ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。   作:なっぞのひと

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ようやく書けました、レースの描写に関してはもう少し勉強して頑張ります。


30.ようやく話が進んだね(地雷の除去は専門家に任せるしかない。(後編))

 時間は少し前に戻ってジム

 

 流は突如頭上から背中に打ち降ろされた背中を貫通し肺が破裂しそうなほどの衝撃で呼吸が止まり、直後に襲いかかる強烈な痛みで脳が狂いそうになりながら、背中が抉れていないか確認した。

 

 経験したことのない痛みで背中を押さえてのたうち回りたいが鋼の意志で堪えた。

 

 余りにも痛そうにしている流に対し心配になったのか、マンハッタンカフェは生来の面倒見の良さと優しさから、声をかけようとするも【お友だち】は

 

『一回反省させとけ。』

 

と突き放すように言う。

 

 普段はマンハッタンカフェの意志を肯定する【お友だち】が珍しく止めるので、どういうことかと問おうとすると。

 

『カフェがコレに甘すぎっからだよ。』

 

とやたら辛辣に返して会話を打ち切った。

 

というのも、流がマンハッタンカフェに背中をひっ叩かれた直後流が、【お友だち】の方に指先で自分の頭を叩きながら頭の中を覗けみたいなジェスチャーをしてきて、頭の中を覗いた上で流の言動の意図を察しての発言だった。

 

『(最初から気づいていて、カフェが生徒にいじられないように、自分にヘイトを集めるように力技で誤魔化したのか、お前天然クソボケ野郎かと思ったら以外に配慮もできるんだな。)』

 

(実際突っ込んじまった時は、布で包んだコンクリにでも突っ込んだのかと思ったけどな)

 

『(お前もう2、3発叩かれた方がいいんじゃねえの?)』

 

(耐えられるかどうかは別としてある意味癖になりそうだから、やめておくよ。)

『(お、おう・・・)』

 

 

【お友だち】が流の表情はそこまで変わっていないが、ほんの少し顔色が悪く呼吸も荒くなっていた、頭の中の無理やり読みとって、無理やり頭に意志を流し込まれるというか脳に電極を刺されて使われていない部分を活性化させられてそのまま電流を流され続ける状態なので、普通なら立って居られないほどにきついのだが、【お友だち】が加減していくれているのと、偶々耐えられる肉体と精神の強さがあったお陰でこの程度で済んでいる。

 

 流は息を吐ききり、呼吸を無理矢理整えると、近くにいたマンハッタンカフェから、廻りが聞けば底冷えするような、流からすれば子供が拗ねているような声で後で給湯室に来るように言われ、気を取り直してベンチプレスの様子を確認しフォームが崩れている者に対しては、重量を軽くするようにと、パートナーによる補助のやり方を教えていきながらメジロマックイーンの方を見ると・・・さっきまで居なかったはずのメジロライアンが補助に付いていた。

 

「ほらマックイーン!頑張って!あと1レップだよ1レップ!よしもう少しだよ!もう少し!よーし!上がったナイスマッスル!」

 

コールがでかい。そして重量が400kg超えとウマ娘用としても気が狂ってるような重量だ。

 

バーベルを上げきりラックに戻すとベンチに寝そべったまま、息を荒げてぐったりしているメジロマックイーンの横で感動のガッツポーズしているメジロライアン。

 

「やったねマックイーン!今、マックイーンの筋肉が最高に喜んでるよ!」

 

そこへ横から流が横から声をかけた。

 

「たしかに彼女の筋肉は筋肉は喜んでいるでしょうが、経験の少ない方にいきなり高負荷のベンチプレスはキツイってもんじゃないと思うんですよね、セイフティーラックありのベンチで尚且つ上級者のメジロライアンさんが補助に入るなら、事故のリスクは少ないでしょうけど・・・」

 

「あ、すみません・・・あたしマックイーンがベンチプレスをやっているのを見て嬉しくて、つい力が入っちゃいました。」

トレーニー仲間ができて嬉しいのはわからないでもない。

 

