機動戦士ガンダム Star sweeper   作:kaichan

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どうも、最近初めの数話と比べてめちゃくちゃ速度が遅くなってる気がする......

あと表紙作ってみました


7話 白の目覚め

7話

 

ガチャン!!!

 

 

ワイヤーが切り離され、物凄い加速をし、カリードの身体にGが掛かる

 

 

 

 

 

カリードの乗るサイコミュ試験用ジム3号機は宙を飛んだ

 

 

カリード

「よし、発進できたなッ」

 

 

そうして私は、飛行が安定したのでスロットルをある程度下げていく

 

 

 

そうしてテスト飛行可能な宙域を出ないように機体を右に旋回させる

 

 

カリード

「うむ...今の所性能はうちのジムスナイパーⅡストライカーと同等ぐらいか、だがあの戦闘のときと比べて旋回は変わらないが速度が出ないな...」

 

 

 

そうしてふと操作パネルを見ると

 

出力にリミッターがかかっていた

 

カリード

「やはりリミッターがかかっていたか、だがこの出力で30%カットされているのか、10%までリミッターを下げるか」

 

 

リミッターをフルカットしたら何処までの出力が出るのか

 

フルカットしてみたいという好奇心と、フルカットした際に起こり得る事を考えるとすこし寒気がしたので今回は10%までにした 

 

 

そうしてスロットルを思いっきり引き、一度逆噴射して急減速し、機体の軽さと減速性能を感覚的に理解した後、思いっきりスロットルを押し込み機体のフル加速をした

 

 

 

 

身体にジワジワと加速Gが掛かる

 

 

 

 

機体からガタガタとGで揺れる音がする

 

 

 

 

加速は終わらない

 

 

 

そうしてまだ機体を加速させつつ機体の旋回を始める

 

 

 

先程とは段違いの速度での旋回の為、先程よりも身体の血液がジワジワと下へ下へと下がっていく

 

 

カリード

「これはこの機体用の対Gスーツが必要なレベルじゃないかッ??.....ノーマルスーツじゃ耐えきれない性能なのかこいつはッ!」

 

 

今まで乗ってきた戦闘機やMSでは体感したことのない性能だった

 

 

そういえばトリアの着ていたパイロットスーツは普通とは違った

 

 

あれはもしやこの機体用の対G機能を持ったものだったのだろうか

 

 

 

 

 

頭の中で辻褄が合った

 

 

そう考えていく内に視界の色調が失われていく

 

カリード

「くそッ...グレーアウトか....だが..まだ...まだ行けるはずだ.....」

 

 

そうして旋回の角度を緩める

 

 

 

 

機体は止める気がないようにまだ加速を続ける

 

 

 

 

カリード

「後少し...後少しで最大出力に達するんだッ!.....」

 

 

 

 

旋回の角度を緩めたにも関わらずGはかかり続け、とうとう視界が暗くなっていく

 

カリード

「くそッ...ブラックアウトだ........クソオォぉぉッ!!!」

 

そうして旋回をやめ、直進に戻す

 

 

その瞬間操作パネルの速度ゲージが最高速度に達したことを知らせるために赤く点滅した

 

カリード

「来た!よし!!逆噴射ッ!!!!!」

 

 

そうして死なない程度に逆噴射をし、減速をした

 

 

 

瞬間的に減速Gが発生する

 

 

ガタガタガタッ!!

 

コックピット内、そしてカリードの身体に加速のときよりも大きな振動が襲う

 

 

そうしてある程度減速をしたところで逆噴射を止めた

 

振動が止まる

 

 

 

 

 

カリード

「恐ろしい性能だったな.....殺人的な性能といっても過言ではない...まだリミッターが10%も残ってるなんて...本当にあのトリアにこの機体を乗りこなせるのか?...」

 

 

 

 

 

そうして最後に機体の操作性を確かめるためにインメルマンターン等の空中戦闘機動(ACM)を行い機体の性能を確かめた

 

 

 

 

機体の性能に対する恐怖感とトリアという少女がこの機体に乗っていたという事実

 

