ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。 作:なっぞのひと
流がマンハッタンカフェの背後に隠れながらキッチンカーから出てきてたとき、先程のオネエ言葉が聞こえたほうにやはり隠れつつ視線ををむけると高級そうな黒いスーツの上からでも分かるほど筋骨隆々の二メートル近い大男だった。
筋骨隆々の大男といっても学園はスポーツ関係の学校なのでそういった人物が居るのはそこまで珍しくないのだが、まずその男は黒髪ストレートでその艷やかな美しい髪は男の腰まで伸びていた。そのうえで前髪はきれいに切り揃えられていて、整った眉に紫色の濃いめのアイシャドウに薄いピンクのルージュが男前な中年男性の顔に施されていた。
その男はトーセンジョーダンとゴールドシチーに加え遅れて合流してきたダイタクヘリオス、メジロパーマーとギャルウマ娘と談笑していた。
「中継見たわよ!ジョーダン皐月賞勝ったのね!本当におめでとう、あんなにの爪の事で中々模擬レースに出られなくて弱音を吐かずに頑張っていた娘がクラシック3冠の一つに勝利するなんて、アタシもう泣きそうよ。」
大男は涙声ながら野太く不思議な色気のある声でトーセンジョーダンを祝福していた。
「ちょ、声でけーし大げさだし、でも見てくれてありがとカマちゃん。」
「当然よ!学園のウマ娘たちはアタシにとって娘みたいな存在なんだからね、爪の方は大丈夫なの?歩き方や重心を見るとそこまで酷いことになって無さそうだけど。」
「爪はトレーナーやジムカン、シチーやチケットさん達も助けてくれたから大丈夫、レース後の検査もOKだったけど暫くはレースは休んで爪のカイゼン?に専念してそれに合わせてジムカンと相談しっかり体を鍛えながら様子を見るようにするって。」
「そう、じゃあどんどん強くなって戻らなきゃね、期待してるわ!」
カマちゃんと呼ばれた大男は親指を立ててサムズアップした。
「おう、ちゃんと見とけし!」
トーセンジョーダンも親指を立てて返した。
「でも、何処かで祝勝会をするかなと思ってたけど、ずいぶん早く帰ってきたのね。」
「爪の事もあったし早めに帰ったほうが良いと思ったのと、後ねジムカンがカフェに色々やらかしたから、カフェのフォローとジムカンに文句言いに戻ってきてさっきまでシチーと一緒にジムカンの事説教してたんよ。」
「ジムカンって二月位にやよいちゃんが連れてきた、新人って蒼真流だったわよね?やよいちゃんも変な奴連れてきたわね、確かに悪い子ではないし中立は中立だけどね。」
大男は渋い顔をしながら大男は理事長の方を見た。
「彼を知っていたのか鎌太刀君。」
「アタシの友人の甥で彼のジムに移籍してきたアマチュアエリート上がりであの子がアタシの経営しているジムの選手に勝ってるのよ、交流ができてからジムにも出稽古にきてね、周りに近寄んなって空気を出しまくりながら練習してて、スパーリングではアタシのジムの選手達をボコボコにしてたのよね、もう気持ちいいぐらい。」
「あージムカンそんな感じするわ、いつも近寄んなオーラ出てるし。」
「ただ教えてくれと言った相手や子どもたちには対しては優しく接して教えてたし教え方も上手いんだけど、自分から積極的に教えるような子では無かったわね。」
「うむ、彼は私とたづなの前で、危険なトレーニング方を確認した場合やトレーニング方を聞かれない限りは基本不干渉で、機材の管理だけしか行わないと言っていた。」
「ただ真面目に練習をやってる子には、練習を見て教えたり、場所を譲ってあげたりとよく周りは観察してるのよね。」
「アタシはモデル仕事の都合上マシンの予約時間に遅れたりすることがあるんですけど、アタシが使う予定のマシン、必ず一つは整備中にして確保してくれていたんですよね。」
