ISに乗れるらしいので欲望のまま使い倒したいと思います   作:ラウラペロペロ部部長

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第2話「IS学園」

「えーっと、ドイツからの2人は後から来るから……はーい、皆さん揃ってますねー! 朝のSHRをはじめますよー!」

 

 黒板の前でにっこりと微笑んで言うのは、IS学園1年1組の副担任である山田真耶。身長に見合わぬ胸を持つ彼女のスーツは主に胸の部分がパッツパツである。

 

 そんな彼女は努めて明るく振舞うが、生徒たちは一言も発さない。それもそのはず、1組には世界中で話題沸騰中の世界で唯一ISの適性を持つ男性である織斑一夏が居るのだから。

 

「それでは皆さん、1年間よろしくお願いしますねー!」

 

 再び、彼女が務めて明るく声を出すが相も変わらずクラスの女子は一夏に釘付けで、一夏は自身に集中している視線の圧で身動きすら取れない。蛇に睨まれた蛙とはまさにこのような感じなのだろう。

 

「じゃ、じゃあ出席番号順に自己紹介をお願いします」

 

 空気の異質さに動揺しつつも、しっかりとするべき事をする彼女は教師の鑑だなぁ、と一夏は思う。

 

 正真正銘男が自分以外存在していない空間。数年ぶりに再会した幼馴染にすら顔を背けられた。恐らく、有史以来一番アウェイな環境に置かれた人類は自分であろうと一夏は思う。

 

 そんなことを一夏が考えている間に、クラスメイトは続々と自己紹介を終えていく。程なくして、一夏の番がやって来る。”オ”リムラなので比較的番号順が早いのは当然だろう。

 

「では次は織斑一夏くんお願いします」

 

 現実逃避のために意識を至高の海に沈めている一夏に、彼女の声は気付かない。まさか自分は無視されているのでは? 等とナイーブな考えが頭に過った真耶は少々焦りながら数度、一夏に呼びかける。

 

「織斑一夏くんっ!」

「ッは、はいっ!!」

 

 自分を呼ぶ声に気付き、焦りながら大きな声で返事をする一夏。そしていきなり大声を出した一夏にビビる真耶。この瞬間だけを切り抜けば気弱な女性教師を怖がらせる不良男だ。

 

 突然大声を出した自分に謝り倒す真耶を落ち着かせてから、一夏は自己紹介を始める。

 

「えーっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

 無難な挨拶(決して自己紹介とは言えないレベルだが)をした一夏をクラスの女子は期待の眼差しで凝視する。そんな視線とまだまだ冷たい春風に背筋を震わせながら、一夏は覚悟を決めた。

 

「――以上です!」

 

 ズコーッっと吉本新喜劇かのように崩れ落ちる数名の女子。ここは大阪だったのかぁ、等と現実逃避をしながら席に座ろうとする一夏。そんな一夏の脳天めがけて振り下ろされたのは彼の姉である織斑千冬の持つ出席簿である。

 

「げぇっ、関羽!?」

 

 再び空気の爆ぜる音。出席簿と人間の頭から鳴ってはいけない音が出ている気もするが、一夏は頭を押さえる程度で済んでいる。慣れているのだろう。

 

「誰が三国の英雄か、馬鹿者」

 

 溜息を吐きながら、言う千冬に一夏は混乱する。なぜ職業不定の姉がここに居るのだろうか? その疑問は真耶によってスピード解決した。

 

「あ、織斑先生。お2人はいらっしゃったんですか」

「ああ、山田先生。色々と押し付けてしまってすまなかったな」

 

 一夏に向けたトーン低めの声とは違い、優しい声で言う千冬。だがそんな優しい声はすぐさま、四捨五入すれば音響兵器の仲間入りを果たすであろう女子の黄色い声に搔き消された。

 

「キャー――――――――――――――! 千冬様、本物の千冬様よーーーー!」

「カッコいいーーーーーーーーー!」

「私、お姉さまに憧れてこの学園に九州から来たんです!」

「プロ同士多くは語らない。千冬様良いよね」

「良い……」

 

 その声量たるや、廊下で待機していたドイツ軍人2人組が顔を顰めるほどの声量であった。

 

「……毎年、よくもこれだけの馬鹿者が集まるな。いや、私のクラスに集めているのか……?」

 

 鬱陶しそうに千冬はボヤく。きっと我々には有名税と言う物なのだろう。

 

 キャーワーグヒヒと叫び声をあげて盛り上がる女子達を前に、千冬は一夏に話しかける。

 

「で、お前はマトモに自己紹介も出来んのか?」

「いや、千冬姉、俺は――」

「織斑先生と呼べ」

 

 3度目の空気の破裂音。人間は頭を叩かれると5千個近い脳細胞が死ぬと言われているので今日だけで一夏の脳細胞は1万5千個以上死に絶えただろう。

 

 そしてさらに最悪なことに、織斑という苗字と今のやり取りでクラスの女子は千冬と一夏が姉弟であると確信する。

 