あの少女がこの機体を本当に操れるのだろうか

 

 

疑問の解決のために乗ったのに疑問は深まるばかりだった

 

 

 

 

ザザッ

 

機体を止めそんな事を考えていると

 

 

エイハブ

「こちらエイハブ・マッドナーです、聞こえますか?」

 

無事に飛行している様を見れてホッとしたのか、元気さはあるが、冷静な喋り方をしていた

 

カリード

「こちらカリード・ベルデだ、聞こえるぞ」

 

しかしこっちは身体に負荷がかかったことと、疑問が更に闇の奥へと消えてしまいそうになり、あまり良くはなさそうな様子とはだった

 

エイハブ

「その機体の通信システムは大丈夫そうですね、所で機体はどうですか?」

 

この機体の感想を聞きたくてしょうがない様子だった

 

カリード

「すごい性能だ、だがこの性能ではこの機体専用の対Gスーツが必要になる、まるで殺人的な性能だよこいつは」

 

カリードはあまり「殺人的」のような言葉を使うことは滅多にないが、その言葉を無意識的に言っているのに対して、エイハブは本当に[殺人的]な性能を持っていることを察し、カリード本人もふと口にしてしまったことに気づき、内心少し驚いていた

 

 

エイハブ

「まぁ、外からある程度は見てましたが中々にすごかったですよ、これからカリードさんはジムスナイパーにも乗りますし、もうそろそろ帰投してください、そいつの様子も見たいですし」

 

機体とカリードを褒めるような言い方ではあったが何処か心配しているようなニュアンスが紛れているような気がした

 

カリード

「了解、帰投する」

 

心配は要らないと言わんばかりに、少しだけはっきりと答える

 

 

 

 

そうしてBエアロックから工場内に入り、第13ハンガーに機体を運んだ

 

 

やはり機体の足元にはテスト飛行を見ていたあろうスタッフや整備士が歓声をあげながらこの機体を見ていた

 

 

 

機体をハンガーに固定した

 

 

 

ガタン!

 

 

 

振動が響く

 

 

 

そして操作パネルを操作し機体をシャットダウンしていく

 

 

バシュー

 

コックピットハッチを開ける

 

すると既に搭乗用のリフトが上がってきていた

 

エイハブ

「お疲れ様です!カリードさんすごかったですよ!」

 

心から称える様に言う

 

整備士A

「流石です!こんな暴れ馬を初めてでここまで動かせるなんて」

 

 

カリード

「この機体はえげつないな......まだみんな安心するな、なんたってこの機体は少女がパイロットなんだからな」

 

カリードは冷静に考え込むように言う

 

テスト飛行から帰ってきても、やはり疑問は深まるばかりだった

 

 

エイハブ

「確かにそうですよね、本当に動かせるんですかね?」

 

それに乗るように疑問そうに言う

 

カリード

「本人が操作するまで分からないぞ、もしかしたら常人じゃできない操作をするかもしれない」

 

大げさに冗談を言っているかのような言い方をする

 

 

 

 

エイハブ

「確かにニュータイプは侮れないですからね、アムロ・レイにシャア・アズナブル、それにアムロ・レイが行った戦法は連邦パイロット育成の教科書に載っているほどですからね、もしかしたら最強のニュータイプだったり」

 

しれっとと例え話を本気で捉えたかのような言い方をする

 

カリード

「もしそれが本当だったら面白いな、まぁ時間的に後少しで3人が来るはずだ」

 

さらっと受け流す

 

 

そして整備は他の整備に任せて2人はリフトで降りた

 

 

 

 

すると

 

 

 

 

 

ハギル

「たーいちょーう」

 

いつもの元気な声だ

 

 

そうして声のする方向を見ると

 

 

大きく手を振るハギルの後ろには、そんなことしなくても隊長は気づくのにと呆れ顔のミオルと周りをキョロキョロ見ていて少し落ち着きのない様子のトリアがいた

 

 

エイハブ

「話をすれば、ですね」

 

エイハブはそう呟いた

 

