ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。   作:なっぞのひと

74 / 76
久々に投稿です。

勢いとノリで書きました。


65.クソボケはどこまでもクソボケ

「えっ、シンサックさんがムエタイを始めた理由って、ご両親にジムに売られたからなんですか?」

 

走ることが好きで殆ど自らの意思で学園に来るウマ娘達にとって、シンサックの売られた事実は衝撃的だった。

 

「正確には預けられたに近いのですが、お父さんが事業に失敗して、家がとっても貧乏だったから仕方ありません。ジムに入ればたくさん食べられるので飢えることはありませんし、たくさん勝てばたくさん仕送りできるのでマイペイライ。」

 

 ジムの給湯室を改造した、カフェスタンドでシンサックとウマ娘達は、流の淹れたコーヒーやドリンクを飲みながら談笑していた。

 

バンコクトレセン学園理事ということは勿論だが、流から自身の師であり、ムエタイ史上最高の天才にして立ち技世界最強に数えられる一人と紹介されたことで、彼に興味を持ったのかアーモンドアイだった。

 

 

「実際、私にはムエタイとても合ってたから、子供の頃たくさん勝って世界中で試合して世界中の団体でチャンピオンになって、たくさんのお金を稼げました。」

 

「沢山ってどのくらいですか?」

 

「あまり覚えてないですが6歳から500位試合して合わせて1億バーツ位なので、ジャパンカップや有馬記念の一着賞金よりは少ないですけど。」

 

ケタ違いの試合数に全員が度肝を抜かれた

 

「500戦ってどんなペースで試合してたんですか?」

 

「週に1、2回を何年もすればすぐです、最後の100戦ぐらいは月2回位でした。」

 

「そんなに試合して怪我しないんですか?」

 

「私は現役中は攻撃を貰ったことが殆どありませんし、ムエタイは5ラウンドと言っても勝敗がハッキリすればお互い無駄なダメージを避けるように流す事が多いです。もちろん重要な試合は別ですが。」

 

 「消耗の少ないやり方をしているからって、ここまで試合ができるのは凄すぎるわ。」

 

「ありがとうございます。でも日本のキックボクシングだと何もさせてないのに引き分けや敗けになったこともあります。」

 

アーモンドアイは驚いた。

 

「何で何もさせてないのに?」

 

「ムエタイは技術を重視しますが、ヨーロッパや日本はのキックボクシングは積極的な攻撃を重視します、後日本は特に技術以上に根性がポイントになるので、シープンは精神論が好きですから、日本でやるときは倒す戦い方をしてました。」

 

シンサックは流を見て

 

「だからナガレには技と一緒に肘と膝で壊すムエタイを教えました。」

 

流は自分の顔の傷を示し。

 

「だから何度か顔に肘もらって斬られましたけどね。」

 

「それは君は近い距離の防御が下手くそなのに、すぐ肘の斬り合いに持ち込もうとするからだよ、だから斬られる」

 

流は指摘が気に食わなかったのか

 

「いや、先生の言う防御のレベルを満たせる奴なんて世界でもそうそう居ないでしょう。」

 

「いつもワタシがいってるのは、速く正確に打つ、打ったら構えに戻る、ガードを下げない。適切な距離を保つ、同じ場所に留まらない。誰でも出来ることばかりだよ。」

 

「それをどんな距離でも精密機械のように一度もミスなくやり続けられるってのは、それだけで天才なんですよ。」

 

 

「ワタシはできるので問題ないよ?」

 

シンサックは流が機嫌悪くなってきたことを察したのか

 

「話変わるけど、息子がムエタイ始めたいって言ってるんだけど、どうしよう?」

 

「随分変えたな…やめとけ、折角裕福な暮らしできてんだから、こんなクソみたいなスポーツさせなくていいだろ。」

 

流の嫌そうな顔を見てシンサックもやっぱりと思ったのか。

 

「ナガレはそう答えるか、でもお姉ちゃんはレースの為に名門クラブにもいけて、いずれトレセン学園へ行けるのに、自分はムエタイをさせてもらえないってのは、あの子にとっては良くない。」

 

「ウマ娘は走ることが、生きる理由そのものだけど、ムエタイは華やかなレースと比べたら野蛮な殴り合いで怪我のリスクも高いし、レースよりもずっと過酷な道を行くんだ。俺だったら自分の子に格闘技はさせたくない。それに先生の子ってだけで、いらん重圧を受け続ける事になる。」

