「やっとモンド城が見えてきたね」
「まだ歩くのか…オイラもうヘトヘトだぞー」
璃月のひと騒動から暫く、モンドへと戻ってきた蛍とパイモンの2人。
「急にモンドに戻るっていうからオイラ驚いたぞ」
「だってこれから向かう稲妻は鎖国中だし、一度入ったら中々出られないでしょ?その前にみんなに挨拶しておこうかと思って」
「おいおい、まるでオイラ達が2度と帰ってこないみたいな感じじゃないか…縁起でもないぞ」
「そんなつもりじゃないよ、ただ璃月に入ってから殆ど連絡してなかったから、近況報告もしたかったし」
「ついでにモンドの美味しいものをひと通り食べ納めしておきたいとか?」
にしし…と笑うパイモンは
「もう…それはパイモンだけでしょ」
「蛍ー!パイモーン!」
話ながら歩いていると上空からよく知っている声が聞こえた。
「この声は」
「アンバーだ!」
2人が声のした方向を見る、偵察騎士のアンバーが風の翼を広げながらこちらへ向かって来ていた。
「よいしょっと…久しぶりだね!」
綺麗に着地したアンバーは2人に挨拶をする。
「久しぶり、アンバー」
「2人とも璃月に行ってから音沙汰が無かったから心配したよ」
「ごめん、色々あってね」
色々…本当に色々あった。
兄の手がかりを探しに璃月に来てみれば、岩神は暗殺されるわ、その容疑者候補にされるわ、やっとこさ黒幕を突き止めたかと思えば、渦の魔神が璃月を滅ぼそうとするわ、収穫はあったが思い出すだけで疲れが出てしまう。
「その顔、本当に色々あったみたいだね…うん、聞かないでおくよ」
「そうして貰えると嬉しいかも」
「ところでさ…」
アンバーがじっと蛍の事を見る、その後すぐに何か言おうとしていたが突然黙り込んでしまった。
「どうしたの?」
そんなアンバーを不思議そうに蛍は見た。
「ううん!ジン団長やリサさん達もアンタの事を心配してたし、早く行こ!」
アンバーは笑顔になり、蛍の手を握るとモンド城へ歩き始めた。
「おーい!オイラを置いてくなー!」
先行する2人をパイモンは慌てて追いかけていった。
偵察騎士はその職務上、観察眼に優れている、目がとても良いと言えば分かりやすいかな。
だから巡回中、遠くにいた
再会して私は気づいた、蛍の片頬が小さくだけど赤くなっていたのを、そして薄らと小さな歯形が見えたのを。
気になったので確かめようと蛍に聞こうとしたら、蛍の後ろにいたパイモンが普段しない目つきでじっと私をを見つめていた。
あれは多分、気づいた私に気付いたんだと思う。
蛍は何も知らなさそうだったから
(ああ、そういう事…)と理解した私は何でもないと誤魔化した。
蛍には黙っておくから今は私だけが独占していいよね?
私はそう意味するように笑顔をパイモンに向けて、蛍の手を握って歩きだした。