ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。   作:なっぞのひと

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GWなんてなかった。


36.言い出しておいていざOKされると悩むのは良くある

「お兄さん、どうしてそんなぶっ飛んだ発想に行ったんだい?」

 

流の起こしたカオスな状況に対して、ワンダーアキュートだけは冷静だった。

 

「カワカミプリンセスさんが嫁入り前云々と仰られていたので。」

 

「なんで、私がひと押しがあったからみたいにされてますの!?」

 

冷静に答える流に思わず突っ込むカワカミプリンセス

 

「レースの事は置いといて、カフェのバリスタとしての才能は将来的に世界レベルに到達しますからね、卒業後の進路として大手のコーヒーチェーンや飲料メーカーからスカウト合戦も激しくなるでしょうから、個人的には内の実家の会社に就職をしてほしいと思っているのですが、他の会社もめちゃくちゃいい条件ぶち込んでくるでしょうからね、どうしたもんかと考えていたら、カワカミプリンセスさんの意見を聞いてその手があったかと思ったのでつい」

 

「それにしたって理論がぶっ飛びすぎですわ・・・」

 

「衣食住の生活に関しては生涯保証する分どの会社よりも福利厚生として勝っていると思うんですけどね。」

 

「福利厚生と婚姻を一緒にしてしまうのは、良くないと思います。一族も血統は大事にしていますが、ちゃんと愛があります。自己の利益のために愛のない婚姻は良くないと思います。」

 

ドゥラメンテの意見に流はムッとしたように

 

「失礼な、カフェのことは好きですよ。じゃなきゃ言いませんよ。」

 

 相変わらずの仏頂面でサラッと答える流。

 

「なら問題はないと思います。」

 

「ありませんの!?」

 

 

 当のマンハッタンカフェは、いつもの流独特のブラックジョークだと本気にせずに流そうとしていたと所に本当に好きだと言われたの動揺で言葉がでてこない。

 

 その様子を見ている【お友だち】はおもしれーけど、ひっでえなと思った。

 

 【お友だち】から見て流は事は表面上は穏やかで話も通じるし他人に配慮もしているが、本質は直情的で本能に忠実に動くタイプだと【お友だち】は認識した。

 

【お友だち】から見ればまだ人の範囲内ではあるが、倫理観はともかく価値観が現代人の物とはずれていてヒトよりも【お友だち】の方が近い感じがした。

 

「なんか収拾がつきそうにないな。」

 

『お前のせいだよ。』

 

「え?」

 

 困った空気を出しながら流が【お友だち】に声を掛けるが、基本的にマンハッタンカフェ以外に見えない存在なので、一人で変な方向に向かって喋っているようにしか見えないのだが、流が自然に話しているので、確かにそこに居るのがわかる。

 

『んでよ、好きってのは本気なのか?』

 

「そりゃ当然。」

 

『だったら、唐突に言うのはやめてやれよ。』

 

「言うべきことは即言うのは大事だろ。」

 

『まだ子供だろ、カフェは。それにな、お前は、カフェの選択の自由や未来を取り上げようとしてんだよ、お前にその権利はあんのか?』

 

流は少し考えて

 

「確かにそう考えると思慮が浅かったな。じゃあやめとくか。すまない、カフェ忘れてくれ、カワカミプリンセスさんとドゥラメンテさんジュースのおかわりは?」

 

 それだけ言うと流が何事もなかったようにグレープフルーツを切り始めたのを見て【お友だち】は思わず突っ込んだ。

 

『お前それで良いのかよ!?』

 

「君は反対してるだろ?」

 

『反対はしてねえよ、ただもう少し段階を踏めって言ってんだよ。』

 

「段階?」

 

『どっか誘うとかいろいろあるだろ。』

 

「タイに誘ったじゃないか。」

 

『そうじゃねえよ暇なときにいつでも行ける近場でいいんだよ。』

 

「試合が近いから、その余裕はないな。」

 

【お友だち】はこいつ本当に感性が人としてズレてんなあと思った。

 

『おすすめの喫茶店ぐらいはあるだろ商店街にもさ。』

 

「商店街には老舗でネルドリップやってる所で豆の仕入れから選別、焙煎、抽出とケーキもすべてが最高ランクの所が1軒ある。」

 

『そこでも連れてってやりゃあ良いじゃん。』

 

「やだね、俺より腕の良い相手の所に連れて行く気はない。」

 

