ここ、文月学園では成績ごとにクラス分けが行われる。そして成績上位者は優秀な設備で授業を受けることができるのだが。三階に来てまず目に入るのはとても大きな教室だった。教室というより本当に高級ホテルのロビーである。そうこれがAクラスの設備である。
システムですくら個別ノートパソコン、個人エアコン、冷蔵庫、リクライニングシートなど最新設備を貰っていることもあり、本当の意味でご褒美的なものであろう。どれだけの設備を投資したのだろう。
まぁ目に付くということはこれを目標に勉強を頑張れということでもあるのだが。
そして俺は最底辺のFクラス。当然差があるとは思っていたけど…。
Fクラスの教室前まで来たのはいいが、二年F組と書かれたプレートに至っては素材が腐っていて、折れ曲がっている。中に入ると畳は傷んでおり、ボロボロなちゃぶ台、さらには隙間風が漏れている。
「まぁ、仕方ないか。」
成績が悪かったのが問題だしなぁ。まぁ、鉄人の言う通り正直Dクラスは狙えたのは事実だ。
ただし数学が今回採点の厳しい木内先生であったり、文系でもかなり取れた問題を落としたのだから自分の実力だろう。
「はぁ、流石に理系でも50は取らないと厳しいか。」
「ん?ってなんだ。圭吾か。ため息吐いてないで入ったらどうだ?」
「ん?雄二か。」
どうやら大きな体格である雄二をに気づかないくらいになっていたようだ。
「つーか、お前Fクラスなのか?成績そそこまで悪くなかった覚えがあるんだが。」
「まぁ、下振れを引いたこともあるんだけど、理系が全滅してる。総合ぎりぎり900点超えてるか超えてないくらいじゃないか?」
「それなら、多分俺の次だろうな。代表の俺がそれくらいだから。」
「…あー雄二が代表かぁ。」
「どうした?」
「なんか騒がしくなりそうだなぁって。どうせアキやヒデ、康太もこのムッツリーニもこのクラスだろ?」
「後私もいるわよ。」
「島田もか。」
本当に仲のいいやつ固まってるんだな。ポニーテールの少女は島田美波、ドイツからの帰国子女でありながら、昨年日本語を教えていたこともあり何かと縁がある。どちらかといえば恋愛感情というよりも良くも悪くも女友達として仲がいい。
「まぁ、去年のメンバーってところか。」
「そうね。でもこれからどうするの?」
「さぁな。試験召喚戦争を仕掛けるんなら早めだと思うけど。」
「?そうなの?」
「まぁ、こういったことは早めにやっていた方がいいだろ相手がシステムに気づくまでにな。というよりもこの教室のままって嫌だろ。」
「確かにね〜。このままだったらのうのう。このままでは体調を崩してもおかしくはないのじゃ。」
「おっ。ヒデ。おはよう。」
どちらかといえば男性というよりも女性の格好をに似ているがれ歴とした男性ののヒデこと木下秀吉におれは俺はいつもどいつも通りの日常が始まっなぁと苦笑してしまう。そして暫く3人でで話していると
「すみません、ちょっと遅れちゃいましたっ♪」
「早く座れウジ虫野郎。」
うん。いつも通りだ。俺は苦笑してしまう。
まぁ今年も騒がしくなりそうだなぁととおい遠い目をしながらその2人を見るのだった。
自己紹介はなるべく普通の自己紹介で済ませ、そして暫く聞いていた。まぁ島田があ明久を殴ることが趣味と言ったり、明久が渾名を、ダーリンと呼んで下さいといって男子率95%のクラスからダーリンという男性野太い声が聞こえてきたくらいしか見所はなかった。
そんな中で淡々とし自己紹介が続いていると
ガラガラッ
「す、すいません……遅れました……。」
扉の方からピンク色の髪の長い女子生徒が入ってくる。その姿に俺はポカンと口を開けてその姿をじっと見てしまう。
「おや、ちょうど良かった。今は自己紹介をしている所なので姫路さんもお願いします。」
「は、はいっ。姫路瑞希といいます。宜しくお願いします。」
「あのっ! 質問させて下さい!」
俺は真っ先に手をあげる。すると姫路さんと呼ばれた生徒は少しだけ驚いたようにしていた。
「はい? 何でしょうか?」
「どうしてここに居るんですか!?」
失礼極まりないが俺以外にもこの質問は気になった人はいるはずだ。
成績は俺達と比べると本当に地と山くらいに成績差があるはずなのだが。だが失礼とかそんな考えはないのか姫路は答える。
「えっと、試験中に熱を出してしまいまして、途中退席で0点扱いに……。」
「あれ?再試験とかもないのか?先生。」
「えぇ。この学園は体調管理も実力のうちですからねぇ。」
「マジか。あと不愉快にさせたらごめんな。」
「いえ。」
俺が座ると姫路は軽く笑いながら話してくれた。思っていたよりも優しい性格なのかもしれない。
『そう言えば俺も熱の問題が出たせいでFクラスに……』
『ああ、アレは難しかったな』
『実は俺は弟が事故に遭ったって聞いて実力を出し切れなくて……』
『黙れ一人っ子』
『前の晩、彼女が寝かせてくれなくて……』
とか言っているバカは置いといて。つまり試験召喚戦争が起こった時の第一戦力になりゆるだろう。
「まさか姫路がこのクラスだなんて。さすがに驚いたな。」
「そうじゃのう。まぁ体調不良なら仕方ないのかのう。」
秀吉も初耳だったのか驚いていたらしい。
まぁ、俺は補充試験を正直このあと受けることになるだろう。少しだけ笑みがこぼれてしまう。
「……面白くなってきたじゃん。」
「えっ?」
姫路という起爆剤がいる以上雄二が動かないはずがない。
そしてその通りになった。
「坂本君。あなたで最後です。自己紹介をお願いします。坂本くんはこのFクラスの代表でしたよね?」
「ああ。」
雄二はゆっくりと立ち上がり、教室の前まで進む。
そして、全員の注目を集めるように教卓をバンと叩く。
「さて、俺がこのFクラスの代表を任された坂本雄二だ。俺の事は坂本でも代表でも好きなように呼んでくれ。は代表として諸君らに訊きたい事がある。
俺が仕入れた情報によれば、Aクラスは1人1人にシステムデスク、パソコン、エアコンにリクライニングシートが配備され、水は勿論、ジュースの類もドリンクバーで飲み放題。菓子類も食べ放題。さて、それに対して我がFクラスは……。」
と雄二の視線が自分たちの設備に目を向ける。
腐った畳、綿のない座布団、ボロボロなちゃぶ台、窓すら隙間風が空いている始末。
「……不満は無いか?」
そんなの当然だろう。俺ですらこんな教室なんて嫌だ。なので大声で叫ぼう。
『『『大有りじゃぁぁぁあああああああ!!!!!!』』』
クラス中の叫びだろう。
「だろう。俺だってこの現状は大いに不満だ。代表として大いに問題意識を抱いている。」
するとクラスから賛同の声が聞こえてくる。何も言わなかっただけで不満はもとよりあったのだろう。
「みんなの意見はもっともだ。そこでこれは代表としての提案だが、FクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う。」
それが今俺たちにとっての戦争のトリガーになるのだった。