 

 

 

そうして全員が揃った

 

ハギル

「隊長はもう自分の機体に乗ったんすか?」

 

興味津々に聞いてくる

 

カリード

「まだ自分のには乗ってないな」

 

早く乗りたい気持ちが現れているようだった

 

ハギル

「そうなんすね、てか、白いやつ、整備終わったんすね、こいつに名前ってあるんすか?」

 

隊長が先に乗ってたら嫌味を言ってやろうと企んでいたんだろう、まだ1番機に乗っていないことを知るとさっきまでのテンションがガタッと落ちたのが目に見えて分かった

 

カリード

「この白いやつは[サイコミュ試験用ジム3号機]というらしい」

 

別にもったいぶることもなくサラッと言う

 

ハギル

「サイコミュ..試験用...ジム3号機..?!??こいつサイコミュ入ってるんですか??!?」

 

やはり根っからのMS乗りなのだろう、しっかりとサイコミュというワードに反応してくる

 

カリード

「そうらしい、試作のビットに、機体の操作をサポートするサイコミュが搭載されているらしい、ちなみにコックピットは全天周囲モニターだ、すごかったぞ、うちらにもほしいぐらいには.....」

 

更に普段と変わらない言い方でその機体の感想と言う名の自慢をしていると

 

トリア

「すごーい!!きれいになってる!エイハブさんこの子変わったね!」

 

カリードが喋っているがそれをお構いなしにいつもの無邪気な声でかき消す

 

エイハブ

「そうだな、みんなで一生懸命できれいにしたんだぞ」

 

かき消されたことは気にせずにトリアと話す

 

 

 

 

そうしてみんながサイコミュ試験用ジム3号機に夢中になっている隙にミオルがすっと横に近づいてくる

 

 

 

ミオル

「もしかして.....隊長このジムに乗りました?」

 

小さな声で何処か不安げに聞いてくる

 

カリード

「ああ、乗ったよ」

 

それに対して平気な様子で言う

 

ミオル

「半分曰く付きみたいな機体なのになんで乗ったんですか??隊長が乗ったことによってあの子に何かしら影響があるかもしれないのに..」

 

ミオルは何処かこの機体に対して嫌悪感のようなものを抱いているようで、カリードを責めるようだった

 

カリード

「人は好奇心には勝てないさ、流石に俺が乗ったからって影響が出るなんてことはないだろ」

 

楽観的に、やれやれと言った様子で首を横に振りながら言い訳するように言う

 

ミオル

「そんなのわかんないじゃないですか、あの子はニュータイプなんですよ?」

 

その態度に対して不満そうにこっちを真剣な目つきで見て、少し怒り、声を大きくしながら言う

 

カリード

「わかった、勝手に乗ったのは謝る、だから少し静かにしてくれ、トリアに聞かれたくない」

 

ミオルの声量は段々と大きくなり、これ以上大きくなるとトリアに聞かれてしまうと思い、焦り正直に謝る

 

ミオル

「すみません。隊長、少し不安なんですが本当に今回のテスト飛行であの子をあの機体に乗せるんですか?」

 

自分がカッカしてしまった事に気づき申し訳無さそうに謝った後、カリードが疑問に思っていたことをまだ不満気に聞いてくる

 

カリード

「ああ、上からもそういう指示が出でるからな、そして本当にあの子があの機体を操れるのかも見てみたい」

 

と腕を組み、サイコミュ試験用ジム3号機の方を向きながら少し考えるような表情で言う

 

ミオル

「所であの機体の性能、乗ってみてどうでしたか?」

 

さっきとの怒っているような態度とは少し違った、少し興味のあるような様子で聞いてくる

 

カリード

「正直舐めていた、思っていた以上にすごい性能だ、本当にあのときの戦闘のまんまの速度に操作性だ、乗りこなすには相当な時間がかかりそうなほどにピーキーでまるで殺人的な性能だったよ、多分一般のパイロットスーツじゃあの機体で出るGに耐えきれない、少なくともうちは危うくブラックアウトするところだった」

