ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。 作:なっぞのひと
勢いと時間の都合で短めです。
「・・・良いのですか?対戦ゲームの結果で処罰の解除を決めてしまっても。」
「まあ、良いんじゃねえの?元々謝りに来たならは出禁はなしにするつもりだったからな。でも謝られてないどころかゲームとは言え勝負挑まれるとは思わなかったけどな、本当に武道家って奴は碌でもねえな。」
流の発言に対し周りは言い過ぎだろと、ドン引きする中、葛城はこれは此方の怒りを煽って操作ミスを狙う盤外戦術だと認識し軽く流した。
流もそのつもりではあったが、実際に武道武術関係の連中は好きではなかった。
その手の連中には妙なプライドがあり、面倒くさい。
『実戦ならおれは格闘家より強い。』とか『格闘技で禁止されている危険な技を、我々の流派は学んでいる。』
『俺達武術家と格闘家はまるで違う。俺達の技は殺し合いの技だ』
内輪のノリだけで大して汗を掻く練習もせず、ろくに殴り合いもした事も無さそうな連中が、変なマウントを取って来たりするし、実際にやろうぜと言ったら、戦おうとせずに逃げるわと、兎に角面倒くさい印象しかない。
そういう意味では中高時代、流に対して喧嘩を売ってきた不良の方がまだマシだ。
更にウマッターやウマチューブでも達人気取りが理由のわからん技術披露とかやって格闘家にマウントをとるとか、あんまりいい気分がしない。
無論こういったのはごく一部だとわかっているし、眼の前の葛城が強いことは知っているし、そういうタイプでもないことはわかっているが、多少煽って揺さぶりは掛けておきたかった。
やりすぎてしまったときに備えてリアルファイトも想定しそれはそれで楽しそうだと思案していたら、臀部にペンチで抓まれたような強烈な痛みが走った。
「痛いぞカフェ。」
カフェの方を見ると抗議の目で見つめてきて、さらに指先に力を込めてきた。
「演技とは言え、流石に・・・人としてその言い草は・・・よくないと思います。」
「基本的に格闘技やってる奴らなんざ、俺含めて人として終わってんのばかりだから問題ねえだろ。」
流の発言に自身も金剛八重垣流から出奔した身である葛城は一理あるなと、思っていると直後に流の臀部からバカでかい破裂音が聞こえた。
「私が・・・いつ口答えして良いと言いましたか?」
マンハッタンカフェの有無を言わせぬ尻叩きに常にポーカーフェイスである、流の顔が歪む。
葛城から見て加減しているとはいえ、ウマ娘の腕力から放たれる平手打ちだ、痛いどころではないし下手をしたら尻の筋繊維がズタズタになるだろうと思った。
「流さんは・・・自分で自覚しているくらいの、社会不適合者ですから・・・私が更生させないと。」
「えーと、カフェってこんな感じだったっけ?」
若干困惑気味のトウカイテイオーに対して流が答える。
「カフェは基本的に人当たりもノリもいいですし、面倒みも良くて、感情豊かな普通の娘ですよ。」
褒められて悪い気がしないのか、マンハッタンカフェの表情が少しだけ柔らかくなった
「ただ一般人から見えないアレと会話している所を見られているから、カフェイン極め過ぎのやべえと奴と誤解されてるだけかと。」
先程よりは強くないが、またスパンという音が響いた。
「なんで落ちをつけるかなあ・・・ジムかん」
「性分ですので」
「あ、うん、そろそろはじめよ?」
「テイオー、パッド借りんぞ」
葛城はテイオーのコントローラーを受け取ると、格ゲーというよりはFPS向けの高級パッドだ。
青と白を基調としたテイオーカラーでアナログスティックも感度や抵抗の調節が可能かつ、壊れにくい、ホールスティックで軸も金属製で消耗し難いときている、ボタンもメカニカルスイッチでカチカチとした押し心地で反応も悪くないし、十字キーは格ゲーにも使えるタイプだ。
何より特筆すべきは、ジャイロセンサーで照準を合わせられる事とL2、R2トリガーの設定が多岐にわたり、その全ての機能がFPS向けにフルチューンされていた。
「良いけど、トーマ僕のパッドで良いの?」
「問題ない、モダンでやるからなアシストを使えば良い。」
操作性の面でいうなら、パッドの操作性はアケコンやレバーレスにも劣らない、ゲーセン勢以外は殆どPADだったりする、その上で必殺技やコンビネーションが出しやすいモダン操作と非常に相性が良い為、ユーザーも多いし何より軽い。
葛城はそのまま、筋骨隆々の大柄な女戦士マリーザを選んだ。
このキャラはリーチと攻撃力でガンガン攻めまくるのが特徴で読み合いがの必要性が比較的薄く、モダン操作のアシストとも相性がよく扱いやすいキャラだ。
「トーマ、割と脳筋なキャラ選んだね。」
「知らねえのか?テイオー、脳筋ってのは頭良くねえと脳筋になれねえんだよ、ジェンティル見てればわかんだろ。」
葛城の脳筋論を聞いてトウカイテイオーは少し腑に落ちない顔するが。
「うーん?そうだね?悪口みたいな気もするけど。」
流は手数と距離で戦うエドを選んでいた。
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ジェンティルドンナは、彼女のトレーナーである葛城を一人で行かせたのは失敗かもしれないと考えていた。
その理由として彼女から葛城は強い己のパートナーとして相応しいと思える程に、その強さ故に人としてのネジがぶっ飛んでいる。
それでも最低限の道徳や社会性を持ち合わせてはいるが。
ジェンティルドンナは力を持つものとしての作法や教育を幼少から叩き込まれているが、葛城にはそれがない、それに関しては葛城が自身の隣に立てるようにしっかり教育していけば良いことなのだから問題ない。
そういう意味で最近入れ替わりで入ってきた管理人の蒼真は強者だと直感で分かったが、その気性までは読み切れず、前の管理人と同じく職員にモニターとしての助言と言う感覚で話してしまったのが、聡明な彼女らしからぬミスだった。
洒落にならない勢いでマジギレされて即出禁にされてしまった。
先に謝っていれば意見も出来て、何も問題なく終わっていたのだが、後の祭りである。
ジェンティルドンナは状況を伝えてから、謝罪はきちんとするつもりだったので、運が悪かったとも言える。
大抵のものはジェンティルドンナの強者としての力に気圧されるからこそ、通っていたのだが、蒼真には全くと言っていい程に通用しなかった。
そこで彼女は蒼真は葛城と同等の強者だと認識した。
そう考えると葛城と蒼真が衝突し、暴力沙汰になってしまうのではないかと、不安と後悔が押し寄せてきた。
トレーナーに先に行ってもらうのではなく自身も一緒に行くべきだったと。
ジェンティルドンナは急いでジムへと向かいジムの前で彼女は信じられないと言うか、どう突っ込めばわからないものを見た。
ジムの前で葛城トレーナーと佐久間トレーナーと谷口トウカイテイオー、其の陰で何故かオグリキャップが妙な形の鍋料理を突いていた。
その鍋に管理人が肉と野菜をたくさんぶち込み、マンハッタンカフェがそれを非常に面倒くさそうな顔しながら手伝っていた。
「何故、この時期にこんな場所で鍋をやってますの?」
(続)
どうしてこんなふうにしたか私にもわからない。次回格ゲーの結果です。