「お気持ちはわかります、好きな事を一緒に楽しめる相手が居ると熱が入りますから、負荷に関しては考えものですが。」

 

「大丈夫ですわ管理人さん、これは私自らライアンにお願いしたことですから。」

 

メジロマックイーンがベンチから起き上がってきた息切れして高重量を上げた直後か顔は汗ばみ紅潮している。

 

「重い重量でしっかりと負荷をかけられた分、すごく効いている気がいたしますわ、特に胸の辺りが。」

 

「高負荷の低回数は、たしかに効いた気がして気分も高揚しますし達成感もありますからね。」

 

 科学的には低負荷高回数の方が筋肥大の効果は高いという話は黙っておいた。

 

「同じメジロのマックイーンが筋トレを始めてくれるのはやっぱり嬉しいですね。」

 

「メジロマックイーンさんは栄養の吸収効率が良い割に、体の基礎代謝が低いみたいで、それ故の過度の減量をされているのでいっそのこと筋肉量を増やして基礎代謝と身体能力を向上させ減量幅を減らす方向で体のダメージを減らす。ボクサーで言う階級を上げる形に近いです。」

 

「でも筋肉量を増やすなら、結構な時間がかかりませんか?」

 

「ある程度の時間は掛かりますが、筋力トレーニングを行い基礎代謝を上げることで、食事の管理は楽になるでしょうし、栄養の吸収効率は良いですから、第1段階として筋肉と体脂肪を合わせての3~5キロ程の増量なら3ヶ月ぐらいかなと予測しています、減量の負担が減る分、全体的なパフォーマンスもかなり上がるでしょうから。」

 

「確かにマックイーンは身長や骨格を考えれば、体脂肪も筋肉もかなり少なめで細いからこそ太りやすい感じだったから、これからの事を考えたら、筋肉量を増やして減量の負担を減らすのは良いことですからね。減量苦から解放されたマックイーンがどこまで行けるか楽しみです。でもよくマックイーンがサイズアップを受け入れましたね。」

 

「元々、チームのトレーナーさんから過度な減量を諌められていたようですから、そこでフィジカルトレーナーの私に相談してみようということになったようで、先程相談を受けたんです。」

 

「ええ、相談したときにいきなり、体型が起伏に乏しいから多少筋肉が増えても変わらないとか言われましたわ。」

 

「直後に鳩尾を拳で思い切り打ち抜かれて、給湯室から出てきての顛末を聞いたカフェに足にプレートを載せられた状態で正座させられてその後に、メジロマックイーンさんにカフェと作ったコーヒーとお菓子を出したあと、ベンチプレスとスタイルの関係の話をしたら、ベンチプレスから始めるという話になりましたね。」

 

「えーっと・・・情報が多くて、いまいち理解が追いつかないんですど?」

 

「要点を纏めると、メジロマックイーンさんをスイーツと体型の話で釣った結果ベンチプレスをやってもらったという話です。」

 

「概ね正しいのがなんとも言えないくらい腹が立ちますわ。」

 

「そもそもメジロマックイーンさんのやっているキツめの節制は、丸太から仏像を削り出すような繊細な作業ですからね、一歩間違えれば反動でメジロデップリーンとかメジロガリガリーンになってしまうのがオチですからね。」

 

 流の毒舌にキレかかるも、メジロライアンに羽交い締めにされて怒りを抑えるメジロマックイーン。

 

「それにここはあくまで学校教育機関ですから、勝つためにから無茶な減量をさせたりするのは教育に宜しくないですからね。」

 

 レースをダシにして成長期の子供を興行の選手兼アイドル化させてレースの集客やグッズの売上で儲けるというやり方は教育機関としていかがなもんだと思うし、レースに勝つことで評価され収入が増えていくトレーナーの中には勝ちたいという気持ちを利用して生徒に無理させる奴らも出てくることになるという悪循環が生まれてしまうし、過度な減量とか危険な追い込みを防止するためのレギュレーションを設けたほうが良いんじゃないかと流は思った。

