幼馴染のバンビちゃんから逃げたらえらい事になったんじゃが?   作:しっとりバンビちゃん

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 湿度高めのバンビちゃんを読みたくて衝動的に書いた。後悔はしていない。

 尚更新は不定期。


プロローグ

 

 

 『見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)

 

 滅却師(クインシー)と呼ばれる者達の住まう帝国の名であり、彼らが唯一種族として暮らしている場所。

 

 そんな帝国の片隅で、非常に激しい爆撃に晒されながら全力で逃げる男が1人––––––。

 

 「クッソ!! なんでバレたんだよ!? 通行証くすねるまでは完璧だったのに!!」

 

 彼の名前は『アルマ(A)アルマス(A)純血統滅却師(エヒト・クインシー)の一人であり、見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)の中で()()()退()()()()()()()()()()()()()。また、その関係か帝国の中では数少ない穏健派であり、死神との絶滅戦を視野に置くようになった帝国の中では浮いた存在となっている。

 

 そして、そんな彼を空爆しながら追い縋る少女もまた、純血統滅却師の一人であり、彼の幼馴染である『バンビエッタ(B)バスターバイン(B)』詳細は割愛するが、とある能力によって自身の放つ霊子を打ち込まれた物を爆弾に変える事が可能であり、彼女は周囲の被害を全く考慮せず爆撃を繰り返していた。

 

 

 「待ちなさいよA・A!! あたしをほっといて何処行くつもりなのッ!! アンタはあたしの物なのよ!! 四六時中一緒に居なさいよ!!」

 

 「待てって言うなら爆撃やめてくんね!? 後俺にもプライベートな時間くれよ!? 毎日毎日お前と一緒だと頭おかしくなるからリフレッシュしたいんだけど!?」

 

 「爆撃やめたらアンタ逃げるでしょ!! 後リフレッシュってなによ!! 毎日料理作らせてあげたり、洗濯させてあげたり、掃除させてあげたりしてるじゃない!!」

 

 「リフレッシュ要素ゼロなんじゃが!?」

 

 彼が自分に尽くして当たり前。そんな風な事を心の底から言っている倫理観欠如系幼馴染、バンビエッタ・バスターバインの攻撃に滅却師の典型的な戦闘法––––霊子兵装を展開し、弓術によって爆撃を空中で撃ち落として行く。

 

 彼が彼女から逃げている理由はこの帝国からの出奔であり、元々から帝国の王の思想と彼の思想は反目しており、死神との共存を望む彼からすればこの国は生きづらい場所であった。それに加えて24時間365日倫理観ボンバーウーマンと同棲状態である、現世に脱走を試みるのは至極当然であり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 脱走の為に必要な通行証は確保した。後は幼馴染の爆撃を掻い潜りながら時間の流れが違うこの帝国と外側の時差を計算して––––––と、そう考えて半身を帝国を覆う結界の境界線へと乗り出した時だった。

 

 「ッ!? 絶対に逃がさないんだから!!」

 

 悲鳴にも似た声で彼女はそう叫ぶと、高等歩法である飛廉脚と制服の背面を爆破する事による二重加速によって彼との距離を詰め、その胸に飛び付いた。

 

 そこまでなら良かったのだが、直情的かつ倫理観に難のある彼女は彼が自分の元を離れる要因を()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「ばっ、バンビちゃん!? 何やって–––––」

 

 「『ソレ』のせいでアンタがあたしのとこから逃げるんならさ––––––吹っ飛ばせばいいのよ!!」

 

 彼女にとって幸運だったのは、彼を捕まえる為にしっかりと身体を密着させて抱きついていた事だろう。

 

 そして彼女にとって不運だったのは、短慮によって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 通行証が消滅した事で帝国を覆う結界が物理的に二人を外側へと弾き出す。ただでさえ時差を読まなければならないにも関わらず、外力によって吹き飛ばされた二人は目にも止まらない速度であらぬ方向へと弾き出されてしまうのだった。

 

 

 ▽▲▽▲▽

 

 

 世界が二転三転し、陸地らしき場所を発見した俺は飛廉脚を使いつつバンビちゃんを庇う様に地面に背を向けて落下する。

 

 墜落した衝撃で肺の空気が破裂した様な錯覚を覚えた後、津波の様に高く立ち上った灰色の砂を見てどうやら砂漠の様な場所に落ちたのだと把握した。

 

 「いてて……静血装(ブルート・ヴェーネ)使っても衝撃が入るなんて、なんつー速度で落ちたんだよ……」

 

 身体を起こしながらも、こんな目に合わせてくれやがった幼馴染に目を向けると、俺の身体をしっかりと抱きしめたまま綺麗に気絶しており意識がない。全力でホールドしてる事から無理矢理外して離れる、なんて事も出来そうにないし……どうすっかなぁ。

 

 –––––などと、そう呑気に構えていた矢先、周囲に(ホロウ)の霊圧を感じた。それも複数の。

 

 

 咄嗟に弓を構えて周りを索敵すると、大虚(メノス・グランデ)それも最下級大虚(ギリアン)が数体程こっちに向かって来ている事に気が付き––––自身が虚圏(ウェコムンド)に落ちた事を察してしまう。

 

 滅却師は虚の霊力に一切の耐性が無い。俺は()()()()()()()()()更に耐性が無い為、一撃たりとも貰う事が出来ない。

 

 移動しようにも幼馴染様が俺をホールドしている為逃げる事は出来ない。それならば知覚範囲外から一方的に狙撃し、その衝撃で手荒にバンビちゃんを叩き起こして逃げる!!

 

 そう決断した俺は瞬時に弓を形成し、動血装(ブルート・アルテリエ)を使用し、全力で矢を撃ち放つ。

 

 そして閃光の様な速さで数秒経たずに目標まで接近した矢を分裂させ、全ての最下級大虚(ギリアン)を一撃で粉砕する。

 

 「仕留めれた……か?」

 

 霊圧探知に反応は無い。生きているかは不明だが少なくとも無力化は出来ただろうと胸を撫で下ろした時だった。後になって思う、無理矢理にでもバンビエッタを起こして何処かへ逃げるべきだった……と。

 

 

「–––––ほう。虚圏に滅却師とはね」

 

 

 いつからそこに居たのかは分からない。だが、そいつは本能が死を予感させる様な圧倒的な力を持った男だと直感的に感じた。

 

 これが俺と藍染惣右介とのファーストコンタクトであり、その尖兵となる事になったきっかけであった。

 

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