ゴールドシチーの言葉を聞いて、大男改め鎌太刀は一瞬渋い顔をしたが優しい笑みをゴールドシチーに向けた。
「すごいわね、シチーあの男にアスリートとして認められたのよ、やってること自体は職権乱用のグレーゾーンも良いとこだけど・・・肝心の蒼真の奴は何処に行ったのかしら?」
「ジムカンならさっき、カフェとキッチンカーの中に入ってったけど。」
鎌太刀はキッチンカーの方を確認するとマンハッタンカフェの影に隠れるようにしてその場から離脱しようとしている流を発見した。
「やべっ、見つかった!しっかり隠せよ・・・カフェ」
「挨拶をするから付き添ってくれと頼んでおきながら・・・逃げようとしないで下さい・・・ほら・・・行きますよ。」
「逃げねえよ、ギリギリまで見つかりたくなかっただけだよ。」
問答無用と言わんばかりにマンハッタンカフェに手首を掴まれて流は鎌太刀の前に引きずり出された。
「久々に会ったのにつれないわね、なっちゃん。アタシ泣いちゃうわよ。」
流の前でわざとらしくクネクネしてくる鎌太刀を無表情で見つめる流。
「あんた露骨にアタシに会いたくないって顔をしてるけど、アタシだって半分仕事なのよ、本当ならこういう大型車は事前申請が必要なんだからね。」
「私もヴィシュヌさんがこの車で来るとは予想外でしたよ、ウマ娘はたくさん食べるのは認識していましたが。」
「そういう話なら今回は大目に見てあげるけど次は無いわよ。」
「そりゃどうも。」
「で…なんでアンタは、微妙にカフェの後ろに回りこもうとしてんのよ。」
「そりゃあ、あんたが怖いからですよ体格差もそうですが腕力じゃ勝てませんからね、それだったら腕力でヒトに勝るウマ娘に盾になってもらって・・・いや間に入ってもらったほうが」
最低とかカッコ悪いと周りのウマ娘たちのブーイングを気にせず平然とカフェの後ろに隠れようとする流をみて鎌太刀は呆れ顔で
「言ってることは分からなくもないけど、そこで堂々と女の子を盾にしようとするのは如何なもんとは思うけどね。」
「ですが・・・流さんがここまで警戒してるのは、鎌太刀さんが何かをしたんじゃないですか?」
「昔なっちゃんが出稽古にきたときに立ち技のみでスパーリングしてたんだけど、アタシの攻撃全然当たらないのよ、それでつい低空タックルから仕掛けて柔術とレスリング使って抑え込み決めちゃったのよね。それになっちゃんってルックスが滅茶苦茶可愛いから離したくなくって、30分ぐらい抑え込んじゃったのよね、それから心が折れたのかアタシに近づいてくれないのよ。」
「あーそれ、カマちゃんが悪いわ。」
「ルール違反した上に、ずっと抑え込むのは無くね?」
「流石にそれは・・・管理人さんに同情するかな。」
「珍しく・・・流さんが・・被害者なんですね。」
「被害者というか・・・120キロを超えた相手が水袋のように重心をコントロールしながら延々と抑え込んできたら心が折れる。」
「同情!カマちゃんそれは良くないだろう。」
今度は鎌太刀にブーイングの矛先が向かったが鎌太刀は逆ギレ気味に答えた。
「何よ!滅多に見ないレベルの当時10代後半の超絶イケメン相手にちょっと前後不覚になっちゃっただけじゃない!やよいちゃんも取ってつけたようなコメントしてんじゃないわよ!」
変わらずマンハッタンカフェの後ろに隠れながら流は
「どうやっても抑え込みから抜けられないですからね、打撃だけならどうにか出来ますけど。」
「あのさ、話だけきいてるとジムカンってあんま強くなさそうなんだけど。」
トーセンジョーダンの意見を流はまあそうだよなと思いつつスルーしていると鎌太刀が答える
「なっちゃんはキックボクサーであって総合格闘家じゃないから仕方ないわよ、でもなっちゃんを抑え込むのは学園で一番パワーが有るって噂のドンちゃんでも無いかぎり難しいわよ。」