「まさかとは思ってたけど織斑君って千冬様の弟だったんだ……」

「ってことはISを動かせるのもやっぱり……?」

「プロ同士多くは語らない、姉弟って良いよね」

「良い……」

 

 今度はヒソヒソと話を始める女子達。それを意にも介さず千冬は声を張り上げる。

 

「ちょっとした都合で少々遅れた者が居る。よし、入れ」

 

 ガラララッっと扉を開けて入ってきたのは一夏と同じような男子用の制服を着て、一夏と同程度の身長で、マスクとサングラスを着けて、黒い生地に白い糸で兎が模られた帽子を被った男であった。

 

 そう、男である。

 

「お、男……?」

「おう、そこの君、正解だ」

 

 思わず呟いた扉に近い女子にそう答える男、我らが主人公八重之(ヤエノ) 八雲(ヤクモ)である。

 

 再びの音響兵器。それもそうである、なんせ、現時刻を持って全世界に情報が公開された八雲の登場は、彼女達にとっては超ド級のサプライズだ。

 

「王道イケメンの織斑君とは違ってミステリアスな雰囲気!」

「あの兎の帽子がギャップ萌えぇ~~~~!!」

「ぐふふふフフフフ腐腐腐腐腐腐……」

 

 再びの音響兵器に一夏は勿論八雲も耳を塞ぐ。サングラスとマスクのせいで掌と耳に隙間が出来ているため完全に防御出来ていない八雲へのダメージはかなりデカい。

 

 そんな中、八雲の後に続いて入ってくるのは、八雲の肩程の身長の女子であった。美しい銀髪に、雪のように白い肌。そんな彼女の登場に教室はシィーンと静まり返る。

 

「では2人とも自己紹介を」

「はい。じゃ、俺から……八重之八雲だ、趣味は射撃と狩りを少々。特技はリボルバーの射撃と柔軟。一応ドイツ軍の所属になっているが気にせずよろしく頼む。それと、俺とラウラは――いや、すまん以上だ」

「同じくドイツ軍所属のラウラ・ボーデヴィッヒだ、八雲の護衛として学園に来た身だが、学友として普通に接してくれると嬉しい。よろしく頼む」

 

 2人の自己紹介が終わった瞬間、一夏が驚愕のあまり叫び、納得の表情をした篠ノ之箒が呟く。

 

「八雲先輩もISにィ!?」

「やはり八重之先輩だったか……」

 

 幼馴染2人がそう叫んだ/呟いたタイミングで、ちょうどSHRの終わりを告げるチャイムが鳴る。

 

「ふむ、では後の自己紹介や質問は休み時間にでもすると良い。だが、授業の準備が出来ていない等という事が無いようにしろ。それで2人はあそこの開いている席に座れ」

「了解しました教k――織斑先生」

「うぃっす」

 

 遅れてきた2人が席に着く。では授業を始めようか、と千冬は教卓に立った。

 

 

 

================

 

 

 

 最初の授業はオリエンテーションと授業が少し、2時間目はそこそこガッツリ授業があった。クソ両親がISの技術者である俺としては楽勝の2文字の授業だったな。それは、ある程度自分でISの修理や現地改装が出来なければならないラウラも同じだったようで余裕の表情である。可愛いなお前。

 

「いやぁ、余裕余裕。俺ってば天才だぜ」

「あまり調子に乗っていると足元を掬われるぞ」

「安心しろ、どちらかと言えば掬う側だから、俺」

「そういうところだぞ?」

 

 いつも通りラウラと雑談をしていると、我が後輩であり前世の宿敵(設定)の織斑一夏が何やら覚悟を決めた顔でこちらに来ているのに気が付いた。そういえば1時間目と2時間目の間の休み時間に箒と2人っきりでどこかに行ってたよなお前。俺がドイツに行った後に進展したんか?

 

「えと、お久しぶりです八重先輩」

「おぉっと、やけに固いじゃないか兄弟? 昔みたいに『八重センパイあそぼ―!』ってな具合で来て良いんだぜ?」

「い、いやぁ……俺も一応もう高校生なんで」

「うん、真面目な話をするとね、17歳の俺が高1に居る状態で敬語を使われるとね、かなり痛むんだよ、心が」

 

 いくら俺が強化ガラスメンタルを持つとは言え留年と言う恐怖の対象を現在進行形で疑似体験するのは辛い。雨垂れ石を穿つと言う様に強靭なメンタルもストレスで粉砕されちゃうかもしれないからさ。

 

 今だって俺が17歳だという事実にヒソヒソしているクラスの女子から大分ストレスを受けてるんだから。

 

「分かりました……じゃなくて分かった」

「よぉし。んで、どうしてそんな覚悟キメた顔で来たんだ?」

「えっと……俺に勉強を教えてくれ!」

 

 ああ、そういえば一夏お前授業中に予習して無かったとかなんかで織斑先生にシバかれてたな。まぁ、頼れる先輩としてここは答えてやらねばな。

 

