ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。   作:なっぞのひと

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今回は昔連載されていた珈琲漫画バリスタの要素がすこしだけ入っています


55.叫ぶのは良いけど、周囲に誰か居ないか確認しよう。(前

 ファン感謝祭2日前、つまりカフェテリアイベントの前日

 

 エスプレッソマシンのセッティングを終えた流は、マンハッタンカフェ、ユキノビジンと軽く打ち合わせをし、グラインダーや抽出のテストを行っていると典型的なイタリアーナみたいにハイテンションなウマ娘がやってきて、マドレ(母親)がモカで淹れてくれた時の懐かしい香りがしたから、私にも1杯淹れてほしいと頼まれた。

 

 快く了承した流はすぐに準備にかかり、プロの手際でエスプレッソを抽出すると、ティースプーンに山盛りに乗せた砂糖を2杯分入れ彼女に手渡した。

 

 彼女は一気に飲み干すと大声で

 

「ファンタスティコ!こんな素晴らしいカッフェ(エスプレッソ)を飲んだのは久しぶりだ!こんなに芸術的(アルティスティコ)な手際の良さはイタリアのバリスタでも見たことがない!」

 

すっげえ喧しいなこいつと思いながらも自分褒められて悪い気はしないので流は珍しく微笑みながら一言。

 

ありがとう(グラッチェ)

 

と返した。

 

そのウマ娘はハイテンションのままに流の手を握って

 

「君に私のバリスタ(ミオ・バリスタ)になってもらいたい。」

 

マンハッタンカフェは流を睨みつけた、流が悪い訳では無いがなんかめったに他人に向ける事がないというか自身にも向けられたこともない表情を相手に向けたのを見ればイラッと来るものである。

 

「それは光栄ですが、私は学園のジムの管理人ですのでご希望にはお答えすることはできませんね。」

 

「ああ、それは残念だせっかく最高のカッフェとバリスタに出会えたと思ったのに。」

 

大げさに凹むウマ娘を見ても流はドライに対応していた。

 

「このマシンはカフェテリアでしか使えませんからね、ジムにはレバー式はおいてますし私もファン感謝祭が終わったら忙しくなりますので、私が教えているマンハッタンカフェ(アプレンディスタ  )に淹れてもらうのが一番だと思います。」

 

 流は自身を不機嫌そうに見ているマンハッタンカフェを指定した。実際に彼女のバリスタとしてのレベルは高く、基本的な抽出やラテのレシピはすべて把握しており、ほとんどブレなく行うことが出来る。

 

「ああ、マンハッタンカフェさん!か彼女の腕は知っているよ、コーヒー(カッフェ)のを冠するに相応しい女性だ、また改めてジムに寄らせてもらうよそれじゃあまた今度(アリーデヴェルチ)!」

 

声が大きいイタリアーナのようなウマ娘はハイテンションを維持したまま去っていった。

 

「さっきのウマ娘、カフェの事を知っているみたいだったが、知り合いか?」

 

「サウンズオブアースさんですね・・・情熱的で面白い方です。」

 

「なんで目を逸らしたまま答える?」

 

「いえ・・・別に、流さんでも褒められると喜ぶんですね」

 

「そりゃあ人間だからな、人並みにはな。あんなきれいな仕事では本国でも見たことないっていうか、あっちはお客さんがとにかく多いからそんな丁寧にやってられないから、速さが優先だ。それでも俺以上のエスプレッソを出せるバリスタは沢山居るよ。」

 

「明日のスイーツビュッフェに合わせて・・・エスプレッソを淹れるにしても、手が足りるんですか?」

 

「三連でダブルのホルダーを使えば、一度に並ぶのが20から30人前後なら余裕だ、マシンの性能も高いし抽出は余裕だな基本的にエスプレッソとカプチーノだけなら100人までならなんとかなるし、タダとは言えスイーツが目当てだから一度に並ぶのは多くても50はいかんし、友達の分纏めて頼んでくるのが居たりするから、数は前後するだろうが捌くだけなら簡単だよ。」

 

「可能なんですね。」

 

流は少し考えて

 

「問題は日本語だと注文がややこしくなるからさっきのイタリアーナ(サウンズオブアース)みたいにイタリア語がわかるウマ娘が必要なんだが、カフェ連絡先・・・・」

 

「知りません。」

 

「速攻だな、どうすっかな。」

 