 

シンサックは言葉に詰まった。

 

 流としては本当にやりたいなら、反対を押し切ってでもやるだろうし、先生本人はやらせてもいいと思っているのが、なんとなく見て取れていた。

 

「あの・・・その子が本当にやりたいのなら、やらせてあげて・・・そこから決めてもらうのが良いと思います。」

 

 会話に入ってのきたのは、流の隣で作業していたマンハッタンカフェだった。

 

「カフェの言ってることは正しいんだけどな、元々シン先生はジムに売られて強制的にムエタイをやらされて、勝たなきゃ生きられない環境だったし、俺も父が俺の幼児期の癇癪を抑えるために、シン先生にムエタイをやらせるように頼んだからで、俺もやらされた事がスタートだから、自分からこの道を選んでスタートってのが考えられないんだよ。」

 

 流は格闘技のスタートがやらざるを得ない環境かつ地獄の鍛錬を強要されてきたからか、他人の子ならともかく、先生の子が憧れを持って親と同じ道を歩みたいと言う気持ちが理解できなかった。

 

「でも・・・想いや憧れは競技の原動力になります。」

 

「それ想いや憧れだけでこの世界に入ったやつが、貧困から抜け出すために、地獄の修練に耐えながら、生き残りをかけて戦う連中に勝てると思うか?」

 

マンハッタンカフェは流の返しがきつかったのか、返しきれずにちょっと凹んでいた。

 

「一言よろしくて?」

 

会話に入ってきたジェンティルにどうぞと流は返した。

 

「昔は貧困から抜け出すものだったものかもしれませんが、今のムエタイは本国でも賭け事よりも競技スポーツとしての扱いが顕著でしょう?ギャンブラー向けの興行とスポーツとしての興行で分けられていますし、今はアマチュアもしっかりしているのですから、そこから経験をつんで適正を見極めては如何かしら?」

 

 

 流はしばし考えていると、いつの間にやら流のゲーミングノートPCを引っ張り出しトウカイテイオーとラヴズオンリーユーと対戦を繰り返していた葛城が

 

「あー、ジェンティル、そういうことじゃねえんだよ。裕福なシンさんの坊っちゃんが蒼真さんやシンさんがやってきたやってきた練習に耐えられると思ってねえんだよ、蒼真さんもシンさんも。シンさんは息子を相当溺愛っつうか甘やかしてんだろうよ、だから蒼真さんに相談してんだろ。」

 

シンサックは苦笑しながら。

 

「痛いところを突きますね、葛城さん。貴方の担当の子が言う通りだいぶ環境は改善されていますが、タイ国内ではアマチュアは殆どありませんし、ワタシは息子を社会に出て恥ずかしくないようにしっかり教育していますが、息子を戦士として厳しく鍛えられる自信がない。」

 

葛城は鼻で笑いながら。

 

「ならよそというか日本のジム預ければ良いんじゃないっすかね?蒼真ジムかここの警備部長の経営してるCSSジムか爺のところだな。」

 

ジェンティルドンナは呆れ気味に

 

「爺ではなく、総裁とか師匠と呼びなさいな、貴方の育ての親であり師でしょうに。」

 

葛城は嫌そうに

 

「爺で良いんだよ、俺を預かって育ててくれた上に金剛八重垣流を教えてくれたことには感謝してるが、俺がお前のトレーナーになることに反対してきたことは忘れん、つうかお前の親父にも嫌われてんだよな俺は。」

 

「それは、貴方の粗暴さが気に入らないだけでその手腕は認めていてよ。公私ともに認められたいならその粗暴さを改めなさいな。」

 

「考えとくよ。シンさんの息子なら多分どこの大手ジムでも歓迎してくれるだろうが、お勧めは金剛八重垣流だな、爺は指導者としてじゃなく、教育者としても優秀だ、シンさんと爺と当代は面識もあるし、俺からヤエノを通して話せば受け入れてくれんだろ、シンさんの息子さんは日本語話せるの?」

 

 流は葛城は妙なところで話がわかるなというか、なんでゲーミングPCを居室から取り出して勝手に使ってんだとおもったが、空気を読んで口に出さなかった。

 

シンサックは納得したのか

 

