「ぐっ……!」
痛む脚!
限界……応急処置のテーピングでは!
という訳で自室で安静ないし仕事ッ!
今は黙々とデータ作業中。
吸い出したのはトレセン生徒の名簿、予算など。
施設と生徒数が膨大、足して金額の桁もパネェ中央トレセンなので、エンター押してハイ終わりとはいかない。
それでも社畜時代の作業量より遥かにマシ(終わりが見えている)なので、やれる事はやる。
例えば公開されている情報と比較して矛盾がないか、お偉いさんが1番気にしそうな金と権力が絡みそうな位置で不審な数値が無いか、改竄点が無いか等を調査する。
突然口座に大金が振り込まれるトンデモミラクル時空じゃなければ。
この世界、普通にオカルト現象が起きる様子で気が気ではない。
オバケ、幽霊が平然といるみたいで……なんなら世界の意識で存在した記憶も消される危険性すら孕むと思うのよ、このウマ娘世界。
とはいえ、金と権力はオカルト枠ではない。
ならば証拠はある筈で、こうしている。
ワイ、経理やないんやけどな。
ある程度でも何でも出来なきゃならない社会、文句垂れず働くしか無く。
「……まぁ、簡単に尻尾を掴めないか」
けれども中々有力なデータを掴めず。
連中がナニをビビってるのか分かればな。
チラリ。
ふと外を見れば……いる! 怪しい黒服!
「バカな、帝●の手下かッ!?」
戦慄!
ありえん……学園に黒服ッ!
それに皆してウマ娘! 先ず勝てない!
何なん。 この異様な光景!
誰か借金でもしたか!?
地下労働コースか!?
いや落ち着けワイ。
データ通りならファインモーションのSP。
ファインはアイルランドの王族関係者で、それ故の護衛。
「ファイン……ガチ上の上、雲の上ッ! ワイの様な穢れウマは近寄れん存在やな」
しかし疑問ッ! アイルランドは前々世の記憶では既に王国では……いやいや、ウマ娘のいる世界ぞ、違う歴史なのかも知れぬ。
そう思うなら歴史を学べよとツッコミが入るであろうが、そこまでしない。 特に今はワイが消されるか否かの断崖絶壁の窮地にいる。
「上手く取り込めればオオゴトに出来そうであるが。 URAも国家レベルに干渉は難しい筈やし。 ただ証拠が無ければな、まさか共に探して貰う訳にもいかんし」
などとボヤきながら、鍵盤を再度叩く。
どうしたものか……そうだ、ファインと仲が良い奴でエアシャカールがいるやん。
シャカールはPC自作して色々研究しているデータ信奉者の他、趣味で音楽も作っている。
それほどの賢さと技術持ちなら戦力になる筈。
問題なのは接触の方法だなぁ。 ワイ、評判悪いみたいだし……悪夢の選抜で多少払拭出来たぽいけど。
その前に本人は気難しい性格。 リスクのある行為もやってくれるとは思えん。 まる。
「シャカール駄目なら……研究繋がりでアグネスタキオンがいた筈だけども」
タキオンはトレーナー含めて周囲の者を実験体……モルモットに出来る程である。 それだけならまだしも、教室でボヤ騒ぎも起こすので学園の運営妨害。 よく退学にならないものだ。
まぁ気持ちは分かるがね。 生徒会に何度か怒られている筈なのだが、懲りないらしい。
というか、生徒会も生徒会でソレで済ますな。
「うん? 生徒会……ワイ行けるか?」
タキオンなら面白ければ協力してくれそう。
行ってみる価値ありまっせ。
という訳で、思い立ったら即行動。
彼女が使用している旧理科準備室に向かい、接触を試みる。
なぁに、土産話や「オマイがモルモットになるんだよ!」とかなったら、生徒会の名前をチラつかせておこう。
権力ってね……怖いねぇ……。
「タキオン様、是非ご覧下さい! 開けましたるはURA秘匿領域の貴重なデータ! どうです、素晴らしいでしょう!」
ツライさん、旧理解準備室にアポなし訪問からの突然の営業スマイル攻撃!
古い……旧世代……ツライさんの過去!
それにも関わらずタキオンは常にヘラヘラした様な顔で、けれど光のない狂気の目で応対してくれた。
「ふぅん? 突然に来たと思えば、とんでもないデータを見せてくるねぇ」
「興味があるでしょう? ワタクシより研究者に渡すのが有意義かと思いまして」
「心意気は有り難いがね、ツユハライ君。 何故コレほどのモノを持っているんだい?
それを何故、私に? 綱渡りは幾ら私でもしたくないんだが?」
まぁ、そうだろうさ。
非道タキオンも消されるレベルの危険は犯したく無い。 てか誰でもそう。
でも巻き込む……ッ! ワイも外道ッ!
ワイだって好きで動いているんやない!
自業自得とはいえ、助けて欲しいんだって!
「実はURAに、ちょいと……権力者に消されかけてまして。 それで助けが必要という訳ですハイ」
「狂ってるね、君」
いえいえタキオン様ほどでは……。
ワイは普通ですぜ(血涙)。
「まぁ良いさ。 少しは助けてあげよう、興味はあるしね」
「マジっすか!」
「ただし、表立ってやらないし研究の片手間、バレても良さそうな範囲のデータ整理とバレた際の罪は君に被せるから、そのつもりで」
まぁ妥当かな。 寧ろ贅沢。
これでいこう。 契約成立。
「それで頼みます!」
「他に誰かいるのかい?」
「いや、まだ……」
「一応シャカール君にも声掛けてみたらどうだい? 断るだろうが、やらずに諦めるよりマシだろう」
「せやね、ありがとう」
「礼には及ばないさ。 ただどうしてもって言うなら、コレを飲んでくれたまえよ」
「お断りします」
旧理科準備室を後にする。
あまりこの伏魔殿にいたら、それはそれで危険過ぎる……タキオンのみならず、ここを共有するマンハッタンカフェのオカルト空間もあるのだし。
……其方方面を頼るのも手だろうか。
あまり非現実的な事はしたくないが。
けれど、こういった世界だ。 必ずしも悪い手ではない筈。
今は次の生贄……じゃなくて釈迦のトコに向かおう。 説くは説法でなく犯罪への加担依頼であるが。
とある日の会話
チェンソー(ウィいいイン……ッ!)
モブ娘「アレが出てくる作品あるよねー!」
カレン「カレン知ってるよ! ホラー系の…」
ツライ「スゲェ! アレって木も切れるんだ!」
モブ&カレン「!?」
(触れてはいけないツライさんの過去)
常に更新未定