ISに乗れるらしいので欲望のまま使い倒したいと思います   作:ラウラペロペロ部部長

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第14話「発砲」

 放課後、管理人室でパソコンゲームをしていたのだがどうも身が入らない。ユーロファイター……もといタイフーンやF-4に乗れるエースコンバット7とかいう神ゲーな。圧倒的旋回性能で敵を圧倒する快感よ。

 

 でも、何か楽しくない。いや、楽しいは楽しいのだが物足りない。具体的には何時も俺を背もたれにしているラウラが居ない。

 

 というか何しても隣に、近くにラウラが居ないというだけで違和感を感じる。

 

 1週間とそこらでこんなことになるなんて、俺もラウラの事言えないな。うん、やっぱり似た者同士なんだな、俺とラウラって……どちらかと言うと、似て来たの方が正しいかもしれんが。

 

「はぁ……楽しくねぇなぁ……暇だなぁ」

 

 勉強でもすればいいのだろうが、生憎俺は勉強が大嫌いだ。世界史とか何が何だか全く分からねぇ。コンキスタドールとか日清戦争とかマジで分からない……日清戦争とか小学生で習う事じゃないと思うの。

 

 暇だ暇だと思っていると、ふと管理人室の小窓から簪が視界に入った。今日も今日とて1人で一生懸命にISを作っている。おじちゃんああいう頑張ってる若い人を見ると涙が出て来ちゃう。

 

 うん、暇だし作ってるところを見せてもらおう。一応戦闘機の整備員やってたし、クソ両親の手伝いしてたからISにもある程度詳しいしね。アドバイスできるかもしれん……マジでヤバいところ以外はアドバイスしないけども。

 

 管理人室を出て、格納庫を歩く。遠目にISの整備をしている生徒が何やら爆発させたのを見て少しだけ身震いする。明日は我が身だからな、ブリッツを整備するときは気を付けよう。

 

「やっほ、暇だから見てて良いか?」

「好きにして……」

「あんがとね~」

 

 そこら辺に置いてあったパイプ椅子を引寄せて、座る。一瞬嫌な音がしてヤッベと思ったが無事に座れたので良しとする。これで、椅子がぶっ壊れて後ろに倒れてたら滅茶苦茶ダサい男になるところだった。

 

 カタカタと凄まじい勢いでコードを書いて行くのをボーッと眺める。なんと言うか、ASMRとか言う音声作品の需要に改めて気づかされるね。ラウラの寝息とか録音して寝るとき聞きたいな~とか一時期思ってたし。

 

 改めて考えるとかなり変態なんだよなぁ、俺。

 

「…………」

「………………ふぅ」

 

 数分か数十分か……少なくとも10分は経った頃、簪が一息ついて体を伸ばす。ひと段落着いたのだろうか……お茶でも淹れて来ようかな?

 

 一応紙コップとインスタントは持ってるし……職員室で「ストレスを減らせるから飲んでね?」って分けてもらったからね、それはもう沢山ある。お湯は管理人室の水道とポットで沸かせばOKだしね。

 

「淹れるかねぇ……」

 

 いよっこらせと立ち上がって、管理人室へと足を進めようとしたタイミング。ギリギリ立ち上がっているか座っているかどっちが正しい表現なのか分からないタイミング。そんなタイミングで、こちらに向かってくる3人組の姿が目に入った。

 

 そしてその3人組はこちらに真っ直ぐ向かってきている訳で……とりあえず一言。正気なのか? お前ら3人って十中八九あの偽新聞の犯人だろ!? 何か余計なことをしたら、新聞とかその他の証拠を集められるかもしれないんだぞ??

 

 クソ度胸かよお前ら。

 

「あはは、本当にこんなジメジメしてる所に居るんだ」

「ナメクジみたいね~」

「ね~?」

 

 無視だ無視。こういうのは無視が一番だってネット掲示板で学んだ。

 

 再びパイプ椅子に座りなおして目を瞑って3人衆の言葉を無視する。無に集中するというちょっと意味の分からない事をすれば、耳の神経を切ったんかってくらいに周囲の音が聞こえなくなる。

 

 これもしかしなくてもブリッツが何かしてるな? 集中するのを止めても聞こえないし。

 

 そういや前に「気をきかせて悪口は聞こえないようにしてくれ~」みたいなことを言った覚えがある。ブリッツ君はきっとそれを聞いて改善してくれたんだろうな……ISに意識があるって言うのも信じざるを得ないですよこれは。そもそも信じてたけどもね、学校で教えられることだし。

 

 無音の世界でのんびりと思考を楽しんでいると、ふと、唐突に音が戻って来る。

 

「アンタの護衛のあのクソ女。織斑くんにかまってちゃんしてるの本当に醜いわよね」

「分かるぅ~~! 自分の見た目に自信過剰だよねぇ。あんなチビで眼帯なんかしてるのに! 絶対眼帯の下はブッサイクな傷まみれだよ! コイツみたいに火傷とかしてるんじゃない?」

「ありそ~! やっぱりかまってちゃんな性格ブスだから絶対にそうだよ!」

 

 撃つか、と思ったときには、目の前の3人の内1人が腹を、1人が腕を撃ち抜かれて倒れていた。

 

 うん、あれだ、ジョジョのプロシュート兄貴で言う所の「ブッ殺したなら使ってもいいッ!」ってやつだな。考えるよりも先に体が動くようにしろとか言う意味のはずだ。まぁ、いくらギャングでも殺してやると考えた時には殺しているってヤベェ考え方だと思うんだけどね。少なくとも俺みたいな一般ドイツ軍人が持つべき考え方ではない。

 

 さて、現実逃避終わり! 撃っちまったよどうしよう(後悔)。

 

 撃たれた2人は痛みで悲鳴を上げて、1人はアワアワとしている。うーんこれで一気に俺が悪者って訳だな!

