高校生と幽霊 作:とりあえずこれで
――なんでもない日の、校舎の屋上で。
ギュルルルルルルルル――!
「ん? なんか変な音がするな……」
上を見上げる間もなく、
「ぷげ」
白い物体がおれの頭に衝突した。
痛がる暇もなかった。
「ひ、人……?」
「う、ぬぅ……」
おれに乗りかかる形でいた飛来物は、腰よりも長い白髪の、女の子であることに気づいた。
「大丈夫、なのか……」
「もう、だめじゃ……」
気づけばおれは頭を両手で抑えられ、身動きがとれない状態になっていた。
女の子は、顔をそのまま近づけていき――、
「にゅるん」
僕の右目を口の中に吸い込み、
「うっわああッ!――」
突き飛ばした勢いでぶちぶちぶちと音を立たせたその眼球を――。
恍惚の表情で嚥下してしまった。
「お、おれの、めがぁ!」
「ん、うぅん……」
焦点の合ってなかった彼女の瞳は、だんだんと正気を取り戻して、
「取り返しのつかないことをしてしまった……。
償いにするにはいささか釣り合わぬが……戒めによかろう」
自分の眼を抉りだして、指先でつまんだそれを、僕の顔へ近づけてきた。
ぬぷりと、また聞いたことのない場所から音が鳴った。
気が付くと、そこには僕以外誰もいなかった。
大の字になって横たわる僕だけがいて、
「夢、だったのか……」
そう呟いた僕の上空を透明感のある細長い竜の巨体が突き抜けていき――
あたりが、魑魅魍魎に覆われていることに気づいた。
右目から見える怪異的な世界に、僕は気を失った。
――
ミエル? ミエテル――!
度重なるポルターガイストにより、おれは高校生活を追われ、おれは一人の無職となった。
両親はどこかへ消えてしまい、残された家も、ついに耐えきれなくなった大家から追い出されてしまった。
最初のころは諦めずにやっていたバイトも、もう何度もクビにされて心が折れてしまった。
今のおれは、平日の昼間っから公園のベンチにいる、特に何もしていない社会人だ……。
それとは、日が暮れるまで黄昏ていたそのときに遭った。
「あんぱん、食べませんか? お友達になりましょう」
「へえ、お兄さんは無職の友達なんですね」
「働き口、欲しいですか?」
夜にはやっぱり化け物が出る。
それを拳一つで払った少女は、このあんぱん娘の娘さんらしい。
土煙漂うなか、
「?」
「不思議そうな顔をしてますねっ。 でも、あなたはつまらない世界にはもう帰れませんよ? わたしたちと一緒に来ませんか?」
これより始まるのは、おれが霊能相談事務所で働いてきたただの日常である。
非日常が過ぎても、文句は受け付けない。
続きません。
投稿の練習に書いたのですが、1000文字書かないといけないらしいので後半を追加しました。
間違って入ってきた人がいたらゴメンネ!