「そうですね、妻の実家に行くときや仕事で日本に行くことは多いから、親元を離れて全く違う環境で、一から練習するのも良いかもしれませんね、息子は日本語は話せますよ、妻は日本のウマ娘で地方のトレセン卒業生ですから。」

 

皆それを聞いて、どういう経緯なんだろと聞き始めたのでシンサックが困っていたので、流がぽっと答えた

 

「シン先生は、バリスタとして父の喫茶店で住み込みで修行していて、その時に学生アルバイトだったウマ娘さんと仲良くなって、職場結婚されたんです。」

 

反対されなかったとか、かけ落ちじゃないのかみたいな声もあったが

 

「シン先生はファイトマネーで親の借金を返した上にお父様がそのお金を元手に事業を立て直して、いまやタイで最高のコーヒーチェーン店のオーナーで大金持ちですからね、お金で黙らせたんでしょう。ちなみに日本での展開はサトノグループが関わる予定って聞いています。」

 

「ナガレ、ワタシの代わりに説明ありがとう、葛城くんでしたね、有難う、その時は考えてみます、そういえば貴方とは何度かナガレの試合に付き添ったときにお会いしていましたけど、直接お話するのは初めてでしたね。」

 

「そういやそうっすね、爺も総師範も喜んで叩き込むでしょうし、そっから世界経由して、ムエタイに殴り込めるなら言うことないでしょう。」

 

「それも良いかもしれませんね、貴方はこうしてトレーナーの道を歩まれていますが、鍛錬は欠かされていないようですね。」

 

「色々あっても武術家であることは捨てられませんからね、しっかり鍛えてますよ蒼真さんの試合の手伝いもしなきゃならないっすから。」

 

「素晴らしい、重ね重ね感謝します。」

 

シンサックは合掌して一礼し、葛城もゲーミングPCの場所に戻っていった。その後流が声をかけた。

 

「シン先生、6月に試合があるんですけど、久々にセコンドに付いてもらえませんか?」

 

シンサックはにやりと笑った

 

「それはだめだ、ニコラはワタシのジムの選手だからね。」

 

「ああ、それは残念ですね。」

 

そしてシンサックの顔がさっきまでの温和な、冷淡な顔に変わり流を睨みつけた。

 

「คุณได้ติดต่อกับมงต์จูแล้วหรือยัง?《お前モンジューと連絡はとっているのか?》」

 

突然のタイ語に驚いたが、流もタイ語で返した。

 

「ไม่ ฉันยังไม่ได้รับเลย ฉันไม่รู้แม้แต่รายละเอียดการติดต่อของเขาด้วยซ้ำ และการหามันยุ่งยากเกินไป《いや、取ってないな連絡先探すのも面倒くさいから》」

 

「ไอ้โง่คนนั้น ตอนที่พ่อแม่ฉันทำงานที่เมืองไทย มันจะเข้ามาถามฉันเรื่องฟิตเนสเสมอ《あのなあ、モンジューはタイに来るたびにお前が居るか聞きに来るんだぞ》」

 

「โอ้ ฉันจะไปซ้อมสักวันหนึ่ง ดังนั้นเราอาจจะเจอกันโดยบังเอิญใช่ไหม?《それならいつか修行でタイに行ったときに会えるかもしれないな》」

 

「เป็นคุณนั่นเอง...ทำไมคุณถึงขี้เกียจติดต่อกันจัง?《お前なあ・・・どうしてそうやって連絡を取るのを面倒くさがるんだ?》」

 

「ฉันค่อนข้างชอบพูดคุย แต่ฉันไม่เก่งเรื่องนี้เพราะว่ามีเวลาต่างกัน การโทรระหว่างประเทศแพง และการพิมพ์ข้อความก็เป็นเรื่องยุ่งยาก《話すのは好きだよ?でも電話は金がかるし時差もあるからね、メールを打つのは苦手だし面倒なんだ。》」

 

「โอเค ฉันจะเป็นคนที่สองของนิโคล่าและจะพาคุณไปหาเธอ ไม่ว่าจะชนะหรือแพ้ก็ตาม《そうか、なら俺はニコラのセコンドに付く、お前が勝とうが負けようがが彼女の下へ連れて行く。》」

 

「ฉันจะคุยถ้าคุณพามงต์เฌอมาด้วย《連れてきてくれるんなら、普通に話すよ俺は。》」

 