 

 ここでギャンブル化していると本当に地獄と化すがURAは絶対にギャンブル化しないと公言しているしそれだけの収益があるから大丈夫だろう。

 

 

「ふざけた物言いの直後に、真面目な事をおっしゃられると、言葉に困りますわ、ライアンもう管理人さんには怒っていませんので離して下さる?」

 

「なんというか、理解しやすい言い方をする時は地が出てしまうんですよ、特に無茶な減量のやり方とかされている相手には。」

 

「地の管理人さんは、口が悪いと言われません?」

 

「よく言われますね。接客をする時は誤魔化してはいましたが、競技者としては口の悪さゆえにヒール扱いされていましたし、話をもどしますが、増量していくなら、基本的にベンチプレス、デッドリフト、スクワットのトレーニングを中心に低負荷高回数で行い適切な栄養と量の食事を取っていけば、3ヶ月ぐらいで筋肉が増え始めて、体がなれるまでには半年ぐらいが目安と考えてください。どちらにしろ減量することになりますが、1~2週間で2キロぐらいで十分に走れるでしょうし、今までの減量よりは負担が少なくなるかと。」

 

「なるほど・・・管理人さんはどのくらいの増量をすればいいと考えていますの?」

 

「6~7キロぐらいでしょうか、これから先目的に合わせたトレーニングを考えていくならば、メジロライアンさんかトレーナーさんに相談していけば問題ないかと、また必要なときに相談していただければ。」

 

 流自身、全部の面倒見きれるわけでもないし中立を保つ必要があるので、ある程度の基礎を教えて後は自分たちでやってもらうようにし、それでも困ることがあるなら教えるという形を取っている。とはいえ聞かれれば教えるのだが。

 

「そうですわね、あまり頼りすぎてもよくありませんわ、ところで管理人さんは、カフェさんに給湯室に呼び出されていましたが、行かなくて宜しいので?カフェさんすごい顔されていましたけど。」

 

メジロマックイーンの問に流はどこ吹く風というタイドで

 

「まあもうちょっと、後でいいでしょう、子供が拗ねているようなもんですし。」

 

直後に周りから、行けよ、バカじゃね?、クソボケ、最低などの声がやたら聞こえる、流だって感性が狂っているわけではないので悪口を言われたら普通に堪える。

 

「メジロマックイーンさん、これは早く行った方がいいのでしょうか?」

 

「行った方が良いに決まってますわ!行かなかったら、本当に軽蔑ものです!」

 

 

 周りからのブーイングを受けながら、流は自分の出したベンチプレス用のバーベルを片付けて給湯室に向かうと、扉が閉じられていた。

 

 「閉まってるなあ、さてどうしたらいいと思う?お友達。」

 

『知らねえよ、俺に聞くな。ただ…カフェは押しに弱いからな。』

 

「そうか、扉を開けた瞬間に即土下座して謝り倒して押し切るか。」

 

『お前なあ…まあいいや、好きにしろよ、多少は弁護してやっから。』

 

 

 扉の前で流が【お友達】と意思疎通している姿は流が虚空に向かって一人で話しているようにしか見えないシュールな光景だが見る者が見れば、そこに何かがいるのが感じられる。

 

 扉を開け滑り込んだ直後滑り込むように土下座し頭は上げず、土下座の力技でこの場を押し切る。

 

マンハッタンカフェの様子はわからない。

 

「うん・・・うん・・・そうだね、ありがとう。」

 

 

マンハッタンカフェのため息の後会話をしている声が聞こえた。

 

【お友達】がフォローをいれているが、流は気配を察知しているだけで見えている訳でもなく聞こえているわけではないし、動きなく普通に会話していればまったくわからない。

 

 より研鑽すればこの先、声も聞こえたり、実際にその姿も見えるようになるかもしれないが、そこまでする気は流れにはない。

 

【お友達】少しずつ、マンハッタンカフェの声が優しくなっていくのがわかった。

 