「何で?ウマ娘のほうが単純にパワーあるんだから抑え込むのは簡単じゃね?」
「単純に身長と体重が足りないのよ、なっちゃんはね、あの体格でヒトのなかでは筋力と瞬発力に優れてるから、抑え込まれる前に重心が分からなくても強引に持ち上げて逃げられるわ、アタシは身長と体重に加えて、テイオークラスの柔軟性があるから逃さなかったのよ」
流はそれは無いと言わんばかりに手を振りながら
「いや、無理ですよ、カフェでも結構重かったですから非力な私にはとてもとても、私はプロではありますが、そんなに強い選手じゃないです」
肝臓に右肘が数回突き刺さったが流は顔に出さなかった。
「その発言は人としてどうかと思うけど、別に謙遜しなくてもいいじゃない、アンタ、プロアマ合わせて150戦以上やってるしその上で【あの一族】出身の選手にも勝って階級変更させてるんだから。」
流が滅茶苦茶な数の試合をこなしていてなおかつ日本を代表し現在進行系でレースを含めあらゆる分野で結果を残すアスリート一族の出身の選手に勝ったという事実に驚く一同に対し流は不満そうに答えた。
「勝ったと言ってもお互いダウン取ってのギリギリの判定勝ちですし、彼は俺と戦うためにライト級に留まってくれていて本調子でもないかったし、結果がどうであろうと階級を上げる予定でしたし、この顔の傷の大半は彼に斬られたもので正直勝った気がしませんし、何より俺の数少ない同期でもある友人が俺に負けたことでライト級から逃げたみたいに言われるのは正直気分が良くない。」
「あらそうだったの、それは申し訳なかったわね。お詫びにさっき高槻から試合前に警備部の組手に参加したいって聞いたけど、アタシ直属の精鋭を用意してあげるわ。」
その言葉に流の顔が一瞬明るくなる、そこで理事長が
「質問!蒼真君、君は試合が決まったのか?」
「まだオファーが来ただけですが、後で理事長に出ても良いですかと確認しようと思っていた所です。」
「許可!君が万全な状態で試合ができるように学園もできる限りサポートしよう。」
「契約で副業に関しては特に明記されていませんでしたが、まさかその場で許可されるとは。」
「トレセン学園は教育機関でアスリートの養成機関でもある。だからこそ職員であろうと、現役のアスリートが万全の体制で競技に挑めるように出来る限りのサポートを行うのが学園の方針である。」
「後は、現役選手の支援はもちろんの事、引退後のセカンドキャリアとして経験豊富なアスリート達を教官もしくは職員として積極的に採用したいという学園の考えですね。」
いつの間にか現れた、たづなさんが補足した。
基本的に野球やサッカーを除くスポーツは殆どトゥインクルシリーズの影に隠れてしまっている影響で何気レース界とヒトのスポーツ界には大きな隔たりがある、流自身、中学の時同級生からいくら強くてもウマ娘に勝てないのに何目指してんのとか、言われたこともあった。
現に一部の競技関係者にはURAやウマ娘に対し反感を持っているものも少なからずいるわけで、そういったこともありURAとトレセン学園はスポーツ界との軋轢を避ける一環としてアスリートの就職支援を計画していた所、偶々、別の理由で理事長が採用した流がトーセンジョーダンの件で結果を出したこともあり、学園も採用に積極的になっていた。
「なるほど・・・アスリートのセカンドキャリアですか、大人の事情も感じますが素晴らしいと思います、ただ・・・格闘技関係の連中の採用は特に慎重になったほうが良いですよ。私もそうですが基本的に碌でもないやつが多いですから。」
格闘技関係は、大半は不良の喧嘩の延長で育ちも悪い連中が多く、競技思考の流でさえ喧嘩沙汰が絶えず素行はよくなかった。
