【ヒトソウルが叫びたがってるんだ!】(完結)   作:ハヤモ

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前書き
あまりダラダラ、良くない……。
終わりを模索しつつ独り善がりツライさん。
レース場じゃないところで、別の意味で走り抜けるツライさん。 誰もが知らぬ所で本気で戦う者達の為に露払い。


23.自問自答

ツライさんがツライ思いをして頑張ったところで、未来はきっと変わらない。

トレーナーの努力が加わり、ウマ娘の運命が、所謂史実が変わろうとも、認識出来る者はいない。 足掻いても褒められる事もない。

本来勝つ筈だった娘が負ける事になろうと、着順が変動しようと責める者はいない。

それを分かっていて尚、意味が無くてもツライさんは動く。 何故か。

 

 

「なぜって……ムカつくからさ」

 

 

その状況を認知した別の存在が、良い様に利用して食い物にしている、恐らく上手くやって地位と金を得ている、という惨状に腹が立った。

 

 

「ワイの命もタダじゃない。 退職金は払って貰いますぜ、お偉いさんよぉ」

 

 

ツライさんも、自分で驚いていた。

そんなもの、この世に掃いて捨てるほどあるからだ。 弱肉強食。 2回死んで、3回目の生となる今世でも変わらない。 ましてやレース、勝負事が間近にある世界。

それでも悪足掻きのツライさん。

走る才能も何もなく、上の指図で死んできた、ただの社畜が、生きて寝るだけと罵られてきた低脳の分際が。

この世に何も残せず死んできた魂が。

ヒトソウルで馬を経由し、ハイブリッドなウマ娘という存在にされた元社畜が。

 

 

「業績不振でクビ確定でも、まだまだ……」

 

 

発端は自分の所業とはいえ、生き延びるだけなら、上の命令に黙って従えば良いのに。

 

自分も散々食い物にされたからだろうか。

 

退学だって当初する筈だったのに。

上も望んでいたのに。

ふたつ返事の退学で丸く収められたかもなのに。

 

最初こそ理事長が止めたから今日に至るまで在学してきたが、今となっては自分の意思。

 

仕事じゃなくプライベートで。

怖いのに足が軽い。

 

不思議な感覚。

何年、何十年振りの、懐かしい感覚。

 

それを味わえただけ、価値のある人生だった。

 

 

「少なくともヒトと馬時代よりは」

 

 

記憶が急に蘇る。

走マ灯が流れいく。

 

生徒会と理事長、たずなさん、仕事に関係なかったウマ娘たちの笑顔……寮長のネス……じゃなくてヒシアマゾン、クラスの皆、協力してくれたエアシャカール、アグネスタキオン……学園外で出会ったライトハロー。

 

次から次へとワイの名前を呼んでくる。

本能が、生きさせようと幻覚を見せている。

 

そんな幸せな世界にゃ、ワイの様な穢れは、いちゃならんのです。 走らん奴が走る奴を邪魔して良い道理は無いのです。

 

最期くらい、別れの挨拶をするのが道理……そう思わせるのも、1分1秒先送りにしたいっていう卑しい本心なのだ。

 

 

「ワイの運命も、ひょっとしたら……誰かに変えられていたのかもね」

 

 

嗚呼、もう働きたく無いでござる。

けれども走り始める。

 

本日も雨。 暗く冷たい夜の雨。

 

目の前にはURAの建物。

当たって砕けろの精神で。

 

 

「監査に変わりまして社畜がお送りしますッ!」

 

 

扉を挨拶がてら蹴り開けた。

蝶番が壊れて吹き飛んだ。 改めて、ワイの身体はウマ娘なんやなって。




後書き
【ツユハライの秘密】
実はトレセンの皆が好き。
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