【ヒトソウルが叫びたがってるんだ!】(完結)   作:ハヤモ

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前書き
作者もツライさん。 将来不安!
物語性を出して終わりを模索出来る様にしているつもりが……。


20.オカルト

アクセス権を調査して、大凡目処は立ったが、いち学生に過ぎないツライさんは限界だった。

まさかURAの建物に殴り込みに行く真似は出来ないし、いくらウマ娘の体を持っているとはいえ、体術や武器を持った相手を何人も相手にしないとならないと思えば即刻諦めムードである。

どこぞの主人公みたいな真似は出来ない。 ツライさんは社畜ヒトソウル持ちのガワがウマ娘ってだけである。 チート能力なんて無いのだ。

 

 

「転生者だからって何でもすると思ったら大間違いやぞ」

 

 

と、誰に言っているか分からない文句を垂れつつ、ツライさんはオカルト面に関わっていそうなウマ娘を尋ねて再び旧理科準備室へ。

 

会う相手はマンハッタンカフェだ。

彼女の周りは明らかに霊障としか言えない現象ばかりが発生し、論理的思考なシャカールもお手上げ……ビビってしまう始末。

 

それでも彼女に助けを求めた。

自身の体験的にも、データ的にも、この世界はソッチ系の存在を感じられる為に。

 

アグネスタキオンの実験室と化している旧理科準備室、その半分は彼女の空間であり、怪しい実験器具のお向かいには、別の意味で怪しいナニかがあるのである。

 

既に、いくつかの謎グッズがポルターガイスト宜しくカタカタしているし、窓も空いてないのに風がツライさんを追い払おうと揺らしてくる。

 

下手すると"こちら側"、タキオンより近寄り難いのだが、それでも向かう。 このまま足踏みすれば消されるは自分だ。

 

 

「カフェさん、いますか?」

 

 

ツライさん、臆さず前進!

寧ろ、普通の姿勢、態度……ッ!

社畜時代は心身共に限界の際、穴という穴から血を流し妖精さんが飛ぶ光景を見ていたという屍人な経験の記憶もあるので、ポルターガイストだの不自然な発火現象だの何のその。

 

 

「……はい。 アナタは……?」

 

 

ダウナー系の声というか、加えてロングの黒髪が美しいウマ娘がスゥッと現れる。

目はタキオンに似て光がなく、物静かな佇まいの印象を受けた。

 

 

「ツユハライと申します。 この度は突然の訪問、申し訳ありません。 少しお時間、宜しいでしょうか」

「……何の、ご用でしょうか」

「単刀直入に言います。 助けて下さい」

 

 

プライドもへったくれもなく、堂々頭を下げるツライさん。 土下座も数えられない程にしてきた身としては、精神年齢的に年下の小娘相手にした所で訳なかった。

 

 

「……嫌です」

 

 

ところがカフェ、断る……ッ!

予想はしていたが、一応訪ねるツライさん。

 

 

「理由を聞いても?」

「……アナタは、遠目から見ても危険だからです。 雰囲気、オーラ……オトモダチもアナタを怖く思っています」

 

 

でた……オトモダチッ!

見えない存在、幽霊ではないとしつつ幽霊だろとツッコミが入りそうな謎の存在!

必要ならばカフェを助ける不思議な存在であるオトモダチ、皆から不気味がられる善意も悪意、それらオモテナシがツライさんに出来ないレベルとは!

 

 

「……どうか、お引き取りを」

 

 

言われてハイそうですか、と引き下がれないのはツライさん。

カフェもツライさんになりたくないのだろうけど、ツライさんとしては1人でも味方が欲しいのだ。

 

 

「そこをなんとか」

「……嫌です。 タキオンさんを頼って下さい」

「既に。 しかし足りないのです。 頼みます」

 

 

シツコイさんなツライさん。

ソレにオトモダチなる存在、カフェが危険と判断したのか勇敢にも体当たりを仕掛けて追い払おうとして……。

 

ツライさんの身体をすり抜けると、その深淵ぶりに敗北……掻き消えそうになる!

 

 

「ッ!? やはりアナタは……」

「はい?」

「危険、過ぎます……ッ! どれ程の闇を抱えれば、それだけ穢れ、それでも尚、ヒトとしてのカタチを保っていられるのですか!?」

 

 

ツライさん、酷い言われよう!

人間、失格……ッ! ウマ娘ですらなしのヒトでなしと申される!

 

それでも怯む事なく進んでいく。

寧ろ……ニヤリ、と笑みを浮かべた。

 

 

「……ひっ」

 

 

カフェも思わず悲鳴を出してしまう、それくらいに荒んだ存在、悪魔の笑み……ッ!

それ以上にツライさんの目は、悪夢の住民の様に真黒の深淵に染まり、見る者全てを吸い込むブラックホールと化している。

 

それこそ"オトモダチ"を負かすくらいの闇深ツライさん、現在取り組んでいるデータの闇と比較しても、きっと、恐らく、ツライさんを超える者は……少なくとも学園生徒のウマ娘にはいない。

 

 

「おやおや、怯えて可愛いですね。 ですが安心して下さい、社会に出れば分かります。 きっとね」

「い、いや……来ないで……!」

 

 

オカルトにオカルトを上書きするツライさん!

カフェに近寄り、そっと肩に触れて……。

 

 

「いやぁ! やめて! 土足で……踏み込まないで……お願い、お願い……します……」

「なら協力してくれるよね?」

「なんでも……なんでもしますから……」

「確認、ヨシ!」

 

 

急に離れ、急に目に僅かながらも光を戻すツライさん。 解放されたカフェは、その場でへたりこんで、酷い汗と共に息を吸うのに必死だ。

 

 

「ハァハァ……アナタは……危険ですッ」

「更に危険な事はあるでしょう。 レース中然り、社会然り……アナタ方ウマ娘が卒業しても1人でも多く生き延びれるのをお祈りしております。 私自身も生き残る為に行動しているつもりですし」

 

 

こうして時に強制的にもツライさん仲間を増やしたツライさん。

いつからか、本人も気付かぬ内にオカルト枠に全身ドップリ浸かっているが、気付く日が来るのだろうか。




後書き
【存在意義】
Q. ある少女は父親に虐待を受けていました。 それを知った少女の教師が、父親に虐待をやめるよう説得に来ましたが、逆上した父親は教師に殴りかかりました。
少女は隙を見て父親ではなく教師を包丁で刺し、殺害してしまいます。 なぜ虐待をしてきた父親ではなく教師を殺してしまったのでしょうか?
A.ツユハライの答え
自分を必要としている存在を失いたくなかった。 虐待されるのが存在意義になっていたから。


【喪失感なし】
Q.あなたには別れる寸前の恋人がおり、お互いに愛情は全くありませんでした。 あなたは恋人を殺してしまいますが、葬儀後もあなたは深く悲しみ、その様子は友人たちが心配になるほどでした。
自分で殺したのに、なぜそこまで悲しんだのでしょうか?
A.ツユハライの解答
世間体の為。
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