ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。   作:なっぞのひと

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どうしてこうなったんだろう


50.なんでこうなった(ちゃんと話さなきゃわからないが、こういうやつだと思わなかった。後)

「彼女の担当トレーナーは貴方でしたか、古い知人ですし、わざわざ担当の事でご足労頂いたことに、配慮はするべきでしょうが、お断りします。」

 

蒼真の返答はにべもなかったので葛城は、理由を聞くと

 

「事故的にぶっ壊してしまったのなら、まあいいのですが、壊れるのが当然とか、謝罪もなく自分の力に耐えられないのが悪いみたいな事を機材テスターみたいな事を言われたら私もそれなりの対応するしかありませんので。」

 

あ、完璧にやらかしてるなと葛城は思った。

 

「純粋に強者でしょう?彼女は、それも総て力でねじ伏せる類の、力でどうにもならない相手もいると知ってもらったまでです、教育機関で彼女の帝王学は周りに悪影響だ。」

 

 蒼真の言っていることは理解できるが、担当を悪く言われるのにはカチンと来る。それでも大人の対応しなければならないと全身に力を込めてから一気に弛緩させることで抑え込む。

 

 「それに貴方自身からも、謝罪も何もなくいきなり担当の出禁を解けと言われても解くわけないじゃないですか、担当と一緒に出直してきてください。」

 

 拒絶に近い返答で葛城を追い出そうとするの蒼真を見て葛城の先輩トレーナーの佐久間はこのまま行くと揉めるんじゃないかと思い、助け舟を出すことにした。

 

「蒼真くん、コーヒーいいかな?ドリップで」

 

 葛城はこのタイミングで何いってんだ?この人はという顔で、蒼真は葛城から興味を失ったように、佐久間の方を向いた。

 

「深煎りなら、カロシかガヨマウンテン、マンデリンのG1にインドネシア産と浅煎りはトパジオ、イルガチェフェ、コロンビアとアフリカや中南米がメインですね。」

 

 蒼真は佐久間の意図に気づいていた、あえて空気を読まない発言をする事で葛城と自分のトラブルを未然に防いだのだと

 

「色々あるんだね、シチーは何飲んだの?」

 

「この前来たときは、トパジオのブラックです」

 

「じゃあ、それを3人分、谷口と葛城もそれでいいよね?」

 

穏やかな口調の中に圧を感じたのか2人は頷いた。

 

 

「かしこまりました、ただカフェが豆と道具を保管してる給湯室にトウカイテイオーさんを連れ込んで鍵を閉めてしまい、回収に時間が多少かかると思いますがよろしいでしょうか?」

 

「いいよ、これはどっちかというと蒼真君が原因だからね、早くどうにかしたほうがいいよ。」

 

「まあ、そうですよね。ちょっと行ってきます」

 

 蒼真がカウンターを離れ給湯室の鍵を開けた直後、怯えた顔のトウカイテイオーが出てきたが蒼真は気にせずスルーして、中に入っていった。

 

 蒼真が給湯室に入ったのを見て、葛城は蒼真の使っているレバーレスコントローラーがどんなものか確認してみると、薄型のA4サイズのタブレットサイズだが高価格高機能で掌底の位置にもボタンが設置されており、要は手首でボタンが押せるようにカスタマイズされていた。

 

 レバーのないボタン式のアーケードコントローラーつまりレバーレスコントローラーの利点は、レバーをガチャガチャする必要がないため、最小限の入力で移動や防御が最速で行える上に理論上最速でコマンド入力ができるが、慣れが必要であり実戦投入するにはかなりの時間を要するタイプのアイテムということをみて、葛城が思ったのは、蒼真はこのゲームを相当にやり込んでいるということだ。

 

「テイオー、お前さんこのゲームやりはじめてどのくらいだ?」

 

虚ろな目で給湯室から出てきたトウカイテイオーは葛城の問に正気をとりもどしたのか

 

「あ、トーマえーとね丁度1ヶ月かな、今ランクはダイヤモンドかな。」

 