 

腕は組んだまま、下を向き少し深刻そうな顔で言う

 

ミオル

「隊長がブラックアウト?!?、それって....少なくとも一般機で発生するGじゃないですよね?.....」

 

少し思っていた回答と違い、隊長がだいぶあの機体に翻弄された事を知るととても驚いた様子で言う

 

カリード

「ちなみに出力にリミッターがかかっていた、10%ほど」

 

そしてそこに追い打ちをかけるようにその状態でもまだリミッターが掛かっていたことを少し躊躇うように知らせる

 

ミオル

「それって.....もしリミッターを全面カットしたら....」

 

その事実を突きつけられ、驚愕し一瞬顔色があまり良い色では無くなる

 

カリード

「今存在する機体の中で一番の性能と言えるかもしれない、ピーキーなところと、性能に人が耐えきれない、というところを除けばな、まぁ乗らせてみないと分からないだろうし、早速準備するか」

 

その機体の性能を前向きに捉えようとし、トリアの事を信じようという意思がそこにはあった

 

ミオル

「たしかにそうですね。ハギルー、パイロットスーツ着に更衣室に行くわよ!トリアちゃんも!」

 

カリードの前向きな意見を聞き、トリアの事を信じようと思った

 

 

そうして4人はパイロットスーツを着に行った

 

 

 

エイハブは更衣室の辺りまで来て

 

 

エイハブ

「カリードさん、サイコミュ試験用ジム3号機は先程稼働テストしたばかりなのですぐ動かせますが、他の3機はどうしますか?」

 

どのような回答をするか分かっていながらも、タブレット端末を見ながら話しかけてくる

 

カリード

「3機とも出れるようにしておいてくれ」

 

こちらもそれを言うと決めていたかのように言う

 

エイハブ

「了解です」

 

そう言い、整備工場へと戻ってく

 

 

 

 

そうしてカリードは一度休憩するのに更衣室付近の自動販売機コーナーに行った

 

 

ハギル

「お、隊長、何飲んでるんスカ?」

 

構ってほしいかのようにひょいっと出てきてまじまじと手に持っている物を見てくる

 

カリード

「ん?ハギルか、水だ」

 

と自販機の横に置いてあるチープな背もたれのないベンチに少し前のめりになりながら言う

 

ハギル

「水っておいしいですかね?」

 

とカリードの正面に立ち、水を馬鹿にするような言い方をする

 

カリード

「うまいもまずいも関係ない、水分補給のために飲んでるんだ、のどが渇いたしな」

 

と水が好きそうな言い方をする

 

ハギル

「そうですか....」

 

興味を少し無くしたように言う

 

カリード

「MSに乗るときはカフェインの入ってるものを飲むとトイレに行きたくなるし、甘いものを飲むと喉が乾きやすくなる、もしそうなると乗ってるときに弊害になってしまいかねないからな」

 

カリードの豆知識のような話を聞き、それは大事だ、と思ったのか関心したような評定をする

 

ハギル

「確かにそういうの大切っすね....じゃあスポドリはどうっすか?」

 

と、とても疑問そうに聞いてくる

 

カリード

「ああ、悪くはないんじゃないか?ただの砂糖が入ってるやつじゃなくてしっかり塩分とかが入ってるちゃんとしたやつならな」

 

と、話をしていると

 

 

 

 

ミオル

「隊長、ここにいたんですね」

 

探そうと思っていたらあっさり見つかり、面倒事が省けた、と言いたげな表情をしていた

 

カリード

「ああ、飲み物を買って飲んでたんだ」

 

ミオルも買うのか?と言いたげに手に持った水を突き出す

 

 

そうしてミオルの後ろにいるトリアを見ると

 

 

確かにトリアが着ているパイロットスーツは連邦系で使用されているタイプのパイロットスーツではあったが少し....いや、だいぶスーツが改造されていた

 

きっとこれはニュータイプ研究所で作られたものであろう

 