「来るなり土下座をしなくても・・・大丈夫ですよ・・・お友達から言葉の意図は聞きましたし、私も強く叩いたのはやり過ぎたかなと思っていますし・・・もう怒ってはいませんし、聞きたいことがあって・・・此方に呼んだんです。」

 

流は少しだけ頭を動かし。

 

「そうか、ウマ娘の体幹は強いなコケたのを弾かれた瞬間、そびえ立つ強固な摩天楼を連想したよ、まさにマンハッタンカべだな。」

 

 その直後スパンスパンと背中に衝撃が走った、ジムで喰らったのよりは軽いが平手打ちとしては強烈だ。

 

「やはり・・・もう少しこのままで・・・いてください」

 

『お前…何でそんなナチュラルに火種にガソリンをぶち込めんだよ。』

                     

 土下座続行が確定した流れのスマホが鳴るとすぐに電話に出た。

 

 電話の主はトーセンジョーダンのトレーナーの谷口だった。

「申し訳ない、今取り込み中になりますので要件は手短にお願い致します。」

 

電話越しに業務かどうか聞かれたので。

 

「いえ、今はカフェに全力で土下座謝罪をしている真っ最中です。」

 

と淡々と答えたら、電話越しに谷口トレーナーが困惑しているのがわかったのと、そこへトーセンジョーダンがトレーナーからスマホを受け取ったのか、トーセンジョーダンの声が聞こえた。

 

【ジムカン、土下座してるって聞いたけどカフェに何した?】

 

 

「ちょっと運動指導でハプニングがあってカフェに正面から倒れ込んでしまって失言をしてしまったのですが、謝罪はして許してもらえそうだったので、フォローもしたつもりだったのですが言い方が悪かったみたいで。」

 

【あージムカン、カフェだけには喋り方違うもんね、で何言ったん?】

 

「体幹の強さを褒めたつもりで、そびえ立つ摩天楼、まさにマンハッタンカベと」

 

【ジムカンバカじゃないの!?いくらなんでも言って良い事と悪いことがあるっしょ!?】

 

電話越しに思いっきり怒鳴られて数分捲し立てられた。

 

【あーもう、詳しいことはカフェに聞くから今すぐカフェにかわれ!あたしがフォローしてやるから!】

 

 流はマンハッタンカフェに携帯を手渡すと土下座を再開した。

 

 少し離れたところで通話をしているマンハッタンカフェの機嫌少しが元に戻っているのがわかった。

 

後で、あたしとシチーでジムカンに云々とか色々聞こえた。

 

 あの二名からクッソ怒られるのが確定した流は軽く凹みながらも、土下座を継続していると、会話が終わったのか、軽く肩を叩かれて顔を上げると、マンハッタンカフェがスマホを手渡してきた。

 

【カフェの事はフォローしておいたから、コレで貸し一つだかんなー、ジムカン。】

 

「ありがとうございます、お出しするものはウマバで出すようなラテとケーキで宜しいでしょうか?」

 

【うん、後レースはちゃんと見ろよ!ジムカンも手伝ってくれたんだから。】

 

「わかりました、ジムのモニターで流しておきます、脚は出走ギリギリまで冷やさないようにしておいてください、後出走時間までの最後の仕上げがありますから、谷口トレーナーに代わって頂けますか?」

 

【ありがと、最後の仕上げ?んじゃトレーナーに代わるね、後ジムカン帰ったらシチーと一緒に話があるから。】

 

トーセンジョーダンから谷口トレーナーに代わると流はスマホ越しに谷口トレーナーに事前に用意していた、ハチミーをベースにした果糖とクエン酸アミノ酸を加えたスペシャルドリンクをトーセンジョーダンに与えて、5分間のPNFストレッチを行ってから出走準備に行くように伝えて電話を切った。

 

「カフェ、土下座タイムはもう終わりでいいか?そろそろレースをモニターで流しておかないと」

 

「ええ・・・今日は皐月賞ですからね・・・ドリンクを出してあげたら・・・皆さん喜ぶと思いますよ、そういえばモニターはつけていなかったんですね。」

 