 マンハッタンカフェが機嫌が悪くて、答える気がない可能性があるが、ヴィブロスのアドバイス通りハグでもして機嫌取ろうと思ったが、場所を考えると犯罪者として通報されそうなのでスパッとやめた、そこでどうにか連絡取れないかと悩んでいると

 

「あの、あたしアースさんの連絡先知ってますし、イタリア語も少しならわかりますよ、お父さんがイタリアンシェフだから。」

 

そこへ流よりも大柄なウマ娘が声をかけきた、小柄でボーイッシュなウマ娘を連れて。

 

その声色は優しく穏やかだった。

 

「おい!ボノ!ヤクザがコーヒー淹れてるぞ!」

 

 思わず吹き出しそうになるが、子どもの言うことに腹を立てる気は無いし、基本的に自分の顔がそういうものだとわかっているからこそどう返答していいか悩む。

 

「失礼だよ、ビコーちゃん。この人はジムの管理人してる人だよ。」

 

ビコーとかいうウマ娘は大柄なウマ娘から説明を受けてから、流の顔をみて

 

「あ、オマエ管理人か、なんかゴメン勘違いしちゃった、悪人みたいな顔してるから。」

 

「ええ、私が管理人です。傷のせいもありますが、なんだかんだで私は目つき悪くて人相が悪いですからね。」

 

流は言われたことを気にせず淡々と答えた。

 

「怒ってないのか?」

 

「慣れていますし、怒るようなことではありませんからね。」

 

 おずおずと聞いてきた小柄なウマ娘に淡々と答えた。流としては別に子どもに何言われても怒ることは早々無い、悪意がないのはわかっている。

 

「折角ですからなにか飲んでいきます?今のところエスプレッソベースですが。」

 

「いいんですか?」

 

「いいのか?」

 

「どうぞ、時間に余裕はありますので、お二人のお名前は、私は蒼真といいます。」

 

「ヒシアケボノだよ」

 

「ビコーペガサス、宜しくな!」

 

 流は粉のひと粒もこぼさず、正確に20gセットし、タンピングを終え素早く1つ目をセット、同じように2つ目セット、抽出の前にスチームでフォームドミルクを作りながら、タブレット操作で2つ同時に抽出を開始すると同時にカップを用意した。

 

抽出を終えたエスプレッソをカップに移し、フォームドミルクを交互に注ぎカプチーノを作り終えた。

 

 流は90秒ほどで全ての工程を終えていた。

 

「お待ちどう様カプチーノです。」

 

差し出された、カプチーノを受け取りながら

 

「凄く速い、もしかして管理人さんはバリスタさん?」

 

「ええ、半分趣味になっていますが。」

 

「ボノ、バリスタってなんだ?」

 

「バリスタっていうのは、コーヒーを淹れる職人さんの事でお酒やジュースのことも詳しいんだよ。あ!バリスタで蒼真ってことは、管理人さん蒼真珈琲貿易の人ですか?」

 

「ええ、実家ですバリスタとして仕事はエリジオ・ソーラでやらせて貰って居ました高1でバイトで入ってそのまま最年少でバリスタになりました。」

 

「エリジオ・ソーラってコーキさんが居たところだね!そこでバリスタだったなんてすごい!」

 

「父から徹底的にコーヒーの事は仕込まれていますからね、試験はさすがに緊張しましたが、香樹さんの事知っているんですか?」

 

「あたしのお父さんとお母さんはボナペティートっていうレストランのオーナーで、うちのバリスタさんはコーキさんから習って、コーヒー豆は蒼真珈琲さんから買ったのをブレンドして焙煎してるの、このカプチーノふわっふわでボーノだね。」

 

 ボナペティート、人気のイタリアンレスランで一階は大衆食堂(トラットリア)2階は高級レストラン(リストランテ)という形式を取った、かなり大きなレストランで流も実家の取引先で名前は知っていたが、まさかそこのオーナーの娘がウマ娘でトレセン学園にいるとは思わなかった、トレセン学園が金持ちの令嬢が多いとマジなんだなと流は思った

 

 

「ミルクの量を多めにしましたからね。実家の取引先の娘さんでしたか、こんな偶然もあるものですね。」

 

「そうだね、管理人さんはコーキさんの後輩になるの?」

 

「ええ、わたしが入った時と同じぐらいのタイミングで見習いとして、来たのですがイタリアの経験もあってか、すぐにバリスタに昇格していましたね。」

 