「そんなにご自分を卑下されなくても大丈夫ですよ、生徒のトレーニング指導に加え指導マニュアルの改善案やレポートを提出と精力的に仕事をされているじゃないですか、それはそれとしてこのキッチンカーの件とジムの給湯室の件ででお話がありますので、後で理事長室の方へお越しください。」
「あ・・・はい。」
ぶっちゃけとばっちりなんだよなあと思いながら流はたづなさんを見送ろうとしたら、ヴィシュヌがキッチンカーから唐突にでてきて
「たづなサン、たづなさんこれ食べてチキンパニール(インド風チーズ入)カレーとチャイお夜食にでもたべて。」
プラカップに入った飲み物と使い捨ての保温容器入りの弁当をたづなさんに勢いで渡してから、メニューをもってこっちにやってきた
「そろソろ飲ミ物とか注文とりまスけどなんにしますか。」
「ヴィシュヌさんと言ったね、此方のカレーはナンでも合うのかな?」
「モチろんナンでも合います飲み物はマンゴーラッシーおすすメデス。」
「ラッシーとは何かな?」
「ネパールやインドで飲まレてるヨーグルトドリンクでス、カレーによくあいます。」
いつの間にかテーブルにつきメニューを受け取っていた、シンボリルドルフがダジャレを交えてヴィシュヌに質問していた。
「流石ねルナちゃん、即興のダジャレでフランクにコミュニケーションを取りに行ける所アタシも見習うべきね。」
「鎌太刀さんの底抜けに明るいコミュニケーションのとり方に比べると私はまだまだ浅学菲才の若輩者です。」
「もう、ルナちゃんはそうやってすぐ謙遜しちゃうんだから、アタシの前ではもう少し年相応に振る舞っても良いのよ。まだまだ子供なんだから、初めてのインドカレーでワクワクしてるのバレバレなんだからね。」
「敵いませんね、鎌太刀さんには。」
「これでも年長者だからね、心と体はまだまだ17歳のJKだけど。」
微笑を浮かべながら答えるシンボリルドルフに鎌太刀はユーモアを交えて返した。
「心は17歳のJKって実際はアラフォーのおっさんだろ…」
「流さん・・・それは鎌太刀先生に失礼です。」
「ソウマ、カマダチさんに、失礼なこと言うのだメです、バツとしてソウマのビリヤニにカシュナッツとレーズンちょっと入れます。」
「なんですって誰がオッサン!?失礼しちゃうわねぇ!カフェを盾にすれば何言っても良いと思ってんの!?なっちゃん!」
マンハッタンカフェの後ろでボソリと呟いた流の一言を鎌太刀は聞き漏らさなかった。
「聴覚は老化してませんでしたか。」
「言ったでしょ、17歳のJKだって。アンタほんとカフェを盾にしてるからって強気よね、カフェもなっちゃんに甘くしないほうが良いわよ、この子だめんずだから」
「でも・・・普段の流さんは優しくて良い所も多いんですよ。」
「そうだった、こういうタイプに弱いもんねあんた。」
微笑む鎌太刀に対し目を逸らした彼女を見て、鎌太刀は白衣のウマ娘を思い出していた、彼女と流は通じるところがあるが同性と異性ではけっこう違うのねとも思った。
「それは置いといて、なっちゃんは誰と試合するの?復帰戦でしょ?」
「6月のZENO90でニコラ・ベルナールってのと肘ありで。」
「ニコラって最近MJプローモーションと契約したフランスのスター選手じゃない、復帰戦でやるような相手じゃないけど、良く受けたわね。」
「事故でキックから干されて試合を諦めてた所に棚ぼたでオファーが来たら当然受けるでしょ?」
「干されたって…アンタちょっと動けるようになったら、すぐどっかの団体で試合するだろうから業界から前のZENOの代表が契約解除して干すのに近い形で無理やり休ませてただけよ。」
「なるほど、試合できるならどうでも良いですけど、MJプロモーションってのは?」