「ทำไมคุณถึงเกลียดการติดต่อมากขนาดนั้น?《どうしてこうも連絡嫌いなんだお前は。》」

 

「ดีใจนะที่เราจะได้เจอกันอีกครั้ง《どちらにしろまた会うんだから良いじゃん》」

 

「โอเค แค่แน่ใจว่าคุณจะไม่โดนมงต์เฌอเตะ《そうか、モンジューに蹴り殺されないようにな。》」

 

どこ吹く風で受け流す流と明らかに怒っているシンサック、英語やフランス語、スペイン語とかドイツ語ならともかくタイ語という未知の言語ため何を言っているかわからない分余計に空気が重い。

 

「よくわからない言葉で言い合っているところすまない、練習のしすぎて食堂で食べ損なった子とそのトレーナーさんが居るんだが、管理人さんなにか作ってもらえないだろうか、ついでに私の分も頼む。」

 

そんな空気を壊したのはオグリキャップだった。

 

 

「先生、この話はまた今度で。」

 

「ああ、彼女に作ってあげて。」

 

会話を終えた流は、オグリキャップに向き直った

 

「良いですよ、タイ料理かイタリアンでよければお作りしますよ。」

 

「そうか、作ってくれるかありがたい!スティル、トレーナーさんこちらに来てくれ!」

 

オグリキャップに連れられて現れたのは、白いフリルのついたヴェールを被った赤い瞳のウマ娘と細身のメガネをかけた優男だ。

 

ウマ娘はどことなく気弱というか、大人しめな印象があった、何処となくだが流から見てマンハッタンカフェに近いものを感じた、その内に居るものを含めて。

 

「すみません、トレーニングに夢中で食堂の営業時間に間に合わなくて。」

 

「大丈夫ですよ、結構ありますし、仕事柄捕食も作りますので。」

 

流はトレーナーと事務的な会話を交わしながら、改めてトレーナーの顔を見る、少し知り合いの面影を見た。

 

「お前、もしかして大庭か、小1から中1まで一緒だった腐れ縁の覚えてるか蒼真、蒼真流だ。」

 

大庭と呼ばれたトレーナーは流を見て驚いた。

 

「君、流か顔の傷が凄くてわからなかったよ、元気にしてた?」

 

「社会生活を送って試合できるぐらい位には元気だよ、何食う?」

 

「俺は、流の作りやすいものでいいよ。スティルはどんなのが食べたい?」

 

「私は、トレーナーさんが私のために選んでくれた物ならなんでも受け入れます。」

 

「具体的な注文がねえから逆にめんどくせえな、二人ともカオマンガイにしとくぞ、んでスティルって言ったな、その中にいるもう一人は何が好みだ?ほしいんなら半分ずつで作ってやるけどどうする?」

 

スティルと呼ばれたウマ娘は目を丸くした

 

「管理人さん、あの子の存在がわかるのですか?トレーナーさんだけだと思っていたのに。」

 

「なんつうかな、感覚でそういうのはわかるってのもあるが、無理やり抑えようとしてその結果、自分の存在感というか気配まで抑えてるから中に何かいるのかなと、んでその子は何が好みだ?」

 

そのウマ娘は一瞬だけ逡巡すると。

 

「あの子も私と一緒のもので良いと」

 

「それじゃあ、カオマンガイでいいか、オグリキャップさんはどうされます?」

 

「私は二人と同じものと焼きそばとサラダでニンジンのソムタムを付けてもらいたい。」

 

「畏まりました、少々お待ち下さい。シン先生手伝ってもらってもいい?」

 

「いいよ、エプロンある?」

 

 シンサックは上着を脱いでワイシャツ姿に流から受け取ったエプロンを着けてカウンターへ入った。

 

「この先生という方も料理できるのか?」

 

「ええ、私のタイ料理の先生です、ムエタイジムは相撲部屋と一緒で集団生活なので、自分たちで料理を作ったりします、先生は現役時代ジムのトップでありながら料理番も務めていましたから。」

 

オグリキャップは流れの話を聞いて思い出したのか。

 

「貴方が、前に管理人さんが言っていた、ムエタイのすごい人か。」

 

「凄いかどうかは、私には分かりませんね、沢山練習して沢山試合して沢山勝って、沢山ベルト貰っただけなので。」

 

