Fクラスだけど、優等生のあなたに恋をした。   作:孤独なバカ

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戦争への一幕

試験召喚戦争…これを略すると試召戦争とも言う。これは、下克上のためのシステムであり、もっと分かりやすく言えば『成績』を可視化することによって、生徒の勉強へのモチベーションを上げることを目的としたシステムでもある。別のクラスへと勝負を挑み、勝てばそのクラスの設備を丸ごと入手でき、負ければ逆に設備のランクが落とされる。そしてその勝負の内容とは『召喚獣』とかいうファンタジー色溢れる代物だ。各生徒は自分の試験の点数に比例した強さを持つ召喚獣を使役し、互いに戦わせる。

そして、相手の代表を撃破すれば勝利というシンプルなルールだ。

当然ながら、召喚獣の強い方が有利、すなわち学力が高い者が有利だ。最低辺のクラスであるFクラスになど勝ち目はまず存在しないように思える。

 

『勝てるわけがない。』

『これ以上設備を落とされるのは嫌だ。』

『姫路さんがいたら何もいらない。』

 

試召戦争をこんなにも早く仕掛けるクラスは俺が知る限りは未だに存在していない。まぁ本当にないから異例だし、リスクも高い。

 

「いや、そんな事は無い!必ず勝たせてみせる!!それにこのクラスには勝てる要素が揃っている。それをお前らに一つ一つ説明してやる。まず圭吾。」

「ん?俺?」

「あぁ。圭吾は理系は壊滅的だが文系はBクラス、特に日本史では学年の五本指から外れたことがない。」

 

文系は上手くいけばAクラス下位くらいには点数が跳ね上がる時はあるがそれでもかなりの上振れを引いた時だ。まぁ日本史に限っては上振れたら学年トップになる時もある。

 

「それと……おい、康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いてないで前に来い。」

「…………!!(ブンブン)」

「は、はわっ//」

「相変わらずだな。ムッツリーニ。」

「「「なんだと!?!!」」」

 

ムッツリーニ。俺がつけた渾名でむっつりスケベから来ている。まぁ実際保険体育が高いこともありFクラス最高点を取れるのはおそらくムッツリーニになるだろう。

 

「姫路のことは俺が説明するまでもないだろう。皆だっても姫路の実力は説明しなくても理解できてるだろ?」

「え?わ、私ですかっ?」

「ああ。うちの主戦力だ。期待している。」

 

これで一応三人か。1教科であれど、Aクラスに対応できるのは。

 

「木下秀吉だっている。」

『おお‥‥!』

『ああ。アイツ確か演劇部のホープで木下優子。』

「当然俺も全力を尽くす」

『確かになんだかやってくれそうな奴だ』

『坂本って、小学生の頃は神童とか呼ばれてなかったか?』

『それじゃあ、坂本の実力は姫路さんと同じくらいかも知れないってことか!』

『つまり、実力がAクラスレベルが二人もいるってことだよな!』

 

あっ最後は精神論なんだ。二人の成績を知っているがヒデは論外、雄二は確か総合950点くらいだった覚えがあるんだが。

まぁ、雄二に限っては頭はいいんだから勉強すればいいのにって思うが。

 

「それに、吉井明久だっている。」

 

……シン---

 

 最高だったはずの熱気は一気に0まで落ちる。 雄二、何故この流れで落ちをつけるな。

 

『誰だそいつ?』

『そんな奴居たか?』

『何かよく分からないけど、バカっぽい名前だな。』

「ん。まぁ観察処分者だろ?アキって。もしかしてそのことか?」

 

俺がいうと観察処分者という名前にみんなから反応を受ける。すると軽く俺の背を叩く人がおり、そこを見ると姫路が首を傾げていた。

 

 

「あの~。」

「どうしたんだ?姫路。」

「すいません、『観察処分者』って何ですか?」

「《観察処分者》。それは学生生活を営む上で成績が悪く、学習意欲の欠ける問題児に与えられるペナルティを表す名称かな。バカの代名詞とも呼ばれるやつでこの学年初めての観察処分者がアキなんだよ。具体的には教師の雑用係だな。特例として物理的な干渉が可能になっている。それで力仕事といった類いの雑用をさせられるんだ。まぁもちろんデメリットもあって少しだけど身体的なフィールドバックつまり召喚獣との感覚を共有しているって感じだな。」

『『『おぉ!!!』』』

 

すると軽く歓声があがる。それは雄二も驚いたようにしていたようで苦笑している。

 

