ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。   作:なっぞのひと

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久々ですが投稿です。


46.道具はいいものを買えとは思うけど、趣味のためとはいえあまりにも高いと無駄遣いとも取られかねないよね。

 カフェテリアから適当に逃げたあと、生徒たちの課業中、コーヒーの焙煎機をガンガンフル可動させつつ、流はざく切りにした空芯菜を水に晒していた。

 

 イベントで自分が使うものと、マンハッタンカフェがファン感謝祭で使うものと、数種類の豆を数台の焙煎機で同時に焼き上げていた。

 

 基本的に焙煎機を同時使用するのは1、2台だが、流は系統の違う焙煎機4台同時に扱いながら焙煎を行っていた。

 

 何故こういった事ができるのかと言うと、流は各焙煎機の能力を把握しつつ、豆に関しても特性や適切な焙煎度を把握しているのでどのタイミングでどの豆の焙煎が終わるかをすべて当てられる。後は焙煎機が小さいので、大量にはできないから小分けで複数やる必要があるのでこのような芸当を行う必要が出てくる。

 

 そのうえで流は予め生豆をブレンドしてから焙煎するプレミックスよりも、焙煎してから豆をブレンドするアフターミックスの方が好みだったりする。

 

 ブレンドする豆の種類だけでなく、浅煎りや深煎りいと豆の個性を活かす焙煎をしてからブレンドすることで、完璧なブレンドを作り出せるという考えからだ。

 

プレミックスは大量に焙煎するときはむいているが、均等に焙煎されるため、浅煎り向きや深煎り向きなど豆の傾向が限定される。

 

 流はエスプレッソが専門だからこそ、プレミックスよりも細かい調整が効き自分の色を出しやすいアフターミックスを主体にしている。

 

 無論プレミックスでも理想のブレンドを作りだせる焙煎士も多く、流自身は彼らを尊敬している。

 

 焙煎の終わった豆を順に冷却器に突っ込み空冷して瓶に詰めていく。

 

 一連の作業を終えると流はフライパンに油をしいて、熱すると、ナンプラーをベースにニンニクとタオチオ(タイ風味噌)を和えたの秘伝のタレと水で溶いた片栗粉を混ぜた特製のタレを準備した。

 

 熱したフライパンに空芯菜をぶち込んて、一分ほど炒めると、一度火を止めてタレをかけて空芯菜とタレを軽く絡めて再び20秒ほど火にかけると、特製空芯菜炒めの完成だ。

 

素早く皿に盛り付けて、パック入りの玄米といっしょに食べる。

 

 焙煎は暑いので汗が出やすくエネルギーを消費するので、塩分とエネルギー補給が目的だ。

 

 これに豚皮をカリカリに揚げたものを加えるとまた美味いのだが、今回は豚皮が手に入らなかったのですこし、すこしあっさりしたものに仕上っている。

 

 

ナンプラーの独特の香りが鼻腔をくすぐり、食欲を誘う。

 

カウンターに置いて、空芯菜のシャキシャキ感を味わいながら玄米を食べていると、ベルが鳴る。

 

入ってきたのは、ファインモーションのSPチームの隊長だった。

 

「失礼、お食事中でしたか。」

 

普段はサングラスにスーツだが、今は非番なのかワイシャツにチノパンでサングラスは取っていた。

 

ナンプラーの独特な匂いに面食らっているのか複雑そうな顔をしている。

 

「いえ、すぐに済ませます。」

 

 軽く返すと流は一気にご飯をかきこむ、ナンプラーの事については、どう会話に持っていっても当てつけになりそうなのでスルーする、欧米人は嗅ぎ慣れていない匂いなので仕方ないと考えていると。

 

 

「今食べられていた料理は?」

 

 

逆にSP隊長に質問された

 

 

パクブン・ファイデーン(空芯菜のタイ風炒め)ってやつです、私はご飯と一緒に食べるのが好きなのですが、私の周りはこれと一緒にビールを飲みたがる人たちばっかりですね。」

 

 

「なるほど、最初この独特の発酵臭に驚きましたが、何故かビールが恋しくなってしまい、顔に出さないようにするので精一杯でした。非番とはいえ昼間からビールを煽るのは殿下のSPとして失格ですから。」