 

 流は給湯室から出ると、ジムの柱についているモニターのスイッチを入れをレースの中継にチャンネルを合わせた。

 

どうやらゲート入りの15分前らしい、そんな放送が入っている。

 

 流は炭酸水サーバーから炭酸水を取り出しクラフトコーラのシロップを炭酸水で割るとマンハッタンカフェに手渡してから、自分の分も作り始めた

 

「ありがとうございます。この香辛料

 

の香りは・・・クラフトコーラですか?」

 

「ああ、カフェテリアで売ってたコーラのシロップを使ったやつだよ、自分でスパイスを調合して作るのもいいんだが、煮るのが面倒くさくてな。」

 

「自分でも・・・作れるんですね。」

 

「前に美浦にジュース持ってたろ、業務用ジュースにフルーツをたくさん入れたサングリア風のジュース、あれは俺が全部作った。」

 

「あのジュースを・・・流さんが?」

 

「ああ、バリスタはコーヒーだけじゃなくて、本来は酒を含めた飲料全般から軽食までの業務を扱う者の事だからな、喫茶店でもジュースやケーキは扱うだろ?それと一緒だよ、一番下の冷蔵庫にジュースの入った瓶と柄杓があるから出してくれ。」

 

「本来のですか・・・バリスタを職業とするにはコーヒー以外にも随分と知識が必要になるんですね。」

 

「そうだよ、だから長期休みの時に俺の実家に来いって言ってんだよ両親に話しておくから。」

 

「今それを言いますか?それについては・・・また今度で」

 

 流はマンハッタンカフェにジュースの入った瓶と柄杓を出してもらうとテーブルの上に紙コップを置き、ご自由にお飲みくださいとだけ書いておいた。

 

 それなりの量はあるが、一気に来られると量が足りなくなるので適当に取ってもらうのが良いと流は判断した。

 

「随分と・・・大雑把なやり方にするんですね。」

 

「観戦だろ、このぐらいでいいんだよ。そろそろゲートインってのが始まるぞ。」

 

モニターから実況の声が聞こえた

 

『各ウマ娘ゲートイン完了、出走準備が整いました』

 

トーセンジョーダンはどうやら枠番は8番の4番人気らしい

スタート合図とともにゲートが開く。

 

 各ウマ娘が、一斉にスタートする、トーセンジョーダンは出遅れることなくスムーズにゲートから出るのが見えた

 

 『4番人気、トーセンジョーダン、先頭集団に入っていきました!レースは激しい先行争いのなか、第1コーナーから第2コーナーにかかっていきます。トーセンジョーダン!中段から様子を伺う!』

 

 流から見ても出だしは良かったというよりは、スタートは一気に出て後は爪に負担をかけないようにしつつを残す作戦にしたようでその足は歩幅は広く軽やかだ。

 

『先頭は1番人気リバイバルリリック!向こう正面に入り第3コーナーへ!レースは終盤に差し掛かります。まもなく第四コーナーカーブ!最終直線へはいります!』

 

意外と展開が早いなと流は思った。

 

『残り200m!6番リバイバルリリック!リードは2バ身!8番トーセンジョーダン!ここで仕掛けた!ここから逆転できるか!?』

 

残り200mでスパートをかけ始めたトーセンジョーダンを見て爪への負荷を考えたら少し早いと流はおもったが、相手のウマ娘は逃げる事を得意とするタイプらしく、ここで仕掛けなければ逃げられると彼女が直感で動いたのだと流は理解した。

 

『残り100mを切りました!最後は二人の鍔迫り合いだ!逃げ切るか!?リバイバルリリック!トーセンジョーダン!ここで抜け出した!トーセンジョーダン差し切ってゴール!』

 

【勝ったのはトーセンジョーダン!皐月を制し、クラシック三冠の一角を・・・】

 

 トーセンジョーダン勝利を伝えるモニターで流れる中、流は頭を抱えていた。

 

そんな流を観て不思議に思ったマンハッタンカフェは流に問いかけた。

 

