか耐え切れず大きく吹っ飛ばされる。

 

 今が浄化出来る最大の好機と思い、スカイはようやく地に足を着いて走り出した。大きく右腕を構えて、昨日もランボーグを浄化させた必殺技を放とうとする。

 

 しかし、返される事もカバトンは計算していた。

 

「間抜けだなプリキュア!後ろをよく見るのねん!」

 

 スカイは、ランボーグに手が届く目の前にして急ブレーキを掛けて止まる。カバトンの言う様に素直に後ろを振り返ると、かなたとましろに向かって一発のペットボトルロケットが、2人の背後から飛んで来ていた。

 

 スカイに放ったとっておきの巨大ペットボトルロケット。あれが囮だったのだ。

 

「とっておきを囮に使うのは勿体無いが、誰か1人でも倒れればそれで形勢逆転なのねん!」

 

「しまった!」と思ったスカイだったが、離れている距離を考えて今からでは遅過ぎる。それでも諦める事だけはしない。踏み出す一歩、踏み込み、踏み締める足に力を入れて駆け出す。

 

 その慌て様にかなたとましろも、後ろを振り返ると、もう目前まで迫って来ているペットボトルロケットがあった。こちらも、今から逃げたのでは遅過ぎる。

 

 どうすれば良い?考える……いや、考えた所で何もかもが遅過ぎる。スカイに守られているかといって「自分達は大丈夫だ」「何があってもスカイが守ってくれる」と信頼から来る油断をしていた。

 

 今からではどうする事も出来ないが、今出来る事をしよう。

 

 かなたは、ましろの前に出て目元を両手で覆い隠した。次の瞬間、かなたの目の前は白い閃光で視界を埋め尽くした。

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