 

「ここは学校の施設ですから、流石にビールはお出しできませんね、コーヒーかソフトドリンクならお出しできますが」

 

「では、深煎りのものは大体頂いたので・・・」

 

SP隊長はメニューを見ながら深煎りの珈琲豆を選んでいく。

 

「それにしてもここは、専門店でも見たことのない銘柄が多いですね。」

 

「私の実家が、珈琲関係の輸入商社ですからね、それでよく変わった豆が送られてくるんです、家の焙煎士として腕を落とすなと言わんばかりに。」

 

「でも楽しそうに話されていますよね。」

 

「良い豆を自分の好きに焙煎できるのは楽しいですからね。」

 

「では、希少豆のガヨマウンテンをお願いします。」

 

「かしこまりました。」

 

カウンターの下にある冷凍庫から豆の小瓶を取り出し、中挽きに調整した電動のミルに突っ込むと、一気に挽く。

 

「生徒さんはコーヒーは飲まれるんですか?」

 

「飲む生徒さんも居るにはいますが、ブラックを好む生徒は数えるほどしか居ませんし、ウマバで出されるようなシアトル系を皆様好みますね。飲み慣れていないとブラックコーヒーは苦いか酸っぱいのどちらかですから。」

 

スタンドにドリッパーをセットし、ペーパーフィルターを吟味する、流がチョイスしたのはネルに近い感覚で抽出できるコットンフィルターだった。

 

「確かに、私も夜間での任務中の眠気覚ましでよく飲んでいましたからね、その時に支給されていたインスタントコーヒーがとても不味くて飲めたものではなかったので、夜間の任務で美味しく飲める物が欲しくて、豆を選んだり入れ方を調べるようにはなりましたが、中々プロの方のように淹れるのは難しいですね。」

 

「美味しいコーヒーを入れるコツは、時間と淹れる量を正確に計る事と私の中で一番重要としていることはとにかくミルを高級なものにすることですね。」

 

「何故ミルが重要なのでしょうか?」

 

「要はコーヒーの粉の粗さが安定している否かで味が変わるんです、良いグラインダーだと安定して狙った大きさ粒の粉がたくさん出るイコール微粉が少なく、雑味が出にくくクリアな味になります。逆にイマイチなミルだと狙った粒より大きかったり小さかったりと、安定しないので雑味が出やすくなります、微粉も雑味も味の一つですから悪いものではないのですが。」

 

 電気ケトルに湯を入れて素早く加熱していく、温度指定をしてもいいのだが急ぐ場合は100℃に設定してから、目標の温度になったら保温に切り替えればいいのだ。

 

「オススメのミルは、なにかありますか?」

 

「私が推奨するもので手引きのミルなら値段を考えなければコマンダンテ一択ですね、どこのメーカーも良いものを出していますが、性能というかコーヒーを淹れることに関してコマンダンテを超えるハンドミルは見たことがないですね。」

 

 

流は写真とカタログを見せるとSP隊長は思案顔で。

 

「これは・・・7万前後としてハンドミルはかなり高額ですね、趣味で買うにはちょっと。」

 

ちなみに流が過去にマンハッタンカフェにプレゼントしたものは、アウトドア仕様に再設計された新型モデルで4万前後だったりするし、今流が使っている業務用の電動のミルも60万ほどする。

 

「ならば経費で落としましょう、私の実家から買っていただけるなら多少値引きできますので、それかファインモーション殿下に頼みましょう、アイルランドマネーで5,6個大人買いしましょう」

 

「経費も良くありませんが・・・殿下に頼むのは流石に気が引けますよ。」

 

「そうですか、じゃあ議長に買ってもらいましょうか。」

 

「なんでそうなるんですか、殿下に頼むよりもハードルが高いですよ。」

 

流は粉をドリッパーに移し軽く整えて平らにしながら、サーバーを乗せたスケールをセットする

 

「大丈夫だと思いますよ、私の父と議長は友人というかコーヒー仲間と聞いていますから。」

 




いつも読んでいただきありがとうございます。
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