【ヒトソウルが叫びたがってるんだ!】(完結)   作:ハヤモ

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書くのって難しいですよね……。
勘違い成分を入れたくも、難しい。


3.なにが為になにを為す?

トレセンは基本全寮制で、栗東寮と美浦寮の2つに別れ生活すんよ。

 

ワレは編入生という訳で中途採用者なもんでね。

パイセンに良い顔はされない底辺なご身分よ。

 

寮という響き自体、前々世と前世を思い出していけねぇや。

 

そんでもソコは腐れど大手。

角が立つさかい、そん為に空き部屋が偶然ありやしたというテイで美浦寮に馬房を用意され荷物をぶち込まれておった。

 

WOWモウレツ!

 

とどのつまり、ワイの叡智で猥談な本が送り込まれた牢獄でしかないのじゃ、アレもコレも両親の所為でやんす。

 

そもそもや、乙女の花園でもあるトレセンに卑猥本を送るとか両親は大物やなって。

 

それか、そうか、両親はそういう奴やったわ。

 

プレイという事さね。

自身の娘使うて遊んどるんと。 子とは何とも無力よ。 泣けますねぇ、よよよ。

 

まま、愚痴言うてしょうもない。

 

社畜たるもの考えるより先ず行動。

まして目的が定まっとるんや。 ちゃちゃっと済ませて退学(辞表)届出したる。 ほんで、ほなさいなら〜と別れて完。 完璧な計画にワイじゃなかったら見逃しちゃうね。

 

 

「アンタが編入生のツユハライだね?」

 

 

玄関潜れば、第一ウマ娘発見!

 

褐色姉御肌な別嬪さん。

ウマ娘という種自体が皆別嬪さんやけども。 天の趣味趣向の賜物か?

 

そんな娘から声掛けられたんやから、そのまま持ち帰りかのゆっくり茶をしばきたいとこじゃが、ワイには崇高な使命があるんじゃい!

 

 

「そうですけど、アナタは?」

「ヒシアマゾンってんだ。 美浦の寮長さ」

「どうも。 部屋割なら聞いてますが」

「そうじゃないよ。 アンタ、朝から随分デカい顔をしたそうじゃないか」

 

 

えぇ、あはぁ(遠い目)。

自覚はあるんやけども今更なんなん?

 

 

「そんなキツい目をしたって通じないよ。 アンタが今まで何を経験してきたか知らないけど、ここじゃ軽率な事をしてるとあっという間に揉まれちまう。

レースだってマトモに出られるか怪しくもなっちまうんだ。 分かったら今後はもう少し大人しくするんだね、でなきゃ身を滅ぼすよ」

 

 

なんか知らんけど怒っとるよ!?

 

とりま謝っとこ。 大声出してサーセンした。 この場を切り抜けりゃ何でもええわ。

 

いや……待てよワイ。

彼女に謝ってナニを得る?

誠意を見せ後腐れなくすべきでは?

 

口だけならなんぼでも言える。

 

まま、結局口先も嘘も方便やけど。

上手い詐欺師見てっと契約や深夜の残光に塗れ死に物狂いで仕事すんのが阿呆らしくなったもの。 すんと自分の努力どころか人生が虚無に感じて情けねぇ。 アレは苦痛でしかなか。 消化する栄光なんて食い扶持にもなりゃせん。

 

商事(正直)者は損をする、とはよく言うたもの。

 

もう美味い所だけ吸われる畜生人生なんて真平御免の助。 かと俗世はチンケなプライドを尻尾に下げても良い事なし。

 

けんども舐められるのも良くない。

もう放牧地で先輩達に除け者にされ干し草を献上する日々なんて嫌や。 なんならメェメェ鳴き喚くヤギや羊共に飯奪われるのもツライさん。

 

というか、中央ウマ娘ちゃん達とは今日限りの関係みたいなもの!

 

ナニを恐れる? ナニを怖がる?

もうナニが無いワイにはナニも無い!

 

やるなら後悔なきよう嘶け、雄馬(体は美少女)やろ!

 

と言う訳でしてワイはプリティダービーを辞めるぞヒシアマァッ!!

 

レースなんて関係ねぇ!

やんなら栄光の人参ロードの方がマシじゃ!

 

 

「思わずね、失った相棒の事を思ったら」

 

 

恐れるな、感じろ。 口調も強めに直すワイ!

けんども憂いの目を意識する事で感情任せで無い事をアピっておく。

 

大切なのは勢いや!

 

 

「……魂が叫んじまったのさ」

 

 

ナニ言ってるかワイ自身ワカンねぇ!?

でも勢い! 全ては勢いや!

 

アレだ! 女の子いっぱいの花園だから、魂に刻まれたオスが震え立ったのだ!

 

 

「は、はぁ?」

 

 

とりま主導権が傾いたお!

ヒシアマ姐さん、複雑な顔に!

 

たぶん、意味不明過ぎて困惑してるのだ。

 

逆にコレはチャンス。 ピンチはチャンス!

 

ここをすかさず畳み掛ける! 早口で!

健やかなる時も契約を取る時も、上司から仕事を避ける時も!

