ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。   作:なっぞのひと

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遅くなりました。


66.普通の話って個人の価値観で普通そのものが全然違うから難しい

「小学生の頃の大庭がどうだったって?勉強はできるけど心臓に病気抱えてて小3までは体育の授業は殆ど見学してたな、んで真面目でお人好しで厄介事や面倒事を色々押し付けられて、半ばイジメみたいになってたな。」

 

大庭が苦笑していると、スティルインラブは凄い目で流を見ていた。

 

「イジメ?トレーナーさんを?許せない、許せない、許せない、許せない、許せない許せない許せない許せない許せない許せない許さない!」

 

「ちょ!?何年も前の話だから、落ち着いてスティル。流もいきなりそんな話するなよ。」

 

スティルインラブを抱きしめて落ち着かせながら流を焦った顔で見る大庭。

 

 スティルインラブは大庭に抱きしめられる事で落ち着いたのか、表向きは殺気は抑えられていたがボソボソと『撲殺、蹴殺、刺殺、焼殺、圧殺、惨殺、轢殺・・・どうしてやりましょうか。』と呟いていたので、近くに居たウマ娘達は怖がっていた。

 

「お、落ち着いたようだな、やっぱそうするのは効果的なんだな、俺も今度カフェを切れさせたとき真似させてもらうか。」

 

とんでもないことを真顔で言う流に大庭は

 

「俺の場合は、ある意味学園公認というか・・・真似しないほうが良い、そもそも怒らせるなよ。」

 

「俺は思った事を言ってるだけなんだがな。」

 

困った顔をしてから、すぐにスティルインラブに向き直る。

 

「スティルさん、10年以上昔の話だし、この話は当時の俺が解決させたよ。」

 

流の話を聞いてスティルインラブは少し落ち着いた。

 

「すみません、私ったらあの子のせいで、はしたない…」

 

「いや、人のせいにすんなよ。中身が切り替わって無いのは俺にはバレバレだ、自分の中の感情には素直になったほうが良いし、こんな事聞かされて怒る気持ちはわかるよ。」

 

スティルインラブは驚いたが、なぜ分かったのか気になった。

 

「なぜ、私が入れ替わってないと?」

 

「それは、大庭の反応と…多分だがスティルさんが俺と同じタイプの能力を持っていると思ったからだな、任意型か変更型って違いはあるが。」

 

「任意型、変更型?」

 

「簡単に言うと、自分の能力をある程度自由に引き出せるのが任意型、自分の中の何か・・・例えば『人格』を切り替えて力を引き出すのが変更型ってやつだ、スティルさんは後者だろうけど詳しく話すとすると長くなるから、別の機会で話すよ。」

 

流は一呼吸おいて

 

「で、どうやって解決させたかというと、一人ずつボコボコにしたんだよ、顔面への肘や膝を打ち込む練習にちょうどよかったから。」

 

大庭は苦笑し、スティルインラブは軽く引いていた。

 

「やっぱり、その、暴力はやりすぎでは?」

 

「さっきまで物騒な事呟いていたのに、なんでドン引きしてんだよ。」

 

流は空芯菜にタレをかけて炒めたものを皿に盛り付けてスティルインラブの前に置いた。

 

「ほれ、出来たぞ空芯菜炒め。」

 

スティルインラブはなんの脈絡もなく置かれた皿に『?』となった。

 

「カオマンガイだけだと淡白だからな、味変あったほうがいいだろ。」

 

「作ったのはワタシだけどね、後パッタイとソムタムも上がるよ。」

 

厨房に居たシンサックが大盛りのパッタイとソムタムを持って現れ、オグリキャップの前に置いた。

 

 オグリキャップは目を輝かせていた。

 

「甘酸っぱいソースと卵、麺のモッチリした食感が実にいい、バンコクのトレセン学園はこれが食べ放題なのか。話は変わるが、あまり喧嘩とか暴力の話はしないほうがいいと思う、ご飯が美味しくなくなる。」

 

「まあ、たしかに生々しいですからね、その後は目立ったことは特に無いんだよなあ。」

 

「でしたら…逆に流さんのことをお話ししてみたらどうでしょうか?」

 

マンハッタンカフェの提案を受けて

 

「いや、俺の子供の頃ったって何も面白くないぞ。」

 

「でも、流ある日を境に言葉使いが乱暴になったよね、その前までは優しかったけど。」

 

「ああ、それはね、ナガレが最初に入ったジムの選手の影響。森山嵐っていうんだけど彼に可愛がられていました。子供相手には面倒見がいい奴なんだけど、素行が悪かったからそのせいで言葉が悪くなりましたね。」

 

今でこそイメージは払拭されているが、ムエタイは貧困層のスポーツでキックボクシングは不良のスポーツと健全なイメージは持たれにくい。

 

 

 

ナガレ当時は子供ですしも感性はひとなみですから、良くしてくれる人の影響をうけるのは当然ありますよ。」

 

「なるほど、それで流は口が悪くなったんだ。」

 

「大体合ってる、大庭はよく遊びに家に来てた俺にコーヒーの淹れ方とか合わせる菓子の事を習いに。」

 

「だから、トレーナーさんはコーヒーを淹れる所作が…とても美しいのですね。こういう話をもっと聞かせてほしいんです。」

 

「いや、大した話でもないからつまんないだろ。」

 

「えぇ…」

 

スティルインラブは流の事を自分とは別の方向の狂気を持つ人物と感じた。だから聞いてみたくなった。

 

「あの、一つ聞いてもいいですか?」

 

「どうぞ?」

 

「貴方は自分の中の狂気や怪物とどうやって折り合いをつけているのでしょうか?宜しければアドバイスを頂けないでしょうか。」

 

「やだね、それは俺の仕事じゃない。」

 

 

 




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