ジムかん。(トレセン学園内ジムの管理人の話。   作:なっぞのひと

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遅くなりました、色々気に入らなかったので加筆修正しました。


68.ちょっとしたいたずらが惨劇につながる

 

マンハッタンカフェによる理解らせから解放された流は、カフェテリアにあるエスプレッソマシンを再び触っていた。

 

「メイン機の調子はよし、サブの方もカフェが使う分は問題ないな。」

 

すぐに、部屋の湿度計を見ながらコーヒーミルの粒度を見て。

 

「湿度も粒度も問題なし」

 

カフェテリアに来て10分程で総ての確認を終えると、向かいではスイーツバイキングの準備で生徒も業者もてんやわんやしていた。

 

まだ昼にもなっていない時間なので、時間には間に合うだろう。

 

流はスタッフに会釈だけして離れようとした時、学生でないウマ娘から声をかけられた、教官用のジャージを着た同年代ぐらいのウマ娘だ。

 

皐月賞からジムの外へ出るたびに誰かしらに声をかけられる事が増えた。

 

 流は学生のウマ娘には多少気を使うが、過去の経験から同年代や少し年上のウマ娘に対しては無意識に当たりが悪くなることがある。

 

流はいつもより鋭い顔つきで

 

「はい?なんすか」

 

とこたえたら、そのウマ娘は素が出たのか、流に対して

 

「あ?こちらが丁寧に声かけとーとのに、いきなりガンと飛ばしてきてなんとね?喧嘩売っとーと?」

 

声こそ静かだが、ドスが効いていた。

 

流は受け流して

 

「これは失礼、仕事以外で年の近い女性とお話する機会があまり無いものですから、ましてや貴女の様なチャーミングな女性相手だと余計に緊張してつい。」

 

わざとらしく答える流、その表情に変化はない。

 

「へぇ、そやったらお姉さん、優しくリードせんといけんとね。」

 

「いえ、それには及びません。で、要件は?」

 

「せっかく、こんなグラマーないい女がリードしよって言っとるとに、付き合い悪かねぇ。ま、よかよ。こちらも仕事モードに戻りましょう、トーセンジョーダンさんの事でお話があって。」

 

「トーセンジョーダンさん、彼女がなにか?」

 

「谷口トレーナーが彼女の担当になる少し前に、彼女がレース中に失速したことがあって…場所変えたほうが良いですよね?」

 

流は周りを見てから

 

「大丈夫でしょう、周りも作業で一杯一杯だからこちらに意識を向ける余裕はないでしょうし、聞こえたとしてもバラすような方々ではないでしょうし。」

 

「それなら、失速したあとに爪の問題があった事とそのせいで上手く走れなくなってるのに気づかずに、やる気がないならやめろって言ってしまって、それを彼女に謝りたかったんですけど、チャンスがなくて。」

 

「それで私に間に入れと、良いですよ谷口トレーナーに連絡しましょう。」

 

流はスマホを操作し、LANEでメッセージを送った。

 

【済みません、谷口さん、トーセンジョーダンさんと一緒にジムの方へ来ていただけませんか?】

 

直ぐに既読が付いた

 

【15分程あとになりますが、良いですか?】

 

【はい大丈夫です。】

 

流はスマホをしまい

 

「それじゃあ、ジムに行きましょうか。」

 

「あ、はい。私ハカタコマチって言います。貴方は?」

 

「蒼真です。」

 

流は相変わらずの仏頂面で答えて、教官ことハカタコマチは流と一緒にジムに着いた。

 

ハカタコマチは流の無愛想な態度にムカついていた、そこで動揺させてやろうと思い、給湯室を改造したカフェエリアのそばで流の右腕をわざと胸の方に引き寄せてからもたれかかり、そのまま引っ張り込むようにしてジムに入った。

 

その姿を見たトウカイテイオーがマンハッタンカフェへ向けて叫んだ

 