 

この手しかない(知らない)!

 

さらばヒシアマ! ボクの勝ちだ!

 

社会人になったら分かるさ!

あいや、出来れば一生分からない方が良いよ!

 

 

「それに揉まれるなんて今更。 誰しも関係なく持たされるもの。 遅かれ早かれ、その運命は受け入れるしかない」

 

 

尻! 胸! 太ももーッ!

 

主に上半身のたわわ。

その意味では目の前の娘は大変だ。 だってワイよりデカい気がするもん。

 

 

「どんなに走っても相棒が戻ってくる事はない、共にいた頃も活躍の場を与えてやれた事はない。 けんども、そこに相棒がいる気がしてな。 ココで走る事で何処かで奴を感じれる、そんな気がする」

 

 

や、ヤベェ……息子の喪失に今更ガチ涙が。

童貞のまま二度も人(バ)生を終えてしまい、競馬場や調教の記憶も碌なものじゃなか。

 

野郎に鞭でビシバシ、土砂降りの中、泥に塗れて必死に走って、結果が出なきゃ殴る蹴るもあり得た前世。 それこそ辿り着く場所は桜肉ENDの可能性が高かったワイ。 それでも悪足掻きしたワイ。

 

最も結果が予後不良では本末転倒。

死んだ後は素直に供養されたかも怪しく、犬飯にされたか馬刺しにされたかも知れん。

 

 

「哀れ過ぎるでそんなん、若くして失い過ぎや。 そんでも女々しく(文字通り女の子になって)トレセンに来たのは亡き相棒との約束が魂ン中に残っとたから」

「約束?」

「せや。 ここトレセンから相棒の大事なモンを取り戻すっちゅー大事な約束がな!」

 

 

そう! ワイの猥本を取り戻すと!

お胸にたわわが実る屈辱と喜びを味わっても、猥談本を所持していたのは心の中であ〜^ぴょんぴょんすんじゃ〜^と跳ね回る息子がいるからだ!

 

その息子がいる限り、ワイは何度でも蘇るさ!

 

 

「そん為なら天下の皇帝様やろうが女帝やろうが大将だろうが誰だって相手になってやんよ! 勿論、アンタが立ち塞がるんでも容赦しねぇ……分かったらソコ、退きな」

 

 

と格好付けて話を強制終了させるワイ。

相手の返答待たず、ヒシアマの横を抜けようとして……腕を掴まれた。

 

 

「ちょっと待ちな」

 

 

えぇ……まだあるんですかい?

あっ、腕越しにでも分かる……肌スベスベ。

 

 

「もう話す事は無い」

「いんや、アタイはあるね!」

 

 

ぐいっ、と顔を近づけられた。

息が擽ったい。

あと、きめ細やかなスキンにワイ、ドキドキ。

 

ちょっと、えっ?

コレはアレですかい。 薔薇で百合な奴ですかい?

 

息子が悦んじゃうよ?

心の中にしか最早いないけどぴょんぴょんだよ?

 

 

「アタイとタイマンだ。 放課後、グランドに来な」

 

 

違った。 勘違いだった。

 

というか、何でそうなるん?

初日から散々やんけ。 猥本回収するだけなのに。

 

 

 

 

 

U■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■U

 

 

 

 

 

変な編入生、ツユハライ(略:ツライさん)。

井の中の蛙大海を知らず。

 

若さ故の誤ちかと(アンタも若い)、寮長のヒシアマゾンは彼女に注意をして終わり……の筈だった。

 

ところが彼女は軽率な行動とは裏腹に腹にイチモツを抱える者(直球)であった。

過去、とても辛い想いをしてきた事、特に相棒なる存在を失ったという。

それでも"約束"とやらの為に全てを敵に回してでも、走ると決めている様子であった。

 

 

(きっと大切なウマ娘だったんだろうね)

 

 

そう思ったヒシアマは同情はした。

けれど共感は出来ない。 トレセンは生優しい場所ではない。

 

皆それぞれの想いがある。

一族の為、誰かの為、自分の為に走っている。

 

その意味、ツライさんは特別ではない。

 

どんなに高貴でも、想いが強くても、勝てるかどうかは別問題。 厳しい世界。

 

敗北なんて、絶望なんて、ここでは溢れている。

 

理不尽な病気、怪我だって牙を剥く。

 

だからこそ、壊れてしまう子がいる。

涙を流して学園を去る子がいる。

 

寮長としては、そんな娘達を何人も見てきてツライ時もあった。 けれど、それで一々立ち止まってはいられない。

 

責任ある立場として。 皆を支える一端として。

 

その為には時に不穏分子を排除し、分からせるのも辞さない構えだ。

 

 

「アタイとタイマンだ。 放課後、グランドに来な」

 

 

だから揉んでやろう。

情熱的に、他より優しい屈辱で。

 

 

(それで壊れてしまう様なら、そこまでだよ)

 

 

ツライさんは無事に辞表を提出出来るのか。

それはまだ誰にも分からない……。




あかん。 これじゃ、勘違いが足りない(敗
続くか未定(殴。
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