「どんな人だったの?」

 

「バリスタとしても人間としても最高ですが、社会人としてはスタンドプレーが多くて店長に良く文句言われていましたね。」

 

「どんな感じの?」

 

「泣いている赤さん…いえ赤ちゃんの為に哺乳瓶にお湯を入れてあげたり、ベジタリアンのお客様のために、メニューにない注文を受けて調理チーフと一緒にひよこ豆のパニーニを作って提供したりとか、エスプレッソマシンのスチームが故障した時に厨房で即ホイップミルクを作って対応と色々やってました。」

 

「すごい、サービスマンとしても一流なんだね。」

 

「私も一緒にやらかすから、その度に店長に叱られました。」

 

「それは・・・大丈夫だったんですか?」

 

心配そうに聞いてきたのはマンハッタンカフェだった。

 

「やり方はどうあれ、ファインプレーだったのと其の上でアルバイトとは言え、祖父がイタリア本社の社長と知り合いってのもあって口頭注意で済んで、親のコネって大事だなって思いました。」

 

「それは、管理人さんもそうだけど、コーキさんお客様を大事にする気持ちが上の人に、ちゃんと伝わってるからだとおもうよ。」

 

「でもルールを破るのはあまり良くないぞ、何でもありにしたら責任が取れなくなる。ルールってのはそこで働く人を守るためにもあるんだ。」

 

「確かにそこは、ちゃんと弁えないといけません。」

 

ビコーペガサスの指摘を流は最もだと思った。見掛けは幼いが考えが成熟している。

 

「そこは当時、私も反抗期気味の高校生でしたし、今は気をつけていますよ。」

 

「なら大丈夫だな。」

 

「ただ店長に怒られたことがあって、香樹さんがバリスタになったぐらいの頃、常連のお客様で車椅子を使うウマ娘さんが居て、その方の為にバリアフリー席を作って貰えるように店長に交渉したりとか。」

 

「でもそこは会社のイメージアップになるし、良いんじゃないのか?」

 

「バールって色々な営業形態があって一号店は、回転率を重視してるんですよ、回転率の問題でいい顔をされないんです。その方は年上で機械工学の勉強をされていました。見習いの時に車椅子なのもあって、車椅子を席まで押してからかわりに注文取って席までもっていったり、食器を下げてあげてるうちに、話すようになって。」

 

「特定のお客さんだけのえこひいきとかしてたのか?」

 

「いえ、妊婦さんやお年寄りとか子供連れの親御様の物も下げたり、注文を取ったりしますよ臨機応変です。」

 

「良いサービスマンだなえらいぞ。」

 

「お褒めにあずかり光栄です。そのウマ娘さんから、いつも私の為に色々してもらっているから、何かお礼がしたい。と言われて仕事ですから当たり前なので気にしないでくださいと断りました。」

 

「仕事だもんな、仕方ない。」

 

納得するビコーペガサスの横で苦笑するヒシアケボノ。

 

「そうなんですよ、そうしたら店長に呼び出されて、お客様をへこませるなって怒られた後に、いきなり休憩に入るように言われて、話して来いって言われて、仕方ないので単位落としそうだから、勉強見て貰うことになったんですよね。寝不足なのか疲れてるのか目の下のクマがあるし、あんまり無理してもらいたくなかったんですけどね、あと膝周りの筋力強化やテーピングの仕方とかオススメのサポーターを紹介したり。」

 

「単位は大丈夫だったのか?」

 

「彼女のおかげて無事追試は免れました。」

 

「よかったな!」

 

「ええ、ずっと感謝しています。この絡みでまた怒られたんですよね、店長含めた女性陣から。」

 

「何かあったのか?」

 

「数カ月こんな事が続いて、海外の工科大に行くことになったと聞いて、そうですかと答えて、その後また会えるかと聞かれて、店でならと答えてその後に連絡先を交換しないかと言われたので、個人情報の問題がありますので教える事は出来ないので、お店を通して連絡してくださいと答えて、疲れた顔で帰る彼女を見送ったら、店長含めた女性スタッフからなにやってるのって。」

 

「法律的にもコンプライアンス的にも正しい事をしているのに理不尽だな。」

 

憤慨するビコーペガサスの横でヒシアケボノはただ苦笑するのだった。

 

 

 




文章の推古大事、バグか何かでコピペされて重複されて大変でした。

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