スーツの各所には見ただけで耐Gスーツと分かるようなエアバックに、ヘルメットの首周りにはF1やラリーのドライバーがつけているようなワンオフのHANS(頭部前傾抑制装置)がついていた

 

それだけでどれだけのGが発生するかを想定してこのスーツが作られたことが分かる

 

こんなか弱い身体があの機体のGに、そしてGに耐えるための専用の耐Gスーツの加圧にも耐えられるとは考え難い

この身体にあのGに耐えるために脚が曲がらなくなる程の加圧をしたらきっと足回り骨が折れてしまうだろう

 

想像するだけで恐ろしい

 

今まであの子をあの機体に乗せようとしていた自分がとても怖くなった

 

 

 

だがもう止められない

 

トリアの前であの機体に乗ったことは言えない

 

だからトリアを止めることが出来ない

 

 

だが「あの時トリアはあの機体に乗っていたんだし大丈夫」とカリードは必死に自分に言い聞かせた

 

 

 

ハギル

「トリアのパイロットスーツゴツいっすね」

 

少し羨むようにジロジロ見ながら言う

 

トリア

「みんなの方がほそっちいんだよー」

 

ゴツいという言葉が引っかかったのか、 プンプン怒りながら反論してくる

 

ハギル

「そんなことない!」

 

カリードとミオルの2人からするとまるでどんぐりの背くらべだった

 

トリア

「そんなことあるもん!!」

 

だが2人は睨み合い、まだバトルが続いていた

 

ミオル

「こらこらそんなしょうもない口喧嘩はいいから、機体に乗りますよ。ね?隊長、隊長?」

 

はやく面倒臭くなる前に止めなければと一歩踏み出し仲裁に入り、カリードにも協力してもらおうと声をかける

 

 

カリード

「ん?あ...あぁ...そうだな」

 

ところがカリードは考え事をしていた

 

 

 

 

 

 

 

そうして全員機体のコックピットに搭乗した

 

 

トリア

「久しぶりだね、アルブス」

《s》《/s》誰かこの機体に乗った?.....あ....私が乗る前に既に飛んできたんだね

 

少女は何かを感じ取った様だった

 

 

ミオル

「なにか言った?」

 

空耳かと思ったが一応聞いておこうとミオルに聞く

 

トリア

「いや、久しぶりにこの子に乗った気がするから」

 

やはり何か言っていた

 

カリード

「トリア、そいつには名前が付いてるのか?」

 

そこでカリードが無線で割り込んでくる

 

トリア

「この子の名前はアルブスっていうの、私があの場所にいた時にだいたいの大人は嫌な人ばかりだったんだけど一人のおにいさんだけいい人がいて、その人がそう呼んでたからわたしもそう呼んでるの!」

 

みんなにこの機体を知ってほしいという気持ちがこもっているように感じられた

 

カリード

「じゃあ今日からこいつはジム・アルブスだな」

 

ふいに思いつき、これは言ったほうが良いと思い反射的に口に出す

 

トリア

「ジム??」

 

いつも呼ぶ呼び方に見慣れない言葉が付け足されていて少し疑問に思う

 

カリード

「そうだ、その機体はジム系だからな」

 

トリアが知らないとは知らずに言ってしまう

 

トリア

「ジムシリーズ?」

 

更に知らない言葉が出てきて困惑する

 

カリード

「何て言えばいいのか…..トリアの乗ってるそのアルブスはな?ざっくり言うとジムっていうモビルスーツが元になってるんだ……まあ要するにジムって名前が付いてるやつは大体アルブスと家族みたいなもんなんだよ」

 

どうやって分かりやすく説明できるか分からず、頭を抱えながらもカリードなりに頑張って説明する

 

ハギル

「隊長ってなんか不器用ですね」

 

カリードが気にしていた所を容赦なく突いてくる

 

カリード

「このっ…黙っとけガキ!!」

 

カリードに刺さったのか珍しく暴言を吐く

 

ミオル

「隊長の口が悪くなった….珍し……」

 

ミオルもこんな様子のカリードは滅多に見れないため、少し驚いていた

 