『お前より腕のいいやつならカフェの勉強になるんだから、連れてってやれよ。』

 

「あーうん、たしかにそうだな、今度案内しよう。」

 

流は【お友だち】との会話を切り上げてマンハッタンカフェに声を掛ける。

 

「カフェ、さっき【お友だち】と話してたネルドリップの店一緒に行くか?」

 

 マンハッタンカフェは怒ってるのか呆れているのかわからない表情で

 

「流さん・・・今それ聞きます?さっきのことも・・・いきなり忘れろって。」

 

「そりゃあ【お友だち】に止められたしな、配慮が足りなかったのは事実だからな、だから忘れろ。」

 

「それは、あまりにも自分勝手というか・・・マイペースすぎませんか?」

 

「そうか?だいぶ考えて配慮したんだが・・・だめか?」

 

「駄目です、全然配慮できていません・・・返事とか聞かなくて良いんですか?」

 

「あー別に、というか今それを聞くか?」

 

「それを今言って来たのは・・・流さんじゃないですか。」

 

 

また混沌とした状況になってきたところでワンダーアキュートが何かを察したように

 

「さあて、みんなちょっと席を外そうかね。」

 

 皆に退出を促すワンダーアキュートに合わせて、空気を察して皆が離れようとしたとき、流がドゥラメンテとカワカミプリンセスを呼び止めた。

 

「清掃は明日の朝からお願いします後、お渡ししておきたいものがありますので、少々お待ちを」

 

練乳とガムシロップを溶かした牛乳を保温容器に注ぎ、電動グラインダーで豆を挽いてからポルタフィルターに入れてタンピングしレバー式のエスプレッソマシンにセットし、熱湯を入れて抽出するとすぐに牛乳と混ぜあわせた。

 

 それを二人分作ると幾つかの菓子と一緒に、カワカミプリンセスとドゥラメンテに手渡した。

 

「ホットですがタイ風エスプレッソとスフォリアテッラとボネというイタリアのお菓子です、明日からお願いいたします」

 

どこからかわからないが受け取ったら帰れと言わんばかりの視線を向けられているのがわかった二人は戸惑いながら、流に礼を言うと戻っていった。

 

「返事ねえ・・・もうぶっちゃけどうでもいいんだが。」

 

「ついさっきとんでもない事言ったばかりじゃないですか。」

 

「忘れろって言ったんだから終わりでいいだろ。」

 

勝手に終わらせて食器を片付けようと流の肩を後ろから掴んで引き寄せて崩しにかかるマンハッタンカフェ。

 

「勝手に終わらせないでください。」

 

「どう続けろっていうんだよ。」

 

流は不満そうに答える

 

「まずは・・・普通にお話しましょう、流さんを嫌いだったら・・・ここで珈琲を淹れるのを手伝っていませんし、いきなりこんな事言われたら・・・普通はハイとか言えませんよ。」

 

「・・・?じゃあ、どうしろと?」

 

「もう少し・・・ハードルを下げていただければ。」

 

流はしばし考えていると、【お友だち】が眼の前に現れた感覚があった。

 

『お前場所変えろよ、周りが聞き耳立ててんだろ。』

 

「【お友だち】も言ってるし、給湯室いくか、あそこ扉あるし。」

 

 流の後にマンハッタンカフェも給湯室に入ってきて、そのまま鍵をかけられた。

 

「何で鍵掛けんだよ?」

 

「逃げられそうなので…つい。」

 

 流としては逃げねえよと言いたかったところだが、ドアの前に立つマンハッタンカフェの目が下手な行動を取ったら消すという気を放っているように見えた。

 

「ハードルをさげるねえ・・・んじゃ俺と付き合うか?」

 

「はい・・・よろしくお願いします。」

 

すんなりだなと流は思った。

 

「自分で言っといて何だけだどさ、いいのか?」

 

「別に今と状況がそこまで変わるわけでもありませんし・・・大げさに考えなくても。」

 

「そうか、意外に図太いんだな。」

 

「お互い様です。」

 

さて、どう責任を取ろうかと状況としては喜ばしいはずなのに物凄く胃が痛くなる流だった。

 

 

ちなみに、トランセンドとそのトレーナーは状況ガン無視でゆっくりと珈琲を楽しんでいた。

 

「トレちゃんこれ、これ美味しいね~。」

 




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