「カフェ!ジムかんがジムに女連れ込んでるよ!」

 

直後、風を切る音と共に流の顔に超高速で飛んできた食器洗い用のスポンジが直撃し、ハカタコマチは、無表情で流を見つめているマンハッタンカフェと地面に落ちたスポンジを交互に見つめてから。

 

やっちまったという顔になった。

 

 

「ほんとにごめんちゃい!まさかこんなこつになるとは思わんかったとよ!」

 

 スポンジを顔面に叩きつられた流の顔面は鼻血まみれになっていた。

 

博多弁で謝り倒すハカタコマチにたいして

 

「まあ、折れては無いし、腫れてもいないから大丈夫ですよ。」

 

鼻血をふきながら変わらずの仏頂面で淡々と答えた

 

「ごめん、ジムかん!コマチ教官の悪ふざけと気づかなくてさ、浮気現場だと思っちゃった!」

 

「いや、私にそんな甲斐性は無いのですが、一瞬見ただけでは仕方ありませんが、何故そんな誤解を?」

 

「ジムかん顔は整ってるし、結構お金持ってるから、万年金欠のコマチ教官ならお金ちらつかせたら、ホイホイついていくかなって。」

 

「テイオーさん、私がそんな軽い女に見える?って、金持ち!?ほんとうにイケメンで金持ちならありか。」

 

「そういうところだよ、コマチ教官」

 

「だからって、こんな時間から女性を連れ込むような真似はしませんし、時間的余裕もありませんし、金をちらつかせようにも、私の財布はカフェが持ってるので物理的に無理です。」

 

「だってさカフェ、ごめんボクの勘違いだったみたい。」

 

ちょっと気まずそうにしているマンハッタンカフェの側でシンサックはゲラゲラ笑っていた。

 

「相変わらずだね、ナガレ。」

 

「仕事じゃありませんからね、ちょっといたずらされたぐらいじゃ怒ることはない。」

 

「そうだよね、ナガレはそういう性格だ、それにしてもカフェさんは実に素晴らしい、バリスタとしての腕をみさせてもらったけど、プアオーバーもエスプレッソも実に素晴らしい、将来うちの会社にバリスタとして入って欲しいぐらいだね。」

 

その言葉で流は露骨に嫌そうな顔をシンサックに向けた。

 

「おい、カフェは俺のだ誰にも渡さん。」

 

「お、試合の時よりいい顔になったねナガレ。」

 

 不機嫌な流と笑顔のシンサックのせいで、場の空気が少し重くなる横で葛城が流の部屋から持ち出してきたゲーミングPCで格ゲーを続けていたラヴズオンリーユーとアーモンドアイの二人は。

 

「どうしよう…こういうのって止めに入ったほうがいいのかしら?」

 

「変に首を突っ込むより、事態が落ち着くまでスルーするのがいいんじゃないかな?巻き込まれても困るし。」

 

二人はそのまま格ゲーを続けることにした。

 

そして間の悪いところでトーセンジョーダンが谷口トレーナーを連れてやってきた。

 

「オッス、ジムかんって、なにこれ修羅場?」

 

すぐに気づいた流が。

「大丈夫ですよ。トーセンジョーダンさん、ハカタコマチ教官が用があると。」

 

「この空気で私に振ると!?」

 

「要件は早く終わらせたほういいですから、私はカフェに用がありますので。」

 

流はマンハッタンカフェの前に立ち、手首を掴んで引き寄せた。

 

「物投げられたぐらいじゃ怒る気はないと言うか、いたずらされるような隙を見せて疑われるような俺が悪いから、カフェは悪くない、というわけでちょっとこっちこい、ハカタコマチ教官とトーセンジョーダンさんは私に構わず続けてください」

 

流はマンハッタンカフェの手を引いたまま管理人室へ入って行った。

 

「え・・・なにこの状況・・・マジ意味わかんないんだけど。」

 

「引き金引いちゃったのは私だけど、どうしてこうなっちゃったのよ。」

 