「すげえな一ヶ月でダイヤモンドかよ。」

 

「ボクはゲームでもサイキョーだからね。」

 

「それでも、蒼真に負けたと。」

 

「ソレハイワナイデヨー!」

 

「原因はコントローラーというよりは、単純に経験の差だな。」

 

「経験かーならジムかんに勝つにはどうすればいいの?」

 

「兎に角対戦で色々経験を積むのが大事なのはもちろんだが、トレーニングモードで基本をやりこんだうえで、後は攻略サイトや他者の対戦動画を観て立ち回りを研究することだな。」

 

「うえ〜やること多いな。」

 

「突き詰めるって点では囲碁や将棋の様な対戦型ゲームと変わらないからな、テイオーは大会に出るのか?」

 

「ボクは大会にはエントリーしてないけど、メーカーとゲーセンのアンバサダーでエキシビションでプロゲーマーのどっとさんと対戦するんだ。」

 

「メーカー主催でどっとが来るって事は公式ルールだから上優先禁止だな。」

 

「あー!公式ルールって事はやっぱり上優先禁止じゃん!騙したなあのヒキョウモノー!」

 

「落ち着け。先に公式かどうか確認しなかったテイオーの負けだ、それに上優先なしでも勝てねえだろうな、地力が違いすぎる。」

 

「じゃあ、そういうトーマは、ジムかんに勝てるの?」

 

 

「ゲーセンであのレベルのとは何度もやり合ってるよ。」

 

ご立腹のトウカイテイオーに対し葛城は余裕そうに答えた。

 

「じゃあ、トーマがジムかんボッコボコにしてよ。」

 

「構わねえが、いいの?か自分の手で勝たなくて。」

 

「もちろん、ボクの手で勝ちたいけど今は無理だから、トーマの戦い方を見て勉強するから。」

 

「なら、蒼真が出てきたら勝負してみるか、ジェンティルの出禁解除をかけて。」

 

「うーん、その条件でも受けてくれるとは思うけど、二人でちゃんと謝れば解除してくれると思うよ、ジムかんは話せばわかるから。」

 

「そこはわかるけど、理由付けは欲しいだろ。」

 

その少しあと、給湯室の扉が開き見るからに上機嫌なマンハッタンカフェとアタッシュケースを抱えた、明らかに元気のない蒼真が現れた。

 

何してんだこいつと思いながら、蒼真を見ていると佐久間が声をかけた。

 

「随分へこんでいるけど蒼真くんどうしたの?」

 

「ちょっと通販でカフェに寮で使う手引きミルを買ってやって、好きな豆買っていいと言ったら、好き放題買ってくれちゃって財布がスッカラカンになっただけです。」

 

「いくら使ったの?」

 

「ミルが15万円に豆が50g1万円超えのを6種類ほどで30万円行くか行かないかですね。」

 

葛城は思わずバカじゃねえの?と口に出そうになったがそこは抑える。

 

「随分使ったね、凹んでる理由はお金じゃなさそうだけど。」

 

佐久間の指摘を聞いて蒼真は

 

「いや、金は別にいいんですけどね、カフェが豆買った店が腕は認めているんですけど、浅煎りの焙煎とそれを活かす抽出に関しては私より上だと言ったら爆買いしやがったんですよ。」

 

「土俵が違うから・・・気にしなくていいって・・・流さんが言ったんじゃないですか。」

 

「そりゃそうだけどよ、金はともかく上機嫌で爆買いすることはねーだろ。」

 

 小学生みたいな拗ね方すんなこいつと葛城は思った。それはそれとして、トウカイテイオーの事もあったので空気読めてないなと思いつつも、声をかけることにした。

 

「蒼真さん、ジェンティルの出禁解除を賭けて対戦してくれませんか。」

 

「良いですよ。」

 

「謝罪に来たんじゃなかったのかよ・・・」

 

葛城の謝罪に同行させられてきたはずの谷口はため息をついた。




格ゲー楽しいっすね、レバーレスコントローラー買おうか思案中です

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