ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。 作:なっぞのひと
Q:なんで前々回で、ジェンティルドンナが葛城のアイスティーネタに反応したの?
A:トレーナー室で葛城がPC使ってBB先輩劇場を大音量で見ながらゲラゲラ笑っているのを見ているから。
「ええと…本当にすみません!周りに誰か居るとか思ってなくて!」
ものすごい勢いで頭を下げながら謝ってくるウマ娘に流はバツがわるそうに。
「あー良いよ、いきなりキレ散らかした俺も大人気なかった。」
火にかけていたたマキネッタからカタカタと音がして抽出が終わったのがわかると、マキネッタを外してコーヒーを紙コップに注ぎたっぷりの練乳を入れてかき混ぜたものを手渡してやる。
「まずはこれても飲んで落ち着け。」
「あ、どうも。」
「で、大体予想はつくがどうしたよ?」
「あー、学園のウマ娘なら何となくわかっちゃうっすよね。」
「いや、競技は違えど同じアスリートだからな、こういう時に叫びたくなる理由ってのは、何となく分かるよ。」
「え?お兄さんもアスリートなんですか?」
「キックボクシング、6歳の頃から初めて、16年でプロアマ合わせて150戦くらいでタイでの非公式を混ぜると180戦位か。」
「180戦って流石に多過ぎないっすか。」
「基本的に判定が多いし、勝敗が確定しそうなら流すから、意外とダメージは残らない。」
「へーそんなもんなんですね。」
実際は高校に上がりプロになってからはめったに流すことはなく全力かつハイペースで試合をこなしている。
それは得意技の肘を活かし速攻で顔面を切り裂く事によるTKOか出血で視界を奪った後に蹴りで仕留めるか、肘やパンチの連打で殴り倒してのKO決着の場合は短時間で済むことと、なにより目と勘の良さを活かした抜群のディフェンス力でほとんどの攻撃を防いでしまうので長丁場でも残るようなダメージを受けることが少ない。
「んで、話を戻すがそんな叫びたくなるくらい、倒したいだが、勝てない相手が居るってことか。」
「その通りなんですけど…直球っすね。」
「畑は違えど、そこらのウマ娘より長く現役やってる身だからな、怪我や病気にメンタルとアスリートのジレンマは大体経験してるよ。」
流は深くは聞かずコーヒーを啜りながら一服して。
「君のトレーナーからメンタルコントロールする方法習ってんだろ。」
「トレーナーはシオンはそのままで良い、いずれわかるからって。」
流は彼女のトレーナーの意図をすぐに理解した。
「面白いことを考えるな、よき理解者というか、
「ロマンチストですか?」
「君が、必ずそこに辿り着くと信じているんだろ。」
おそらく彼女のトレーナーの意図はこの感情をエネルギーに変えることで力が引き出せると考えているのだろう、使い所を間違えるとぶっ壊れる諸刃の剣だが。
彼女のトレーナーは自力でたどり着くと信じているだろうし流もそう思っているが時間がかるのと、短時間ながら静かなオフ気分をぶち壊されたので一つぐらいヒントを与えてもいいだろうと思った。
「ま、競技者の先輩としていうなら、そういう感情はここで叫ぶんじゃなくてレースで爆発させるんだな、使い所によっちゃこれ以上無い切り札になる。」
「切り札・・・っすか?」
「これに関しては場数を踏み続けて自分で見つけるしか無いけどな、
「最強に近いウマ娘だけが到達できる、超集中状態のことっすよね?」
「アレは別にウマ娘だけの技能じゃない、俺も何度も経験しているし、俺はその入口に入るだけならある程度自由にできるが、俺から見て君は領域まで至るのは難しいな。」
彼女は悔しそうな顔で、流を睨みつけた。
「そう睨むな、
流がよくスポーツ関係で言われる極限集中によって生まれる力である
「やり方は、ゾーンより簡単だ。火事場のバ鹿力を自己暗示で無理やり引きずり出してやるんだ、君は自分を落ち着かせる為のルーティンはもっているか?」
「簡単なのなら幾つか。」
「そうか、それならゾーンの前段階、フローは知ってるか?」
「何となくレベルっすけど。」
「何が何でもフローに入れるようにしろ、そこで鬱屈した感情を怒りに変えて爆発させて、己の総てを限界を超えて引きずり出して勝負に挑めそれだけだ。」
「それだけ…っすか?」
「それだけだよ、それに耐えられるフィジカルを鍛えなきゃ何もならねえが、学園のジムにくれば色々教えてやるよ。」
「学園のジムって、職員さんみたいな…あっ、どこかで見たことあると思ったらジムの…」
「そうだよ、管理人やってる、蒼真な」
唐突な自己紹介を受けて戸惑いながら。
「ウインバリアシオンです、あそこの管理人さんってもっと淡々としてるけど丁寧な喋り方の印象だったんですけど。」
「今はオフで学園の外だからな、こんなもんだよ。」
流は二杯目のコーヒーを飲みながら答えた。
「話を戻すと、今の方法は、
ウインバリアシオンは少し考えて。
「ジェンティルさんのトレーナーっすか、そこはあたしのトレーナーに相談してみます、アイツ・・・オルフェーヴルに勝つためなら出来ることは何でもやりたいんで、もう少し走ってきます」
「そうか、頑張りな、下りのときは膝に気をつけろよ負担がでかいから壊したらなんにもならない。」
「色々ありがとうございます、後コーヒーご馳走様でした。」
ウインバリアシオンが走り去っていくのを流は見送った。
「オルフェーヴル・・・周りの奴らがうるさかった奴か。」
本人はそんなことはしていないが、周りが道具は動かすはマシンの占領や献上とか行って好き勝手に移動させたりと、他の生徒に迷惑がかかるからどうにかしろと伝えたら、不敬だと騒ぐ周りの連中を諌めた後、【家臣の責任はすべて王にある。】と言って当面ジムは使わないと言い出したのが、印象に残ってた。
後は彼女の姉を名乗る小柄だが妙な鋭さのあるウマ娘が菓子折り持ってこちらに詫びてきたので、流は菓子折りを受け取ってから、コーヒーを出してから、ジムにはなるべく一人で来るように伝えると、苦笑しながら頷いていた。
「俺も帰るか。」
流も荷物をまとめると走って学園に帰っていった。
次回からカフェテリアのお話です。
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