「でもまあ、ジムかんはマジ変なやつだけど、変なことはしないからだいじょぶじゃね?変なことしたならシチーとユキノちゃん呼べばいいし、コマチ教官はなんのよう?」

 

流と少し交流があるトーセンジョーダンはこの状況を考えない事にすることにして教官と話すことにした。

 

 

「このタイミングでいうのもなんだけど…ジョーダンさん、爪の事に気付けずにやる気がないとかサボってるとか、貴女を傷つけるような事を言ってしまって本当にごめんなさい。」

 

「あー・・・その事?皐月賞勝てたんだし、爪のことで不貞腐れてたあたしも悪いんだし、教官もずっとこえかけてくれたし気にしないでよくね?謝られるよりは祝ってもらったほうが嬉しいし。」

 

「そう言ってくれると私も気が楽になるわ、皐月賞本当におめでとうジョーダンさん。トレーナーさんもおめでとうございます。」

 

谷口トレーナーも一礼して

 

「ありがとうございます、一番ジョーダンを気にかけていたのは教官さんでしょう。俺が彼女のトレーナーになったときに彼女のデータを纏めてくれたりしたじゃないですか。」

 

トーセンジョーダンとハカタコマチ教官が達が和やかな空気になってきた横でトウカイテイオーとシンサックは

 

「ジムかんのどうしたらいいのかな?」

 

「マンペイライ!私たちは関係です、こういうときは気にせず逃げればいいのです。」

 

「ジムかん刺激したのはシンサックさんじゃん。」

 

「ま、だいじょぶでしょう、カウンターに行きましょうテイオーさん。」

 

 シンサックはカウンターでコーヒーを楽しんでいるスティルインラブと大庭トレーナーのところへ逃げていった。

 

 

トウカイテイオーはシンサックはジムかんの師匠であると実感した。

 

 

 直後見計らったように、タイミングよく扉が空いた。実際、管理人室は部屋の中の音は一切外に漏れないようになっているが、遮音材と吸音材の組み合わせで外の音は聞こえるようになっている。

 

「お話は終わったようですね。」

 

 流はいつも通り淡々としているが、マンハッタンカフェは顔を赤らめながらも上機嫌で、英語の文章が印刷された細長い箱をと複数の高級豆入りキャニスターの入った袋を大事そうに抱えていた。

 

「もう、本当に・・・わがままで強引なんですから・・・流さんは。」

 

「こっちのはなしは終わったけど。ジムかんカフェに変なことしてないよね?」

 

マンハッタンカフェの様子をみてトーセンジョーダンは流にといかけた。

 

「変なことはしてませんよ、両親が若い頃、喧嘩をしていたときに父が母と仲直りするときにしていた事をカフェにやってみただけです。」

 

「そっか、なら問題なくね?」

 

「いや、問題だらけばい!たづなさんがしったらすっ飛んでくるやつやなか!」

 

「私の部屋の防音性能は完璧ですからね、証拠がなければ悪魔の証明にしかなりませんよ。」

 

「悪魔の証明っつっても、状況証拠バリバリやんね!」

 

「貴女が見なかったことにすれば、何にありませんね。」

 

「まあよかと。今回はジョーダンさんのことがあるけん、見なかったことにしとくばい。カフェさんを泣かしたり傷つけるようなことはせんといてくださいね。」

 

「肝に銘じておきます、昼には早いですがなにか食べていかれますか?軽食なら作れますよ。」

 

 

「えらか話とんだばい!?カフェさんこんな男でいっちゃと?」

 

「ええ・・・流さんはこれが普通ですから。」

 

「まあいっちゃけど、他の人の好みに口出すつもりはなかき、お幸せにね。」

 

ハカタコマチは深くため息をついた。




何時も読んでいただきありがとうございます、ここ最近色々あって投稿できるモチベーションではなかったのですがようやく回復してきました。

またよろしければお付き合いください。
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