「気になるのはそっちなのね。MJプロモーションというのはね、ヒト、ウマ娘問わず優秀なアスリートのマネージメントを行うフランスの大手プロモーター会社の名前ねMJってのはそこの社長令嬢で看板選手の一人でもある、モンジューから取ったのよ。ちなみにうちの会社も選手のボディーガードで契約したことあるわ。」
「モンジューって・・・パリトレセン学園にいる今年の凱旋門賞の最有力候補・・・世界最強に最も近い・・・ウマ娘でしたね。」
「モンジュー…うーんまさかな。」
流はモンジューという名前に思う所があったらしく少し頭を捻っていた。
「あら、レースに興味のないアンタがウマ娘の名前に反応するなんて珍しいわね。」
「多分、私が中学の頃ですがバンコクのジムで練習してた時に会ったことがありますね。」
「また変わった所で会ってるのね。」
「え・・・フランスじゃなくて・・・タイでですか?」
鎌太刀は事情を理解しているようだが、事情がわからないマンハッタンカフェが口をまったをかけるように話に入る
「フランスってムエタイが凄く人気で選手の交流が盛んなのよ、選手の契約のために父親の仕事で一緒にタイに来てたのでしょうね、なっちゃんはジムであったの?」
「いえ、ジムの近くで練習終えて表通りをで散歩ついでに昼食の屋台探しをしてたときに上等な格好をした茶色っぽい髪の白人の子供が一人で治安の悪い裏通りに入ろうとしてたから、慌てて声をかけたんですよ奥から視線を感じましたからね。」
「それはナイス判断ね、あんたの練習先バンコクにあるから比較的治安がいいけど、裏通りは危険だし銃社会だからね。」
「慌てて通せんぼしてタイ語、英語、イタリア語、ドイツ語で話しかけても通じなくてフランス語で話しかけたら通じたので。」
「英語はともかくタイ語とイタリアは何となくわかるけど、ドイツ語とフランス語も話せるのね。」
「タイ語は私の最初の先生がタイ人だったので話しながら覚えました、他のはコーヒー文化のある国だから、キックボクシングを続けたければ、バリスタとして話せるようになれと、父から教えられたので最低限の会話レベルなら何とか。」
「タイも含めてどこの国もコーヒー大国よね、でその娘の事どうしたのよ?」
「私が自己紹介したらモンジューと名乗って折角海外に来たのに両親が仕事ばかりで遊んでくれないから、抜け出して探険していたと、それで言葉を話せるなら街を案内しろと色々廻ることに。」
「それまた、一歩間違えたら誘拐扱いじゃない。」
「そりゃそうですが当時の私は中学生ですから、そこは頭に入っていませんよ。」
「子供の感覚って難しいのよね、どこ連れてったの?」
「観光名所なんてわからなかったので、大きなショッピングモールと屋台と日曜市場とかそこでアクセサリーやマンゴーとかマンゴスチンとか買ってやったり、飯に食堂街を回りながら、大盛りパッタイ、大盛りガパオライスと時間内に食べたら無料の3キロカオマンガイとかを平らげるウマ娘の食欲には本当にビビりましたね。」
「アンタそれ全部奢ったの?」
「今も昔も物価はそこまで高くありません、カオマンガイは時間内で無料でしたから日本円で約7000円は当時の私の小遣いには痛かったですけど。」
「相当食べたのね彼女。」
「いつも、食べているようなフレンチと違って、大衆料理が新鮮だったようで。」
「でも、彼女親御さん心配したでしょうね。」
「ええ、彼女のSP達と戦うはめになりましたから。」
「なんでよ?」
「彼女から知らない奴よ、助けてって言われたので、守るにしろ逃がすにしろ、戦うしかないと判断したからです、黒服でこいつらヤバいなと。」
「大柄な男たちでしょ?どうやって戦ったか気になるわね。」
「姿勢を低くして相手の股下に突っ込んで下半身に肘打ちや鉄槌の横打ちを叩き込んで膝付近を痛打して逃げる時間を稼ぐことに専念したんです。」