「圭吾詳しすぎじゃない?そしてしれっと僕のことバカにしたよね!」

「いや事実だからな。まぁ物理的干渉がある召喚獣は俺たちが雑用する時になったら重宝するけどな。」

『おいおい。《観察処分者》ってことは、試召戦争で召喚獣がやられると本人も苦しいってことだろ?』

『だよな。それならおいそれと召喚できない奴が一人いるってことになるよな。』

「気にするな。どうせ、いてもいなくても同じような雑魚だ。」

「雄二、そこは僕をフォローする台詞を言うべきところだよね?」

「それなら少しは勉強しろ。」

 

そうならなければこのクラスにならなかったんだからな。

 

兎に角だ。俺達の力の証明として、まずはDクラスを征服してみようと思う」

 

そう言って、雄二は教卓を叩いていい放った。

 

「皆、この境遇は大いに不満だろう?」

『おおーーっ!!』

「ならば全員筆を執れ! 出陣の準備だ!」 

『俺達に必要なのは卓袱台ではない! Aクラスのシステムデスクだ!』

『うおおーーっ!!!』

「お、おー……」

 

士気は十分。最初の目標はDか。まぁいい戦力差だろう。

 

「それじゃあ明久。お前にはDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう。無事大役を果たせ!」

「‥‥下位勢力の宣戦布告って、大抵酷い目に遭うよね?」

「何言ってやがる明久。奴らがお前に危害を与えることなんてない。騙されたと思って行ってみろ。」

 

どうせ暴行されるとは思うけど、俺も行きたくないため黙り込んでおく。

 

「本当に?」

「あぁ、俺を信じろ」

 

まぁそれに騙されるアキもアキだからな。

そして数分後、ボロボロになったアキが戻ってくるのであった。

 

 

「取り敢えずは、このメンバーで作戦会議を行うつもりだ。明久、宣戦布告はしてきたな?」

「うん。一応今日の午後に開戦予定と告げてきたけど。」

「ならお昼食ってからか。」

「そうなるな。明久、今日の昼ぐらいはまともな物を食べろよ?」

「そう思うならパンでも奢ってくれると嬉しいんだけど。」

「こいつ本当に俺が面倒見てない時もこんなんなのか。」

 

食生活に問題があるので俺が時々ゲームを貸し出してもらい夕食をご馳走するなど少し食提供をしている。

 

「えっ、吉井君ってお昼食べない人ですか?」

「いや。一応食べてるよ。」

「‥‥‥あれは食べていると言えるのか?」

「何が言いたいのさ。」

「いや、お前の主食ってよーー水と塩だろうが。」

「失礼な!きちんと砂糖だって食べているさ!」

「…なんで生きてられるんだよ。」

「あの、吉井君。水と塩と砂糖って、食べるとは言いませんよ‥‥‥」

「舐める、が表現としては正解じゃろうな。」

「まぁだろうと思っていたから少し多めに作ってきたけどな。一人も二人もそこまで変わらないし。」

 

俺は少し心配であったため多めに料理を作って弁当に入れてきた。

まぁ予想外なのは少し人数が多いくらいだろう。

 

「あれ?えっと。」

「あぁ。大沢だよ。大沢圭吾。圭吾でも大沢でも好きなように呼んでくれ。」

 

そういえば自己紹介の時はいなかったからな。

高校1年は全く話したことがないから仕方ないだろう。

 

「はい。大沢くんって料理できるんですか?」

「ん?一人暮らしやってるからな。ある程度はできるぞ。」

「ある程度じゃないだろ。お前。俺や明久、康太も料理をするが、一番美味いじゃないか。」

「ウチも料理をする方だけど……あんたの実力には負けるわよ。」

「まぁ、趣味でもあるからな。一応少し多めに作っているからツマミ程度にならいいぞ。」

「何作ってきたのよ。」

「唐揚げ。塩、にんにく醤油、生姜の3種のタレを昨日の晩から染み込ませて今日の朝揚げたやつ。味も三つあるから進むと思ってたけど。ついでにサンチェやレタスで巻いてもよし、白ご飯に乗っけても美味しいぞ。一応自家製のタルタルも作ってあるけど。」

『『『おぉ!!』』』

 

唐揚げは男子にとっては正義である。なので腹ごなしには丁度いいと思ったので少し奮発した。

 

「……なんで同じ一人暮らしでもこんなに差ができるんだ。ま、飯代まで遊びに使い込むお前が悪いよな。」

「し、仕送りが少ないんだよ!」

「まぁ、少し分けてやるから。」

 

俺が苦笑しているとすると姫路がふと手を挙げた。

 

「‥‥‥あの、吉井君。良かったら明日は私がお弁当作ってきましょうか?」

「ゑ?」

 

姫路の優しい心遣いに明久はポカンとなる。ふむ、手作りのお弁当をアキにか。

もしかしてそういうことか?