「もちろん、俺なんかで良ければ喜んで教えよう」

「よしっ、ありがとう! 何かお礼はする」

「おう、楽しみにしてるぜ!」

 

 とりあえず今日の放課後は色々と忙しいだろうから、と明日の放課後にでも勉強しようぜと約束する。そんなこんなで旧交を温めていると、無粋な輩がやって来た。

 

「ちょっと、よろしくて――」

「よし、一夏トイレに付き合え連れションに行くぞ!」

「お、おう?」

「ちょ、ちょっと!? ……人が話しかけているのに無視して。これだから男はッ!」

 

 話しかけてきた金髪女子を見る。なるほど、この時代らしい女だなぁと思いつつラウラの様子を確認する。俺のことを悪く言われたのだから何かしらなってそうである……うわっ、音も無くシャーペンが潰れてる。割れてるとかじゃなくて潰れてる。これ早く帰ってこないとなぁ。

 

 

 

「3時間目は実戦における……いや、その前にクラス代表を決めなくてはな」

 

 おっと、来たぞ日本VSイギリスの代理戦争だ。

 

「クラス代表と言うのは……まぁ、他校で言うクラス委員長のようなものだ。IS学園の場合はそれに加えてクラス対抗戦に出場してもらう。自薦他薦は問わない、誰かいないか?」

 

 ちなみに俺は参加する気である。理由は絶対に面白いから……面白ければ何でもやるのが俺である。この精神で生きてきた結果同級生からは聖人とか呼ばれてたけど人助けが楽しかっただけだから……楽しければ犯罪行為もするしね。

 

「はい! 織斑君を推薦します!」

 

 え!? 俺ぇ!? と言った感じの表情の一夏が視界に入って思わず吹き出す。クッソ良い表情してやがるぜアイツ。

 

「じゃあ、俺は俺を推薦します」

「ふむ、では私も私を推薦しよう」

 

 ドイツ軍×2参戦である。織斑先生の顔が一瞬めんどくさそうになっていたのを俺は見逃さなかったぞ? まぁ、掃除が出来なかったりするあたり本質的には面倒くさがりなんだろうな、織斑先生は。

 

 クラスの空気は男が代表になるかもしれない! と言う風に沸いている。しかしどんな場所にも空気の読めないバカは居るものだ。ああ、今しがた確定でクラス代表候補の辞退を織斑先生に却下された一夏ではなく。

 

「ちょっと待ってください、納得がいきませんわ!」

 

 女尊男卑に染まり切った金髪女子である。よし、レスバしよう。

 

「別にお前の納得はいらないけどな?」

「なっ!? ……ですが、そのような! 男がクラス代表だなんて、そんなのいい恥さらしですわ」

「……」

「ラウラ、ステイ……なるほどねぇ、恥さらしか。どうしてだ? 知らないかもしれないが日本語はしっかりと理由まで言わないと他人を説得できないんだ」

 

 無言で俺の腰にある()()愛銃を抜こうとしたラウラの手を握って止める。脅しの道具に実銃を使おうとするんじゃないよ正規ドイツ軍人。

 

「そんなもの男が女に劣っているからですわ!」

「ふぅん、どこがだ?」

「そんなもの、ISに――」

「ISに乗れないからなんて言うなよ?」

 

 ピタリ金髪女子、セシリア・オルコットの言葉が止まる。どうせなら、次にお前はッ! ってジョセフの真似でもしておけば良かったと思う。

 

「今、この状況でISに乗れる乗れないは関係ない。なんせ俺も一夏もISの適性があるからこの学園に来ている……まさか、イギリスの代表候補生であるセシリア・オルコット嬢がそんなことを忘れている訳もないが……」

「…………ですが! 実力で言えば私が代表になるのは当然! なにせ代表候補生なのですから」

「そうか、奇遇だな私も代表候補生だ」

 

 ラウラ!? 俺ステイって言ったよね????

 

「……ええ、分かりました。私の完敗です……ですが、納得できないのは依然変わりありません! ですので私も私を自薦します!」

「ふむ、他には……居ないな。では1週間後にISの試合で決めることにする! ルールはタッグ戦の後に勝利したタッグで決勝を行う」

 

 なるほど、IS初心者の一夏への配慮だな。恐らく、ドイツ軍人(仮)としてある程度の訓練を受けた俺とは違って、一夏はISに関しては素人も素人。だから経験のあるラウラやセシリアと組ませて少しでも経験を積ませようという訳だな。

 

 織斑先生ってば弟思いなのね。

 

「タッグは……織斑と八重之、ボーデヴィッヒとオルコットにするか。では授業を始める」

 

 うーんラウラの表情が面白いことになってら。まぁ、俺も酷い顔だろうけど。

 

 だってねぇ……一夏の白式は勿論だが、俺の専用機ってばラウラと相性がゴミなんだよなぁ。これ無理ゾ、もう助からないゾ。

 

 ……よし、真面目に授業を受けるかぁ!(諦め)

ラウラは

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