「何故・・・指導で関わったジョーダンさんが勝ったのに頭を抱えているのですか?」

 

「トーセンジョーダンさんが勝つのは俺が関わったから別段驚くことじゃない、問題は今度のファン感謝祭で俺の女装が確定したってことだよ。」

 

「勝ったらやると言っていましたものね・・・おめでとうございます。」

 

「ありがとよ、言ったからにはやるにはやるけどさ俺の女装なんて需要ないだろ?」

 

「結構あると思いますよ?私と・・・お友達も見てみたいって」

 

「そうか、さっきカフェが言ってた聞きたいことってなんだ?」

 

マンハッタンカフェは気まずそうな表情で

 

「ここで聞くのもあまり良くない気がするのですが・・・あの背中の傷は一体?」

 

「ああ、背中か前日計量の帰りに、歩道に突っ込んできた車から子供をかばってそのまま、轢かれてショーウィンドウのガラスに突っ込んでこうなった。」

 

「それは・・・なんと言えばいいのか」

 

言葉に詰まっているマンハッタンカフェに対して流は気にするなと言わんばかりに。

 

「このせいで興行に大穴を開けて団体から契約切られた上に、業界から干される事になったのは痛かったけどな、リハビリで後遺症もあまりなくやれてるし、子供が無事だったから別にいいんだよ」

 

流はなんとも言えない顔をしているマンハッタンカフェの頭に手を優しくなでてから。

 

「まあ、いつか出禁が解けてオファーが来るかもしれないしな、諦めずに鍛錬は続けているよ、もうすぐウイニングライブってのもあるんだろ?解説してくれよ、俺はウィニングライブを見るのは今日が初めてなんだよ。」

 

流は話題をそらすように、ウィニングライブの解説をマンハッタンカフェに頼むのだった。

 

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同刻

 

 世間が皐月賞の話題で持ちきりで部屋のモニターでも皐月賞の中継中、格闘技団体ZENOの代表兼メインプロモーターである佐部(さべ)は頭を抱えていた。

 

 野球、サッカー、格闘技に加えレースまでプロモートするフランスの大手スポーツプロモーション会社、MJプロモーションが、前社長の横領と使い込みで資金繰りが厳しいZENOに資金提供するかわりに斡旋してきたフランス人ファイターについてだった。

 

「ライト級でコイツに勝てる奴か、ランカー勢が軒並みやられかねんぞ、こんなの押し付けてきやがって。」

 

サバット王者という経歴をもちムエタイでもラジャダムナンとルンピニーという2大スタジアムのランカークラスを何人も倒してきた怪物だ。

 

 勝てるとしたら、有利な肘なしルールでキックの現ライト級世界王者天河だが下手したらやられかねないと誰か良い選手がいないだろうかと考えていると勝利者インタビューが流れてきた。

 

【あたしが爪の怪我出走回避になりかけたとき、トレーナーとそうまっていうジムの管理人の人が助けてくれて…】

 

 モニターのそうまという声を聞き佐部は、肘有りルールでだが天河に唯一黒星をつけた男がいたことを思い出した。

 

 その男は天河との肘有りでのタイトルマッチの前日に交通事故にあい、興行が流れたことで前社長が契約解除した男だった。

 

左部は資料から選手の戦績データを確認すると

 

【57戦35勝9敗13分(21KO)】と書かれていて、詳しく確認すると、年齢も若く様々な団体を渡りあるくことで、かなりのハイペースで試合を行いタイや欧米など海外でも高い勝率を上げていた。

 

その上で傷は多いがルックスも悪くないと来ている。

 

 

不幸な事故によるリリースだったがこの戦績なら次の興行でオファーし結果次第では再契約でも、いいかもしれない。

 

 

「蒼真流か・・・ジムの連絡先は蒼真ジムだったな。」

 

 

 

 




主人公のお話もここから動き始めます、グダグダ長くなりそうですが頑張ります。



いつも感想とお気に入り登録ありがとうございます、ゆっくりですが勧めていきますのでよろしくお願いたします
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