 

 ……いや、ブリッツを展開して見る限り監視カメラの類は全部跳弾で破壊した上で撃ったみたいだし、弾丸も貫通して地面に落下している。

 

 リボルバーには当たり前のようにサプレッサーが装着しているので音に関しても安心だ。

 

 目撃者は……居ても早撃ち見えてないだろうからセーフか。よし、俺がやったって言う証拠は出てこないから俺は相変わらず被害者のままだ。

 

 よかった、性犯罪者と殺人未遂犯のゴミクソダブルコンボを食らうことにならなくて。

 

 等と、ふざけたことを考えているといつの間にやら目の前で悲鳴を上げていた3人は消えて、血溜まりとポツポツと血痕が残っているのが見えた。

 

 ちょっとだけ、意識の連続性が途切れている気がするのは、多分精神的に疲れているからだろう。なんせラウラの事を悪く言ったからって撃ったのだから。

 

 敵や獲物を殺すことには慣れていたと思っていたが、どうやらそうでも無かったらしい。

 

 シカを撃つのと人を撃つのは、やっぱり結構違うんだなって。

 

「え、ええっと……」

 

 やっべ、簪を忘れてた……うーんこれはアウトかな? いや、しらばっくれよう!

 

「いやぁ、急に眼の間で血が噴き出るからビックリしたぜ……怪我無かったか?」

 

 地面に落ちた3つの弾丸を拡張領域に格納して、努めて笑顔で簪に言う。これ滅茶苦茶怖いだろうなぁ……嫌われちゃいそうだなぁ……最も上手くしたいけど、これ以上思いつかない俺はやっぱりこうするしかないのよね。

 

「……私でも、もし本音がこんなこと言われてたら撃ってたと思うし。その、私は何も言わないから……」

「なんのことだか分からないが……まぁ、ありがとう。なんのことだか分からないがな!!」

 

 なぜか許されたので予防線を張りまくって感謝する。恐らく、破壊される直前の監視カメラの映像的には、座っている俺の目の前に居る2人衆が急に背後から撃たれた……って感じに見えるだろうから大丈夫だろう。

 

 それに、ちょっと特殊な撃ち方をしていたらしいので銃弾で傷付けられたようには見えない傷になっているだろう。現に弾丸は2人を貫通していたしね。

 

「なんのことだか分からないが、お礼はしよう……スラスターの設定の265行目、ちょっと弄らないとマズいぞ?」

「え……っ!?」

 

 先程ボーッと眺めてる時に気になった点を指摘して、後は知らねぇとパイプ椅子を片付けてから管理人室へ向かう。結構良い時間だし、寝よう。

 

「あ、本当だ……ええと、あ、ありがとう!」

「良いってことよぉ!」

 

 管理人室の扉を開けた瞬間、後ろから聞こえた感謝の言葉に答えてから、管理人室へと入り扉を閉めた。

 

 さぁって、明日か今夜か……事情聴取とか面倒臭い事になるぞぉ! クソがよぉ!(自業自得)

 

 

 

================

 

 

 

 監視カメラ程度の性能では捉えられない速度で、3人衆の内2人が撃たれた時、人知れず格納を覗く2人の影が居た。

 

 1人は友人が作った新聞を全て剥がされた挙句、偽新聞を貼られて一時期とてつもない風評被害を被らされた為にちょっと本気で動いている生徒会長こと更識楯無。

 

 もちろんだが、妹に近付く怪しい男を見張る目的もある。

 

 もう1人はやはりというか番のラウラである。昨日の1件から精神不安定なラウラは、3人が撃たれたことは気にも留めずに、ひとすらに簪と八雲の関係を考える。

 

 どう見てもただの友人だし、八雲がラウラ以外を愛さないのも知っているし、なんなら確信している。

 

 それに簪はラウラのルームメイト(殆ど帰ってない)で特別仲の良い友人だ。そんな2人が浮気とかそういうことをしていないのは百も承知である。

 

 しかし、面白くないというかモヤモヤするのは当然だ。だが、ずぅっとラブラブイチャイチャしていたラウラとっては初めての感覚。

 

 今すぐにでも八雲に抱き着きたいし、喋りたい。でも、1歩格納庫に入る勇気すら出ない。

 

 やがて、ラウラは1人で八雲の寮の部屋(ドア補修済み)に入り、最低限の着替えだけ済ませる。

 

 そして、八雲のパーカーを着て、ベッドに飛び込んで八雲の匂いに包まれて、初めて感じる胸の痛みと自分が1人ボッチだという事実に涙を流しながら、眠りに就いた。

ラウラは

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