カリード

「ミオルまで…と…とにかく喋ってないでさっさと出るぞ!今回は模擬戦もする、武装も装備して出るぞ」

 

周りにもう味方が居ないと思ったのかあからさまに恥ずかしがりながら話を戻して早く出撃しようと促す

 

ミオル&ハギル

「了解!」

 

トリア

「りょおかい!」

 

カリード本人は物凄く気にしているようだったが他の3人は全く機にしていない様子だった

 

 

 

 

 

 

 

そうして本日二回目のBエアロックからの発進をした

 

 

 

 

 

 

 

カリード

「全員発進完了したな?」

 

全員の点呼をする

 

ミオル

「2番機、ミオル発進完了しました」

 

ハギル

「3番機、ハギル発進完了っす」

 

 

トリア

「それって私も言うの?」

 

言ったほうが良いのか分からず、少し困りながら言う

 

カリード

「任せるよ」

 

任せるとは言ったものの、内心言ってほしいと思っていた

 

トリア

「私って何番機?」

 

言いたいのが伝わる様に少し食い気味に聞いてくる

 

カリード

「4番機だな」

 

待ってましたと言わんばかりに答える

 

トリア

「わかった!4番機!発進完了しました!」

 

みんなと同じことが出来て嬉しそうだった

 

 

 

 

他の機体に聞かれない様に封鎖無線で工場に通信する

 

カリード

「こちらファントムアルビオン1番機カリード、アナハイム フォン・ブラウン工場、応答求む」

 

まるで人が変わったかのような話し方で通信をする

 

工場オペレーター

「カリードさんですね、どうされました?」

 

朝のテスト飛行と変わらず、少し何処か無愛想な喋り方だった

 

カリード

「エイハブ・マッドナーに繋いでくれ」

 

少し急ぎ気味に言う

 

工場オペレーター

「わかりました、少々お待ち下さい」

 

 

 

エイハブ

「エイハブです、どうしました?」

 

何かあったのかと少し不安げな喋り方をする

 

カリード

「サイコミュ試験用ジム3号機を4番機に、そして機体名の登録をジム・アルブスに設定してくれ」

 

何処かワクワクとした雰囲気で言う

 

エイハブ

「了解です!」

 

エイハブも乗り気だったようで、急いで変更しようと艦に戻っていった

 

 

カリード

「今回のメインは機体の動作テストだ、とりあえずトリア以外は数値測定モードを起動して自由に機体を動かして最高出力や瞬間最大G、旋回性能等を測定するんだ。トリアは俺たちの測定の邪魔にならない程度なら自由に機体を動かしていいぞ」

 

と言いながらコンソールを操作する

 

ミオル&ハギル

「了解!」

 

そう言い2人もコンソールを操作し、数値測定を始める

 

トリア

「わかったよ!」

 

 

そうして

 

 

 

 

 

三人は改修された機体の性能をよく噛み締めた

 

 

ハギル

「隊長!めちゃくちゃ変わってないですか?!?」

 

やはり試作品レベルの最先端技術が盛り込まれているせいなのか物凄く性能が向上していた

 

ミオル

「相当操作しやすくなってるわね、各所姿勢制御スラスターにフィールドモーターの効きがが良くなってる、たったそれだけでここまで変わるんですね」

 

一応今回の改良点は全部表にまとめられていたので、ミオルは性能の変わりようを変更、改良された部分と照らし合わせながら測定をしていた

 

カリード

「そうだな、今回の改修は操作性に関わるような部分を改修品への交換と各機体のパイロットの細かい要望に答える改修だったが、前の一瞬の戦闘のデータを元に改善点を探したんだろうな、相当細かく探して改修したんだろう、そのおかげで操作感覚が劇的に変わったように感じるんだと思う、それだけ今回の改修は相当的確な改修だったんだな」

 

カリードも、朝にサイコミュ試験用ジム3号機に乗ったが、それでも1番機の性能の変化が目見見えて分かるようだった

 

 

そして改修された機体の性能に感心していたときだった

 

 