「なるほどKFM(スペイン式護身術)みたいなもんね、あれも似たような事をするからね。」
「結局、ダメージを与えることができましたが多勢に無勢でした。私が子供だったのと意図を理解していたのか相手は打撃技を使わずこちらにダメージを与えないように数人から抑え込まれて制圧されました。」
「そりゃそうよね、誤解があるといえ他者を守ろうとしている子供に怪我させるような真似はプロとしてやりたくないもの。」
「終わった後にSPさんからナイスガッツだ坊主みたいなこと言われてから、彼女からは謝られて、その後、彼女のご両親からも滅茶苦茶謝られて現金も渡されそうになったんですが、断りましたけどね。」
「それは食べた分ぐらいはもらってよかったと思うわ。」
「その代わりキック選手と自己紹介したら、ラジャダムナンスタジアムでジュニアの試合で組んで貰えて、強い相手と戦えて勝ててよかったってぐらいです。その時のプロモート会社の名前はよく覚えていませんがMJプロモーションって名前じゃなかったはずです。」
「あそこがMJプロモーションって名前になったのはモンジューがパリトレセン学園に入学してからだから最近よ旧名はサドラープロモーションよ、アンタさらっと言ったけどラジャで勝ってるのね。」
「ああ、サドラーでしたか、思い出しました。名刺もらったような、それで高校ぐらいまで夏休み毎にタイのいろんなスタジアムで試合を組んでもらいましたね、グダグダになりましたがまあそんなところです。」
鎌太刀と流がマンハッタンカフェを挟んだ会話を終えたところ、彼女が流の方を向いた
「流さんは・・・守るために戦ったと言っていましたがそういう状況になったら・・・私も守ってくれますか?」
「嫌だよ。人より本格化したウマ娘のほうが圧倒的に強いじゃねえか。」
真顔で返す流にマンハッタンカフェの顔が【눈_눈…】という感じに固まった。
「冗談は置いといてだ、そりゃあ普通に戦うよ、さっきからカフェの後ろに隠れてる状況で言うことではないけど。」
マンハッタンカフェの表情が和らいだ時、そこへヴィシュヌが大声で
「出来ましタよーみなさんお持ちしマすねー、あ、ソウマはいつも通りチキンとマトンのビリヤニね!」
テーブルに山盛りのご飯の乗った大皿の上に数種類の色とりどりのカレーの入った皿が置かれていた。
「ナンは焼き上がるまでまてください、皆さん食べてくださいどぞ。」
ヴィシュヌの合図で流の奢りで行うカレーパーティーが始まった。
『思ったより辛くないし、スッキリした味』『ご飯もパラッとしてカレーに合うね。』『ニンジンのお菓子もあるんだ。』『ナンも結構種類あるんだ。』『この餃子みたいなやつめっちゃ美味くね?』
カレーの評判は上場だった。
そんな中、理事長はヴィシュヌと会話していた。
「美味!カレー意外にも豊富な料理があるのだな。」
「ソウでス、沢山ありまス、窯焼きもオススメです。」
「では、タンドリーエビを頂きたい、ところで店の経営は上場かね。」
「お客さんの数は少なめで、渡ってきたぶたい・・・いえ私の家族とスタッフの家族達たべさせるの、まだまだきついです。」
「そうか・・・提案!ヴィシュヌ君、君たちの都合があえばだが、店の宣伝も兼ねて来週末のファン感謝祭で出店してもらえないだろうか?」
「いいですよ、お店のせんでんなリますしみんな沢山食べてほしいです、ちっちゃい車3台用意します。」
なんか理事長ヴィシュヌを気に入ったらしく、独断で色々決めているが、良かったなあと流は思った。
パーティの後ヴィシュヌから改めて流に渡された請求書は50万円を超えていたという。
流の長い一日は終わった。
オネエは強くかっこよく書きたいですが、私の拙い文章力だと難しいです。