 

「本当に良いの? 僕、圭吾以外の固形物を食べるなんて久しぶりだよ!」

「はい。明日のお昼で良ければ」

「‥‥‥ふーん。瑞希って優しいのね。吉井だけに作ってくるなんて。」

 

棘のある言葉でそう言った島田の顔は何か不満げだ。まぁ、島田もアキのことに好意的に見てるからなぁ。

 

「あ、いえ!その、皆さんにも‥‥」

「俺達にも?いいのか?」

「はい。嫌じゃなかったら。」

「それなら島田も作れるだろ?俺も作るからバイキングみたいにして突き合えば?」

「えっ?」

 

俺の提案に島田は驚いたようにしている。

同じ女子力なら競わせた方が面白そうだし、丁度いいだろ。

 

「三人なら全員分作るのにそこまで困らないだろ。どうせ明日には試召戦争終わってテスト漬けだろうし、女子の手料理ってことで全員に振る舞えばいいじゃん。俺はデザート作ってこればいいし。」

「島田さんもいいの!?」

「あぁもう。姫路さんだけに作らせるわけには行かないからいいわよ!」

「ほう。」

 

すると面白そうということで全員が乗り気になる。

 

「それは楽しみじゃのう。」

「なら、お言葉に甘えるとすっか。」

「‥‥‥‥(コクコク)」

「それじゃあ飯にするか。あ〜腹減った。」

 

と言って俺たちは屋上へ急ぐ。本当にさっさと飯を食べようか。

 

 

 

食事が終わり、一息入れた後雑談の後に雄二が気が取り直したように俺たちを向きなおる。

 

「さて、話が逸れたな。試召戦争に戻るとしよう。」

「雄二。気になっていたのじゃが、どうしてDクラスなんじゃ?段階的にするならEクラスじゃろうし、勝負を仕掛けるならAクラスが妥当じゃろう?」

「そう言えば、確かにそうですね。」 

「まあな。当然考えがあっての事だ。」

「ん〜まぁ、やる意味がないからじゃないか?姫路がクラスにいる以上は正直あまり怖さがないんだよなぁ。」

 

俺が答えると雄二も頷く。油断かもしれないが姫路がいる以上正直勝てるだろうと思ってしまう。

 

「あぁ。それにこっちのクラスに圭吾もいるからな。Eクラスだと練習相手にもならないのだろう。圭吾は下振れを引いても文系ならDクラス並はあるからな。、要するにだ。内には幸運にも姫路と圭吾いう戦力がいる。姫路や圭吾に問題の無い今、正面からやりあってもEクラスには勝てる。Aクラスが目標である以上はEクラスなんかと戦っても意味が無いということだ。」

「? それならDクラスとは正面からぶつかると厳しいの?」

「ああ。圭吾だけなら確実に勝てるとは言えない。そこで姫路の出番という事だ。」

「……なるほど。そういうことか。」

 

所謂代表を今回打ち取るのは姫路ってことになるだろう。

 

「あぁ、話を「あの、少し良いですか?」……ん?」

 

俺達は話を戻そうとすると、姫路が手をあげて質問をしたがっている 。

どうしてもこのタイミングでの質問はなにか気になることがあったのだろうか?

 

「はい、姫路。どうぞ。」

「は、はい。あの今回の戦争の理由はなんなのですか?」

「あぁ、今回の戦争した理由か……それはな明久がさっきさっきの話、Dクラスに勝てなかったら意味がないよ?」

 

そのタイミングにアキが言葉を挟む。どうやらアキがきっかけらしい。

 

「負けるわけがないさ。お前らが俺に協力してくれればな。」

 

試召戦争もれっきとした戦争。雄二一人で勝てるほど甘くはないのは分かっている。

 

「いいかお前ら。ウチのクラスは――最強だ。」

 

だけどどこか根拠はない。でも不思議といけそうな感じがするようになるのは雄二の言葉の良さだろう。

 

「面白そうじゃない!」

「うむ。Aクラスの連中をてっぺんから引きずり落としてやるかの。」

「…………(グッ)」

「が、頑張ります!」

「まぁ、目標は高い方がいっか。乗ってやろうじゃん。」

 

打倒A組、史上最大の下克上を目指し俺たちは戦の渦へと向かうのであった。

 

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