カリードのジムスナイパーのスレスレを白い機体が高速で通り過ぎていった

 

カリード

「この速度はッ!もしや!」

 

今この宙域を飛んでいるのは我々しか居ない....そして1から3番機までまではグレーが基調だ

 

トリア

「やっぱりこの子に誰にも乗って邪魔されずに自由に飛べるのはすごい楽しいよ!」

 

そう、トリアのジム・アルブスだった

 

 

私が必死に翻弄されながら乗っていた機体を、あの子は平然となめらかな挙動で乗っている

 

 

自分の中でのさっきまでのか弱そうに見える少女に対しての不安はその瞬間、残らず消えた

 

 

あれは[宇宙を飛ぶ]というよりはまるで[宙を舞う]かのようだった

 

 

 

そうして新たに、あんなに小さい、か弱い少女が、軍人という厳しい訓練を受け、体を鍛え、人を殺すための訓練を嫌だというほど受けてきたような人間が悲鳴をあげるほど過酷な状況にも関わらず、自由に、美しく舞っているという現実に少しではあるが恐怖を覚えた

 

 

 

ハギル

「隊長、隊長!!いつ模擬戦するんですか〜?!?」

 

半分放心状態になっているカリードの意識を戻そうとするように声をかける

 

カリード

「はっ...すまない、考え事をしていた、全員模擬戦闘する準備は整ったか?」

 

自分の世界にのめり込みかけていた所、声をかけられ、ふと我に戻る

 

ミオル

「私は大丈夫です、機体の数値測り終わりましたし感覚もある程度掴みました」

 

もう準備万端という様子だった

 

ハギル

「俺も大丈夫っす」

 

しかしこっちはいまいち掴みきっていない感じであった

 

トリア

「ねぇ、私はどおすればいいの?」

 

模擬戦、といっても何をするのかはイマイチ理解出来ていないようだった

 

カリード

「ミオル、ハギル、トリアを模擬戦に入れてみてもいいか?」

 

この場所に一緒に連れてきた時点でトリアもするということなのだろうが、一応心配なため他の2人に聞く

 

ミオル

「私は全然だいじょうぶですよ」

ハギル

「俺も大丈夫っす」

 

2人は快く受け入れた

 

カリード

「わかった、じゃあハギルとミオルは分かると思うが、模擬戦モードを起動してビーム兵器の出力を模擬戦闘用出力に変更、実弾兵器は実弾の代わりに模擬戦用の赤外線照射装置が装着されてる、今のミノフスキー粒子濃度は無いに等しい、だから実弾の代わりに赤外線レーザーを使う、いいな?」

 

これのためだけに4機に整備士達に赤外線照射装置を実弾兵器に取り付けてもらったのだ、整備士達は作業中ずっと少し面倒くさそうにしていた

 

ハギル

「了解っす」

 

ミオル

「了解」

 

トリア

「わかったよ!」

 

 

 

そうして私は設定を変更しながらトリアに話しかけた

 

 

カリード

「トリア、アルブスの後ろについてるビットは使えるのか?」

 

やはりその機体のサイコミュによる戦闘力の中では一番戦闘能力の可能性を秘めていて、自分の脅威となりうる為、聞いておこうと思ったのだ

 

 

トリア

「アルブスの背中についてる2つのやつ?」

 

トリア的には背中に付いている何か、ぐらいの認識でしかないようだ

 

カリード

「そうだ」

 

もしや使えるのか?と期待とともにやはり使えるとなると模擬戦では負ける可能性が上がると思い、少し使えないでほしいという思いがあった

 

トリア

「私がいないと使えないけど、使えるよ、あんまり使い方わかんないけどね」

 

あまりトリア本人は興味を示していないようだった

 

カリード

「そのビット、模擬戦で使ってみてくれないか?」

 

ビットはすこし怖いが、自分の腕の向上にはもってこいだ、というどこかMの部分が出ていた

 

トリア

「いいよ!」

 

トリアもあまり使ったことがなかったのか、今回使えるようで嬉しそうだった

 

 

 