「努力を継続できることは凄いことだから、凄い結果がついてきたんじゃないか。」

 

「どちらかと言うと、親の借金を返す事に必死だっただけです、ありがとうございます。」

 

 シンサックはいつの間に作ったのか、スープをオグリキャップに手渡した。

 

 流は1羽丸ごとのチキンを手早くカットすると、生姜と鶏出汁で炊き上げた山盛りのご飯の上に乗せて付けダレといっしょにヴェールのウマ娘に差し出した

 

「ほれ、出来たぞ。冷めてもそれなりには美味いからゆっくり喰うといい。で、名前は聞いてなかったな。」

 

「すみません、自己紹介が遅れました。中等部のスティルインラブと申します、スティルとお呼びください。」

 

「ご丁寧にどうも、大庭の担当なら、君もあの子ってのも友人みたいなもんだ、何かあったら遠慮なく言ってくれ。」

 

「ありがとうございます、いきなりはしたないお願いで申し訳ないのですが、トレーナーさんがどんな子供だったのか、私に教えて頂けないでしょうか?」

 

妙に熱のこもった視線と口調で聞かれたので流は少し引いた。

 

「落ち着け、俺からじゃなくても大庭にきけば話してくれるじゃないのか?」

 

「もちろん話してくれますけど、お友達からもトレーナーさんの子供の頃の話を聞きたくて。」

 

「なるほどな、先に作っとくが食後のデザートはフルーツと紅茶で良いか?」

 

「紅茶じゃなくて、珈琲でお願いします。」

 

「なんか、珈琲派というか紅茶派ぽく見えるんだけどな、ドリップとエスプレッソのどっちがいい?」

 

スティルインラブは少し考えて

 

「両方の良いところを取った珈琲を作る事はできますか?」

 

「いい着眼だ、エスプレッソに湯を加えると、エスプレッソのコクとドリップのスッキリ感を同時に味わえるコーヒーになる。」

 

「では、それをお願いします。」

 

 流はハンドミルの粒度をエスプレッソ向けに調整し、豆を入れゆっくりと挽き始めた。

 

 すべて手作業で行うことで、ゆったりとした時間と丁寧な仕事をしているように演出しているのだ。

 

 流は豆を挽き終えてから、カオマンガイをオグリキャップと大庭に出し、それからタンピングを始めながら大庭に声をかけた。

 

「なあ、大庭、スティルさんがお前の小学校時代の時どんな子供だったか話せって言ってんだけどさ、良いのか?」

 

大庭は優しく微笑んで

 

「ああ、構わないよ。スティルが俺のことをもっと知りたいって言うなら。」

 

流はスティルインラブと大庭の顔を交互に見て。

 

「大庭、俺は止めるつもりはないって事は先に言っておくけどな、自分の担当、それも中学生と不適切な親密さを持つのはあまり良くないと思うぞ、あんまり大っぴらにしていると駿川さんが飛んできかねない。バレないようにうまくやれ。」

 

流の言葉に反応したのはこれまで静観していた【お友達】だった

 

『いやお前が言うなよ、というかどさくさ紛れで教唆してんじゃねえ。』

 

 

ーーーーー

 

ジムの外で一人のウマ娘がオグリキャップに連れられてジムに入っていくスティルインラブを見つめていた。

 

「スティルインラブとトレーナーが”IRGL”と出会ってしまった。この出会いが二人のBDEDになるのかHPEDになるのかはわからない。でもふたりにはしあわせを手に入れてほしい。」

 

彼女はただスティルインラブとそのトレーナーの幸せを望むのだった。




突然の人物紹介。

ヴィシュヌ・ティルミシナ

元イギリス軍グルカ旅団王立グルカ・ライフル連隊所属。

退役後は民間軍事会社に所属しグルカチームの分隊長を務め世界中で様々な軍事活動に参加。

某国政府関係の任務では前職時代の南坂手動の作戦をチームで支援した経験もある。

 民間軍事会社を退社後、日本政府から、引退した南坂の監視と護衛を条件に日本での永住権と起業の為の支援を受け、かつてのグルカチームの仲間を引き連れて商店街にインネパ料理のレストランを開店。

店は味も評判もよく、南坂Tがよく担当や後輩を連れて食事に来る。



何時も読んでいただきありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。