カリード

「全員変更は完了したか?」

 

すこし間を開けてから言う

 

ミオル

「出来ました」

 

ハギル

「完了っす」

 

2人は既に出来ているようだった

 

トリア

「多分、出来たよ、合ってるかどうかわかんないけど....」

 

しかしトリアはこういう物を触るのに慣れていないのか、少し不安そうな雰囲気だった

 

カリード

「トリア、試しにうちのシールドにライフルを撃ってみろ」

 

普通の人ならば模擬戦用の低出力状態でも自ら撃たれたくはないし、撃たれるのに抵抗感や恐怖感を抱くのが普通だ

 

ミオル

「隊長!もし出力が下がってなかっt」

 

何馬鹿なこと言っているんだとキレ気味に言う、が

 

カリード

「大丈夫だ、そう簡単にシールドは破損しない。撃っていいぞトリア」

 

と言い、ミオルを遮る

 

 

 

トリア

「撃つよ?」

 

少し胃がキリキリし、大丈夫なはずだが緊張しながらギュッと操縦桿を強く握る

 

カリード

「ああ、撃ってみろ」

 

 

 

 

そうしてトリアは勇気を振り絞って一気にトリガーを引く

 

 

ジム・アルブスのビームライフルから出力の低いビームが放たれる

 

バシューン

 

 

 

 

ビームはシールドに直撃した

 

だが

 

 

 

 

機体とシールドには耐ビームコーティングが施されていて、ビームは出力が下がっているためビームは当たった直後にバチバチとシールドの表面に拡散していった

 

 

 

 

カリード

「ビームの出力は下がってるな、模擬戦用のデータを送る」

 

ともしものことを恐れず、次へ行こうとする

 

ミオル

「出力が下がってたから良かったですがもし下がってなかったらどうなっていたと思ってるんですか???」

 

今回下がっていたから良かったがもしもの事があったら、と説教するように言う

 

 

カリード

「安心しろ、こっちからアルブスのことはモニターできるようになってる」

 

そう言い、何故今まで余裕そうに事を進めていたかが判明した

 

ミオル

「ならいいですけど...そういうのは先に言ってくださいよ.」

 

少しだけ不貞腐れているようだった

 

カリード

「よし、模擬戦用のデータを今送った、各機指定のポイントに移動するんだ」

 

と、パネルを見ながら言う

 

 

ミオル&ハギル

「了解!」

トリア

「りょおかい!」

 

そう言って各員は指定ポイントへと移動を開始した

 

 

to be continued

 

 

 

 




7話ご覧いただきありがとうございました!

軽くジム・アルブスの機体解説をしようと思います

機体の本名はサイコミュ試験用ジム3号機なんですがトリアがこの機体をアルブス(ラテン語で白を意味する)と呼んでいる所に目を付け、カリードが艦やアナハイムの工場に登録されている機体情報の機体名を変更し、正式にジム・アルブスという名前になりました。

そして本編では詳しくは書いていないんですが、このジム・アルブスにはこの機体専用の支援用AI(まだ細かいことは秘密☆)と、この機体専用の試作のビットが2機と、操作を操作するシステムとしてサイコミュモビルスーツコントローラー(PMSC)というものが搭載されています。

このPMSCはサイコミュコントローラーやサイコニュートライザーに類似していていますが開発元は違ってこの機体が開発されたあるニュータイプ研究所で開発されました(細かい研究所の情報は不明)、火器管制や機体操縦を感応波で操作するシステムです。

一応、操縦桿がなくても機体を操作することは出来ますが、ジム・アルブスに搭載されているPMSCは一応未完成の代物でパイロットへの負担が大きいため、基本大まかな機体の操作は基本操縦桿で操作できる仕様になっています、
一応、支援AIとPMSCは一部機能が直結していているのですが、現在はAIの作動の上限にリミッターをかけている影響で一部の機能が使えなくなっていて、現在はサイコミュコントローラーのようにパイロット無しで機体を動かすことは出来ません(こっちも支援用AI同様に細かいことはまだ言えないよ☆)

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